奈良県十津川村で暮らす魅力とは?移住に役立つ仕事・住まい・支援の情報
この記事では移住を考えている人に向けて、奈良県十津川村(とつかわむら)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。
十津川村は奈良県の最南端の紀伊山地の中にある山深い村で、面積の96%を山が占めています。3種類の源泉かけ流し温泉や、清流、滝、吊り橋といった豊かな自然が魅力です。
今回は、十津川村役場の松﨑さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。
十津川村の特徴を3つご紹介
十津川村は、村としては日本一の広さを誇ります。南北の距離が32km余りあり、集落間の標高差が大きいため、集落によりかなりの気温差があります。
そんな十津川村での暮らしは、次のような方に適しています。
- 自然豊かな場所で暮らしたい
- のどかな日本の風景を楽しみたい
- 温泉が大好き
上記のような方に適している理由を、十津川村に見られる3つの特徴から解説します。
特徴1:四季折々の豊かな自然
▲笹の滝は村随一の癒しスポット
十津川村では、清流、滝、吊り橋といった大自然が村の魅力となっています。谷瀬の吊り橋から車で10〜20分ほど行くと、3つのキャンプ場があります。深い山に囲まれ、川底が見えるほどの十津川の清流で川遊びやキャンプを楽しめます。
キャンプ場から車で1時間半ほどかけて山道を抜けると、日本の滝100選に選ばれた「笹の滝」があらわれます。夏でも涼しいひんやりスポットでマイナスイオンのシャワーを浴び、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
また、吉野熊野国立公園内の奈良県・三重県・和歌山県にまたがる大峡谷「瀞峡(どろきょう)」では、SUPやカヌーなどのアクティビティーが体験できます。瀞峡に架かる全長83メートルの吊り橋「山彦橋」からは美しい峡谷が眺められ、週末のレジャーにぴったりです。
▲谷瀬の吊り橋は十津川村のシンボル的存在。長さ297mと日本有数の長さを誇る
このように四季折々の大自然に囲まれた十津川村では、村内に鉄道はなく、最寄り駅はJR和歌山線の五条駅です。村内の交通手段は主にバスですが、便数が少なく不便です。生活するには車は必須となりますが、静かな環境で暮らしたい人にはおすすめといえます。
特徴2:日本一広い村の美しい小さな集落
▲世界遺産熊野古道小辺路の途上にある果無集落
十津川村は日本一広い村として有名です。村の南北に幹線道路が通り、端から端まで車で90分くらいかかります。そんな日本一広い村の小さな集落である「果無集落(はてなししゅうらく)」は、世界遺産熊野古道小辺路(こへち)途上にあることで知られるようになり、「天空の郷」とも呼ばれています。
果無山脈のふもとに位置することからそのように呼ばれ、どこまでも続く山々を見渡すことができます。民家には、古き良き日本の風情が色濃く残っており、一度は訪れる価値のある場所です。
また、春には芝桜やしだれ桜が見事な花を咲かせ、観光客が訪れるほど人気です。
特徴3:全て「源泉かけ流し」!泉質の異なる3つの温泉
▲上湯温泉露天風呂
十津川村には、泉質の異なる3つの温泉があります。
- 湯泉地温泉(とうせんじおんせん):単純硫黄泉。村内で最も古い温泉で、静かな山峡の情緒を味わえます。
- 十津川温泉(とつかわおんせん):ナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉。村内で最もにぎわう、二津野ダム湖畔の温泉です。村内で唯一、飲泉ができる温泉です。
- 上湯温泉(かみゆおんせん):含硫黄ナトリウム炭酸水素塩泉。上湯川上流にある大自然の中の静かな秘湯です。
また、十津川村では、全国で初めて「源泉かけ流し宣言」を発信。「源泉かけ流し」とは、お湯の循環、再利用をせず、沸かさず、塩素消毒をせず、薄めない温泉のことです。村内全ての温泉施設で、本物の温泉を味わえる「源泉かけ流し」を楽しめるのは嬉しいですね。
▲滝の湯露天風呂
十津川村の暮らしに関する情報
ここからは、十津川村の暮らしに関する情報をご紹介します。
気候 | 十津川村風屋観測所のデータ 8月平均気温:25.0 ℃ 1月平均気温:3.4℃ ※参考:気象庁 |
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人口 | 人口:約2,890人 世帯:約1,650戸 (令和5年4月1日現在) |
病院 | 病院・クリニック:3 歯科:1 |
学校 | 保育所:3所 小学校:2校 中学校:1校 高等学校:1校 |
交通 | 【空港】 南紀白浜空港(車で約2時間) 【電車】 なし。最寄り駅はJR和歌山線の五条駅 【バス】 奈良交通 十津川村営バス 【車】 五條市まで約1時間20分、三重県熊野市まで約1時間30分 |
近隣都市 | 五條市、三重県熊野市、和歌山県新宮市、和歌山県田辺市本宮町 |
十津川村は電車が走っておらず、バスの運行本数も少ない山間部のため、車は必須です。
村内にスーパーマーケットがあるので、日常の買い物は済ませられます。大きな買い物をしたい場合などは、五條市、橿原市、和歌山県新宮市などに行くことが多いようです。
気候については、雨が多く、梅雨の時期や台風の時期は大雨に注意が必要です。また、十津川村は山地で南北の距離が32km余りあり、集落間の標高差が大きいため、村内の北部と南部で気候にかなりの違いがあります。住まい探しの際は、その点も留意すると良いでしょう。
【子育て】子育て支援が充実。遊び場は「空中の村」がおすすめ
十津川村の子育て支援のうち、経済的な支援の一部をご紹介します。
出生祝い金 | 1人につき10万円を支給 |
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こども医療費助成 |
0歳児~高校生世代(満18歳に達する日以後最初の3月31日)までの1医療機関ごとの入院・通院にかかる自己負担はなし。歯科医療・調剤薬局も個人負担なし |
保育料無償化 | 保育所の保育料・給食費は全額無償 |
修学旅行費補助 | 小・中学生の修学旅行にかかる経費を全額補助 |
学校給食費無償化 | 小・中学生の給食費無償化 |
公式:十津川村「子育て」
子どもの遊び場については、「空中の村」がおすすめです。子どもから大人まで楽しめるアスレチック施設で、透明な吊り橋や木の上に吊るされたハンモックなどがあります。夜は木々の間の「手ぶら空中キャンプ場」で寝泊りができるので、お子さんが大喜びすること間違いなしです。
▲「空中の村」のリラックスエリア。子どもも大人も楽しめる
【仕事】近隣地域も含めて検討を
大手求人情報サイトで十津川村の求人を調べたところ、約70件ヒットしました。村内では建設業関係の仕事に就く人が多いようです。また、近年はデザイナーなどリモートワークのできる人も移住してきています。(2023年6月現在)
※求人情報の一例
通勤時間30分圏内の25km以内で検索すると、約160件ヒットしました。近隣地域も含めて探すと良さそうですね。
※求人情報の一例
【住まい】空き家・空き地バンクの活用を
大手住まい情報サイトで十津川村の賃貸物件を調べましたが、物件数がとても少ないようです。
十津川村では空き家・空き地バンクで物件を紹介しています。賃貸・購入のどちらもありますので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。改修が必要な場合や空き家を解体して新築する場合は、補助金を活用しましょう。
空き家情報バンク活用支援事業補助金 | 改修等にかかる費用の90%・最大250万円を補助 |
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空き家等解体事業補助金 | 空き家を解体後、新築する場合、補助率90%・最大300万円 |
公式:十津川村「十津川村の村づくり」(PDFファイルが開きます)
十津川村に移住した人の声・感想
次に、十津川村に移住した方の感想をご紹介します。
- 村の人たちには食文化を教えてもらったり、生活していく上で助けてもらっている
- 地域の人たちは連帯感が強く、そのつながりの中で十津川の育んだ文化を体験できる点が良い
- 季節の移り変わりを全身で感じられるのが魅力
- 地域の人が温かく、子どもの世話も地域全体で見てくれる
移住者の皆さんにとって、十津川村の文化や自然、地域の人々の温かさが心地良いようですね。
十津川村役場の松﨑さんも移住者だったそうですが、初めは不安があったものの親切な人に囲まれ、すぐに慣れることができたようです。「村民さん同士で協力し合うのは村ならではかも」とのことでした。
十津川村へ移住するために利用したい窓口・支援
十津川村への移住を検討し、情報収集が済んだら、下見に行ってみましょう。松﨑さんによると、夏がおすすめとのことです。山の緑や川がきれいですし、ユネスコの無形文化遺産に登録された「十津川の大踊(とつかわのおおおどり)」がみられます。
「十津川の大踊」は、十津川村内の3つの地域に伝わる民俗芸能で、8月のお盆に、浴衣姿の人たちが美しい房を付けたバチで太鼓を打ったり、灯ろうを下げた笹竹や扇を持ちながら盛大に踊ります。
十津川村への移住に関するお問い合わせ
移住相談窓口 | 十津川村役場 企画観光課 |
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住所 | 〒637-1333 奈良県吉野郡十津川村大字小原225-1 |
電話 | 0746-62-0004 |
公式サイト | 十津川村 移住 |