田原市での移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

この記事では地方移住を検討している人に向けて、愛知県田原市の暮らしをご紹介します。

田原市は愛知県の最南端、渥美半島に位置する海に囲まれたまち。多くのサーフィンスポットを有することから全国からサーファーに愛されており、サーフィン移住をする人も多くなっています。

全国的に見ても非常に農業が盛んであることも田原市の特徴です。エリアによって暮らしぶりも大きく異なるため、多様なライフスタイルの希望を叶えることができます

そんな田原市の暮らしの特徴や仕事、住まいなどについて、移住に役立つ情報をご紹介していきます。

本日お話を伺った方
愛知県田原市キャラクター「キャベゾウ」

田原市役所
企画部 企画課 地域戦略係 主事補

伊藤 陽平さん

田原市の暮らしの魅力

愛知県田原市の暮らしの特徴

田原市は愛知県の渥美半島のほぼ全域を市域としており、愛知県にある54市町村のうち7番目に大きい面積を有しています。北は三河湾、南は太平洋、西は伊勢志摩を望む伊勢湾と三方を海に囲まれているため、広い市のどこに住んでいても海を身近に感じながら生活することができます。

愛知県田原市でのサーフィン風景

田原市は温暖な気候と全国トップクラスの日照時間という農業に適した条件があることから、非常に農業が盛んな地域です。

また海と山に囲まれた美しい自然環境に加え、2020年に温泉が湧出したことで、2022年には新たな田原市の名所「伊良湖温泉」も誕生するなど、観光面でも多くの魅力を有しています。

愛知県田原市の伊良湖温泉
▲新たな観光スポットとして誕生した「伊良湖温泉」

そんな田原市への移住をおすすめしたいのは次のような方です。

  • とにかくサーフィンが大好きで、海の近くでいつでも良い波に乗る生活に憧れる
  • 田舎暮らしをしたいけれど、ある程度暮らしの便利は確保したい
  • 新鮮な野菜や海産物を日常的に楽しみたい
  • 手厚いサポートがある中で農業を始めたい

ではなぜこのような方に田原市への移住をおすすめしたいのか、田原市の暮らしの魅力を紐解きながら解説していきます。

魅力1:サーフィン移住者多数!海沿いの景色も釣りも楽しめる、海好きにぴったりの暮らし

愛知県田原市でのサーフィン風景

田原市は全国のサーファーの間では有名な地です。渥美半島の太平洋岸はうねりがダイレクトに入るため、年間を通じてサーフィンに適した波があります。サーフポイントも多数あり、初心者でも自分に合ったスポットでサーフィンを楽しむことができます。

実際にサーフィンが大好きで田原市に移住してきたサーフィン移住者もたくさんいます。田原市への移住により、いつでも好きなときに波に乗る理想の暮らしを手に入れたサーファーの方たちのライフスタイルを紹介する冊子などもあるため、サーフィン移住を検討する方はぜひ参考にしてみてください。

・サーフィンとたはら暮らし:https://www.city.tahara.aichi.jp/seisaku/1005169/1005184.html

もちろんサーフィンだけでなく、海水浴や釣りなど、海の遊びを楽しむことができます。

伊勢湾に突き出した半島が織りなす長く伸びた海岸線から眺める景色も魅力です。特に「伊良湖岬灯台」「恋路が浜」は恋人の聖地としても有名で、美しい海を眺めながらロマンチックな時間を過ごすことができます。

愛知県田原市の伊良湖岬灯台
▲伊良湖のシンボル「伊良湖岬展望台」は「日本の灯台50選」にも選出されている

愛知県田原市の恋路ヶ浜
▲「願いのかなう鍵」や「永遠の愛を誓う鐘」などもあり、プロポーズにぴったりと言われる恋路ヶ浜

田原市ではサーフィン協会主催の合同ビーチクリーンも定期的に開催されており、サーファーや海岸近くの住民、ボランティア団体などが協力して海岸の清掃を行っています。

海の恩恵を受けているからこそ、美しい海や浜を大切に次代に引き継いでいく活動を活発に行っているのも、田原市の特徴といえます。

愛知県田原市の海沿いの風景
▲海に続く爽快感のある風景も日常的に楽しむことができる

魅力2:田舎暮らしと便利が共存する“ちょうどいい”まち

愛知県田原市のヤシの木と菜の花

田原市には、都会にはない美しい自然景観に日常的に癒される、田舎暮らしならではの魅力があります。

一方で注目したいのは、暮らしの利便性です。田原市から新幹線駅のある豊橋市までは車で30分程度、電車で35分程度となっており、豊橋市からは新幹線ひかりを使って東京まで1時間半でアクセスすることができます。つまり単純計算で2時間程度で東京まで行くことができるのです。

また田原市は市域が広いためエリアによって生活の特徴は異なりますが、いずれのエリアでもスーパーやコンビニなど生活圏内には必要な施設が整っています。

車がないと生活がしづらいという点はありますが、田舎暮らしを求めて田原市に来た人にとっては十分な利便性だと感じられることでしょう。この“ちょうどいい”暮らしぶりが田原市の魅力です。

「田舎暮らしに憧れはあるけれど、やっていけるかどうかの不安もある」という方にぜひおすすめしたいまちです。

魅力3:おいしい野菜や海産物がたくさん。農業移住へのサポートも充実!

愛知県田原市で栽培されている菊
▲日本一の生産額を誇る「輪菊」にカラーを施した「カラーリングマム」

田原市が位置する渥美半島は、温暖な気候と全国トップクラスの日照時間という農業に適した条件を持っています。

実際に田原市では農業が非常に盛んで、産業構造(※)を見てみると、第1次産業(農林漁業)に従事している割合が約3割となっています。全国(3.5%)、愛知県(2.0%)と比較して、いかに田原市で農業に従事する人が多いのかがわかるでしょう。
※令和2年国勢調査の産業分類別就業者から割合産出

そんな田原市だからこそ、新鮮な野菜や海産物をお手頃な価格で食べられるという食の楽しみがあります。

学校給食にも田原市を代表する特産品のキャベツを使ったコロッケ「キャベコロ」など地域産の野菜が活用されているため、新鮮でおいしい野菜を食べられるだけでなく子どもの食育や郷土愛の醸成も期待できます。

もちろん海に面していることから漁業も盛んです。手のひら程もある様な大きなアサリなど、田原市の海の幸をあちこちで堪能することができます。

愛知県田原市の焼き大アサリ
▲焼き大アサリは驚きの大きさ

全国に誇る農業生産基盤がある田原市は、農業移住者の受け入れも積極的に行っています。市内には農業研修を行う農家も多く、そこで先輩農家の方に学びながら農業の知識・技術を習得していくことができます。

新規就農者が手掛ける品目として多いのはキャベツやブロッコリーなどの露地栽培です。花きは新規で実施するとなると施設などの初期投資が必要なため難しいのが実情ですが、今ある花き農家で従業員として働く人もいるそうです。多様な品目があるので、就農形態も選べるのも嬉しいポイントといえるでしょう。

また農林水産省が定める補助金の他に、田原市独自の新規就農者に対する奨励金もあります。手厚いサポートに後押しを受けながら農業を始めたい人におすすめのまちです。

新規就農者奨励金 親元就農(三親等以内の親族が経営する農家等での就農)または独立・自営就農する人を対象に1人10万円の奨励金を支給。
※諸要件あり

田原市の暮らしに関する情報

ここでは実際に田原市に住むなら知っておきたい、気候や病院・買い物環境、交通などの暮らしに関する情報をまとめました。

気候 1月:平均気温6.0℃
8月:平均気温27.4℃
※参考:気象庁ホームページ(伊良湖地点を参照)
人口 約60,000人
※出典:住民基本台帳人口(日本人及び外国人)※2023年9月末時点
病院 総合病院:1院
一般診療所:28院
歯科医:24院
交通 【道路】
太平洋沿岸の国道42号・三河湾沿いの国道259号を軸とし、南北方向は幹線道路で連絡

【鉄道】
豊橋鉄道渥美線(三河田原~新豊橋)

【路線バス】
豊鉄バス伊良湖本線(伊良湖岬~豊橋駅前)・伊良湖支援(保美~渥美病院)
交通手段を補完する形で、市による「ぐるりんバス」を運行
近隣都市 豊橋市

田原市は三方を海に囲まれているため、陸続きに隣接するのは豊橋市のみです。病院やスーパーなどの生活利便施設は市内に充足されていますが、衣料品などの買い物は豊橋市、あるいは豊川市、隣県の静岡県にある浜松市まで足を伸ばす人も多いそうです。

市内に鉄道もありますが、中心市街地にしか駅がありません。車の所有は必須となるでしょう。比較的温暖な地域で雪はほとんど降らないため、冬季の運転でも安心といえそうです。

交通手段でいうと、市役所や駅など市内各所でレンタサイクルの貸し出しもあるので、ちょっとした買い物であればレンタサイクルを活用するのも良いかもしれません。サイクリングロードも整備されているため、海沿いを自転車で走る爽快感も味わえます。

市内エリアは大きく3つ。希望するライフスタイルに応じて住むエリアを決めるのも◎

田原市は大きく3つのエリアに分けられます。

「田原地域」は市役所や鉄道駅のある中心市街地で、スーパーやコンビニなどの施設も集積しており、人口も多くなっています。賃貸アパートも多いため、まずは賃貸の住まいを探される場合であればこのエリアを選ぶのが良いでしょう。

「赤羽根地域」は太平洋側の市の南側にあるエリアで、サーファーの方がとても多くなっています。「スマイルタウン赤羽根」という全13区画の大規模宅地分譲が行われており、その中に認定こども園も開園されているなど、子育て世帯の移住環境も整いつつあります。

そして「渥美地域」は農業が盛んなエリアです。農業や田舎暮らしをイメージして移住を検討している方にはこのエリアがおすすめです。田舎暮らしとはいっても中心地にはスーパーなどの買い物施設もあるため、生活に大きく困ることはありません。

このように田原市はエリアによって違う特徴を持っています。移住前に実際に田原市を訪れる際は、いろいろなエリアを巡り、自分の理想とするライフスタイルを実現できる場所を探してみることをおすすめします。

海でも屋内でも。子どもの遊び場が充実!

保育施設 保育園保育所型認定こども園:14か所
幼保連携型認定こども園:4か所
保育所:1か所
学校 小学校:18校
中学校:4校
高等学校:3校

田原市は仕事と子育てを両立する上で重要な子どもを預けられる環境が充実しています。加えて商業施設「ララグラン」にある親子交流館「すくっと」は、子どもの遊び場として活用できるだけでなく、子育てに関する相談支援を行うなど子育て家庭を総合的にサポートする場として子育て世帯を支援しています。

また田原市に移住した方子育て中の方からは「地域ぐるみでの子育てができる」という声もあがっています。

公的支援が充実しているだけでなく、地域とのつながりの中で子どもを育てられる環境は、子育てをしていく上で心強く感じられるポイントなのではないでしょうか。

愛知県田原市の商業施設「ララグラン」
▲親子交流施設「すくっと」がある商業施設「ララグラン」

子どもの遊び場としては、海が身近な環境なだけに海水浴に良く行くという声が聞かれました。子ども向けのサーフィン教室や地引網体験など、海に囲まれた田原市だからこその体験を子どもにさせることができるのもポイントです。

海に近い環境を活かした外遊びはもちろんのこと、田原市では屋内での子どもの遊び場も充実しています。親子交流館「すくっと」や「サンテパルクたはら」という施設など、屋内外で多くの体験ができる場所があります。

農業体験ができるなどいろいろな催しものもあるので、休日の遊びを通じて子どもにいろいろな体験をさせることができそうです。

仕事情報:市内で働く人が多い。起業も含め多様な選択肢がある

田原市の正社員の求人数を大手求人サイトで調べると、約1,500件の正社員の求人がヒットしました。近隣も含めると、約20,000件と、正社員の求人数が大幅に増えました。

ただし、田原市では市外に働きに行く人は少ないそうです。職住近接の環境があるのは嬉しいポイントなのではないでしょうか。
※参考:求人情報の一例(市内)
※参考:求人情報の一例(25km圏内)

田原市で多いのは農業従事者です。それ以外にもトヨタ自動車の工場が市内にあるため、トヨタ関連企業での工業系の職種もあります。加えて観光業も盛んなので、職種も含めて仕事の選択肢は多いといえるでしょう。

また移住して飲食店を経営するなど、起業する人も多いそうです。起業に対する田原市独自の補助金もあるため、移住先での起業を検討している人は参考にしてみてください。

中小企業者総合支援補助金 市内で起業・創業等をする人を対象に補助金対象経費の2分の1以内を補助。
※諸要件、補助金上限あり

住まい情報:住まい取得に対する補助が充実

大手住まい情報サイトで田原市の賃貸物件を調べたところ、約40件ヒットしました。
賃貸物件の一例

田原市では空き地・空家バンクがあるため、空き家を活用した住まいづくりを考える方はチェックしてみると良いでしょう。ただし件数は多くはありません。実際に移住する人は地域の人と関係を深めながら、人伝手で情報を得て空き家を購入することが多いそうです。

土地を購入して新築物件を建てる人も多く、そういった人が活用できる補助金として「田原市定住・移住促進奨励金」があります。また空き家活用に関しては「空き家等活用促進事業補助金」という制度で補助しています。

住まい取得に関する補助が充実しているため、賃貸も含めていろいろな選択肢の中から自分の希望に合わせて探すことができるのではないでしょうか。

田原市定住・移住促進奨励金 以下の条件に該当する市外からの転入者を対象に住居取得に要する費用を補助する制度。
・市外に1年以上居住し転入:20万円
・市内の社宅・賃貸住宅等に5年以上居住し転居:20万円
・上記以外 10万円
※義務教育終了前の子どもが同居する場合は10万円の加算あり
空き家等活用促進事業補助金 以下の項目に関する空き家等の活用に必要な費用の一部を助成する制度。
・空家改修
・空き家片付け費補助事業
・空き家等手続き費補助事業

田原市への移住体験談

ここでは、実際に田原市に移住した人の声を紹介します。

愛知県田原市への移住者の声

  • 田舎暮らしの良さもあり、新幹線駅のある豊橋市までも近いという点で交通の便も良く、お店もある。ちょうどいい田舎暮らしができている
  • 田原市に移住したのはサーフィンがあったからこそ。サーフポイントから徒歩圏内に住まいを構えることができたのが嬉しい
  • 海も自然もたくさんあって、ゆったりとした環境で暮らせる
  • 地域全体にアットホームな雰囲気がある。子育て情報も地域付き合いの中で得ることができる
  • 子どもと一緒に遊ぶところがたくさんある
  • 新規就農のサポートも手厚く、農業を始めやすいまちだと感じる

移住者の方の声から、田原市への移住により、サーフィンや農業など多様なライフスタイルが営まれていることを改めて実感できました。子どもを育てる上での環境の良さを伝える声が多いのも印象的です。

田原市への具体的な移住支援情報

ここまでの記事をご覧になって田原市への移住に興味が出た人に向けて、田原市への移住に向けた具体的な情報をご紹介します。

まずは相談!「たはら暮らし定住・移住サポーター」が移住をサポート

愛知県田原市の「たはら暮らし定住・移住サポーター」
▲移住の頼もしい味方「たはら暮らし定住・移住サポーター」の方々

移住相談の窓口は市役所の企画課です。田原市への移住に興味が出たらまず市役所に相談してみましょう。

田原市の移住支援の特徴は、田原市への移住者で構成された「たはら暮らし定住・移住サポーター」がいること。自らの経験なども活かしながら移住をサポートしてくれます。市役所が移住に関する相談を聞いた上で、サポーターとマッチングしてくれるので、移住先での理想の生活を相談してみるのが良いでしょう。

お試し移住で田原市での生活を疑似体験

愛知県田原市の「お試移住へ支援補助制度」
▲「田原市お試移住支援補助制度」の概要

田原市ではお試し移住に対する補助を実施しています。この制度を使うと宿泊施設の利用料の一部、レンタカーの一部を補助してもらえるため、まずはお試し移住で田原市での暮らしを体験してみることをおすすめします。

田原市にはロングステイできる宿泊施設も多くあります。エリアによって暮らしぶりが異なるため、気になるエリアの近くでお試し移住をしてみてはいかがでしょうか。

いざ移住!積極的に近所づきあいをしよう

移住者の声でもあったように、田原市では地域とのつながりが深いという特徴があります。サーファー移住をした方をはじめ、移住者の多くは積極的に地域と関わりながら暮らしているそうです。

自治会などの地域活動に参加することは、自分の住む地域を良くしていくことにつながります。それに加えて、地域とのつながりの中で住まいや暮らしの情報を得たり、地域の人に子どもを見守ってもらったりと自分にとってもメリットにもなります。

田原市では移住者に対して温かく受け入れてくれる環境があるため、移住した先では積極的に地域に関わるよう行動しましょう。

田原市への移住に関するお問い合わせ

担当課 田原市役所 企画部 企画課 地域戦略係
住所 〒441-3492
愛知県田原市田原町南番場30-1
電話番号 0531-22-1111(代表)
0531-27-7978(直通)
対応時間 8:30〜17:15
公式サイト https://www.city.tahara.aichi.jp/index.html