熊本県苓北町へ移住しよう!暮らしの特徴・仕事・支援制度などを解説
苓北町(れいほくまち)は熊本県にある天草諸島のうち、最も大きな天草下島の北西端に位置するまちです。
海と山の自然が豊かでイルカウォッチングやサンセットクルージングが楽しめる他、温暖な気候から農業・漁業の町として発展してきました。
町内には医療・介護施設が7カ所あることから、小さな子どもや高齢者がいる世帯も安心して過ごしやすい環境と言えるでしょう。
そんな苓北町の魅力を中心に、仕事や住まいの情報など移住に役立つ情報をお届けします。
苓北町の3つの特徴
苓北町は全国初の海域公園に指定された「富岡海域公園」をはじめとする、美しい自然景観を至る所で眺めることができます。また、数百年もの間天草の城下町として栄えた歴史ある町並みも苓北町ならではの魅力でしょう。
生活面ではインフラが整備されているため、公衆衛生や自然災害に対する安全性が高い環境と言えます。
そんな苓北町への移住は、以下のような方におすすめです。
- 海や山遊びなどの自然学習をさせたい子育て世帯
- 都会との二拠点生活を検討している方
- 移住を機に農業にチャレンジしたい方
苓北町の特徴とともにその理由を解説します。
特徴1:温暖な気候に恵まれた風光明媚なまち
▲苓北町の夕日。絵画のような美しい夕日を日常で眺めることができる
苓北町は、西側に東シナ海の水平線、北部には長崎港や雲仙岳を望む、自然景観が美しいまちです。苓北町を象徴する富岡海水浴場は、水が澄み水辺が美しい海水浴場を表す「快水浴場100選」に選定されています。
そして、美しい海をより堪能できるアクティビティも豊富です。一年中楽しめるイルカウォッチングは、悠々泳ぐイルカの群れやダイナミックに跳ねるイルカを間近で見ることができます。
▲手を伸ばせば届きそうなほど間近で泳ぐイルカの群れ
3月~11月の期間中に開催される「天草灘サンセットクルージング」では、船上のオープンデッキで潮風を感じながら、夕日色に染まる幻想的な海を一望できます。
▲黄金に輝く夕日をバックにおしゃれな写真が撮影できる。海岸はフォトスポットでも人気
「全国しま山100選」に選定された名峰「天竺」では、毎年4月下旬にツツジ祭りが開催されます。山頂から大パノラマで一望できる、約4,500本のツツジが咲く光景は圧巻です。
▲名峰「天竺」で開催されるツツジ祭り。かわいらしいピンクの花があたり一面に咲く
7月~8月には、夏の訪れを知らせるように苓北町の至る所でひまわりが咲きます。苓北町役場付近にあるひまわり畑も鮮やかな黄色に染まり、訪問者を出迎えています。
▲ 苓北町役場付近に咲くひまわり。夏はあたり一面が鮮やかな黄色に彩られる
苓北町へ移住すると、美しい海と山々の緑、そして季節ごとに異なる花々から季節の移ろいを感じられるでしょう。自然の中で子育てをしたい方や、非日常を味わいたい方におすすめです。
特徴2:城下町の雰囲気漂う歴史ある町並み
▲苓北町の歴史を象徴する「富岡城」
苓北町は幕末まで天草の政治経済の中心として栄えていた歴史があり、現在も城下町の雰囲気が色濃く残っています。天草統治の本拠地として築城された富岡城は、天草四郎軍ら一揆勢の2度の攻撃に耐えた要城で有名です。
その他、石垣と土塀でできた「百閒土手」や、城の名残である石垣が連なる「富岡城新大手門跡」などが現存しています。
2023年には、富岡城公園の敷地内に「ワーキングスペース富岡城東角櫓」が開設されました。巴﨑や美しい海が一望できると好評で近県の利用者も少なくありません。
毎年3月には約350年前から続く「富岡稲荷神社初午大祭」が行われ、地域の五穀豊穣や火難防除を願います。
▲「富岡稲荷神社初午大祭」で披露される「蛇踊り」のようす
祭事中に行われる「蛇踊り」は大蛇が太陽を求めるようすを表した壮大な演舞で、当日は踊り手が全長11mの大蛇を掲げて町内を練り歩きます。
自然だけでなく歴史の趣もあるため、穏やかな環境を求める方の移住先としても向いています。
特徴3:インフラ整備と災害の少なさが魅力
苓北町は、医療・福祉施設や教育機関などの公共施設が充実しています。さらに、町内全域に光ファイバーを開通してリモートワークやオンライン授業がしやすい環境を作るなど、インフラ整備に注力してきました。
下水道普及率においては、2021年の全国平均が80.6%(※1)のところ、苓北町の普及率は90.6%(※2)を誇ります。(2021年3月31日現在)
※1:日本下水道協会「都道府県別の下水処理人口普及率」、※2:苓北町「統計資料」
また、苓北町は人命に関わる震災や豪雨災害が少ない点も特徴です。2016年の熊本地震では各地域で最大震度7が観測されましたが、苓北町は最大震度4を2回観測しただけで済みました。
このように、インフラ整備による健康面の安全性の高さや自然災害の少なさから、高齢者はもちろん、小さな子どもがいる世帯でも住みやすいまちと言えるでしょう。
苓北町の暮らしに関する情報
▲「富岡海水浴場」。夏はマリンスポーツや海水浴を楽しむ家族連れで賑わう
「苓北町にはお店がどのくらいあるの?」「車は必要不可欠?」などの移住に関する疑問を解消するために、苓北町の暮らしの情報をまとめました。
※2023年8月時点
気候 | 1月平均気温:6.0℃ 8月平均気温:28.4℃ ※参考:気象庁 ※苓北町に観測地点がないため熊本市を参照 |
---|---|
人口 | 人口:6,469人 世帯数:3,046世帯 (※2023年6月30日時点) |
医療機関 | ・病院:4院 ・歯科2院 |
学校 | ・小学校:4校 ・中学校:1校 ・高校:1校 ・支援学校:1校 ・大学院実験所:1校 |
レジャー・遊び場 | ・富岡城 ・富岡海水浴場 ・白岩崎キャンプ場 ・麟泉の湯 ・かずま園 |
交通 | 【飛行機】 ・天草空港より車で約30分 【船】 ・苓北観光汽船「富岡港」 ・島鉄フェリー(隣の天草市※車で約15分) 【バス】 ・苓北町巡回バス ・産交バス 【車】 ・高速道路:なし ・国道:324号、389号 ・主要地方道:熊本県道44号 |
都市部へのアクセス | 【熊本市】 ・天草エアラインで約25分 ・車で約2時間半 【福岡県】 ・天草エアラインで約35分 【長崎県】 ・高速船「苓北観光汽船」で45分 |
近隣地域 | 天草市 |
巡回バスは本数が限られているので苓北町の生活は車が必須です。町内にはスーパーが数店舗あり、食料品や日用品の買い物は不便がありません。
大型ショッピングモールや家電量販店、複合施設に用事がある場合は、車で約30分の天草市に向かいましょう。山間エリアは町内のスーパーまで20分かかりますが、天草市が近いため天草市で買い物する方も少なくありません。
温暖な地域のため雪はあまり降らないものの、気温が低く凍結する日があるので注意が必要です。
苓北町の観光スポットは富岡城跡や富岡海水浴場が有名ですが、「おっぱい岩」があるまちとしても知られています。
▲直径約1.5mの「おっぱい岩」。先には乳首のような小さな岩もついている
「おっぱい岩」は海水の力で生まれた変形岩で、女性の乳房に似ていることから名付けられました。触ると「母乳がたくさん出る」といったご利益が期待できると噂されています。
地区ごとに任意加入の自治会があります。町民体育祭や総会を行っているので、地域の方と交流を深めるきっかけにしてみてください。
【子育て】結婚・出産時祝い金あり。若年層の新生活に向く環境
苓北町は子育て支援や結婚・出産祝い金制度、不妊治療補助などがあります。ファミリーはもちろん、移住を機に家庭を持つことを検討している若年層にもおすすめのまちです。
▼結婚・出産・子育てに関する支援一例
不妊治療費助成事業 | 自己負担額一部補助 ・同一年度につき10万円上限 |
---|---|
誕生祝金 | 出産祝いに第1子1万円、第2子3万円、第3子以降5万円を支給 |
結婚祝金 | 結婚祝いに5万を支給 |
児童扶養手当 | ひとり親世帯などの生活費を助成 ・支給額:43,160円/月(全部支給の場合) |
高校生等医療費助成制度 | 18歳までの医療費無料 |
教育面では、2009年から日本サッカー協会が手掛ける「JFAこころのプロジェクト」を導入しました。毎年プロスポーツ選手と対面で会話できる機会を設けて、子どもたちの心身の成長を促進しています。
子どもの遊び場は、九州電力苓北発電所敷地内にある通称「火電公園」や麟泉運動公園があります。さらに、2024年以降に子ども向けの公園を整備する予定です。
「JFAこころのプロジェクト」では、過去に元なでしこジャパンの川上直子氏をはじめとした多くのスポーツ選手を招いた実績があります。
【仕事】医療・介護職が充実。レタス・ミカン農業も盛ん
大手求人サイトに掲載されている、苓北町の正社員求人数は下記の通りです。
苓北町 | 約430件 求人の一例 |
---|---|
天草市 | 約1,300件 求人の一例 |
※縁結び大学調べ(2023年8月時点)
苓北町は福祉施設や病院、介護施設、障がい者施設などの介護・医療施設が多く、各施設が集約してる「福祉ゾーン」と呼ばれるエリアがあります。そのため、医療・介護関連の仕事が豊富です。
医療ソーシャルワーカーや介護補助、看護助手など、未経験・無資格でも応募可能な求人も少なくありません。医療用機器製造や医療事務など職種も多岐に渡ります。
医療・介護業界以外の仕事を探す場合は、車で約30分の天草市で探しましょう。飲食店ホール、商業施設の販売員、プログラマーなど業種・職種の幅が広がります。
また、苓北町は農業・漁業が盛んです。農業では主要農産物の「れいほくレタス」やみかん、漁業では天草天領岩かきや色鮮やかな緋扇貝などの貝類が養殖されています。興味がある方は移住を機にチャレンジしてみましょう。
苓北町は医療・介護の仕事が豊富で、天草市から苓北町へ通勤する方も半数ほどいらっしゃいます。
【住まい】町営住宅・空き家バンク制度あり。民間の賃貸住宅も多くはないがあり
苓北町には「ざいのおニュービレッジ」という宅地分譲地があり、2023年8月現在では5区画を募集しています。新築時には、最大60万円の助成があります。
また、空き家バンクには2023年8月時点で土地3件・空き家4件の登録があります。
ただし、空き家はどの物件も改修が必要と思われます。入居前は水回りの改修や床・畳の張替えをする必要があります。改修・購入の際は、以下の助成制度を活用して費用を減らしましょう。
▼苓北町の住まいに関する支援制度
空き家活用支援事業補助金 | 空き家バンクの物件の改修にかかる費用を補助 ・対象:町内施工業者を利用した方 ・補助金:補助対象経費の2/10(上限20万円) ※参考:苓北町「空き家活用支援事業補助金」 |
---|---|
やさしい町づくり住宅助成事業 | 重度の身体及び知的障がい者がいる世帯に対して住宅改造費用の一部を助成 ・助成金:90万円 ※参考:苓北町「やさしい町づくり住宅助成事業」 |
住宅用太陽光発電システム等設置費補助金 | 太陽光発電・蓄電システムの設置費用を一部助成 ・補助金:10万円 ・町外施工業者を利用した場合は5万円 ※参考:苓北町「住宅用太陽光発電システム等設置費補助金」 |
※各住宅支援の詳細は参考URLよりご確認ください。
苓北町内には町営住宅もあり、随時入居者を募集しています。間取りや入居者の収入にもよりますが家賃は18,400円~27,400円、駐車場は一台1,000円程度で借りることが可能です。
入居を希望する場合は、空室があるか問い合わせてみてください。
公式:苓北町「町営住宅」
苓北町へ移住した人の体験談や感想
ここでは、苓北町へ移住した方の声をまとめました。
- 春の広域農道や天草を一望できるかずま園の桜がきれい。毎シーズンいろんな自然風景を間近で楽しめる。
- 苓北町の特産品であるみかんやびわがおいしい。都内スーパーでは買えないフレッシュな味わいに感動した。
- リモートワークに最適。ワーキングスペースでは大自然の絶景が一望できるのでリラックスして仕事ができる。光ファイバーが通っているので助かる。
美しい海が広がる光景に感動する人が多い印象です。マリンスポーツや自然で育まれた新鮮な食材を楽しむなど、都会ではできない自然体験に魅力を感じている方も少なくありません。
自然豊かでありながらインフラが整備されているので、移住後に苓北町の良さを再確認した方も多いようです。
苓北町長からのメッセージ
▲苓北町 山﨑 秀典(やまさき ひでのり)町長
苓北町は、黒潮巡る美しい海が広がり、のどかな田園風景や富岡城をはじめ、キリスト教関連文化財など歴史が薫る風光明媚な町です。
私は、「人が輝き 地域が輝く まちづくり」を政策方針に掲げ、まずは地域を支える人づくりが大切であると考えております。地域住民と移住者の方々と共に苓北町が輝き続けるよう、まちづくりを推進していきたいと思っております。
移住をご検討の方は、まず苓北町を訪れていただき、豊かな自然や歴史・文化を肌で感じていただければと思います。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
苓北町への移住ステップ
ここでは、苓北町へ移住するためのステップとして、下見の際に利用したい移住ツアーとお試し住宅を紹介します。
苓北町体験ツアーに参加して疑問点を解消
▲「苓北じゃっと祭」で打ち上げられる花火。夏祭りに参加して地域の方と交流を図ってみよう
苓北町では、観光客・移住希望者向けの「苓北町体験ツアー」を実施しています。四季折々の魅力を感じられる体験型ツアーから、気軽に参加できるまち歩き体験までレパートリーが豊富です。
▼体験ツアーの一例
- 天草灘サンセットクルージング
- 天草陶石を使用した「雲舟窯」陶芸体験
- コースが選べる! 富岡まち歩き体験
- 天竺登山体験
- 農家民泊
中でも、全国の陶石生産の80%を占めている苓北町ならではの陶芸体験や、海のアクティビティを楽しめるツアーが人気です。
移住の目的や知りたい情報に合わせてコースを選んで参加しましょう。
その他、1時間1,000円から参加可能な地元住民による観光ガイドも実施しています。「時間がとれない」「地域の方の話を聞いてみたい」という方はぜひ参加してみましょう。
下見は特に夏がおすすめです。夏祭りと港祭りを統合した「苓北じゃっと祭」や海水浴などイベント満載で楽しめます。
お試し住宅を利用してリアルな日常を体験
▲テラスハウス型の「坂瀬川お試し住宅」。14帖のリビングの他、6帖の和室と7.9帖の和室あり
苓北町には、移住体験をしたい方向けのお試し住宅があります。2021~2022年に完成して以降、利用希望者の問い合わせが増えてきました。
▼「坂瀬川お試し住宅」の詳細
名称 | 坂瀬川お試し住宅 |
---|---|
所在地 | 熊本県天草郡苓北町坂瀬川2450 |
建物形状 | テラスハウス型(2階建て/2戸) |
利用料金 | ・初日~7日目:5,000円 ・8日目~30日目:500円/日 ※水道光熱費込み |
利用期間 | 2日~30日間 |
備品設備 | エアコン、冷蔵庫、洗濯機 ※寝具や生活用品、食料品は要持参 |
最寄りのコンビニまで約4km、「麟泉の湯」まで約5kmあるため、自家用車やレンタカーを準備しておきましょう。ぜひ、まちのようすや住民の雰囲気を肌で感じて相性を確認してみてください。
なお、利用予定日の20日前までに申込みが必要です。GWやお盆などは特に利用希望者が増えるため早めに問い合わせましょう。
公式:苓北町「お試し住宅」
苓北町への移住に関するお問い合わせ
担当課 | 企画政策課 |
---|---|
住所 | 〒863-2503 熊本県天草郡苓北町志岐660 |
電話番号 | 0969-35-3334(企画政策課直通) |
対応時間 | 8:30〜17:15 (土・日曜、祝日、年末年始を除く) |
公式サイト | https://reihoku-kumamoto.jp/ |
苓北町にはワーケーション施設があり、仕事をしながらでも下見ができる環境です。移住に興味のある方はまずはお気軽にお問い合わせください。