埼玉県小鹿野町で暮らす魅力とは?移住に関する住まい・仕事・支援情報

今回の記事では、地方移住を考えている方に向けて、埼玉県の小鹿野町(おがのまち)で暮らす魅力や移住に役立つ情報を紹介します。

小鹿野町は秩父盆地の中央に生活インフラがコンパクトにまとまった市街地を持ち、山に囲まれた静かな一帯です。自然豊かな景観を持ちながら、年間を通して多くの祭りや伝統文化「歌舞伎」の振興で活気づいています。

都心へのアクセスも良く、子育て世帯にうれしい手厚い支援制度が整っているのも大きな魅力です。

今回は、そんな小鹿野町での生活がイメージできる情報を、担当者からのお話をもとにお伝えしていきます。

本日お話を伺った方
埼玉県小鹿野町の今井孝次さん

移住定住推進室 室長

今井 孝次さん

埼玉県小鹿野町の小菅旭央さん

移住定住推進室 主任

小菅 旭央さん

埼玉県小鹿野町の山田優馬さん

移住定住推進室 主事補

山田 優馬さん

魅力にあふれる小鹿野町の3つの特徴

埼玉県小鹿野町の暮らしの特徴

小鹿野町の暮らしには、こんな人が向いています。

  • 豊かな自然や景観美に浸りながら子育てしたい
  • 自然を感じて暮らしながら、都心へもアクセスしたい
  • 伝統文化や祭りが好きで人と関わりたい、町の活気を楽しみたい

ここからは、小鹿野町の魅力がわかる、3つの特徴についてみていきましょう。

特徴1:年間通して晴れの日が多い&地震に強い立地

埼玉県小鹿野町の風景
▲小鹿野町周辺の風景。奥に見えるのは日本百名産の一つ、両神山

小鹿野町の特徴として、年間を通して晴れの日が多いという気候があげられます。雪もほとんど降らないので、積雪に悩まされることはありません。

山に囲まれた風土でありながら、雨や雪が少ない傾向にあるというのは大きな特徴で、暮らしやすいエリアだと言えます。

小鹿野町は非常に堅固な地盤で周囲を囲まれており、外界からの地震動を伝えにくいとされています。実際に、震度4弱以上の地震は過去に1回(東日本大震災)しか観測されていません。そのため、家を持ちたい人にもおすすめできる土地です。

特徴2:圧倒的な景観美を誇りつつ、都心へのアクセスも良好

小鹿野町全体を含む秩父地域は「ジオパーク秩父」に認定されていて、町には地形の景観美に圧倒されるジオサイトも点在しています。

小鹿野町の丸神の滝の風景
▲ジオサイトにも選定されている「丸神の滝」は市街地から車で30分。滝の落差76mの迫力!

参考:丸神の滝(ジオパーク秩父)

そんなダイナミックな自然景観が身近にありながらも、小鹿野町は都心へもアクセス可能な距離感が一つの特徴と言えます。

小鹿野町の市街地からは、西武秩父駅までバスで約30分、そこから西武鉄道の特急で池袋まで約80分です。

車でも関越自動車道を利用して約1時間半~2時間と、都心とも行き来できる距離にあります。

普段は小鹿野町での暮らしを楽しみつつ、定期的に都心へ出向いて行くという生活も可能なエリアです。行き来することで、都心の賑わいと町の静けさのギャップが魅力に感じられるかもしれません。

移住前の下見や、起業の準備に通うことも、それほど負担を感じることなくできるでしょう。

特徴3:伝統の小鹿野歌舞伎と祭りで活気あふれる町

小鹿野町の小鹿神社
▲例年を通し祭りや行事が行われる小鹿神社(おしかじんじゃ)

小鹿野町は祭りが大変盛んで、年間を通して200以上の祭りで賑わう町です。また歌舞伎を継承する伝統があり、祭りで上演される屋台歌舞伎は高い評価を受けています。

町には子どもから大人まで歌舞伎に親しむ多数の団体があり、役者から裏方まで全て住民が行う小鹿野歌舞伎は、全国でも珍しいと評判です。

小鹿野町の祭りの風景
▲小鹿野町で最もにぎわう「小鹿野春祭り」の風景

活気のある催しがたくさんあるので、お祭りの雰囲気が好きだという方は、町の賑わいを楽しむことができるでしょう。催しや歌舞伎の活動を通して人とのつながりも感じられ、町に溶け込むきっかけにもなります。

公式:小鹿野町の祭り
公式:小鹿野歌舞伎

小鹿野町のエリアごとの暮らし

小鹿野町は、小さな村が合併してできたために地域ごとに特色があります。5つのエリアの特徴についてみてみましょう。

小鹿野地区 商店街や学校が集まる町の中心地で、車を持たなくても生活できる便利な地域。
お祭り、歌舞伎活動も盛ん。小鹿野役場から車で5分圏内。
長若地区 農業が盛ん。きゅうり農家などの移住者も多い。枝垂れ桜や秩父札巡りの寺院など、のどかな風景が魅力。温泉旅館も並ぶ。小鹿野町役場から車で20分圏内。
両神(りょうかみ)地区 両神山、丸神の滝など自然資源豊富なエリア。「道の駅 両神温泉薬師の湯」「両神山麓花の郷ダリア園」など観光拠点がある。小鹿野役場から車で10分圏内。
三田川(みたがわ)地区 国道299号線沿いに広がる地域。尾ノ内渓谷の周辺ではかつての宿場の面影が残り、オープンな雰囲気が感じられる。お試し住宅もある。小鹿野役場から車で20分圏内。
倉尾地区 名水百選「毘沙門水」が湧き出る地域。山間部の集落はタイムスリップしたような雰囲気で、住民同士の絆が強い。小鹿野役場から車で20分圏内。

いずれのエリアも、市街地までは車で20分ほどでアクセスできます。買い物などで不便さは感じない一方で、イベントが多いため地域コミュニティが強く、近所づきあいがしっかりあります。

人によっては気を遣うことがあるかもしれませんが、ご近所の助け合いは、移住者にとって心強いと言えるでしょう。

また、市街地から車で30分圏内に、自然資源や観光スポットがあるのは大きな魅力です。三田川地区にある「尾ノ内渓谷(おのうちけいこく)」は、緑と清流の美しい景勝地です。

人工的に作られた氷柱が有名で、氷柱を間近で鑑賞できる吊橋は、観光スポットとして人気を集めています。

小鹿野町の尾ノ内渓谷の冬の景色
▲尾ノ内渓谷に広がる冬の氷柱の景色。

小鹿野町の尾ノ内渓谷のライトアップ風景
▲毎年1月~2月にはライトアップされ、幻想的な氷柱の風景が浮かび上がる。

参考:尾ノ内氷柱(小鹿野町観光協会)

小鹿野町は、雄大な自然を身近に感じながら、便利な生活も手に入るエリアです。農業をしたい、町で新しいことにチャレンジしたいなど、ライフプランに合わせて住みやすい地域を検討してみてください。

小鹿野町の暮らしに関する情報

気候 1月:平均気温1.8℃
8月:平均気温25.5℃
気象庁ホームページ(観測地点:秩父)
人口 約10,500人、約4,500世帯 (2023年5月1日現在)
病院 ・病院:1件
・診療所:7件
・歯科・5件
学校 ・保育施設:認定こども園含め4所
・小学校:4校
・中学校:1校
・県立高校:1校
文化 小鹿野歌舞伎、小鹿神社例大祭
買い物 スーパーマーケット
ホームセンター
ドラッグストア
コンビニ
個人商店
農産物直売所
交通 西武観光バス、小鹿野町営バス
※町内に鉄道路線は無く、最寄り駅は秩父鉄道の秩父駅、三峰口駅、西武鉄道の西武秩父駅など。
観光 丸神の滝、尾ノ内渓谷、両神山麓花の郷ダリア園、秩父ミューズパーク、クライミングパーク神怡館(しんいかん)、小鹿野温泉。
近隣都市 秩父市

中心部にはスーパーマーケットやホームセンターなどがあり、買い物は町内で完結できます。全エリアにネット環境があるので、通販での調達も可能です。

隣接する秩父市には大型ショッピングモールや映画館などもあるので、車で20~30分で行けば娯楽施設で楽しむこともできます。

町の中心部では自転車やバスを利用した生活も可能ですが、他の地域では車が必要です。遊びに行くにも車があった方が便利と言えるでしょう。

ご当地グルメでは、わらじのように巨大なカツが特徴の「わらじかつ丼」が近年人気で、市街地に何件か食べられるお店があります。

【仕事情報】十分な求人あり、地域おこし協力隊として起業を目指す道も

大手求人情報サイトで正社員で検索すると、地域内では約370件という結果があがっています。車で30分圏内に範囲を広げてみると、約8,000件の求人情報がありました。求人は多いと言えるでしょう(2023年7月現在)
小鹿野町の求人情報の一例

町の傾向としては製造業が主体で、観光サービス業や介護職の求人もあります。テレワーカーも多く、町内には誰でも利用できるコワーキングスペースがあらたにオープンしました。

小鹿野町のコワーキングスペース
▲町のコワーキングスペース(みどりの村「おがの若者センター」内)。窓の外には抜群の景色が広がる。

参考:おがの若者センターコワーキングスペース

また、小鹿野町は起業したい人を応援する制度があり、地域おこし協力隊としてまちづくりの活動しつつ、起業や就業を目指すこともできます。隊員メンバーになると、国からの支援を受けることも可能です。

埼玉県小鹿野町の山田優馬さん
山田さん

小鹿野町は地域おこし協力隊の実績が埼玉県で一番多く、これまでに20名が地域課題の解決に取り組んでいます。

参考:地域おこし協力隊

一方、就農目的で移住した人もいて、小鹿野町のブランドである「秩父きゅうり」などの生産者として活躍しています。

埼玉県小鹿野町の小菅旭央さん
小菅さん

就農支援の取り組み「明日の農業担い手育成塾」を通して、コロナ禍となる以前は年間1~2名の新規就農者が誕生しています。

起業支援金、新規就農支援補助金の活用も

起業や就農に関する支援金制度もあるので、起業や農業を考える方は詳細をチェックしてみてください。

埼玉県起業支援金 埼玉県で新たに起業する方に対し上限140万円
詳細(2023年度の公募期間は終了)
小鹿野町起業・就業支援金 一定の条件で東京圏から小鹿野町に移住して起業または就業した方に対し上限130万円(単身者60万円、18歳未満を含む2人以上の世帯130万円)
詳細
新規就農者等支援補助金 新規就農者に対し必要経費の2分の1(上限150万円)
詳細

【住まい情報】物件探しは移住窓口で相談がおすすめ、空き家バンクもチェック

大手物件情報サイトでは、賃貸物件や戸建て情報がほとんどヒットしません。物件探しは、移住相談窓口で直接問い合わせた方がよいでしょう。年間一定数の転入者があるようなので、それなりに住居物件はあると考えられます。

家を探すなら空き家バンクもチェックしてみてください。改修が必要なものもありますが、今後掘り起こして登録件数を増やしていくそうです。

賃貸物件を経て空き家の取得につながるケースもあるようです。

参考:ちちぶ空き家バンク

また、店舗併用住宅もあり、商業利用であれば補助金や追加措置もあります。開業予定の方は問い合わせてみるとよいでしょう。

<問合せ窓口>
小鹿野町役場 まちづくり観光課 移住定住推進室:0494-75-5060

賃貸家賃補助、リフォーム助成金などの住宅支援がうれしい

また、移住者に対する住宅支援制度も充実しています。

定住促進奨励金 転入後2年以内に住宅を取得(中古住宅は除く)した世帯に取得家屋の固定資産税相当額(最長5年間)
詳細
マイホーム取得奨励金 新たに家を取得した子育て世帯に対し10~20万円(中古住宅を含む)
詳細
民間賃貸住宅家賃助成金 民間賃貸住宅に入居した満45歳以下の「新婚世帯」又は「転入若年世帯」に月1万円(最長2年)
詳細
小鹿野町店舗・住宅リフォーム助成金 町民の工事費用20万円以上に対し
・店舗は費用の10分の1を補助、上限20万円
・住宅は費用の10分の1を補助、上限10万円
・併用住宅は上限30万円とし、店舗・住宅の補助額の合計額
詳細

いろいろ条件や申請期間があるので、住宅取得の際の参考にしてみてください。

【子育て情報】手厚い支援で子育て世帯を応援、遊び場も充実

小鹿野町では、子育てしながら働ける環境を全面的にサポートしています。妊娠期から切れ目のないパッケージ化した子育て支援があり、さまざまなサービスを受けることが可能です。

マイベイビー支援事業 不妊治療補助最大35万円を助成
妊産婦栄養強化事業 3か月間牛乳を配達
育児パッケージギフト 育児に関するものをプレゼント
保健師訪問 地区の担当保健師が生まれた赤ちゃん全員を訪問
産後健診費用補助 出産後の健診費用を補助
親子プログラム 産後ストレッチ教室、お母さん座談会、年齢別、父子交流など(子育て支援センター)
出産育児一時金 子ども1人につき42万円を支給
多子世帯支援金 第1子・第2子は5万円、第3子以降50万円を支給
ほっとママステーション 妊娠期からの子育て相談に対応
伴走型相談支援 ファミリー面談で家族全員を精神的にサポート
子ども医療費 18歳年度末まで医療費の一部を支給

ワンストップでの子育て支援のほか、小中学校給食費、教材費無料、児童クラブの充実など、子育て世帯には助けとなる手厚い環境が整っています。ほかにも受けられる助成費などがたくさんあるので、小鹿野町で子育てしたいと考えている方は、どのような補助があるのか確認しておくとよいでしょう。

公式:おがの子育てガイド(2023年度版)

また子どもの遊び場として市街地に近いエリアには、じゃぶじゃぶ池やアスレチック、RVパークが揃いった「みどりの村」があります。プレイパークではテーマを設けたイベントが人気で、夏のウォータースライダーや落ち葉遊び、綱渡りなど体を使った遊びが楽しめます。

室内ではそば打ち体験、お菓子作り教室など親子で楽しめるイベントが盛りだくさんで、広い敷地で1日思いきり遊んで過ごすことができるでしょう。

公式:みどりの村

【教育情報】郷土芸能を学び披露する場がある、ロッククライミングも盛んに

歌舞伎が有名な小鹿野町では、中学生が課外学習で歌舞伎を学び、地域のお祭りで披露しています。中学校内でも歌舞伎を演じて、郷土芸能にかかわれるのは貴重な機会です。

また、町にクライミングパークが出来たことで、小学生の間でロッククライミングが有名になってきました。施設を活かして未来のアスリートの育成も期待できそうです。

公式:クライミングパーク神怡館

小鹿野町に移住した人の感想

埼玉県小鹿野町に移住した人の声

実際に小鹿野町に移住した方からは、次のような声があがっています。

  • 温かい交流が魅力。自然環境がよく子育てにとてもいい、子育て支援制度も充実している。
  • 町民が講師となって教えてくれる「おとなの学校」プログラムに参加して、町外から参加された人との交流を通じて魅力を感じ、移住を決めた。
  • やりたいことがみつかる。やりたいことを応援して助けてくれる、チャレンジしやすい環境、雰囲気がある。
  • 協力隊が多く、協力隊員と地域住民がサポートしてくれる。

移住後の仕事としては、エゴマの栽培・加工や有機栽培の畑に新規チャレンジした方、林業の会社に勤めた方、地元の特産品を活かした商品開発をして起業を目指す方、ベーカリーを開業した方など、さまざまです。

小鹿野町への移住に向けてのステップ

小鹿野町の移住相談の風景
▲小鹿野町の移住相談窓口の様子

小鹿野町に住んでみたいと思った方は、次のようなサポートを活用するとよいでしょう。

移住コーディネーターに何でも相談、町も案内してもらえる

移住に関する相談窓口として、移住支援コーディネーターがいます。住む地域や仕事、子育てについての情報など、気になることを具体的に相談してみましょう。希望すれば町内の案内もアテンドしてもらえます。

基本的に町役場に連絡をして役場を訪れ、相談窓口でのヒアリングを通してコーディネーターにつないでもらう流れになります。

まずは、移住相談窓口に連絡してみてください。

無料のお試し住宅でリアルな移住体験ができる

小鹿野町のお試し居住
▲移住者のためのお試し住宅

小鹿野町での生活をよりイメージしたい方は、お試し住宅の活用をおすすめします。テレワークの場としても使えるので、起業したい方の準備などにも活用できますよ。

お試し住宅は市街地にも近く、コンビニまで徒歩で5分、スーパーマーケットまでは車で5分の距離にあります。周りの環境を実感しながら生活することで、移住後の暮らしがぐっと身近に感じられてくることでしょう。

利用人数は5名以内、1回の申請で9泊まで無料で利用できます。家電製品や寝具などが完備されているので、気軽な体験が可能です。

公式:小鹿野町お試し住宅

今後体験ツアーの実施も、移住後もサポートしてもらえる

また今後、体験ツアーの実施も予定しているそうです(2023年度実施予定)。親子ワーケーションの形式で詳細は未定ですが、ターゲットを絞った限定イベントになる予定です。興味のある方は、移住相談窓口に問い合わせてみてください。

小鹿野町では充実した子育て支援を含め、移住検討段階から移住した後も、伴走的な支援体制で移住者を迎えてくれます。町の心強いサポートをしっかり受けながら、安心感のある移住生活が叶えられそうですよ。

埼玉県小鹿野町の今井孝次さん
今井さん

2023年に3名体制で移住定住推進室を開設しました。移住者の受け入れについて町民と協力しながら、今後も移住推進に力を入れていきます。小鹿野町を好きになってもらい、住んでもらって情報を発信していただける方は大歓迎です。町のブランディングという意味での波及を期待しています。ぜひ一度、町を見に来てください。

小鹿野町への移住に関するお問い合わせ

担当課 小鹿野町役場 まちづくり観光課 移住定住推進室
住所 〒368-0192
埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野89番地
電話番号 0494-75-5060
対応時間 平日8:30~17:15
公式サイト https://www.town.ogano.lg.jp/living-in-ogano/