秋田県羽後町で始める新生活:豊かな自然と手厚い移住支援が魅力
この記事では、地方移住を検討している方に向けて「秋田県雄勝郡羽後町(おがちぐんうごまち)」での暮らしについてご紹介します。
羽後町は秋田県の南部に位置し、面積の約70%を森林や原野が占めています。昔ながらの田園風景のなかにかやぶき屋根の家が点在していたり、盆踊りや番楽、獅子舞、人形芝居といった伝統行事が今もなお深く根付いていたりと、自然の恵みや伝統文化の魅力を日々堪能できる土地です。
また、住まいや子育てに関する助成制度が充実しているので、子育て世代の移住先としても注目を集めています。
今回は羽後町役場みらい産業交流課・観光交流班の黒澤さんにお話を伺いながら、羽後町の暮らしや移住に関する情報を詳しくまとめました。
羽後町の暮らしの魅力:移住前に知っておきたい4つの特徴
羽後町のキャッチフレーズは「緑と踊りと雪の町」。周囲を山々に囲まれた自然豊かなエリアで、日本三大盆踊りのひとつである「西馬音内盆踊り」が有名です。
また、県内有数の豪雪地帯であり、山間部の積雪量が2メートルを超えることもしばしばあります。冬の雪対策は必要ですが、その分スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツや雪国ならではのイベントを存分に楽しめますよ。
そんな羽後町での暮らしをおすすめしたいのは、以下のような方です。
- 自然に囲まれて暮らしたい
- 日本の歴史や伝統文化が好き
- 住まいや子育てに関するサポートが充実しているエリアに移住したい
- 子どもと一緒にアウトドア体験を楽しみながら、のびのびと子育てしたい
なぜ上記のような方に向いているのか、ここからは羽後町で暮らす魅力について詳しく見ていきましょう。
魅力1:昔ながらの田園風景と伝統文化が息づく町
まず注目したいのが、羽後町では「これぞ日本の原風景」ともいえる穏やかな田園風景のなかで暮らせることです。昔ながらの「茅葺(かやぶき)屋根の家」も数多く存在しており、自然や人の優しさに触れながらゆったりとした日々を過ごせます。
文化芸能面の特色も豊富で、なかでも有名なのは日本三大盆踊りのひとつである「西馬音内盆踊り(にしもないぼんおどり)」。勇ましいお囃子と優雅に舞う踊り手との調和が魅力の祭事で、町中の老若男女が参加して例年大いに盛り上がります。
この祭事は国の重要無形民俗文化財に指定されており、幼稚園から盆踊りの練習をして本番に臨むのだとか。「伝統を大切に受け継ぎたい」といった町民の想いがひとつになる、羽後町の一大イベントです。
▲約700年の伝統を持ちつ「西馬音内盆踊り」は、2022年にユネスコ無形文化遺産における「風流踊」のひとつとして登録されました
また、例年1月の最終土曜に開催される「ゆきとぴあ七曲」も羽後町における伝統的な行事です。新婚カップルが馬そりに揺られて峠を越える「花嫁道中」がメインイベントで、道中を彩るキャンドルによって幻想的な雰囲気に包まれます。
▲昔ながらの嫁入り風景を再現した「花嫁道中」
そのほかにも羽後町には「雪を楽しむ」をテーマとしたイベントが多く、雪国ならではの暮らしをとことん満喫できます。
魅力2:豊富な特産品と美味しい食材に恵まれた食文化
寒暖差のある気候が特徴的な羽後町では、農業が盛んに行われています。代表的な特産品としてはスイカや野菜、お米などが挙げられ、水が綺麗なこともあり「食べ物がどれも美味しい」と評判です。
▲毎月2・5・8がつく日に開催される朝市では、羽後町で収穫された新鮮野菜や果物、山菜などがずらりと並びます
また、畜産も主要産業のひとつです。羽後町で飼育されている黒毛和牛は「羽後牛」と呼ばれており、米どころならではの良質な稲わらを食べて育った美味しい牛肉を、市場よりも手頃な価格で楽しめますよ。
さらに羽後町では「西馬音内そば」とも呼ばれる冷やかけそばも有名で、町内には数多くのそば店が点在しています。店舗によってそばの風味やのど越しが異なり、暮らしのなかでそばの食べ比べを楽しんでいる住民も多い印象です。
▲夏や食欲のない時などにぴったり!羽後町のローカルフード「冷やかけそば」
魅力3:充実した住宅補助制度で移住をサポート
羽後町には住宅補助が充実しており、「手厚いサポートを受けながらマイホームを手に入れられる」と評判を呼んでいます。主な補助制度は以下の通りです。
- 県外転入者住宅取得奨励金:県外から新たに羽後町に住民登録し、居住用の住宅を新築または購入した場合に最大100万円を助成
- 三世代同居・多子世帯住宅取得奨励金:三世代同居世帯や多子世帯が住宅ローンを新規に借り入れた場合、借入元金の1%の額を助成
- 「フラット35 地域連携型」による支援:『住宅取得奨励金』と併せて全期間固定金利住宅ローン「フラット35」を利用する場合、「フラット35 地域連携型」として金利を一定期間引き下げ
- 住宅リフォーム促進事業:県外から移住し、3年以内の方がいる世帯が、25万円以上のリフォーム工事をする場合、かかった費用の20%(最大20万円)を助成
魅力4:子育て世代に優しい環境と支援制度
子育てがしやすい環境がしっかりと整備されていることも、羽後町におけるおすすめポイントです。
まず注目したい点が、保育施設の待機児童がゼロであること。羽後町には4つの認定こども園があり、移住後すぐに子どもを預けて働くことができますよ。
※参考:待機児童ゼロの一例
また、子育てに関する支援制度も豊富に揃っており、経済的にも精神的にも温かなサポートを受けられます。羽後町の子育て支援に関する詳しい内容については、以下をご確認ください。
- 0歳から18歳まで医療費無料
- 認定こども園の2歳児クラスの保育料無料
- 認定こども園の3歳児クラス以上の副食費無料
- チャイルドシート購入費補助金:購入費の半額以内で上限10,000円を助成
- うごまち「未来の宝」応援給付金:満6歳未満の第3子以降の児童を有する家庭を対象に、給付金を支給。また、第4子以降の児童の6歳の誕生月に一時金を支給。
- インフルエンザ予防接種費用を助成:中学生以下の子どもと妊婦を対象に、インフルエンザ予防接種1回につき1,000円を助成 など
さらにおすすめしたいポイントが、羽後町には子どもと一緒に遊べる場所が多いこと。たとえば町内の「アルカディア公園」では、ピクニックやアスレチック、釣り、キャンプといったアウトドアレジャーを楽しめるほか、初心者向けコースのある「五輪坂スキー場」では子どもと一緒にスキーやスノーボードを練習できます。
▲機関車の遊具や海賊のブランコ、波の滑り台などがあり、子どもに大人気の「アルカディア公園」
▲標高が約100メートルと低めで、初心者も利用しやすい「五輪坂スキー場」
羽後町での生活:移住後の暮らしに関して具体的に解説
続いては、羽後町での暮らしに関連するお役立ち情報をまとめました。
気候 | 年間平均気温:10.8℃(8月の平均気温は29.2℃、1月の平均気温は-5.0℃) ※参考:気象庁ホームページ(直近の湯沢地点を参照) |
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人口 | 約14,000人(令和4年10月31日時点) |
病院 | 病院・クリニック:4か所 歯科:5か所 |
学校 | 認定こども園:4園 小学校:4校 中学校:1校 高等学校:1校 |
文化・芸術 | 有名な民俗芸能・イベント:西馬音内盆踊り、仙道番楽、猿倉人形芝居、うご牛まつり、ゆきとぴあ七曲(花嫁道中)、藍と端縫いまつり など |
食べ物 | 羽後牛、羽後すいか、あぐりこうどん、西馬音内そば など |
交通 | 【鉄道】 町内に鉄道路線なし ※鉄道を利用する際の最寄り駅はJR東日本奥羽本線「湯沢駅」 【バス路線】 湯沢駅前から羽後交通のバス路線あり |
娯楽 | 有名スポット:アルカディア公園、五輪坂スキー場、道の駅うご「端縫いの郷」、五輪坂温泉としとらんど、三輪神社、五輪坂スポーツガーデン など |
近隣都市 | 湯沢市 横手市 由利本荘(ゆりほんじょう)市 |
羽後町は、秋田県内でも比較的多く雪が降る地域です。道路はしっかりと除雪されますが、自宅前の雪かきや屋根の雪下ろしは自分たちで行う必要があるため、事前に雪対策について調べておくとよいでしょう。
市街地にはスーパーやコンビニ、病院などの施設が一通り揃っており、生活するうえで必要な用事は町内で事足ります。また、車で30分ほどの横手市にはショッピングモールがあるので、大きな買い物等も手軽に楽しめますよ。
注意したい点は、車以外の移動は不便であることです。町内に鉄道はなく、バスも本数が限られるため、便利に暮らすためにはマイカーを所有する必要があることを認識しておきましょう。
ちなみに、空港のある秋田市までのアクセスは以下の通りです。
車を利用する場合 | 羽後町~秋田中央IC:約80分 |
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電車とバスを利用する場合 | 羽後町~JR「湯沢駅」:バスで約20分 →JR「湯沢駅」~JR「秋田駅」:電車で約90分 |
※縁結び大学独自調べ(2022年11月)
仕事情報:羽後町と周辺地域の豊富な求人と就業支援
大手の求人サイトで羽後町における「正社員の求人数」を検索すると、約290件がヒットしました。
参考:求人情報の一例
羽後町から30分圏内で通える湯沢市・横手市のほうが求人数が多いため、そちらのエリアも含めて検索することをおすすめします。
また、役場のみらい産業交流課内に「無料職業紹介所」が設けられているので、ぜひ併せて利用するとよいでしょう。これは湯沢雄勝・横手・大仙・由利本荘までのエリア内にて、希望条件にマッチする求人を探してくれるサービスです。
なお、羽後町では以下の就業支援を実施しています。ご自身が該当するかどうかを確認のうえで、ぜひご活用ください。
- 羽後町ふるさと就職応援給付金:町内企業に就職した新規学卒者や県外からの移住者を対象に、1人あたり5万円の給付金を支給
- 移住支援金:東京23区内に在住していた方、または東京圏から東京23区内に通勤していた方で、羽後町に移住した方のうち、「移住支援金対象法人」に登録された企業に就職した方や町の関係人口として認定された方などへ最大200万円の移住支援金を支給
もしも「移住を機に起業したい」とお考えの場合は、田代地区がおすすめです。無農薬の農業を行ったり、茅葺屋根の空き家で民宿を経営したり、文化遺産を民宿として活用したりと、移住者が多く起業しているエリアとして人気を集めています。
ちなみに羽後町で勤務する正社員の世帯年収相場は470万円です。高待遇の仕事をお探しの方は、相場との比較もしながら仕事探しに取り組んでみてください。
※参考:年収相場の一例
住まい情報:空き家バンクと住宅支援制度の活用法
大手の賃貸情報サイトで羽後町の賃貸物件を検索してみると、家賃3万円ほどの物件が数件ヒットしました。
参考:物件情報の一例
羽後町には「空き家バンク」に登録されている物件もあるので、そちらも併せてチェックしてみるとよいでしょう。賃貸の場合は3万円程度、売買の場合は200万円程度の物件が登録されていますが、内容や空き状況は随時変わるため、以下のページで最新情報をご確認ください。
なお、羽後町に移住する際は、ぜひ先述の住宅支援を活用してみてくださいね。
羽後町移住者の声:実際の暮らしぶりと感想を紹介
ここでは、実際に羽後町へ移住した方の声をいくつかご紹介します。
- 豊かな自然と古き良き伝統文化を身近に感じながら、穏やかな日々を送れることに満足している
- いわゆる「田舎」よりも活気があり、ほぼ不便を感じずに田舎暮らしを楽しめている
- 地域の方が温かく迎えてくれて、スムーズに生活をスタートできた
- 子どもをのびのびと育てられる環境が整っており、家族の間で笑顔が増えた
羽後町での暮らしについて、「昔ながらの原風景や伝統文化が魅力的」「田舎すぎず、不便なく生活できる」といった高評価の意見が多くみられました。また、子育て環境が整っているほか、移住者をサポートしてくれる制度も充実しており、「子どもを育てやすい」「仕事や住まいを探しやすい」などの声もたくさん挙がっています。
羽後町への移住ステップ:情報収集から体験まで
羽後町への移住について本格的に検討している方は、以下の流れで移住計画を進めてみてください。
STEP1:羽後町役場への相談と情報収集
まずは、羽後町での暮らしに関する情報収集を行いながら、移住について具体的に相談してみるとよいでしょう。羽後町役場のみらい産業交流課・観光交流班が移住サポート窓口となっているため、ぜひ相談してみてください。
電話やメールのほか、Zoomなどによるオンラインでの相談にも応じてくれますよ。
STEP2:お試し体験住宅とオーダーメイド型移住体験ツアー
次に、羽後町が実施している「お試し体験住宅」制度を利用してみてはいかがでしょうか。お試し体験住宅はスーパーや病院、道の駅、小中学校が点在している市街地にあり、羽後町でのリアルな暮らしを体感できます。
事前に希望すれば、お試し体験住宅での滞在中に農業体験やこども園のお試し利用もできますよ。利用可能日数と料金は以下をご確認ください。
利用可能日数 | 3泊4日から13泊14日まで |
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利用料金 | 1泊2日:2,500円(冬期【11~4月】:3,000円/暖房費込) ※寝具リース代別途 |
また、羽後町の魅力をガイドしてもらいたい場合は、オーダーメイド型の移住体験ツアーに参加するとよいでしょう。参加者の要望に合わせて羽後町を案内してくれるツアーで、施設の紹介や雪かき体験(冬季限定)、地元の方との交流などを通じて羽後町の特徴を肌で実感できます。
>>羽後町のオーダーメイド型移住体験ツアーについて詳しくはこちら
羽後町移住相談窓口:問い合わせ先と連絡方法
担当課 | 秋田県羽後町役場 みらい産業交流課 観光交流班 |
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住所 | 〒012-1131 秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字中野177 |
電話番号 | 0183-62-2111 |
対応時間 | 8:30~17:15 |
公式サイト | https://www.town.ugo.lg.jp/life/index.html?category_id=69 |