佐賀県太良町移住ガイド:自然の恵みと充実の支援制度で新生活をスタート
この記事では、地方移住を検討している方に向けて佐賀県太良町(たらちょう)の魅力や移住に役立つ情報を紹介します。
太良町は佐賀県西南部に位置し、東に有明海・西に多良岳を臨む人口約8,000人のまちです。日本一の干満差を誇る有明海の潮の満ち引きを通して間接的に月の引力を感じられることから、「月の引力が見える町」のキャッチコピーを掲げています。
ミカンや竹崎カニ、カキなど海の幸・山の幸が豊富で、コハダは関東の魚市場で取扱量全国一を誇ります。
そんな魅力あふれる太良町について、太良町役場企画商工課の酒村さんにお話を伺いました。
佐賀県太良町の3つの魅力:自然・食・子育て支援
太良町は大部分を山間地が占めている自然に囲まれたまちです。太良町から望める有明海の干満は、幻想的な光景としてSNSで話題を集めました。他にも、中世から山岳信仰の対象とされてきた多良岳や南国リゾートを思わせる白浜海水浴場など、美しい自然風景が広がります。
また、主幹産業のミカンをはじめ、竹崎カニやコハダなどおいしい旬の味覚も豊富です。食育として学校給食でも特産品を味わえるなど、多方面から自然の恵みを感じられる環境と言えるでしょう。
そんな太良町への移住は以下のような方におすすめです。
- 穏やかで自然の景色が美しいまちに住みたい方
- 移住を機に農業へキャリアチェンジしたい方
- 自然豊かな環境で子育てをしたい方
その理由を太良町の魅力とともに解説します。
魅力1:絶景の宝庫!有明海の「海中鳥居」と多良岳の自然
太良町は「月の引力が見える町」のキャッチコピーを掲げるように、町内の至る所で有明海を一望できる点が魅力の一つです。有明海の潮位差は約6mと全国一を誇り、満潮時と干潮時で見える景色が異なります。
中でも、ひと際幻想的でキャッチコピーの由来にもなった光景が大魚神社の「海中鳥居」です。満潮時には鳥居が海に沈み、干潮になると鳥居の下を歩けるほど潮位が低くなります。
特に月夜に照らされた光景が神秘的で、2021年には「日本百名月」に選定されました。
▲有明海に浮かぶ大魚神社の海中鳥居。潮位が低い時に姿を現す鳥居が神秘的とSNSで話題に。
亀の瀬温泉・竹崎温泉・平浜温泉の3つの温泉郷を総称した「たら竹崎温泉」は海に面しているため、露天風呂や客室から眼下に広がる有明海の絶景を楽しめます。
▲「たら竹崎温泉」から眺める有明海の夕暮れ。青とピンクのコントラストでムード満点
▲「たら竹崎温泉」から眺める有明海。日の出の時間は朝日で黄金色に光り輝く
太良町の美しい風景として、太良町内の清流に飛び交うホタルの様子も見ものです。6月初旬になるとホタルが現れて水面を温かな光で灯します。
▲多良川に集まるホタル
面積の55%を森林が占める太良町では、「多良岳200年の森プロジェクト」と題して樹齢200年のスギ・ヒノキを育てる取り組みを行っています。
▲「多良岳200年の森」。豊かな自然環境を次世代につないでいる。
海・山・川に恵まれた太良町だからこそ、さまざまな自然風景をオールシーズン眺めることができます。
魅力2:豊かな食文化!ミカン・竹崎カニ・コハダなど特産品が豊富
▲ミカンは太良町の特産物の一つ。秋~冬になると甘くてジューシーなミカンが収穫される
太良町は東に有明海が広がり、西に多良岳を臨む自然に囲まれたまちです。海の幸や山の幸が豊富でいつでも旬な食材を堪能できます。また、第一次産業が盛んなことから就農目的で移住を決める方も珍しくありません。
農作物では基幹産業であるミカンを筆頭に、アスパラガスやシャインマスカットの栽培も行っています。海産物では「竹崎カニ」、カキ、のり、コハダが有名です。
特産品のコハダは、関東の魚市場で全国一の取扱量を誇ります。傷みやすいので鮮度が高いまま食べられるのは、太良町民ならではの特権と言えるでしょう。
▲太良町で水揚げされるコハダ。寿司と相性が良い魚で「江戸前寿司」の代名詞とも言われている。
カニの種類はワタリガニですが、竹崎地区で水揚げされるカニは格別においしいことから「竹崎カニ」と呼ばれるほどブランド力の高い逸品です。
淡白な味わいのオス蟹は夏から秋にかけて、濃厚なみそと卵が詰まったメス蟹は冬から春にかけてが食べ頃と言われています。
▲太良町のブランドガニ「竹崎カニ」。日本一の干満差を誇る有明海だからこそ生まれた味。
太良町産のカキは、ぷりぷりで大ぶりな身が特徴。冬になると国道沿いにカキ小屋が軒を連ね、焼きガキを味わえます。なお、太良町はカキ小屋の発祥地と言われています。
▲太良町のカキは、濃厚な甘みととろけるような舌触りが特徴
太良町は新鮮で栄養満点な食材が豊富なため、グルメな方はもちろん就農などに興味がある方にもおすすめの移住先です。
甘くてジューシーな太良町産のミカンは、ふるさと納税の返礼品の中で一番人気です。全国の方々からたくさんのお申込みをいただいています。
魅力3:手厚い子育て支援!ライフイベントごとの祝い金制度
▲食育の一環「うまかもん給食」では、太良町産の佐賀牛やミカンなどを楽しめる
太良町がファミリー世帯の移住先におすすめな理由は、自然環境でのびのびと子育てができるからだけではありません。経済的負担を軽減できる手厚い子育て支援も魅力です。
【子育て支援制度・事業の一例】
結婚祝金 | 結婚祝いとして夫婦1組につき20万円を支給 ・町内で50人以上の結婚披露宴を実施した場合20万円加算 |
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誕生祝金 | 出産祝い金を支給 ・第1子:10万円 ・第2子以降:出生児数が増えるごとに5万円増額 |
チャイルドシート等購入補助金 | 6歳未満の子どもがいる家庭を対象にチャイルドシート購入費を一部補助 ・購入額(税抜き)の1/2を補助(上限14,000円) |
学校給食費補助事業 | 小・中学校の学校給食費を完全無料化 |
子どもの医療費助成制度 | 0歳~18歳の医療費の一部を助成 ・通院:2回目まで上限500円、3回目以降無料。院外薬局の薬代無料 ・入院:上限額1,000円 |
入学祝金 | 小学校入学時に祝い金として3万円支給 |
卒業祝金 | 中学校卒業時に祝い金として3万円支給 |
放課後児童クラブ | 保護者不在時の児童一時預かり ・小学1年生~6年生までの児童が対象 ・利用料:平日1,500円/月、土曜日は1回につき500円 |
太良町では、結婚や出産、子どもの入学・卒業などのライフイベントに合わせて、お祝い金が給付されます。その他、子育て広場「ぽっかぽか広場」では、就学前の子どもがいる保護者のコミュニティづくりを促進しているため、慣れない土地での育児の不安を和らげることができるでしょう。
学校給食では食育の一環として、太良町産の食材を使用した「うまかもん給食」を提供しています。特産品であるミカンや佐賀牛、豚肉、鶏肉のほか、竹崎カニが提供されることもあります。
佐賀県太良町の暮らし:遊び・仕事・住まいの最新情報
▲有明海を一望できる「竹崎城址展望台」。春になると菜の花と桜で彩られる
「太良町をもっと知りたい」「太良町にはどんな遊び場やイベントがあるの?」といった疑問について、太良町の基本情報からレジャー・仕事・住まいの情報まで詳しくまとめました。
気候 | 1月平均気温:5.8℃ 8月平均気温:28.2 ℃ ※参考:気象庁 ※太良町に観測地点がないため佐賀市を参考 |
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人口 | 人口:8,135人 世帯数:3,203世帯 (2023年7月31日時点) |
病院 | ・病院:1院 ・クリニック:1院 ・歯科:3院 |
学校 | ・保育施設:4園 ・小学校:2校 ・中学校:2校 |
観光・レジャー | ・大魚神社「海中鳥居」 ・竹崎城址展望台 ・カキ焼き海道 ・竹崎観世音寺 ・多良岳登山 ・道の駅太良「たらふく館」 ・白浜海水浴場 ・中山キャンプ場 など |
イベント | ・白狐踊り(4月1日) ・太良町納涼夏まつり(7月下旬) ・太良嶽神社秋祭 ・太良町文化祭(11月上旬) ・竹崎観世音寺修正会鬼祭(正月) など |
交通 | 【空港】 ・「佐賀空港」:車で約1時間30分 【フェリー】 ・有明フェリー「多比良港」:車で40分 ・熊本フェリー「島原外港」:車で約1時間10分 【電車】 ・JR長崎本線「多良駅」「肥前大浦駅」 【バス】 ・祐徳バス ・太良町コミュニティバス 【車】 ・国道:207号 ・高速道路:「武雄北方IC」下車約45分 |
近隣都市 | 鹿島市、嬉野市、武雄市、長崎県諫早市、長崎県大村市 |
※2023年8月時点
太良町の中でも人気のエリアが「多良地区」です。JR「多良駅」や町役場があり、利便性を優先したい方に向いています。のんびりとした雰囲気を求める方は「大浦地区」がおすすめです。
町内の商業施設は、スーパーが「多良地区」と「大浦地区」に各1件、ホームセンター1件、コンビニが数カ所あり、食料品や日用品の買い物には困りません。大型ショッピングセンターへは、車で30分~40分程度の長崎県諫早市(いさはやし)や鹿嶋市が便利です。
なお、太良町の暮らしでは車は必須で、各家庭で一人一台の保有が一般的です。町内を循環するコミュニティバスは、高齢者を中心に買い物や通院に利用されています。
▲2021年4月より運行が開始されたコミュニティバス。高齢者を中心に利用されている。
▲運賃200円で利用可能。小学生以下と65歳以上の方等は100円。
その他都市部へのアクセスは、佐賀市まで約1時間10分、長崎市まで約1時間20分 福岡まで高速道路利用で約2時間です。(車移動の場合)
遊び場とイベント:海・山のアクティビティと伝統行事を楽しむ
太良町の遊び場は雄大な自然です。太良町特産「竹崎カニ」をモチーフにして作られた「白浜海水浴場」は、有明海初の人工海水浴場として知られています。
美しい白浜が南国リゾートの雰囲気を漂わせていてロケーション抜群です。7月~8月の海水浴シーズンは海水浴や砂遊びを楽しむ家族連れなどで賑わいます。
潮の干満の影響で遊泳できない時間帯があることも、太良町ならではの珍しい光景と言えるでしょう。
▲「白浜海水浴場」には、 更衣室やシャワーブース、休憩所なども完備されている
白浜海水浴場から徒歩約5分の場所にある海洋センターでは、カヌー、ヨット、バナナボートなどのマリンスポーツが体験できます。
▲ジェットスキーを楽しむ家族連れ。美しい有明海でマリンスポーツが楽しめる
長崎県と佐賀県の県境にある標高996mの「多良岳」では、登山に挑戦できます。霊場として修験道が栄えていた歴史があり、パワースポットでも有名な山です。
▲パワースポットとしても注目を集める「多良岳の登山道」。夏でも25℃前後と涼しく登山がしやすい
7月下旬~8月上旬にかけては、多良岳山中でオオキツネノカミソリの大群生を見ることができます。
▲多良岳登山道沿いに咲くオオキツネノカミソリ。可憐なオレンジの花が目にも鮮やか
多良地区にある「あいあい公園」は、太良町の子どもたちの憩いの場です。園内には多良岳の樹木を植栽した芝生広場があり自然遊びが楽しめます。
▲総面積1ヘクタールを誇る「あいあい公園」。散策道や休憩所も完備されている
太良町は地域イベントも盛んに行われています。正月の恒例行事「竹崎観世音寺修正会鬼祭」は、1979年に国の指定重要文化祭に指定されました。
鬼面をつけた男児が舞う「童子舞」は、県重要無形民俗文化財に指定されています。
※左にスライドすると写真を閲覧できます。
このように、太良町では自然を活かしたアクティビティや由緒ある祭りが楽しめます。
特に夏は納涼夏まつりやアユ祭りなど、子どもたちが楽しめるイベントが満載です。
仕事事情:第一次産業中心の町で新規就農にチャレンジ
▲太良町の特産品のミカン。移住を機にミカン栽培などに挑戦する人もいる
大手求人サイトを参考に、太良町と通勤30分圏内にある近隣都市の正社員求人数をまとめました。
太良町 | 約100件 求人一例 |
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鹿島市 | 約400件 求人一例 |
長崎県諫早市 | 約3,000件 求人一例 |
※縁結び大学調べ 2023年8月時点
太良町は第一次産業が盛んで、町内の仕事は農業・漁業が中心です。他には介護職や製造業、旅館の接客などの求人もありますが、選択肢を広げたい場合は近隣地域も視野に入れましょう。
なお、太良町では、新規就農時に活用可能な補助金もあります。移住を機にアスパラガスの栽培を始める方やブルーベリーの観光農園を運営する方がいるように、新しいことに挑戦しやすい環境です。
新規就農関係の補助制度
太良町経営開始資金補助金 | 町が青年等就農計画を認定した「認定新規就農者」を対象に、経営開始から最長3年間補助金を給付 ・補助金:150万円/年 |
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太良町経営発展支援事業費補助金 | 町が青年等就農計画を認定した「認定新規就農者」を対象に、設備投資等にかかる経費の3/4を助成 ・補助対象事業費:上限1,000万円(ただし、経営開始資金の交付対象者の場合は500万円) |
詳細は担当課へお問い合わせください。
お問い合わせ先:太良町役場 農林水産課 0954-67-0315
移住者の方が栽培したアスパラガスは、関東を中心に全国へ出荷されています。ブルーベリー農園では収穫体験を実施しておいしさと太良町の魅力を発信してくれています。
住居探し:人気の定住促進住宅と空き家バンクの活用法
▲補助金制度を利用したいなら空き家情報バンクの利用がおすすめ。
太良町内には民間の賃貸物件は数える程度しかありません。代わりに計52戸の定住促進住宅と空き家情報バンクに登録されている物件があります。
2018年に建設した定住促進住宅「パレットたら」は、新婚と子育て世帯を入居対象としていています。家賃は3LDK35,000円~とリーズナブルで、移住者の利用も少なくありません。好評につき、2023年8月時点では空室がない状態です。入居を希望する方は太良町役場へ問い合わせましょう。
空き家情報バンクには、2023年9月現在、賃貸2件・売買11件・空き地7件の登録があります。なお、空き家情報バンクを活用すると以下の補助金の給付対象となり、住宅に関する費用の削減が可能です。
太良町移住定住促進事業補助金 | 空き家情報バンクを活用した際に購入・改修にかかる経費の一部を補助 ・仲介手数料補助:5万円 ・家財処分等補助:10万円 ・所有者等改修補助:50万円 ・利用者改修補助:売買200万円、賃貸100万円 ・空き家解体補助:75万円 |
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賃貸物件を検討している方は町営住宅を利用するのも一つの手です。早めにチェックしておきましょう。
公式:太良町「空き家情報バンク」
公式:太良町「町営住宅」
移住者の声:佐賀県太良町での新生活の感想と体験談
ここでは、太良町に移住した方の体験談と感想を紹介します。
- 山や海に囲まれていてとても穏やか。有明海の景色が美しい。
- 18歳まで医療費無料やお祝い金制度などの支援のおかげで、子育ての経済的負担が軽減できる。
- 町全体が子どもたちの成長を見守ってくれていて温かさを感じる。
太良町の魅力について、多くの方が「静かで穏やかな暮らしができる」と回答しています。助成制度があるため、起業や新規就農に挑戦しやすいとの声もありました。
また、手厚い子育て支援や自然の中で子育てができる点も好評です。今後さらにファミリー世帯の移住が増えるかもしれません。
太良町は県内からの転入者が多いですね。次いで福岡県、長崎県と続きます。自然のある暮らしを求めている方やのびのび子育てをしたいという方に選ばれている印象です。
佐賀県太良町の移住支援制度:補助金と条件を詳しく解説
太良町では、移住・定住の促進を目的に「太良町移住支援事業補助金」「太良町さが暮らしスタート支援事業補助金」を設けています。ただし、以下の条件を満たしている方に限られるため注意が必要です。
太良町移住支援事業補助金 |
移住する直前の10年間のうち、通算5年以上東京特別区に在住、または東京圏(※一部地域除く)に在住し、東京特別区へ通勤していた人で、一定の要件を満たす人対象に補助金を給付 |
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太良町さが暮らしスタート支援事業補助金 |
移住する直前の10年間のうち、通算5年以上佐賀県外に在住していた人で、一定要件を満たす人を対象に補助金を給付 |
上記の条件以外にも細かな条件があります。詳しくは下記よりご確認ください。
公式:太良町「太良町移住支援事業補助金」
公式:太良町「太良町さが暮らしスタート支援事業補助金」
佐賀県太良町への移住相談:問い合わせ先と窓口情報
▲下見の際に気になることがあれば移住支援担当課窓口へ相談してみましょう
担当課 | 企画商工課(太良町役場2階) |
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住所 | 〒849-1698 佐賀県藤津郡太良町大字多良1‐6 |
電話番号 | 0954-67-0312(直通) |
対応時間 | 平日:8:30~17:15 ※土・日曜、祝日、年末年始(12/29~1/3)は休み |
公式サイト | https://www.town.tara.lg.jp/ |