雲南市移住ガイド:歴史と自然に囲まれた暮らしと手厚い支援制度

この記事では、地方移住を検討している人に向けて、島根県雲南市(うんなんし)の暮らしを紹介します。

雲南市は多くの神話や伝説が残る歴史あるまちとして知られています。

ゆったりとした田舎の空気感と都市機能が共存する暮らしやすさもありながら、「チャレンジのまち」として、挑戦する人をまちぐるみで応援する風土が根付いている、人がいきいきと輝くことができる環境も魅力です。

そんな雲南市での暮らしの魅力をはじめ、移住支援制度なども詳しく解説していきます。

本日お話を伺った方
雲南市のキャラクター

政策企画部 うんなん暮らし推進課

佐藤さん

雲南市での暮らしの魅力:3つの特徴

雲南市の暮らしの特徴

雲南市は島根県の東部に位置し、南部は広島県に接しています。県庁所在地である松江市や出雲市とのアクセスもよいことから、田舎と都会のいいとこどりができる住みやすさがあります

市内各所には、日本最古の神社である須我神社をはじめとした歴史や伝説の足跡が残っており、歴史好きにはたまらない魅力を有しています。

さらに特徴的なのは、地域に活力をうむための応援制度が充実していることです。子どもから大人まで、幅広い年代の人のチャレンジをまちぐるみで支援しています

そんな雲南市への移住をぜひおすすめしたいのは、次のような方です。

  • 田舎暮らしを楽しみながら、気軽に都市部にも遊びに行きたい
  • 移住を機に、新しいことに挑戦したい
  • 子どもの自発性や創造性を育てていきたい
  • 歴史ある街並みが好きで、街歩きも楽しみたい

なぜこのような方たちにおすすめしたいのか、雲南市の魅力を3つご紹介します。

魅力1:田舎と都会の良さを兼ね備えた「ちょうどよい」環境

雲南市はまちの大半が林野という、自然に囲まれたまちです。どこか懐かしさを感じるような美しい自然風景を日常的に楽しむことができます。

その一方で、24時間大型スーパーや地元食材を扱うスーパー、ドラッグストアなどの生活施設が揃っており、日用品や食料品は市内でまかなうことができるという便利さも兼ね備えています。

さらには、隣接する松江市と出雲市へのアクセスも良好です。高速道路を使えば広島県にも2時間程度で行くことができます。

また、出雲空港まで市役所から約20分と空の玄関口にも近く、飛行機を使えば東京にも2時間程度で行くことができるのです。

「ほっと癒されるような田舎暮らしをしながら、休日には都会にも気軽に遊びに行きたい」という人にとって、とても「ちょうどよい」環境ではないでしょうか。

魅力2:歴史と自然の見どころ満載!探索が楽しみになるまち

雲南市は出雲大社からも程近く、市内には古代から伝わる歴史や文化が色濃く残っています。特に有名なのは、出雲神話の「ヤマタノオロチ伝説」にまつわる伝承地であること。

須我神社は、須佐之男命(スサノオノミコト)がオロチを退治した後に作ったとされている日本で最初の神社で、和歌発祥の地としても知られています。

雲南市須我神社
▲日本で最初の神社とされる須我神社

雲南市神楽舞
▲古くから伝わる雲南市神楽舞

歴史好きの人からするとたまらない奥深さのあるまちで、それを目当てに移住する人もいるほどです。平日には、歩いて散策している人もちらほら見受けられます。

歴史だけでなく、自然が楽しめるスポットもたくさんあります。

春になると咲き誇る斐伊川堤防の桜並木は、日本さくら名所100選に認定されたほどの美しい眺め。800本のソメイヨシノによって形成された長さ2kmの「さくらトンネル」に誘われて、自然とその下をお散歩したくなってしまいます。

雲南市木次桜並木土手
▲壮大な眺めが楽しめる木次桜並木

日本の滝100選に選ばれた「龍頭が滝」もあります。お休みの日に足を運んで、マイナスイオンを浴びながらリフレッシュできるおすすめスポットです。洞窟に入って滝を裏から見るという少し変わった楽しみ方もできます。

雲南市龍頭が滝
▲雄滝と雌滝からなる龍頭が滝

子どもがのびのびと遊べる環境があるのも雲南市の魅力。大きな遊具を備えた公園があるわけではありませんが、川やキャンプ場などのアウトドアスポットがたくさんあります。いわば雲南市全体を遊びのフィールドとすることができるのです。

いつも同じ公園で同じ遊具で遊ぶよりも、「今日はどこでどうやって遊ぼう?」と、子ども自身がいろいろな遊びを考えることができます。

雲南市の子どもの外遊びの様子
▲まち全体が子どもの遊びのフィールドになる環境(引用:ほっこり雲南定住サイト

魅力3:チャレンジを応援する風土と充実した支援制度

雲南市独自の取り組みとして特徴的なのが、雲南スペシャルチャレンジ、通称「スペチャレ」です。

スペチャレとは、ふるさと納税等の寄附により、雲南市に住む若者のチャレンジを応援する制度のこと。地域課題解決のための企画書を作成し、通ればその取り組みに挑戦することができます。

中高生向け、大学生向け、企業向けとあるため、幅広い年代の人が挑戦することができるのも魅力です。

中高生向け(ジュニア) 対象:市内在住、市内に通学する中高生
サポート内容:積極的な学びやプロジェクトに取り組むために要する費用を支援
上限:30万円
大学生向け(ユース) 対象:大学生
サポート内容:自らを成長させる学びや経験のための市内外の研修・プロジェクトに要する費用を支援
上限:30万円
起業・創業(ホープ) 対象:市内で地域課題解決に取り組む者
サポート内容:社会課題の解決や地域の暮らしを豊かにする事業に要する費用を支援
上限:活動資金補助…200万円、保証料補助…20万円、利子補助…10万円

移住先にいろいろな支援制度が充実しているのは大切なことですが、こうした「人の活動を支援する」という制度はなかなか珍しいのではないでしょうか

「移住をして何か新しいことにチャレンジしたい」という人にも、とても嬉しい制度だと思います。

中高生から挑戦でき、実際に様々なチャレンジが生まれています。子どもの自主性や創造性を育むことができる環境があるのは、子育てする上でも心強いことだと思います。

住んでいる人がいきいきと何かに挑戦できるというのは、まち全体に活気を生むことにもつながります。スペチャレから生まれた子どもが参加できるアート体験のイベント「アートスタート」などの独創的な取り組みもたくさんあるため、雲南市にいるだけでいろいろな面白い体験ができそうです。

雲南市での生活:暮らしに関する具体的情報

実際に雲南市に住むなら知っておいた方がいい、気候や病院などの暮らしに関する情報をまとめました。

気候 8月の平均気温:27.1度
1月の平均気温:4.6度
※参考:気象庁ホームページ
(雲南市内に観測地点が無いため、直近の松江地点を参照)
人口 35,606人(13,593世帯)
※令和5年2月末現在
病院 病院:2か所
民間医療機関:24施設
歯科医院:15か所
保育施設・学校 保育所:9園(公立4園・私立5園)
認定こども園:10園
公立幼稚園:4園
企業主導型保育施設※:1園
※市内初となる企業主導型保育事業の施設
小学校:15校
中学校:7校
高等学校:3校(分校含む)
交通

【鉄道】
JR西日本:木次線
中心となる駅は木次駅

【自動車】
高速道路(中国横断自動車道尾道松江線)
国道54号
国道314号

【バス】
雲南市民バス、吉田だんだんバス(デマンド型バス)

車移動を前提にしているが、デマンドタクシーも利用可能。車がない人、免許返納をした人への買い物・病院への移動を支援している

近隣都市 松江市、出雲市、安来市、飯南町、奥出雲町と隣接
南部は広島県庄原市に隣接

市内の公共交通手段にはJR西日本木次線があります。2023年春現在は4種類のラッピング列車が運行しており、地域に愛される列車となっています。

雲南市を走るJR西日本木次線のラッピング列車
▲木次線のラッピング列車を手を振る園児

とはいえ決して本数が多いわけではないため、基本的には市内の移動には車がおすすめ。2022年8月には雲南加茂スマートインターチェンジが開通したため、さらに高速道路での移動が便利になりました。

生活環境として特徴的なのは、やはり雪が積もること。山間部と平野部で少し違いはありますが、冬には降雪や積雪により農作物や交通などへの影響もあります。移住してきた人からは「想像以上の積雪だった」という驚きの声も聞かれました。

雲南市に遊びに行くのであれば、穏やかな気候の春夏の季節がおすすめですが、移住を検討するのであれば、一度冬の時期に来て積雪の状況を確認しておくのもよいかもしれません。

子育て環境:充実した保育施設と手厚い相談支援体制

2018年頃までは毎年度発生していた待機児童ですが、保育施設の整備が進んだため、2023年3月現在では待機児童は0人です。

さらには子ども家庭支援センター「すワン」、母子健康包括支援センター「だっこ♪」で子育て全般の悩み相談やサポートをしてくれます。移住してきて頼れる人がいない場合などにも、とても心強い支援体制ではないでしょうか。

雲南市子ども家庭支援センター「すワン」
▲雲南市子ども家庭支援センター「すワン」(引用:雲南市子育てポータルサイト

雲南市は男女ともに就業率※が全国・県平均よりも高く、特に婚姻期から子育て期の女性の離職を示す「M字カーブ」もほとんど見られないという特徴もあります。様々な支援を受けながら、男女ともに仕事と子育てを両立している人が多いのかもしれません。
※就業率…労働ができる人のうち、就業している人の割合

※M字カーブ…年齢別に見た働く女性の割合が、結婚や子育ての時期になると低下し、その後上昇する「Mの字」を描くこと。

雇用状況と就農支援:豊富な求人と農業移住サポート

雲南市の正社員の求人数を大手求人情報サイトで調べると、約1,000件がヒットしました。(2023年3月現在)
※参考:求人情報の一例

近隣も含めると約12,000件と、正社員の求人数が大幅に増えました。やはり松江市や出雲市等の大都市と隣接していることが大きいと思われます。
※参考:求人情報の一例

近年では交通アクセスの向上等により、市内の工業団地や企業団地等への企業進出がみられるため、働く場所は市内にもさらに増えていくのではないでしょうか。

また、雲南市には農業移住者も多いという特徴があります。相談体制や農業体験など、就農に関する手厚いサポートもあるため、参考にしてみてください。

就農サポート事業 農業研修を経て就農を目指す方を対象とした支援事業。
雇用就農希望・自営就農希望ともに最大2年間のサポートを受けられる。
就農パッケージ 就農するまでの各段階における支援策や、受け入れ地域の情報、求める人材、チャレンジ可能な作物、農業研修の体制をパッケージ化。
相談から見学、体験、就農までを包括的に支援

住まい探し:空き家バンクと地域情報を活用した効果的な方法

市内の賃貸物件は空きが出ることが少なく、すぐに埋まってしまうようです。

空き家バンク制度もあり、開始以来10年で登録者数は450件近くと利用者が多い状況。登録も年間50件ほどあり、新着物件から順に埋まっていく回転率の高さがみられます。

金額も1万円台のものから1,500万円台のものまで幅広い物件がありますが、300万円くらいの物件だと改修が必要になるものが多いようです。

物件情報は随時更新されていますので、最新の空き家バンクの情報をご確認いただくのがよいかと思います。

公式:雲南市の空き家バンクの状況

そして、地域の方からの情報も重要です。実際に、別の場所に住みつつ空き家を探し、地域の方からの情報でいい物件に巡り合ったという声も聞かれます。

U・Iターン者向けの市営住宅への入居支援もあるため、市営住宅に住みながら情報を集め、良い物件に出合うのをゆっくり待ってみるのもよいかもしれません。

雲南市移住者の声:実際の暮らしぶりと感想を紹介

雲南市に移住した方の声

ここでは、実際に雲南市に移住された方の声を紹介します。

移住者が語る雲南市の魅力:自然環境と人々の温かさ

  • 景色に感動した。夜になると星がきれいでずっと眺めてしまう。
  • 空気がのんびりしているので穏やかに暮らせる。家と家の距離も離れているので周りを気にせずのびのびと子育てができる。
  • 田舎暮らしを楽しみつつ、松江市や出雲市にもアクセスしやすいので都会にも遊びにいける。
  • 出会う人がみんな優しくて人のあたたかさに触れながら生活している。人とのつながりも広がっていき、そこからやりたいことを実現できたことも。人の魅力を実感することが多い。
  • 移住者の交流会が頻繁にあるので、移住者同士でも仲良くなれて心強い。
  • 移住サポートの手厚さを感じた。定住企画員が親身になって話を聞いてくれ、住まいや仕事などの相談に乗ってくれる。
  • 市の窓口や地域の人がいろいろな相談に乗ってくれる。移住前から地域のコミュニティに入っておくと情報が得られる。

自然の美しさやのんびりした雰囲気を雲南市の良さにあげる人が多い印象です。それと同じくらい、人とのつながりや相談できる場の多さといった「人」の良さもあげられていました。

移住してわかった、都市部との違いと対処法

デメリットとしては飲食店の少なさ、買い物をする店が閉まる時間が早いことなどがあげられました。やはり都心と比べると、そういった日常面でのちょっとした不便はあるのかもしれません。

ただし松江市等と近いこともあるため、都会の便利さを上手に取り入れながら田舎暮らしを楽しんでいくのがよいのではないでしょうか。

また、「覚悟はしていたが、積雪量が想像以上だった」という声もありました。しかし、近所の人の手助けがあるために何とかやっていけているそう。積極的に地域と交流しながら、助け合いの生活をしていくことが大切なようです。

雲南市移住への4ステップ:相談から引っ越しまで

雲南市には、移住に関する相談支援体制をはじめ、慎重に移住を検討するためのさまざまなサポート制度が充実しています。さらには、移住に際しての経済的な支援も豊富。

ここからは雲南市へ移住する4つのステップに分けて、さまざまな支援制度を紹介していきます。

ステップ1:専門窓口での相談とオンライン対応

雲南市役所には「うんなん暮らし推進課」という移住・定住専門の課が設置されています。さらには移住の相談窓口である「定住企画員」が中心となってサポートをしてくれます。空き家バンク専門のスタッフもいたり、別の部署と連携を取りながらさまざまな相談に乗ってくれます。

オンライン相談もできるため、忙しかったり遠かったりでなかなか現地にはいけない場合も相談しやすいです。

ステップ2:オーダーメイド移住体験プログラムの活用

「雲南つながる体験プログラム」に申し込めば、希望に応じてオーダーメイドの移住体験プログラムを組んでもらえます。例えば空き家見学や先輩U・Iターン者訪問など、相談すればいろいろな体験を用意してもらえるため、雲南市での暮らしを肌で感じることができるよい機会となることでしょう。

雲南市の移住体験「雲南つながる体験プログラム」
▲移住体験プログラムのオーダーメイドツアーの例(引用:https://www.hokkori-unnan.jp/files/1/20220420164907_625fbaf3a385e.pdf

また、雲南市のコワーキングスペース「オトナリ」は宿泊機能もあります。最大1か月滞在できるため、移住の疑似体験としては十分な期間なのではないでしょうか。

Wi-Fi完備、さらにはオンラインでの打ち合わせスペースもあるなど、テレワーク環境も整っているため、お試し期間中に仕事をすることも可能です。

ステップ3:仕事と住まい探しのための支援制度

移住を決断したら、まずは移住に不可欠な住まいと仕事を探しましょう。雲南市では就業や住まいの新築・改修のための支援が豊富です。以下にまとめているので、参考にしてみてください。

▼仕事に関する支援

入社支度金 対象:雲南市内の建設業、福祉・介護事業、製造業、ソフト産業、宿泊業(※)に採用されたUIターン者
内容:転居にかかる費用等に対して支給する手当。上限10万円、子育て世帯は上限20万円
※事業所向けの制度
UIターンしまね産業体験事業 対象:県外在住者が県内受入先で一定期間、農林漁業、伝統工芸、介護などの体験を行う者
内容:滞在に要する経費の一部を助成。中学生以下のお子さんをお持ちのご家族には追加助成も
事業所見学・面接時の交通費片道助成 対象:ふるさと島根定住財団が運営するサイト「くらしまねっと」に登録されている県外在住者
内容:県内事業所を見学・面接する際の交通費片道分を助成。上限2万円、年度内2回まで。

▼住まいに関する支援

民間賃貸住宅家賃助成事業 対象:市内事業所へ通勤する者、または新婚世帯
内容:新たに市内の民間住宅に入居する場合に、家賃の一部を助成。家賃の半額、上限2万円(子育て世帯以外)〜3万円(子育て世帯)
空き家片付け助成事業 対象:空き家所有者
内容:新たに空き家の片づけを行う場合、その経費の一部を助成。上限50,000円、補助率1/2
民間住宅地の購入支援 対象:民間売買により宅地を購入する子育て世帯
内容:購入費に対する補助。上限100万円、補助率1/10
三世代同居促進支援事業 対象:雲南市内で三世代同居をする世帯
内容:市内に所有し居住する住宅を改修または増築等する場合の費用の一部を助成。県制度への上乗せで、上限30万円、補助率1/3
空き家改修補助金 対象:子育て世帯で空き家バンク登録物件を購入し、市内に定住もしくは居住する世帯
内容:空き家バンク登録物件を改修または増築等する場合の費用の一部を助成。県制度への上乗せで、上限30万円、補助率1/3

ステップ4:引っ越しサポートと移住支援金の活用

雲南市には、引っ越しの際のサポートや移住後の支援金もあります。自分が対象になるかどうか、忘れずにチェックをしておきましょう。

わくわく島根生活実現支援事業 対象:東京23区(5年以上在住者または5年以上通勤者)から島根県へ移住し、移住支援金の対象法人として認められた中小企業等に就業する方
または起業支援金事業の交付決定を受けた方
内容:移住支援金(世帯:100万円、単身:60万円)を支給
引っ越し割引サービス 対象:ふるさと島根定住財団が運営するサイト「くらしまねっと」に登録されている島根県外在住者
内容:島根県内に引っ越しをする際の引っ越し業者の基本料金から20%~30%の割引サービス

雲南市への移住に関するお問い合わせ

担当課 うんなん暮らし推進課
住所 〒699-1392
島根県雲南市木次町里方521-1
電話番号 0854-40-1014(課直通)
対応時間 8:30~17:15
公式aサイト 市公式サイト:https://www.city.unnan.shimane.jp/unnan/
移住支援サイト(ほっこり雲南定住サイト):https://www.hokkori-unnan.jp/