岩手県大槌町への移住!自然・食・人とつながる魅力的な暮らし
今回の記事では、地方への移住を考えている方に向けて、岩手県の大槌町(おおつちちょう)に関する生活情報をご紹介します。
大槌町は、岩手県のリアス海岸のほぼ中央にあり、海と山の自然を楽しめる町です。町の中心部は交通の便も良く人との交流も楽しめる一方、山間部では自然にどっぷり浸りながら、穏やかな暮らしに身を置くこともできます。
今回は、そんな大槌町の特徴や暮らし、住宅情報について、町の移住担当の方からのお話を元にお伝えしていきます。
大槌町の暮らしを彩る3つの魅力:自然・食・ゆとり
海と山の景色があり、自然に恵まれた大槌町への移住には、次のような人がおすすめです。
1:自然豊かな暮らしがしたい
2:地元の旬な食材を楽しみたい
3:時間に余裕のある生活を送りたい
どのような特徴があるのか、さっそくみていきましょう。
特徴1:海と山に囲まれた自然豊かな暮らし
▲春から夏にかけて吹く偏東風(やませ)で海上に出現した霧の光景。夏は「やませ」が涼しい風を町に運んでくる
大槌町は豊かな自然に恵まれた町です。都会のようにビルがなく、海や山が近くに感じられます。
家には太陽がいっぱいに差し込み、町の沿岸部では海が見える暮らしができます。窓を開けると新鮮な空気が入ってくるという暮らしは、移住者にとっては魅力的に映ることでしょう。
お金をかけて自然を求めなくても、自然のなかに毎日の暮らしがあるのが大槌町の大きな特徴です。
▲新山高原地帯から眺める風力発電の風車と東北の山々の光景。夜には満天の星空が広がる
▲町の東南部にあり「ひょうたん島」として親しまれている蓬莱島(ほうらいじま)の景色
特徴2:新鮮で安価な地元食材が彩る食卓
▲漁獲された新巻鮭。大槌町は新巻鮭発祥の地といわれている
大槌町は特に魚介類の水揚げ量が豊富で、新巻鮭をはじめウニやイクラが名産品です。山もある事から、山菜や松茸などの山の幸も豊富です。大槌町のスーパーマーケットには当たり前のように産直コーナーがあり、新鮮な魚や地元の旬の食材が並びます。
移住者からは食材の値段が安いという声がよく聞かれます。旬の食材で食卓を飾ることができるのは大きな魅力といえるでしょう。
▲稲刈りの風景。大槌町では、東日本大震災後に逆境を乗り越えて実ったお米が「大槌復興米」と名付けられた
特徴3:短い移動時間がもたらす豊かな自由時間
大槌町は東西に伸びている町ですが、町内だけなら15分ほどでどこへでも移動することができる距離です。移住して来た人のなかには、以前は1時間かかった通勤時間が車で10分ぐらいになり、自分の時間を有効に過ごせるようになったという方もいます。
町外に仕事に出る人でも、車で20~30分で行ける場所に通うケースが多いので、通勤にかかる負担は少ないようです。住む場所にもよりますが、町内で生活する上では時間的余裕が生まれ、自分の趣味や学びを充実させられるのが利点といえるでしょう。
大槌町の多彩な暮らし:3つのエリア別特徴
▲三陸鉄道リアス線の沿線風景
大槌町には10の地区がありますが、ここでは中心部、沿岸部、山間部にある地区をピックアップして、暮らしの特徴をご紹介します。
町方(まちかた)地区は、町の中心部です。大槌町役場や大槌駅があり、スーパーマーケットや飲食店、居酒屋なども多く住みやすいエリアです。また文化交流センター「おしゃっち」があり、図書館や集会場などが入った館内はフリーWi-Fiも完備されており、人々の交流の場となっています。
浪板(なみいた)地区は、町方から車で10分ほどの沿岸部の地域で、サーファーで賑わう浪板海岸があります。海岸では朝日が上る光景や、夜には水平線から上がってきた月が、水面に反射する幻想的な風景も見られます。
▲浪板海岸の朝の風景
一方、山に囲まれた金澤(かねざわ)地区は、自然の中でゆったりと過ごせるエリアです。夏は涼しくエアコンが無くても過ごせますが、冬場は雪が積もることもあります。
岩手県というと雪が多いというイメージもありますが、大槌町では山間部で年に2~3回ほど積もるときはあるものの、沿岸部・中心部での積雪は珍しいです。毎日のように雪掻きをすることはありません。
このように、冬場の気候に関しては同じ町内でも違いが見られるので、やや注意が必要といえるでしょう。
大槌町の暮らし:仕事・住まい・子育ての具体情報
気候 | 8月平均気温:23.3℃ 1月平均気温:0.5℃ ※気象庁ホームページ(観測地点:新町) |
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人口 | 約10,000人、5,200世帯 (2023年8月31日現在) |
病院 | 病院:1カ所、医院・クリニック:6カ所、歯科医院:3カ所(2022年6月現在) |
学校 | ・保育所:1カ所、認定こども園:4カ所、幼稚園:1カ所、小規模保育所:1カ所(2020年8月現在) ・義務教育学校:1校、併設型小中一貫校:1校、高校:1校(2023年5月現在) |
交通 | ・三陸鉄道リアス線:3駅 ・路線バス:広域路線バス、大槌町民バス ・高速道路:三陸沿岸道路、釜石山田道路・大槌IC ・国道45号 |
近隣都市 | 宮古市、遠野市、釜石市、下閉伊郡山田町 |
特産品 | 荒巻鮭、ウニ、イクラ、磯ラーメン、大槌ジビエ(鹿肉) |
買い物は町内で大体のものは揃います。スーパーマーケット以外にもドラッグストアがあります。都市部と比べるとドラッグストアの規模が大きく、肉などの食品も置いてあるので、ドラッグストアで買い物が済むこともあるようです。
車で20~30分行けば、隣の釜石市にショッピングセンター「イオンタウン釜石」があります。
町内の循環バスは町の全域を網羅していてますが、金澤地区など中心部から離れた地域になると、バスの本数は少なくなります。バスや電車の乗り場までは遠いという家庭が多く、車はやはり必需品といえます。
車があれば、どの地区であってもさほど不便は感じませんが、町内にタクシー会社が2社あり、主に高齢の方の足として利用されています。
文化面では、大槌町は虎舞や神楽などの郷土芸能が盛んで、いくつもの団体によって伝統が受け継がれています。例年8月に行われる「吉里吉里まつり」と9月に行われる「大槌まつり」では伝統芸能が披露され、町全体が熱気に包まれる催しです。
▲例年9月に行われる「大槌まつり」の様子
各地区に自治会はありますが、強制的に参加ということはありません。コミュニティに入りたい人が参加するという形で、ちょうどよい距離感だと思います。
仕事事情:漁業中心の地元雇用と近隣都市の豊富な求人
大槌町で働く人の内訳をみると、漁業従事者が40%を占めています。そのなかでも、水産加工や食品製造が多い印象です。
大手求人情報サイトで検索すると、大槌町の正社員での求人は約100件で、車で30分圏内に範囲を広げると求人数は900件ほどに増えます(2023年10月現在)。
※大槌町の求人情報の一例
町で就職する年齢になると、大槌町と釜石市を含めて求人を見るのが普通だそうです。車で20~30分で行ける釜石市は近場の通勤圏といえるでしょう。
移住支援制度:東京圏からの移住者やUIターン者向け補助金
移住者への支援補助金について一部ご紹介しておきます。
大槌町移住支援事業 | 東京圏からの移住で単身者に60万円、2人以上の世帯に100万円を支給 |
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大槌町UIターン就業支援事業助成金 | Uターン・Iターンで就業した人に対し最大35万円の助成金を支給 |
住まい事情:賃貸中心の物件と充実の住宅支援制度
大槌町では、移住希望者には主に賃貸アパートを案内してもらえます。大槌町の移住定住サイトの空き物件情報では、アパートが25件、一戸建て1件の賃貸物件の案内があります。(2023年10月現在)
家賃は2LDKで45,000円~60,000円といったところです。
参考:空き物件情報(大槌町移住定住メディア「ココカラオオツチ」)
空き家バンクについては現在開設に向けて動いているところで、まだ空き地や空き家の掲載がありません。
一方、大手情報物件サイトで中古の一戸建てを探してみると、数件見つかりました(2023年10月現在)。
※大槌町の戸建情報の一例
賃貸物件が元々少ないため、家賃は高めに感じるかもしれませんが、大槌町では震災後に建築された新しい物件から、レトロで味のある物件まで扱っています。まずは一度賃貸物件に住み、大槌の春夏秋冬を体験していただき、定住をお考えであれば、そこから戸建て物件も検討することをお勧めします。
空き家リフォームや新築住宅取得には支援補助金もある
大槌町では、次のような住宅取得に関する支援補助金制度がありますので、該当する人は条件等をチェックしてみてください。
大槌町民間賃貸住宅家賃支援補助金 | 45歳未満のUIターンや新婚世帯などに対し、民間賃貸住宅の家賃の一部を補助(月額最大2万円) |
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大槌町空き家リフォーム支援補助金 | 町内の空き家をリフォームして定住希望する人に最大100万円を補助 |
大槌町結婚新生活支援事業費補助金 | 新婚世帯の費用の一部を補助(39歳以下の世帯は最大30万円、29歳以下の世帯は最大60万円) |
大槌町移住定住促進補助金 | 45歳以下の移住者で新築住宅を建築または取得する人へ条件によって最大200万円を補助 |
子育て・教育環境:地域に根ざした特色ある教育プログラム
大槌町内には6ヶ所の保育施設があります。待機児童はゼロで園を選べぶこともできる状況です。小学校と中学校に関しては、東日本大震災後に小中一貫校にしたことで、教育支援の環境が整っています。
参考:大槌町の義務教育学校・小中一貫校(大槌町役場)
特徴的な教育として、義務教育学校の「大槌学園」では、地元の方が子どもたちに地元の魅力を伝承していく取り組みを行っています。例えば小学3年生では、牛舎で牛に触れて牛の育て方について学んだり、野菜の収穫体験を行うなど、生きる力やふるさと創生を学ぶ時間が設けられています。
また、震災直後から外部からの学習支援を取り入れて、中高生の学習をサポートをしたり、好きなことを自分で見つけて取り組めるような場を整えています。
参考:コラボスクール大槌臨学舎について(大槌町移住定住メディア「ココカラオオツチ」)
郷土芸能が盛んな大槌町では、それぞれの団体に所属して活動している子どもも多くみられます。
子どもの居場所:地域全体で見守る豊富な遊び場と交流の場
大槌町では、地域の大人が見守りながら子どもが安心して過ごせる居場所が和多くあります。公園や学童保育のほか、こども食堂や音楽体験ができる場などが豊富にあり、保護者にとっても心強い環境です。
体を動かしたい子は、屋外のバスケットコートや体育館での活動、屋内で静かに過ごしたい子は「大槌町文化交流センターおしゃっち」のフリースペースや、図書館などを多く利用しています。
大槌町教育委員会が作成した「おおつちこどもおうえんまっぷ」を見ると、子どもの居場所づくりの充実ぶりがうかがえます。
参考:おおつちこどもおうえんまっぷ(大槌町移住定住メディア「ココカラオオツチ」)
大槌町移住者の声:人とのつながりが生む暮らしの満足感
ここでは、大槌町へ移住した人の声をご紹介します。
- 近所からのお裾分けが多い
- 小さい町だからこそ、人や自然が近く感じる
- 周りの人が通学中の子どもたちにも声をかけてくれる
- よく話しかけられることで知り合いが増えて、安心して暮らせる
特徴的なエピソードとしては「アパートの周りの掃除をしたら、お礼に瓶ウニや袋いっぱいのワカメをもらった」などの声がありました。人とのつながりが、移住後の満足感につながっているようです。
大槌町移住への具体的ステップ:相談から体験プログラムまで
▲移住フェア出展の様子
大槌町へ移住を検討されている方は、まずは公式サイトの相談窓口か、LINEで問い合わせると良いでしょう。そこから個別に相談に乗ってもらう流れになります。
お問い合わせ
公式:大槌町移住定住メディア「ココカラオオツチ」
LINE公式アカウント:「ココカラオオツチ」
2023年7月には移住体験ツアーが開催されました。今後の実施についても検討されていくようです。
地域おこし協力隊:多様な人材が活躍する移住のきっかけに
移住へのステップとしては、地域おこし協力隊(愛称:ちおこ)へ参加する方法もあります。大槌町では、2021年より「地域おこし協力隊」制度がスタートしました。
2023年6月時点で20名が大槌町へ移住して活動中です。メンバーは多種多様で、それぞれがやりたいことを胸に大槌町へ移住してきています。
例えばジビエなどの特殊な仕事をしたい人だったり、それまでの忙しい日々から生活を一変させ、プライベートの時間を充実させたいという人も多いようです。
地域おこし協力隊の募集状況についても、移住定住事務局にお問合せください。
公式:地域おこし協力隊「ちおこ」(大槌町移住定住メディア「ココカラオオツチ」)
▲地域おこし協力隊が参加した移住イベントブースの様子
短期体験プログラム:「おためしちおこ」と「インターンちおこ」で大槌町を知る
地域おこし協力隊は、1~3年という活動期間ですが、もう少し気軽に参加できる制度もあります。「おためしちおこ」は、2泊3日で参加できる体験プログラムです。
また「インターンちおこ」では、2週間~3カ月の期間で活動に参加できます。大槌町での仕事や暮らしがより具体的に体験できるので、移住へのイメージもさらに膨らむことでしょう。
宿泊費や旅費の補助もあるので、検討している方は条件等をチェックしてみてください。
公式:おためしちおこ&インターンちおこ(大槌町移住定住メディア「ココカラオオツチ」)
大槌町は、都会と比べると自然が豊かで、移住してきた人にとっては海と山が近い環境は大きな魅力のようです。大槌町の暮らしは心が開放的になり、自分の時間を大切に過ごしてもらえます。ぜひ一度、訪れてみてください。お待ちしています。
大槌町移住相談窓口:気軽に問い合わせできるサポート体制
担当課 | 一般社団法人おらが大槌夢広場 移住定住事務局 |
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住所 | 〒028-1121 岩手県上閉伊郡大槌町小鎚27-3-4 シーサイドタウンマスト2F |
電話番号 | 080-8162-8516 |
公式サイト | https://otsuchi-iju.com/ |