長野県栄村への移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説
この記事では、地方への移住を検討している方に向けて、長野県下水内郡(しもみのちぐん)栄村の特徴や生活情報を紹介していきます。
栄村は雄大な山々や水が澄んだ千曲川(ちくまがわ)など、恵まれた自然環境が魅力の村です。農作物の生産が盛んで、農業以外にも自分たちで食べる野菜やお米は自分たちで作る、自給自足が多くの家庭で行われています。
また、栄村は日本有数の豪雪地帯なので、スノースポーツを楽しむことができますよ。
今回はそんな栄村への移住後の仕事や住まい、行政の支援などをわかりやすく紹介します。
長野県栄村の暮らし、2つの特徴
栄村は長野県の最北端に位置している人口約1,600人の村で、「にほんの里100選」や「日本の秘境100選」に選ばれている綺麗な里山が自慢です。
そんな栄村の魅力を2つ紹介します。
- 特徴1:自然の中で子育てができる!
- 特徴2:移住者を温かく迎えてくれる!
それでは、ひとつひとつ見ていきましょう!
特徴1:自然の中で子育てができる!
栄村は「子どもに自然をいっぱい触れさせてあげたい」「子どもに食べさせる食材は気をつけたい」と考えている子ども思いの移住検討者さんにおすすめしたい村です。
自然に触れながらたくましく成長できる
自然いっぱいの栄村では、外へ出れば至る所が子どもたちの遊び場になります。春から夏にかけてお花摘みや虫取り、小川や水路で遊んだり、野山を駆け回ることができます。
秋は木の実を集めたり、紅葉を見にハイキングがおすすめ。冬は雪遊びし放題。栄村や近隣地域には、いくつもスキー場があるので、気軽にスノースポーツが堪能できます。
保育園や学校、地域の行事でも、タケノコ狩りや田んぼで泥んこ遊び、温泉に行ったり、スキー授業でクロスカントリーやアルペンスキーなど、豊かな環境を活かしたイベントがたくさん行われています。
ここからは、栄村で暮らす子どもたちの日常を写真でご紹介します。
▲先生も子どもも田んぼで全力の泥んこ遊び。
▲6月になっても雪遊びができます。
▲昔ながらの手植えも体験できる。
▲自分たちで笹を採って七夕の準備。
▲芋掘りは子ども達の楽しみの行事の一つ。
▲小さな子どもは、ソリや天然の滑り台で楽しめます。
「農村広場」という芝生広場や遊具がある公園もあるので、小さいお子さんも遊ばせてあげることもできますよ。
自分たちで育てた野菜を子どもに食べさせてあげられる
移住を機に家庭菜園に挑戦しようと考えている方は少なくありませんよね。ですが、いざ野菜作りを始めようと思っても、どうしていいかわからない方も多いのではないでしょうか。
栄村では農家でなくても、自分で食べる分の野菜やお米は自分たちで作る文化が根付いています。野菜の育て方がわからなくても、近所には家庭菜園の大ベテランの方がたくさんいるので、いつでもアドバイスを求めることができますよ。
野菜の育て方がわからなくても、本やインターネットで調べることもできますが、地域による温度差や気候状況、土壌の違いによって、その通りに育ててもうまく育たないことは多々あります。
田舎の野菜作りでは、その土地で野菜を作り続けている大先輩の経験や知恵が、なにより有力の情報になります。
自分たちで作った野菜を子どもたちに安心して食べさせてあげられるのは、家庭菜園の醍醐味ですよね。ぜひ栄村で自給自足に挑戦してみてください。
子育て・教育への支援が充実している
栄村では子育て・教育への支援も充実しています。
例えば、小中学校への通学は、家から学校まで距離がある場合、無料のスクールバスを利用できたり、通学にかかる交通費を一部補助してもらうなどです。
他にも以下のような支援があります。
支援制度 | 内容 |
---|---|
子どもの福祉医療 | 高校卒業まで医療費無料 |
インフルエンザ予防接種 | 村営診療所で1人2回まで無料接種 |
チャイルドシート補助金 | チャイルドシート購入費の2分の1を補助(上限1人当たり1万円) |
にぎやか祝い金 | 第3子以降の出産について祝い金を支給(20万円〜) |
小中学校の給食費補助 | 1食あたり100円を補助 |
小学校入学祝い金 | 小学校入学児童1人につき10万円の祝い金を支給 |
高校生等通学費補助金 | 高校生等の通学定期券購入費の2分の1を補助(上限年間9.6万円) |
公式:栄村役場(子育て支援)
特徴2:移住者を温かく迎えてくれる!
▲毎年、小正月のころに多くの集落で行われる伝統ある火祭り。
田舎への移住を検討していて気になるのは、「近隣住民との人間関係」ではないでしょうか。田舎に行くほど地元の人たちの繋がりが強すぎて、移住者がうまく馴染めない話を聞くことも少なくありません。
しかし栄村は、オープンな性格の方が多く、移住者でも温かく迎えてくれます。村の外から来た知らない人でも「どこから来たん?家でお茶でもして行くか?」と声をかけてくれるほど、温かい方が多いです。
栄村へ移住して、早く地元に馴染みたい方は、地域行事やお祭りに積極的に参加するのがおすすめです。温かい方が多い栄村では、積極的に活動してくれる人はどんどん受け入れてもらえますよ。
▲6月に各集落で行われるタケノコ狩り。
栄村の暮らしに関する情報
ここからは、栄村への移住を考えた場合に必要になる生活に関する情報を、いろいろなデータをもとに紹介します。
人口 | 約1,600人 |
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診療所 | 2ヶ所 |
学校 | 保育園2園、小学校2校(本校と秋山分校)、中学校1校 |
文化・芸術 | マタギ、神楽 |
特産 | トマト、お米 |
娯楽 | 栃川高原キャンプ場、のよさの里キャンプ場、さかえ倶楽部スキー場、温泉 |
日用品の買い物では、最低限必要なものは村に2軒ある商店や移動購買車で購入することができますが、近隣の長野県飯山市や新潟県津南町、十日町市へ移動すると、大型スーパーやホームセンター、コンビニなどがあります。1週間分まとめ買いする人も多いようです。
村営の診療所では内科と歯科の診療に対応しています。近隣の市町村まで移動すれば病院がたくさんあり、救急患者にも対応している総合病院は、近隣に飯山赤十字病院と津南病院、十日町病院があります。
また、栄村ではICT教育にも力が入れられており、国際的な素養を身につけることができます。令和4年度には、小学6年生がマーシャル諸島の子どもと英語でテレビ通話をしました。子どもたちは授業で身につけた英語で簡単な質問のやり取りをしていますよ。
栄村は日本有数の豪雪地帯
栄村の冬の積雪量は2mを超えることが多く、時には3mを超えることもある、全国でも有数の豪雪地帯です。
▲過去には7.85mの積雪を記録したこともあります。
栄村 | |
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平均気温 | 8月:23.3度 1月:-1.6度 |
降雪の深さ合計 | 1月:366cm |
※参考:気象庁気候データ(近隣の「野沢温泉」のデータを参照)
雪かきは毎日の日課になるほど雪が降りますが、主要な道路は融雪設備などで除雪されるので、自動車移動の支障にはなりません。
とはいえ、自動車のスタッドレスタイヤの着用は必須です。特に四輪駆動タイプ(4WD)の車は、雪道でも運転がしやすいのでおすすめです。
敷地内の除雪は、スコップやスノーダンプでは追いつかないほど雪が降ります。エンジン式の雪を飛ばすタイプの除雪機を用意できると心強いですよ。
▲エンジン式の除雪機やスコップなどを駆使して除雪します。
▲雪下ろしや敷地内の除雪は、地元の建設業者などに頼むこともできるので、体力に自信がない方などは検討してみてください。
【交通】バスや電車はあるが、自家用車が必須
次に栄村の交通に関する情報を紹介します。
交通 | 【鉄道】 JR飯山線(主要駅:森宮野原駅) 【バス】 デジマンド交通 かたくり号 南越後観光バス |
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隣接都市 | 【長野県】 飯山市、下高井郡山ノ内町、木島平村、野沢温泉村 【新潟県】 十日町市、上越市、中魚沼郡津南町、南魚沼郡湯沢町 【群馬県】 吾妻郡中之条町 |
大都市へのアクセス | 【名古屋】 ・車で約4時間半 ・電車で約5時間 【東京】 ・車で約3時間半 ・電車で約3時間 |
バスや電車はありますが、本数が少ないので、自家用車の移動が主な手段になります。
高速道路や新幹線へのアクセスに関しては、長野方面へは上信越自動車道の「豊田飯山IC」と北陸新幹線の「飯山駅」があり、新潟方面へは関越自動車道の「塩沢石打IC」と上越新幹線の「越後湯沢駅」があるので、都市部へのアクセス性は良好です。
【仕事】通勤圏を広げると色々な業種が見つかる
栄村の仕事に関する情報はこちらです。
求人数 | |
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栄村 | 約260件 |
栄村から30分圏内 | 約600件 |
※参考:求人情報サイト
村内では役場や建設業、森林組合の求人が多く、近隣では工場や医療機関など様々な業種の募集があります。
近隣地域としては、飯山市は車で約30-40分、津南町は車で約15分、十日町市は車で約30-40分ほどで移動できます。村内で希望の業種が見つからないときは、少し視野を広げて探してみると見つかりやすくなります。
建設業など、冬の積雪時に本業ができない業種では、その期間は除雪などを行っています。
求人情報は、長野県飯山市のハローワークが栄村や飯山市の求人を、新潟県十日町市のハローワークが津南町や十日町市の求人を扱っているので、参考にしてみてください。
【住まい】移住者向け支援制度が充実!
ここからは栄村の住まいに関する情報を紹介します。まずは、どのくらいの物件数があるか見てみましょう。
賃貸物件 | 約1件 |
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売買物件(空き家バンク) | 約7件 |
※参考:賃貸物件情報の一例
賃貸は物件が少ないので、賃貸を検討されている方は希望の物件が見つかったら、早めに決めた方が良さそうです。これ以外に栄村では村営住宅や村民住宅が用意されているので、そちらを検討してみるのもいいかもしれません。
空き家バンクに掲載されている物件は、修理が必要な物件が多いようなので、村営住宅に入居しながら空き家をDIYリフォームするのもおすすめです。
また、最初に村営住宅に入居して、親しくなった住民の方から空き家を紹介してもらった方もいるようですよ。
栄村は移住者向けの住まいの支援制度も充実!
栄村では移住者向けの住まいの支援制度も充実しており、以下のような支援が実施されています。
支援制度 | 内容 |
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若者マイホーム支援事業補助金 | ・400万円以上の新築住宅の購入費に対し、200万円を補助 ・200万円以上の中古住宅の購入費に対し、100万円を補助 ・空き家バンク登録住宅の購入費の2分の1を補助(上限100万円) (いずれも45歳以下が対象) |
住宅リフォーム支援事業補助金 | 村内業者の施工による50万円以上の住宅リフォーム費に対し、10万円(空き家バンク活用住宅の場合は20万円)を補助 |
克雪住宅普及促進事業補助金 | 住宅屋根の融雪または自然落雪措置などのための工事費の5分の1を補助(上限60万円) |
栄村へ移住した人の体験談・感想
実際に栄村に移住された方の声を紹介します。
- 地元の人は温かい方が多く、移住者でも分け隔てなく受け入れてくれる。
- 自然が綺麗で、季節の移ろいを肌で感じられる。
- 自然が近くて子育てに良い環境。
- 田んぼや畑、テントサウナ、スノースポーツなど、娯楽がたくさんあって楽しい。
- 栄村はお金で得られる利便性は少ないが、お米作りや野菜作り、醤油や味噌などの加工品作り、家や庭の修繕や小屋作りなど、生きる力強さが身に付く。
田舎では地方に行くほど、住民同士の結束が強く閉鎖的なイメージを抱きがちですが、栄村は知らない人や移住者でも歓迎してくれる温かい村民性の地域です。
集落のお祭りの際には、親が忙しくて子どもの相手ができないときは、近くのおじいちゃんおばあちゃんが家にあげてくれたり、子どもが近所のお年寄りとお茶を楽しんでいたり、村のみんなで子育てをしているような温かさが大きな魅力です。
また、買い物などに対して少し不便さがある分、野菜やお米、味噌などを自分たちで作ったり、手元にあるものを利用して必要なものを作る、生きるための力強さが身につけられる暮らしを送ることができますよ。
栄村では農業や自給自足に限らず、様々な挑戦を取り組みやすいまちでもあります。移住後に事業を立ち上げる方や団体を作って活動をしている方、シェアハウスを運営している方など、多くの方が様々なチャレンジに取り組んでいます。
そのような新たな取り組みができるのも、寛容でアットホームな栄村の村民性の豊かさがあってのことですね。
栄村に移住した佐藤さんの暮らしを紹介!
ここからは、実際に栄村に移住した佐藤慎平さんを紹介します。佐藤さんには私生活の写真をご提供いただいたので、栄村での暮らしのイメージを掴むための参考にしてみてください。
地域おこし協力隊として栄村に移住した佐藤さんは、現在「山奥シェアハウス とまりいえ」の運営の傍ら、農業にも従事し生計を立てています。
栄村への移住のきっかけは、学生時代に隣の自治体である野沢温泉村にアルバイトで 数か月過ごして、北信地域を知ったことだそうです。その後、農業の手伝いや観光で訪れるたびに、その自然環境と人に魅了され移住を決意。
移住前からコミュニティづくりやゲストハウスづくりを生業としたいと考えていたため、非日常を感じられる、北信地域の中でも一番の田舎である栄村を選択したそうです。
今後は移住者も住民も交流できるコミュニティを作っていく予定です。
ここからは、佐藤さんが栄村でどのように過ごしているのか、その一部を紹介します。
▲山奥シェアハウス「とまりいえ」の住民とたこ焼きバーティー
▲天日干しのお米は格別。仲間との活動は喜びもひとしおです。
▲雪の多さには驚きますが、ワクワクと楽しみの方が勝ります。
▲雪中サウナ。ウインタースポーツ以外にも冬の楽しみはたくさんありますよ。
▲冬の花火も乙なものです。
起業などの仕事関連のことに限らず、新たな趣味や家庭菜園など、移住を機に新しいことに挑戦したい方にとっては、ワクワクするような写真ばかりだったのではないでしょうか。
栄村ではこれから新たなことに挑戦するための余白が、まだまだたくさん残っています。温かく迎えてくれる栄村で新たな挑戦をしてみてはいかがでしょうか?
移住経験者からリアルな話が聞ける、山奥シェアハウス「とまりいえ」
「まずは試しに栄村の暮らしを体験してみたい」という方は、佐藤さんが運営している山奥シェアハウス「とまりいえ」を利用すると、実際に住んでいる人の話を聞くことができます。
ちなみに、栄村への移住を検討しに訪問する際は、冬と春の2回訪れるのがおすすめです。雪は栄村での暮らしにおいて、避けては通れません。そのため、冬に一度訪れて、栄村の雪を経験して移住後の暮らしをイメージしてみてください。
春に訪れた際には、栄村の魅力である美しい自然を満喫してみてください。流れる綺麗な川の水や新緑を堪能して、栄村への移住を検討してみてくださいね。
栄村への移住に関する問い合わせ
もし栄村への移住に関してわからないことがある方は、こちらへお問い合わせください。
2023年9月ごろには、栄村で初めての「移住体験ツアー」を予定しているそうです。参加を希望される方は栄村役場のホームページをチェックしてみてください。
担当課 | 栄村役場 建設課 定住住宅係 |
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住所 | 〒389-2792 長野県下水内郡栄村大字北信3433 |
電話 | 0269-87-3113(建設課直通) |
お問い合わせ | https://sakae-life.com/consultation/ |
公式サイト | http://www.vill.sakae.nagano.jp/ |