山形県小国町移住ガイド:豊かな自然と充実した支援制度で叶える新生活
この記事では、地方移住を検討している方に向けて「山形県小国町(おぐにまち)」をご紹介します。
小国町は、山形県内でも有数の豪雪地帯として知られています。その雪がもたらす美しい雪景色と多彩なウィンターアクティビティを存分に楽しめることが、町の最大の魅力です。
さらに、充実した子育て支援と特色ある学校教育が、子育て世帯から高い評価を得ています。仕事の面では、伝統的な「マタギ(山での狩猟)」から最新の精密機器製造まで幅広い選択肢があり、町が推進するマルチワークにより、多様な働き方が可能です。
この記事では、小国町の暮らしの特徴や各種支援制度など、移住を考える上で役立つ情報を詳しくお届けします。
小国町の暮らしを彩る3つの魅力:雪国ならではの体験
地方移住を検討している方の中でも、特に次のような方には小国町がおすすめです。
- 雪景色やウィンターアクティビティが好きで、雪国での生活を楽しみたい
- 仕事をしながらでも安心して子育てができる、手厚い子育て支援のあるまちを希望
- 子どもを通わせる学校は、一貫教育など、多様な人々と触れ合える環境を選びたい
- 就職先や働き方の選択肢が豊富なまちを希望
これらの方々に小国町が適している理由を踏まえながら、小国町での暮らしの特徴を詳しく紹介していきます。
特徴1:「白い森」が織りなす絶景と多彩なウィンターアクティビティ
小国町は、東京23区がすっぽり入るほどの広大な面積を持つまちです。その土地のほとんどが、ブナの木が生い茂る豊かな森に囲まれています。
ブナの木は、その美しい姿から「森の女王」と呼ばれ、実は動物のエサとなり、豊かな森林生態系を支えることでも知られています。
小国町の森は、夏にはブナの白い木肌が映え、冬には一面に雪が降り積もる「白い森」となります。四季折々の美しい景色と多彩なアクティビティが、まちの大きな魅力となっています。
その魅力の一つが、まるで写真集のような絶景です。
春には、雪解け前に桜が開花し、雪と桜の貴重な共演が楽しめます。特に有名な「樽口峠の一本桜」は、雄大な山並みを背景に咲く姿が印象的です。
雪を楽しむイベントも数多く開催されます。2022年には、雪で作られたお城にテーブルを配置し、スイーツなどを味わう「雪のお城カフェ」が開かれ、まるで童話の世界のような空間を演出しました。
▲「雪のお城カフェ」では、多くの来場者が、幻想的で特別なひとときを楽しんだ
雪国への移住を希望する方の中には「ウィンタースポーツを思う存分楽しみたい」という方も多いでしょう。小国町の「横根スキー場」は、町の中心部にある、アクセス抜群なスキー場です。今回、オンライン取材に応じてくださった片桐さんも「パソコンをオフにしたら5分でスキーが始められますよ」とおっしゃるほど、本当に身近な場所にあります。
この横根スキー場は、スノーボーダーの平野歩夢選手が幼少期から練習に通ったホームゲレンデでもあります。金メダリストが育ったゲレンデでスキーやスノーボードを楽しめるのは、特別な体験といえるでしょう。
▲「横根スキー場」には初心者から上級者まで楽しめるゲレンデがあり、家族でのお出かけにも最適(引用元:小国町公式サイト「白い森」)
小国町でのもう一つのおすすめアクティビティが、わかさぎ釣りです。横川ダム「白い森おぐに湖」は、わかさぎ釣りの人気スポットで、1月~3月頃のシーズンには老若男女問わず多くの人が訪れます。
厚く氷が張った湖上にテントを張り、氷に穴をあけて楽しむわかさぎ釣りは、寒冷地ならではの体験です。海や川での釣りとは異なる独特のワクワク感があり、半日で100匹~200匹ほど釣れることもあるそうです。
▲子どもや女性も気軽に楽しめるわかさぎ釣り。初心者でもどんどん釣れる楽しさは、ヤミツキになってしまうかも
雪深い地域だからこその魅力がたくさん詰まった小国町。「雪国に暮らしたい」という強い希望がある方も「憧れてはいるけれど、雪に慣れていなくて不安」という方も、まずは一度、まちを訪れてみてはいかがでしょうか。
特徴2:安心の子育て環境と特色ある一貫教育システム
豊かな自然の中でのびのびと子育てのできる小国町。その環境だけでも魅力的ですが、小国町はさらに、育児支援の充実や特色ある学校教育も注目を集めています。
まず、出産・育児の支援としては次のようなものがあります。
伴走型相談支援 | 妊娠した女性を対象に、安心して出産・子育てができるよう、アンケートに基づいた面談を実施 ・妊娠届出時(全員) ・妊娠8ケ月前後(希望者) ・出産後(全員) |
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出産・子育て応援金 | 令和4年4月1日以降に<妊娠届出をした妊婦さん>または<出産した方>に、応援金を支給 出産応援金:妊婦さん1人あたり5万円 子育て応援金:子ども1人あたり5万円 |
医療給付制度 | 0歳~高校生世代(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の医療費(保険適用外を除く)を助成 |
妊娠から出産時にかけて不安を抱える女性も多い中、継続的なサポートがあるのは心強いですね。医療費の給付対象が「高校生世代まで」と幅広いのも、子育て世帯にとっては大きな支援となります。
他にも、保育園の時間外預かりでは無料でおやつが提供されたり、病気回復期のお子さんを預けられる「病後児保育室」が開設されたりと、働く保護者を支援する制度が充実しています。
学校教育面では、2つの特徴的な取り組みが行われています。
1つ目は「保小中高一貫教育」です。小国町では、平成10年に中高一貫教育が導入され、その後段階的に連携体制が拡大されてきました。「国際・情報」「白い森学習(地域学習)」「キャリア教育」を柱とし、特にパソコンと英語に力を入れた、継続的・系統的な教育が実施されています。
一貫教育により、子どもたちは進学時の環境変化が少なく馴染みやすいというメリットがあり、保護者の方々も安心できる体制となっています。
2つ目は、この一貫校である県立高校で、全国からの生徒募集が行われていることです。他地域からの生徒は寮を利用し、高校2年生の1年間、もしくは1~3年生まで3年間、小国町で生活することになります。
感受性豊かな高校生時代に、様々な地域出身の生徒と共に過ごすことは、貴重な経験となるでしょう。お子さんに多様な体験をさせたいとお考えの方は、家族での移住のほか、「子どものみの期間限定移住」も選択肢の一つとなるかもしれません。(※入学には面接があります)
特徴3:伝統と革新が共存する多様な働き方とライフスタイル
小国町には、「マタギ」と呼ばれる伝統的な狩猟文化が残っています。鉄砲を使って熊などの獲物を捕る、この文化を継承するために移住を決めた方もいるそうです。
一方で小国町は、製造業も盛んな地域です。雪解け水がもたらす豊富で清浄な水資源が、精密機器製造に適しており、産業の発展を支えてきました。現在、町の人口の半数以上が、半導体や燃料電池などの先端製造業に従事しているとのことです。
伝統的な山の文化を守る人々と、最新技術を扱う仕事に就く人々が共存する、多様なライフスタイルが小国町の特徴です。
小国町では、自治体主導で「小国マルチワーク事業協同組合」を設立し、個々の希望や収入に合わせた仕事を提案しています。特に、季節ごとに仕事を組み合わせる働き方を推奨しており、これにより以下のようなメリットが生まれています。
- マルチワーク(複数の仕事)ができる・新しい働き方が見つけられる
- 移住してすぐに仕事に就くことができる
- 地元の人たちと知り合うきっかけになる
移住後、これまでの経験を活かしつつ新たな可能性を探りたい方や、地域に密着した働き方を希望する方にとって、理想的な環境といえるでしょう。
また、小国町は住民の平均所得が高く、2019年には山形県内で2位を記録しています。(参照:小国町の平均所得)
さらに、仕事に関する支援制度も充実しています。以下の支援をぜひ確認してみてください。
就業目的移住者支援金 | 移住して就職・就農などをした方に、支援金【5万円】を支給 |
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小国町起業化資金助成金 | 町内で起業を行う方に、経費を助成 助成額:対象経費の3分の2(上限20万円) ※女性による起業の場合、上限30万円 |
小国町での生活:気候から特産品まで知っておきたい基本情報
ここでは、移住を検討するうえで重要となる、小国町の暮らしに関する様々なデータをお届けします。
気候 | 1月:平均気温−0.3°C 8月:平均気温23.8°C ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 人口:6,926人 世帯:3,010世帯 (令和5年1月31日現在) |
近隣都市 | 長井市、西村山郡朝日町、西川町、西置賜郡飯豊町 新潟県:新発田市、村上市、胎内市、岩船郡関川村 福島県喜多方市 |
公共交通 | 鉄道:JR東日本米坂線(羽前沼沢駅、伊佐領駅、羽前松岡駅、小国駅) バス:小国町営バス |
大都市へのアクセス | 山形市へ:車で約1時間30分 新潟市へ:車で約1時間20分 仙台市へ:車で約2時間20分 東京へ:新幹線と電車で約3時間半 |
病院 | 病院・クリニック:2件 歯科:1件 |
学校 | 高校2、中学校2、小学校2 |
特産品 | 山菜、米、なめこ |
名所・観光 | 道の駅白い森おぐに、横根スキー場、飯豊温泉、白い森交流センターりふれ、白い森オートキャンプ場、観光わらび園、樽口峠、天狗橋 |
行事・イベント | 雪の学校、小玉川熊まつり、山菜まつり、飯豊連峰山開き、白い森芸術祭 |
小国町は豪雪地帯として知られています。冬季には雪が2mほど、山間部では4mほど積もることもありますが、車道は丁寧に除雪されます。住宅の雪下ろしの必要性は、屋根の形状などによって異なるため、住まい探しの際には地元の方に確認することをおすすめします。
小国町は、山形市と新潟市のほぼ中間に位置しています。両市までそれぞれ車で1時間半程度、さらに東北最大の都市である仙台市までも2時間半ほどで到着できます。週末のショッピングやレジャー、各地のグルメやイベントを楽しむなど、お出かけの選択肢が豊富です。
山形県は山菜の宝庫として知られていますが、その中でも小国町はわらびの生産量が日本一を誇ります。ミネラル豊富な雪解け水が、美味しいわらびを育んでいるのです。町内には観光わらび園も数多くあり、春には多くの観光客が訪れます。
小国町は雪景色が印象的ですが、四季を通じて自然豊かな風景を楽しむことができます。玉川上流の「天狗橋」付近は、エメラルドグリーンに透き通る流れが美しい絶景ポイントです。秋には、紅葉した樹々とのコントラストも鮮やかで、訪れる人々を魅了します。
マタギの伝統が息づく小国町ならではのイベントが「熊まつり」です。捕獲した熊の冥福を祈り、豊富な獲物を与えてくれる山の神へ感謝をささげる行事です。300年以上続くこの神事に参加すれば、自然と共生する暮らしの深い意味を実感できるでしょう。
▲熊まつりでは、マタギによる「熊狩り模擬実演」なども行われる
住まい探しのコツ:人気の小国町で理想の物件を見つけるには
小国町で住宅物件を探す場合、半年~1年程度の時間がかかることを想定し、早めの行動をおすすめします。
現在、小国町への移住希望者が多く、空き物件が非常に少ない状況です。「どうしても小国町に住みたい」という方の中には、近隣の市町村で一時的に暮らしながら小国町で働き、住まいが空くのを待つ人もいるほどです。
その分、じっくりと時間をかけて理想の住まいを探すことができます。相談窓口では、通常の営業時間以外にも、事前連絡があれば土日や夜間の対応が可能です。また、物件見学への同行サービスもあるため、地域住民の声を参考にしながら、慎重に住まい探しを進めることができます。
さらに、小国町では以下のような転入者向けの支援制度も用意されています。
新婚世帯への支援 | 今年度結婚した世帯に対し、住居費および引っ越し費用の一部を補助 補助金額:対象期間の住居費および引っ越し費用の合計額(1世帯あたり30万円を上限) |
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県外から転入した方への支援 | 山形県外からの移住者に、米・味噌・醤油を支給 米:つや姫(単身世帯40kg、2人以上世帯60kg) 味噌および醤油:組合指定製品(単身世帯2kg/L、2人以上世帯3kg/L) |
子育て世帯への支援 | 家族に高校生以下の子どもがいる世帯に対し【10万円】を交付 |
詳細:転入者への支援
先輩移住者の声:小国町での暮らしの魅力と実際の生活
ここでは、実際に小国町に移住して暮らしている方々の体験談や感想をご紹介します。多くの方が、この町の特色ある生活を楽しんでいます。
- 伝統的な狩猟文化「マタギ」に魅かれて移住を決意
- 子育て環境が充実しており、希望する保育園への入園がスムーズで、自然を活かした子ども向けイベントも豊富
- スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツ、キャンプなど、四季を通じて様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができる
- 地域コミュニティとの関係構築が重要。一度信頼関係ができると、地域の人々はとても親切に接してくれる
移住者の多くが、小国町独自のマタギ文化や豊かな自然を活かしたアウトドアライフを満喫しています。また、温かい地域コミュニティにも恵まれ、充実した生活を送っているようです。
小国町移住への第一歩:下見から支援制度活用まで
ここでは、小国町への移住に向けた具体的な行動手順についてご案内します。移住支援制度や居住地選びなど、実際の移住プロセスに役立つ情報をお伝えします。ただし、施策内容は随時更新される可能性があるため、利用を検討される際には必ず小国町役場や関連機関に最新情報をご確認ください。
四季を体感:夏と冬の2回の下見で小国町の魅力を発見
小国町は、雪が積もる冬とそれ以外の季節で、暮らしのスタイルが大きく変わるまちです。四季それぞれの特徴や魅力を知るためにも、実際に暮らしてからのミスマッチを防ぐためにも、移住の下見には、少なくとも夏と冬の2回訪れることをおすすめします。夏は緑豊かな自然を楽しめ、冬は雪景色と独特の生活様式を体験できるため、両方の季節を体験することで、より実際の暮らしをイメージしやすくなります。
移住体験ツアーで小国町の魅力を体感:マタギ文化と雪国暮らしを学ぶ
小国町では、年に1~2回「移住体験ツアー」が開催されています。マタギ文化(狩猟を生業とする伝統的な山村文化)に触れたり、雪国での暮らしの魅力を体験したりと、小国町ならではの密度の濃い体験ができます。
体験ツアーの案内は、小国町の公式インスタグラムアカウント「白い森おぐに〜山形県小国町〜」に掲載されます。地元で行われるイベントなどの情報も定期的に更新されるので、興味のある方は、ぜひチェックして参加を検討してみてください。
詳細:小国町Instagram
移住後の心強い味方:地域コミュニティ「つむぐ」が支える新生活
移住には夢や楽しみが盛りだくさんですが、一方で「知り合いのいない町でうまくやっていけるだろうか」などと不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。
小国町には移住者コミュニティ「つむぐ」があり、移住者と地域の方との交流の場づくりをしています。マルシェや料理教室、クリスマス会などさまざまなイベントを通して、徐々に知り合いが増え、地域に溶け込んでいけます。
「つむぐ」は、移住者同士のつながりが少ないことをサポートしようと立ち上がったコミュニティです。分からないことや心配事を相談できる場所があることは、移住後の生活の大きな安心材料となります。新しい環境での不安を和らげ、スムーズな地域への適応を助けてくれるでしょう。
小国町移住の相談窓口:詳細情報とコンタクト方法
担当課 | 小国町役場 総合政策課 |
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住所 | 山形県西置賜郡小国町大字小国小坂町2-70 |
電話番号 | 0238-62-2264 |
公式サイト | https://www.town.oguni.yamagata.jp/life/1/7/ |