福島県会津坂下町の移住者ガイド：四季折々の魅力と充実の支援制度
本記事では地方移住を検討中の方に向けて、福島県会津坂下町（あいづばんげまち）の魅力や仕事、住まいなどの生活に関する情報を紹介します。
会津坂下町は四季の風情を肌で感じられる自然豊かなまちです。充実した子育て支援制度により、若い世代の移住も増えています。
一方で、豪雪地帯であるため「冬の暮らしへの不安」や「利便性への懸念」を感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、会津坂下町移住定住推進班の班長・田中さんと、副主査・大場さんに、移住に役立つ制度や暮らしの情報について詳しくお話を伺いました。
会津坂下町の魅力的な暮らし：5つの特徴
会津坂下町は会津盆地西部に位置する緑豊かなまちです。まちの中部から東側には清らかな水を湛える水田が広がり、西側には青々とした山林が茂っています。
このような自然に囲まれた会津坂下町ですが、実は都市部へのアクセスが良好で、日常生活に不便を感じることはありません。さらに、生活をサポートする制度も充実しています。
ここでは、会津坂下町の魅力的な特徴を5つ詳しく紹介します。
特徴1：豊かな食文化！蕎麦・果物・日本酒など地元グルメの宝庫
▲蕎麦粉の風味と舌触りが特徴の「十割蕎麦」
会津坂下町は盆地特有の夏暑く冬寒い気候です。その自然環境が農作物の生育に適しており、会津坂下米をはじめ、蕎麦・野菜・果物などの栽培が盛んで、豊かな食生活を楽しむことができます。
会津坂下米は「コシヒカリ」「天のつぶ」「ひとめぼれ」「瑞穂黄金（みずほこがね）」など多種の品種を栽培しており、年間約1,200万トンもの収穫があります。全国各地に出荷され、高い評価を得ています。果物では皇室にも献上された「みしらず柿」が有名で、りんご・桃・ぶどうの栽培も盛んです。
さらに、昼夜の気温差が大きい土地柄を活かし、古くから上質な蕎麦の産地として知られています。特に、つなぎや打ち粉にも蕎麦粉を使用する十割蕎麦が特徴です。蕎麦粉本来の香りと、ざらりとした独特の舌触りが魅力的で、多くの人々に愛されています。
会津坂下町自慢のご当地グルメ
旬の味覚にとどまらず、盆地ならではの工夫や風土の魅力が詰まったグルメも満載です。「さくら肉」と呼ばれる馬刺しや、夏の暑さを和らげる「冷やしラーメン」など、多彩な郷土料理が楽しめます。
以下に、会津坂下町の代表的なご当地グルメを紹介します。
▲特製ニンニク味噌タレで食べる「馬刺し」。町内の肉屋に並ぶほどの定番グルメ
▲会津のラーメン文化と盆地の暑さをしのぐ工夫から生まれた「冷やしラーメン」
▲「日本酒」。町内には曙酒造・豊国酒造・廣木酒造の3つの蔵元が存在
▲赤色辛口米味噌が特徴の会津味噌。「玄米麹味噌」「糀味噌」など品ぞろえが豊富
▲醸造業が盛んで醤油も有名。全国醤油品評会でも高い評価を受けている
「会津の男は蕎麦打ちとスタッドレスタイヤの交換ができれば合格」と言われるほど、この地域には蕎麦文化が根付いています。
特徴2：盆地が育む四季折々の絶景
▲雪景色とみしらず柿。晩秋を過ぎると雪が降り始める
会津坂下町は盆地に位置し、四季折々の美しい景色を存分に堪能できるのが魅力です。
春の訪れは桜の開花から始まります。鶴沼緑地公園内の河川敷には約120本もの桜が咲き誇り、花見客で賑わいます。また、高寺堤の水面に映る桜は風情があり、特におすすめのスポットです。
▲山々の緑とのコントラストが美しい高寺堤の桜
夏は盆地特有の高温多湿な気候ですが、中山間部に行けば木陰で涼を取ることができ、残雪の残る飯豊山を眺めることもできます。
秋になると町の花である菊が見頃を迎えます。「中村ザル菊園」では毎年テーマを決めて模様を作っており、市松模様や流れ星をモチーフとした鮮やかなザル菊アートが楽しめます。
▲色彩豊かな「中村ザル菊園」の菊アート。10～11月は無料で鑑賞できる
冬になると雪景色が広がり、北国の厳しくも美しい冬を体感できます。このように、暮らしの中で四季折々の絶景を楽しめるまちはそう多くありません。
特徴3：子育て世帯に優しい！充実した支援制度と交流施設
会津坂下町は若者・ファミリー世帯の移住を促進するため、子育てに関する支援が充実しています。
2023年からは少子化対策の一環として「新婚生活支援事業」を開始し、39歳以下の新婚夫婦を対象に最大60万円の補助金を給付しています。さらに、18歳以下の子どもの医療費を無償化するなど、子育て世帯への支援を積極的に行っています。
保育施設の利用料は国の定める額の約3割に抑えられており、幼稚園では保育料が無料です（給食費・教材費のみ負担）。
町内には「子育てふれあい交流センター」が設けられ、保護者同士で交流できる憩いの場となっています。子どもの遊び場も充実しており、遊具や芝生広場が整備された「会津坂下町営ばんげひがし公園」には、町外からも多くの家族が訪れ、にぎわいを見せています。
特徴4：便利な立地！市街地へのアクセスが良好
町内には複数のスーパーやコンビニがあり、総合病院などの医療機関も充実しているため、日常生活に必要な用事のほとんどは町内で済ませることができます。ただし、衣料品や家具・家電を購入する場合は、市街地へ出かける必要があります。
しかし、会津坂下町は会津地域の中心に位置し、かつての交通の要所として栄えた歴史があるため、市街地へのアクセスが良好です。
「会津若松市」などの近隣地域へは、それぞれ車で約20分で到着できます。また、都市部の新潟市や郡山市へは、高速道路を利用すれば約1時間で行けるため、買い物に不便を感じることはありません。
日常的な移動には車が必要ですが、公共交通機関も利用可能です。1時間に1本の巡回バスや、1時間に2本運行する電車があり、車を持たない方にも一定の移動手段が確保されています。
特徴5：活気あふれる四大祭り
会津坂下町には「四大祭り」があり、老若男女問わず一年を通して祭りが楽しめます。
7月に開催される「御田植祭」は栗村稲荷神社の例大祭です。五穀豊穣と無病息災を願って、早乙女による美しい踊りや華やかな神輿の渡御が行われます。
▲会津坂下町の御田植祭は「会津三大御田植祭」の一つ。早乙女踊りが華やかに彩る
8月の「ばんげ夏まつり」は子どもから大人まで楽しめるイベントです。迫力あるライブ演奏や人気のヒーローショーなどの催しが満載で、祭りの締めには夜空を彩る大輪の花火が打ちあがります。
▲「ばんげ夏まつり」の終わりに打ちあがる大輪の花火
続く9月の「坂下秋まつり」では、町のメインストリートを個性豊かに仮装した山車が練り歩く恒例行事が行われます。
▲仮装山車がメインストリートを盛り上げる「坂下秋まつり」
そして、1月には男衆による大俵引き「坂下初市～奇祭大俵引き～」を開催。長さ4m・高さ2.5m・重さ5tの巨大な大俵を引き合う光景は、見る者を圧倒する迫力満点のものです。
▲東方と西方に分かれて大俵引きを行う「坂下初市～奇祭大俵引き～」
会津坂下町を体験するなら、ぜひイベントに合わせて来てください！希望があれば祭りへの参加も可能です。地域の伝統と活気を肌で感じていただけると思います。
会津坂下町の生活情報：仕事・住まい・教育
▲黄金の稲穂が一面に広がる秋の会津坂下町
会津坂下町の公式サイトを参考に、暮らしに関する情報をまとめました。仕事・住まい・教育についても詳しく解説します。
▼会津坂下町の概要
| 気候 | 1月：平均気温‐0.4℃ 8月：平均気温24.2℃ ※気象庁ホームページ 豪雪地帯に指定 |
|---|---|
| 人口 | 人口：14,127人 世帯：5,266世帯 （2024年1月1日時点） |
| 医療機関 | 診療所・病院6、歯科8、眼科1 |
| 学校 | 保育所4、幼稚園2、小学校2、中学校1、高校1 |
| レジャー・観光 | 【国の史跡】 亀ヶ森・鎮守森古墳、陣が峯城跡 【国の重要文化財】 旧五十嵐家住宅 【その他】 杉薬師糸桜、恵隆寺（立木観音堂）、法界寺、上宇内薬師堂、心清水八幡神社（塔寺八幡神社）、春日八郎記念公園、会津自然の家 |
| イベント | 7月：御田植祭、8月：ばんげ夏まつり、9月：坂下秋まつり、1月：坂下初市～奇祭大俵引き～ |
| 食べ物 | 蕎麦、馬刺し、冷やしラーメン、日本酒（飛露喜、天明、學十郎など）、味噌、醤油 |
| 特産品 | 馬革製品、福豆俵 |
| 近隣地域 | 会津若松市、喜多方市、河沼郡柳津町・湯川村、耶麻郡西会津町、大沼郡会津美里町 |
| 交通 | 【鉄道】 ・JR東日本只見線：若宮駅-会津坂下駅-塔寺駅-会津坂本駅 【路線バス】 ・会津乗合自動車 【高速バス】 ・夢街道会津号 道の駅あいづ・会津若松-東京都王子駅・池袋駅・新宿駅 【高速道路】 磐越自動車道：会津坂下IC |
| 大都市へのアクセス | 【鉄道】 〇仙台（約3時間） 仙台-東北新幹線-郡山ー磐越西線（快速）-会津若松ー只見線-会津坂下 〇上野（約3時間） 上野-東北新幹線-郡山-磐越西線（快速）-会津若松-只見線-会津坂下 〇浅草（約5時間） 浅草-会津鬼怒川線（快速）-会津田島-会津線（快速）-会津若松-只見線-会津坂下 【車】 〇仙台（約3時間30分） 仙台-東北自動車道-郡山-磐越自動車道・国道49号-会津若松 〇上野（約4時間） 上野-東北自動車道-郡山-磐越自動車道・国道49号-会津若松 〇会津若松（約15分） 会津若松-磐越自動車道・県道会津坂下会津高田線新鶴経由-会津坂下 〇新潟（約2時間） 新潟-磐越自動車道・国道49号-津川-磐越自動車道・国道49号-西会津ー磐越自動車道・国道49号-会津坂下 |
雪は1月～2月によく降ります。積雪量は山手側が130cm、中心部は40〜50cmと地域によって差があります。
家の除雪は主に屋根から落ちた雪を片付ける程度で済み、屋根の雪下ろしは通常不要です。道路は除雪車が常に排雪作業を行っているため、冬季でも運転に大きな支障はありません。
仕事事情：近隣地域も含めた求人と起業支援
会津坂下町の正社員求人を調べたところ、大手求人サイトで約50件見つかりました。※縁結び大学調べ（2024年1月現在）
検索範囲を10km圏内に広げると約600件の求人があります。隣接地域はどこも車で20分程度で行けるので、近隣地域を含めた仕事探しがおすすめです。
会津坂下町には移住者向けの就業支援もあります。新たな起業に挑戦したい方や既存事業の拡大を目指す方は、ぜひこれらの支援制度を活用しましょう。
| 空き店舗・空き工場賃貸助成金 | 空き店舗・工場の賃借に対して助成金を給付。 ・助成期間：申請許可月から6カ月経過後2年間 ・助成額：1カ月の貸借料の60％（1,000円未満切り捨て）または18,000円のいずれか低い方を上限 |
|---|---|
| 中小商工業者向け金融支援 | ・信用保証料補助金 福島県信用保証協会の信用保証料をともなう融資の場合、信用保証料相当額を補助。限度額500万円・期間7年以内 ・利子補給金 福島県商工事業協同組合が融資した事業資金の償還利子額の1/2を補給。 |
住まい探し：賃貸・購入物件の現状と移住者向け支援
大手住宅サイトで会津坂下町の賃貸物件を検索すると、約10件の空室が確認できました。ファミリー向けの2K～2LDKの物件の他、単身者向けの1LDKやワンルームもあります。
| アパート・マンション | 5件 |
|---|---|
| 一戸建て | 0件 |
※賃貸物件の一例（2024年5月時点）
希望の物件が見つからない場合は、町営住宅の利用も検討しましょう。また、町内の不動産屋に直接問い合わせれば、大手サイトには掲載されていない物件が見つかる可能性があります。
一戸建ての購入を検討する際は、空き家バンクもチェックしましょう。2024年1月時点で11件の空き物件があり、住宅補助制度も利用可能です。
空き家バンクは移住者に実際によく利用されています。2022年には10件あった物件のうち、県外から2件、近隣地域から4件の利用がありました。今後も新しい物件の開拓を予定しています。
教育環境：充実した子育て支援と教育サポート
会津坂下町は子育て世帯に嬉しい支援制度が充実しています。預かり保育や児童クラブが整備されており、働く母親も安心して子育てができます。さらに、教育面でのサポートも充実しています。
▼子育て・教育支援の一例
| 子育てに関する助成・支援制度 | ・0歳～18歳までの医療費無料 ・幼稚園保育料は無料 ・多子世帯は保育所の保育料を軽減 ・幼稚園無料送迎バスの運行 ・おむつ専用ゴミ袋無料配布（上限120枚） ・妊婦健診助成 |
|---|---|
| 子育てと仕事の両立支援 | ・待機児童解消策として、保育所を0歳～2歳・幼稚園を3歳～5歳に区分 ・保育所延長保育（月～土曜：最長19:00まで） ・幼稚園預かり保育（月～土曜：最長19:00まで） ・放課後児童クラブ（小学1年～2年生）（月～土曜：最長19:00まで） ・ファミリーサポート事業 |
| 教育に関する支援制度 | ・教育委員会へ学校教育アドバイザー配置 ・乳幼児期からのブックスタート実施 ・小・中学校に英語指導助手を派遣 ・小学校生活へ適応するためのスタートカリキュラム実施 |
| 子育て・教育に関する相談窓口の設置 | ・家庭訪問型子育て支援（就学前） ・保健師による乳児家庭全戸訪問を実施 ・小・中学校にスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを配置 ・小学校に特別支援教育支援員を配置 ・養育支援訪問事業を実施 ・子育てに関する相談（福士健康班・子ども支援班・交流センター・保育所・幼稚園） |
移住者の声：会津坂下町での暮らしの実情
ここでは会津坂下町へ移住した方の声を紹介します。移住者の多くが、人々の温かさや地域のサポート体制を高く評価しています。
- 子育て世帯に優しいまちで、助成金や相談窓口設置などのサポートが充実している。
- 人々が温かく、転勤で他のまちに行くと会津坂下の良さを懐かしく感じる。
- 人情味があり、気軽に接してくれる方が多い。仲良くなると野菜のおすそ分けをしてくれることも。
- 住民が気にかけてくれ、様々な支援を受けられる。
- 初めは距離を置かれることもあるが、打ち解けると親しみやすく優しい方が多い。
移住者の感想では、人々の温かさが際立っています。助け合いやおすそ分けがコミュニケーションの基盤となり、地域の絆を深めているようです。
会津坂下町への移住準備：3つのステップ
ここでは、会津坂下町への移住に向けた具体的な準備について、住居探しや仕事の確保、行政手続きなどの重要なポイントを解説します。
ステップ1：公式SNSで会津坂下町の日常を知る
会津坂下町では「ツイッター」「インスタグラム」「フェイスブック」の3つのSNSと「ユーチューブ」を活用して、まちの様子や観光情報をリアルタイムで発信しています。
まずは、SNSで会津坂下町の暮らしを知って、自分の理想に合う環境か確認してみましょう。イベントやご当地グルメ、地域のお店など、地元の人だけが知っている隠れた魅力的な情報も得られます。
各SNSは会津坂下町役場の公式サイトのトップページからアクセスできるので、ぜひチェックしてみてください。
ステップ2：移住体験イベントに参加して魅力を体感
会津坂下町では、「まちの魅力発見ツアー」と題した移住体験イベントを年に複数回開催しています。
ツアーの内容は回によって異なりますが、町中散策やテントサウナ・温泉体験、地元食材を使った料理の試食など充実したプログラムが用意されています。
各ツアーの具体的な体験内容や参加費用、定員数などは以下のリンク先でご確認いただけます。
会津坂下町の魅力を十分に感じていただくには、暖かい時期と寒い時期の2回訪れることをおすすめします。特に冬季には雪景色や四大祭りなど、季節ならではの体験ができます。
ステップ3：移住支援金など各種制度を活用
会津坂下町には、東京圏内からの移住者を対象とした支援制度があります。
豊かな自然環境を求めて会津坂下町への移住を検討している方は、ぜひこの制度を有効活用しましょう。
ただし、対象外となる地域もあるため、利用を希望する場合は、以下の「移住支援金」の項目から制度の詳細をご確認ください。
| 移住支援金 （ふくしま移住支援金） |
東京23区に過去10年のうち5年以上居住し、会津坂下町へ移住して就職などをした方が対象 ・18歳未満の子ども1人につき100万円 ・単身：60万円・世帯：100万円 |
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会津坂下町への地方移住に関するお問い合わせ
会津坂下町への地方移住に興味がある方は、下記までお問い合わせください。詳しい情報や移住支援制度についてご案内いたします。
| 担当課 | 政策財務課 移住定住推進班 |
|---|---|
| 住所 | 〒969-6592 福島県河沼郡会津坂下町字市中三番甲3662 |
| 電話番号 | 0242-84-1504（政策財務課直通） |
| 対応時間 | 8:30～17:15（土・日曜、祝日、年末年始を除く） |
| 公式サイト | https://www.town.aizubange.fukushima.jp/ |
下見も兼ねてぜひ遊びに来てみてください。自然豊かで都会過ぎず田舎過ぎない、ちょうどよい環境なので暮らしやすいですよ！お待ちしています。