静岡県下田市の住み心地は?移住のための仕事・住居・支援情報
今回の記事では、地方への移住を考えている方に向けて、静岡県下田市での暮らしについて参考となる情報をご紹介します。
下田市は伊豆半島の南端部に位置し、温暖な気候と美しい海が魅力の地域です。また、移住者が馴染みやすいオープンな雰囲気があります。
待機児童がゼロで子育て支援も充実しているので、海の近くで子育てしたい人にとっても住みやすい街ですよ。
今回は、そんな下田市の暮らしや仕事、住まい情報などについて、担当の方からのお話しを中心にご紹介していきます。
下田市で暮らしたくなる5つの特徴
静岡県下田市といえば、幕末にペリーが来航して下田港が開港したことでも知られる街です。市内の中心部には開国当時の史跡が多く残り、観光客で賑わいをみせています。
温暖な気候も魅力となり、関東圏からを中心に年間50名ほどが移住してきています。
なんといっても海の美しさは格別で、そんな下田の海に惚れ込んで移住を決める人も多いといいます。一方で山林部では、畑づくりや養鶏ができるため、自給自足などの暮らし方ができ、里山でのスローライフを楽しむこともできますよ。
コンパクトなエリアにさまざまな魅力が詰まった下田市の特徴について、具体的にみていきましょう。
特徴1:水質は最高ランク!青く透明な海と白浜が自慢
▲白浜大浜海水浴場。700mもの美しい砂浜とエメラルドグリーンの海は全国的にも有名。
下田のビーチは、目を奪われるような透明な海ときれいな白浜が特徴です。
下田には9つの海水浴場があり、そのうち2つのビーチが環境省が選定した「快水浴場百選」にも選ばれています(※)。また、そのほとんどが最高ランクの水質AAで、沖縄やハワイの海と同等の美しさです。(※参考:下田市観光協会サイト)
▲快水浴場百選に選定された「外浦海水浴場」。入り江にできた静かなビーチで家族連れに人気。
海ではサーフィンをはじめ、スキューバダイビング、シュノーケリング、魚釣りなど、マリンアクティビティが存分に楽しめますよ。
▲きれいな海では多様なアクティビティが楽しめます。下田の海では年代を問わず楽しみ方が広がります。
また美しい海は目にするだけでも癒やされます。ビーチヨガや砂浜でのウォーキングなど、「海洋浴」と称される新しい楽しみ方が広がっているのも、下田の海の特徴といえます。
▲白浜でのビーチヨガ。美しい海を眺めながら心と体が癒やされます。
海水浴場へのアクセスも良好で、いずれも市の中心部から車で15分ほどの距離にあります。サーフィンの全国大会等が行なわれる有名なビーチから、家族連れに適した静かな浜辺もあり、それぞれに異なる魅力を持つビーチが点在しているのはかなり贅沢な環境です。
個性あふれる美しい海がすぐそこにあるという感覚は、下田市の大きな魅力といえるでしょう。
特徴2:海だけでない、ダイナミックな自然景観も魅力
下田は伊豆半島の美しい地層や火山造形により、自然散策できるジオスポットも点在しています。2018年には、伊豆半島がユネスコ世界ジオパークとして認定されました。きれいな海に加え、大自然の景観を満喫できるのも大きな魅力です。
例えば、伊豆最大級の海食洞「龍宮窟」は、美しい海と地層が織りなす神秘的な洞窟があり、人気の観光スポットとして多くの方が訪れています。
▲龍宮窟は直径50mほどの天窓が広がる洞窟で、上から見下ろすとハート型が出現します。
また、縞々の地層が芸術的な姿を見せる「弁天島」や、ダイナミックな火山地形を眺めつつ、遊歩道から千畳敷の磯遊び場へアクセスできる「恵比須島」は、冒険心をくすぐられるスポットです。
海のイメージが強い下田ですが、街の8割ほどを山林部や原野が占め、四季を通して様々な草花や果実が生育するエリアもありますよ。
▲爪木崎灯台付近では水仙が生育し、12月~1月にかけては水仙まつりの舞台になります。
こうしたダイナミックな自然スポットを散策することで、リラックスできたり、心豊かな時間を過ごせそうですね。
特徴3:子育て世帯にうれしい支援制度が充実
下田の海や自然にふれて子育てしたいと考える人にとっては、支援制度は気になりますね。下田市の保育料は第2子が半額、第3子は無料で、子ども医療の受給者証を見せると海水浴場の駐車場が割引になるなどの制度があります。
保育園は公立、私立ともに2園ずつあり、園を選ばなければ待機児童はいない状況です(※2023年1月時点)。保育園では食育にも配慮されているそうですよ。他にも下記のようなサポート体制が整っています。
子ども医療費助成制度 | 18歳までの子どもの医療費無料(入院・通院どちらも) |
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出産応援金 | 妊婦1人につき5万円 |
子育て応援金 | 対象の子ども1人につき5万円 |
中学校就業準備給付金 | 児童1人につき3万円 |
ひとり親家庭就学支援事業(ランドセル等購入費助成) | 児童1人につき3万円 |
下田市ファミリーサポートセンター | 幼稚園への送り迎えや小学生の放課後の預かりなどをサポートしてもらえる。月曜~金曜日7:00~19:00で1時間600円、基本時間外は1時間700円。 |
地域巡回型居場所づくり事業(下田わくわくパーク「これば!」) | 子どもが地域で自由に遊べる居場所 |
対象となる条件などの詳細は以下をご確認ください。
特徴4:イベントが盛んで活気のある街
▲5月の黒船祭。開国当時の和親条約の再現劇なども行われます。
自然に恵まれた下田ですが、年間を通じたイベント開催も大変盛況です。
- 鬼射祭:2月11日
- お吉祭り:3月27日
- 黒船祭:5月第3金・土・日
- あじさい祭:6月
- 白浜海の祭典:7月下旬
- マリンフェスタ下田・国際カジキ釣り大会:7月下旬
- 下田太鼓祭り:8月14日、15日
- ビッグシャワー海洋浴の祭典:9月上旬
- 手筒花火:10月上旬
- さんま寿司まつり:10月~12月
- 白浜神社例大祭:10月28日~30日
- 伊豆大特産市:11月初旬
- 水仙まつり:12月下旬~1月末
▲6月のあじさい祭り。ケーブルカーでアクセスできる下田公園からのながめ。
▲8月の「下田太鼓祭り」の様子。お神輿や太鼓台が街を練り歩く夏の風物詩です。
こうしたイベント開催時には多くの観光客で賑わい、下田の街は活気づきます。また、市内の中心部には開国当時の史跡がたくさん残り、古民家などがを利用したおしゃれな店もありますよ。1~2時間の散策で風情ある街並みを見て回れるのも下田の魅力のひとつです。
▲特徴的な古民家や港町の情緒が残る観光スポット「ペリーロード」の様子。
特徴5:心強い移住サポーターの存在
下田では、先輩移住者たちが自らサポーターとなって下田での暮らしについて情報発信をしています。移住を決めた理由や職探し、住まいの手配、実際の暮らしぶりなど、気になる話題をチェックしながら相談もできます。
先輩移住者のお話によると、下田では助け合いのコミュニティも充実しているそうです。暮らしていく上で欠かせない情報交換をはじめ、信頼関係が築ければご近所からのおすそ分けがあるなど、人とのつながりに助けられることが多いようです。
下田には興味があるけれど、まだイメージがわかないという人にとっては、移住サポーターの体験談を見聞きすることで、移住後の具体的な生活が想像できますよ。
下田は観光業が盛んな街ですから、外の人を受け入れる体制は整っています。移住サポーターも後押ししてくれるので、移住しても馴染みやすい環境にあるといえそうです。
>>移住定住支援サポーターの顔ぶれ(下田市移住ポータルサイト「Shimoda Life」)
エリアによって異なる下田の暮らし
下田には6つの居住地区があり、それぞれに暮らしの特性があります。
下田地区 | 下田の中心地。開国の歴史や港町の風情が残り、観光客の往来やイベントで活気が感じられるエリア。飲食店が多く買い物も便利で、地元の人が多く住んでいる。 |
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浜崎(はまざき)地区 | 伊豆半島から小さく突き出た須崎半島のエリア。海水浴場や海沿いの遊び場も多く、観光客も多い。海に近く漁業の盛んな地域で、地元の結びつきが強い傾向にある。 |
稲生沢(いのうざわ)地区 | 中心地にほど近く、下田の奥座敷とも呼ばれた静かな温泉地。温泉宿や住宅も多く、ホームセンターや直売所もあって適度な利便性が備わっている。人との距離はほどよく、移住者にとっても住みやすい。 |
朝日地区 | 下田市の南西部にあたり、美しい海岸と里山に囲まれた地域。移住者が開いたカフェやゲストハウス、別荘地があり、移住者に人気のエリア。海水浴場も多く、外国人観光客の姿も見られる。 |
白浜地区 | 下田の東部、海岸線沿いのエリアで美しい海と白浜が望める。サーファーに人気のエリアでマリンスポーツが盛ん。夏場には観光客が増え道路の渋滞もみられる。移住者が増えつつあるも、ペンション経営など季節限定で訪れる人も多い。 |
稲梓(いなずさ)地区 | 山間部で畑づくりや養鶏、養蜂など、里山での暮らしを望む人にはおすすめのエリア。住宅や庭は広いが、鹿や猪など野生動物の対策が必要。空き家が多くないため住宅確保がやや困難で、スーパーなどへのアクセスは不便。 |
個性的なビーチと同様、居住地区にもそれぞれの特徴と魅力があるようですね。下田は年間を通して温暖な気候といえますが、海に近い地域では台風の暴風雨に驚かされたり、山間部では気温が氷点下に達する冬場の厳しい寒さに直面することもあります。
移住の目的や理想とする暮らしに合った地域を見つける参考にしてください。
下田市の暮らしデータ
ここまでで下田市のイメージがつかめてきたと思いますが、具体的な暮らしの情報についてもご紹介しておきます。
気候 | 8月の平均気温:26.2度 1月の平均気温:8.2度 ※下田市内に観測地点が無いため、直近の石廊崎地点を参照(気象庁発表のデータより) |
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人口 | 人口:19,545人 世帯数:10,402世帯 (令和6年4月1日時点) |
病院 | 病院:2件(うち総合病院1件) 診療所・クリニック:16件(小児科診療5件、産婦人科診療2件) 歯科:11件 |
学校 | ・保育施設:公立・私立含め4カ所 ・特別支援学校1校 ・小学校7校 ・中学校1校 ・高校1校 ・専門学校(看護)1校 |
文化・芸術 | 開国関連の施設や県指定文化財のほか神社も多い。5月の黒船祭、6月のあじさい祭を初め、マリンフェスタや伊豆大特産市など年間を通して多くのイベントが開催されている。 |
買い物 | ・スーパー4店舗 ・ホームセンター1店舗 ・ドラッグストア4店舗 ・家電量販店2店舗 ・コンビニエンスストア13店舗 |
食べ物 | さんま寿司、伊勢えび、金目鯛(水揚げ量が日本トップクラス)など海産物が豊富。 |
交通 | ・鉄道:3駅あり(伊豆急行線) ・路線バス:1社が運行 ・高速道路:伊豆縦貫自動車道が整備中。 (全線開通すると沼津から約60分でアクセスが可能となる) |
娯楽 | 砂浜や入り江を含んだ約47kmに及ぶ美しい海岸線が魅力で、サーフィン、スキューバダイビングほかマリンスポーツが楽しめる。水族館、海浜公園が整い、古くからの温泉施設のほか、市内では手軽に足湯・手湯が楽しめる。 |
近隣都市 | 賀茂郡南伊豆町、河津町、松崎町。海上を隔てて東京都大島町が隣接している。 |
スーパーは下田地区に集中していますが、比較的スーパーから遠い稲梓地区からも車で15分ほどの距離なので、車があればそれほど不便は感じることはないでしょう。各地域に小規模店舗や直売所、無人売店もあります。
路線バスもありますが本数が限られるので、買い物の便などを考えると車があった方がかなり便利です。
【仕事情報】サービス業の求人情報は豊富、一般事務は少なめ
下田市は観光業が中心で、約8割の人が宿泊業や飲食サービス業など、サービス関連の仕事に従事しています。医療・福祉関係の仕事も増えつつありますが、一般事務は少ない傾向にあるようです。
大手求人情報サイトで下田市の正社員での求人募集を調べると、約1,000件という検索結果が出ていますので、職種を選ばなければ仕事を得ることは難しくないでしょう。(2023年1月時点)
農業や漁業などを希望する人も増え、理想の暮らしを手に入れた移住者もいますよ。
一方で、テレワークでの仕事が可能な人や技能や資格を持つ人は、比較的スムーズに移住が進められるのではないでしょうか。
2人以上の世帯で100万円の就業支援金あり
移住者に向けては次のような移住・就業支援金があります。
- 単身での移住は60万円
- 2人以上の世帯では100万円
- 18歳未満の子ども1人につき100万円を加算(令和5年4月1日以降の移住者が対象)
移住する際には引越しや新居への家具購入など、何かとお金が必要になるので、しっかり申請しておくと良いでしょう。
移住就業支援金の申請や仕事についての相談は、こちらを確認してみてください。
【住まい情報】賃貸物件は地元で探す。空き家バンクの活用も
下田市の賃貸物件を複数の大手物件情報サイトで検索してみた結果、いずれも10件前後でした(2023年1月時点)。地元の不動産会社のサイトで探してみてください。
支援制度としては、リフォーム費用150万円以上につき30万円の助成金があります。高校生以下の子どもがいる世帯は改修工事に要する費用の10%、又は15万円のいずれか低い額を上乗せして助成されます。ただし、非常に人気のある制度で、さらに定員が決まっています。毎年5月頃に申請が始まりますが、早い時は当日中に枠が無くなることもあるそうです。
下田市に移住した人の体験談
ここでは、実際に下田市に移住した方々の声をご紹介していきます。
下田市に移住した理由
先輩移住者は、下田市を選んだ理由として次のようなことをあげています。
- きれいな海、風土、気候に魅了された
- 昔から海水浴に来てて馴染みがあった
- 移住相談で暖かく対応してくれたのが良かった
- 東京から近くて資格が活かせる場所だった
移住サポーターの存在は大きな後押しとなるようで、自分と同じような境遇の移住者の話には親しみを感じるようです。なかにはUターン組で地元に帰ることに抵抗があったものの、移住サポーターと話すことで心が決まったという方もいます。
下田市に移住して感じたこと
下田で暮らしてみて感じたことについては、下記のような項目があがっています。
<良かった点>
- 海が近い
- 子育て環境が理想的
- ご近所付き合いがあるのがうれしい
- 収入は減っても、それ以上の癒しが得られた
- のんびり満足度が高い
<驚いた点>
- 里山地区は交通の便が悪い
- 買い物や医療が足りないと感じる部分もあるが、そこまでマイナスでもない
- 地域によっては伝統や風習が残り、活動への参加に戸惑いも感じる
移住して変わったことは「時間の使い方」
移住した後で変わったことについては、次のような声がありました。
- 時間の使い方が変わった、自分たちのために時間を使うようになった
- 時間的なゆとりができて、家族とゆっくりと過ごす時間が持てた
- 充実感がある
- やりたいことを自分たちで見つけるのが楽しい
のんびりするつもりが、仕事と趣味で忙しいという方もいるようですが、いずれにしても充実した過ごし方を満喫している方が多い印象です。
具体的な移住にむけてのステップ
ここからは、実際に下田市に移住する際の具体的なステップについて解説します。
ステップ1:実際に滞在してみて、街の魅力を知る
まずは観光気分で、下田に滞在しながら街の魅力を体験するのが一番です。移住を希望する方の宿泊滞在費を半額補助してもらえる制度もあるので、活用すると良いでしょう。
▲体験宿泊施設「見晴亭」。高台にある一棟貸の宿泊施設で、下田港、下田市街地が一望でき夕日は絶景です。
<移住希望者滞在費補助金について>
市内への移住を目的として住居や仕事探しをしたり、暮らしを体験するために滞在する場合は、現地の指定宿泊先への滞在費が一部補助されます。
- 指定宿泊先はペンションや民宿など計24件
- 1人当たり1泊分の基本宿泊料金の2分の1以内(上限4,000円)
- 1回の申請で1世帯2名までとし2泊分が上限。
- 1世帯当たり同一年度につき5回まで申請可能。
- 申請は初回の申請より2年間を限度とする。
ステップ2:移住がより具体的になるツアーに参加
下田の街を知り、住みたいエリアや暮らし方が具体的にイメージできてきたら、次のようなサービスを活用すると良いでしょう。
- オンライン移住相談(予約制) ー 移住に関することを何でも相談できます。
- オーダーメイド型移住ツアー(予約制) ー 行きたい所を案内してくれます。
- 移住定住支援サポーターのブログ ー 先輩移住者の暮らしぶりをチェックします。
オーダーメイド型移住ツアーでは、スーパーや学校、病院や観光スポットなど、行ってみたい所に連れて行ってくれるので、現地の距離感や実際の生活がより身近にイメージできると思いますよ。
ステップ3:まずは二拠点生活からのスタートもおすすめ
下田で暮らす気持ちが固まったら、まずは賃貸物件などで下田に拠点を構えてみてはいかがでしょうか。首都圏からの下田までは電車で2時間半、車では3~4時間という距離にあり、行き来できる範囲ともいえます。
二拠点スタイルで週末は下田で暮らしながら、本格的な移住に向けて徐々に準備を進めていくことも一つの方法だと思いますよ。
下田市への移住に関する問合せ先
下田市への移住を検討している方は、下記から問い合わせてみてください。移住ポータルサイト「Shimoda Life」では移住に関する情報が満載です。先輩移住者の声が聞ける動画もあるので、下田市での生活がより具体的にイメージできるしょう。
担当課 | 下田市役所 産業振興課(移住担当) |
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住所 | 〒415-8501 静岡県下田市東本郷1丁目5-18 |
電話番号 | 0558-22-3914 |
対応時間 | 平日8:30~17:15 |
公式サイト | 下田市移住ポータルサイト「Shimoda Life」 |