長野県小布施町へ移住しよう!移住生活に役立つ子育て・仕事・住居・支援情報を解説
この記事では、地方移住を検討している人に向けて、長野県小布施町(おぶせまち)の特徴や生活情報を紹介します。
小布施町は長野県北部に位置し、県内で最も面積が小さな町です。葛飾北斎ゆかりの町で、年間100万人もの観光客が訪れます。
住民・行政・企業・大学が連携したまちづくりによって多様な人との交流が生まれ、移住へとつながっています。最近ではクリエイターや子育て世帯を中心に移住先として選ばれています。
今回は、小布施町役場の石﨑さんから伺ったお話をもとに、小布施町の魅力と移住生活に役立つ情報を詳しくお伝えします。
小布施町の3つの特徴
小布施町の住みやすさの特徴は、半径2km圏内に各施設が揃う利便性と、人とのつながりを大事にする温かな文化・まちづくりにあります。
地域一体で子育てをサポートしているため、子育て世帯も安心感をもって住めるでしょう。
ここでは、移住を検討する際に押さえておきたい小布施町の特徴を紹介します。
- 人のつながりを尊重する文化。「協働と交流」をキーワードにまちづくりを推進
- 長野県で一番小さな町。市街地周辺は車がなくても生活できる
- 自然体験ができる「子ども教室」楽しく主体性を育める
3つの特徴について以下で詳しく解説します。
特徴1.人のつながりを尊重する文化。「協働と交流」をキーワードにまちづくりを推進
小布施町は葛飾北斎が晩年を過ごした地であり、年間100万人以上の観光客が訪れる活気ある町です。
小布施町が発展し続けている要因は、町民・行政・企業・大学が一体となり地域の魅力を創り出す協働型のまちづくりにあります。
1993年に”地域にないものを自分たちで作る”をコンセプトに、町民出資により、宿泊施設やカフェなどを運営するまちづくり会社「ア・ラ・小布施」が設立されました。また、2003年には、”地域のご縁をつなぐ縁走(えんそう)”をテーマとした「小布施見にマラソン」がスタートしました。
▲「小布施見にマラソン」は高低差100m以下のなだらかなコースで、老若男女問わず楽しめる
瓦屋根の家並みが美しい道から、野道や路地などのディープな景観を楽しめる道まで、小布施町の魅力を感じながら走れます。今では町内外から約8,000人のランナーが参加する町の一大イベントとして定着しています。
2012年からは、35歳以下の若者を全国から集め、町の課題解決や新しい事業を生み出すイベント「小布施若者会議」を実施。これを機に誕生した町内のコワーキングスペース「ハウスホクサイ」は、デュアルライフやクリエイターの活動拠点として若者を中心に利用されています。
このように小布施町では多様な関わりによって、住みやすいまちづくりを実現しています。
子育てが落ち着いた後も、充実した生活を送れる環境が整っています。町内イベントへの参加やクリエイティブな活動など、地域活動を通じて新たな生きがいや目標を見つけやすいでしょう。
地域に慣れるには自治会への参加がおすすめです。自治会長が各相談先やイベントを教えてくれて、溶け込みやすいように迎え入れてくれます。朝の清掃活動は顔を覚えてもらうきっかけにもなりますよ。
特徴2.長野県で一番小さな町。市街地周辺は車がなくても生活できる
▲面積がコンパクトながら市街地は道路が広く見晴らしが良い
小布施町は面積が19.12平方kmと長野県で最も小さく(※)、半径2km圏内にほとんどのエリアがまとまっているコンパクトな町です。※参考:令和6年全国都道府県市区町村別面積調(4月1日時点)|国土交通省
市街地には駅や役場をはじめ、スーパー・コンビニ・病院・学校などの各施設が徒歩圏内に集約されていて、車がなくても不便なく生活できます。
主要駅の小布施駅から長野駅までは各駅停車で約30分と近く、長野市のベッドタウンとして小布施町を生活拠点に選ぶ方も少なくありません。
車があれば20分程度で町内全域を回れる他、長野市と中野市まで30分程度と車通勤にも便利です。
上信越自動車道「小布施スマートIC」を利用すれば、軽井沢や国宝松本城などの観光名所まで1時間少しのため、休日は家族で気軽に日帰り旅行を楽しめます。
どんなライフスタイルにも合わせやすいのは、コンパクトかつ近隣都市が生活圏内にある小布施町ならではの魅力と言えるでしょう。
私自身関東出身の移住者で市街地エリアで生活しています。自転車で5分の範囲に店が集約されているので、車がなくても不便なく生活できます。
特徴3.自然体験ができる「子ども教室」楽しく主体性を育める
人と人とのつながりを大事にする取り組みは、子育て支援も例外ではありません。地域と連携した子育て支援・施設が豊富で、中でも「子ども教室」は小布施町独自の取組として好評です。
放課後の小学生を対象に、スタッフの見守りのもと教室や校庭、体育館などで自由に活動ができる「一般コース」(1,000円/月)と、様々な体験活動ができる「活動コース」(1,500円/月)の2コースを設けています。
▲体験を通して交流を深めながら様々な知識を習得
活動コースは一般コースの内容に加えて、米づくりや野菜の栽培、調理実習、キャンプ、もちつきなど、小布施町の自然を活かした学びを体験できます。長野県の北信地方に伝わる宴席の中締めの儀式「北信流」で披露される小謡を能楽師のもとで学びます。「おふせ能」や「能楽大会」で「鶴亀」や「猩々」などを披露しています。
多彩な体験から主体性を育み、楽しみながら友達の輪を広げられるため、自然の中で伸びやかに子育てしたい方にピッタリの環境ではないでしょうか。
小布施スマートICのそばには、「小布施総合公園」があります。週末になると、町内だけではなく、町外からも多くのファミリーが訪れます。
夏季には噴水広場がにぎわうほか、遊具広場や野外ステージ、芝生広場、テニスコートなどもあります。道の駅が併設され、農産物直売所やレストランもあり、疲れたらそちらで休憩することもできます。一日中思う存分遊ぶことのできる公園です。
放課後留守になる家庭の小学生を対象とした「児童クラブ」も設置しています。
小布施町の暮らしに関する情報
ここでは、小布施町の移住生活に役立つ情報をまとめました。まちの基本情報や、仕事・住まいの選び方について解説します。
気候 | 1月平均気温:-0.4℃ 8月平均気温:25.4℃ ※参考:気象庁(※近隣の長野市) |
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人口 | 人口:10,989人 世帯数:4,113世帯 (2024年7月1日時点) |
医療機関 | 病院:1件 クリニック:6院(うち1院休診中) |
学校 | 保育施設:保育園2園、認定こども園1園 小学校:1校 中学校:1校 |
文化施設 | 高井鴻山記念館 歴史民俗資料館 おぶせミュージアム・中島千波館 まちとしょテラソ(小布施町立図書館) |
交通 | 【電車】 長野電鉄長野線:「小布施駅」「都住駅」 【バス】 高速バス:長電高速バス、京阪高速バス 小布施町内周遊シャトルバス「おぶせロマン号」 【高速道路】 上信越自動車道「小布施スマートIC」 |
近隣地域 | 長野市、須坂市、中野市、飯綱町、高山村 |
※2024年7月時点
主要駅は長野電鉄長野線「小布施駅」で、長野市方面の電車は1時間に2〜3本運行しています。7時台と18時台は4本運行しているため、通勤・通学にも不便を感じないでしょう。
小布施駅から徒歩3分の距離には、町立の図書館「まちとしょテラソ」があり、電車の到着時間まで本を読んで過ごす利用者も多く見受けられます。
【仕事】果樹栽培を中心に農業が盛ん。企業勤務は近隣を視野に
▲特産品の一つ「小布施栗」。町内の菓子店には小布施栗を使用したようかんや栗かのこ、どら焼きなどが並ぶ
小布施町は農地が大半を占めており農業が盛んです。
町内の求人は主にアルバイトや役場の業務、福祉・医療関係に限られます。多彩な職種から求人を探したい場合は、近隣都市の長野市・須坂市への勤務も視野に入れましょう。
▼大手求人サイトに掲載されている正社員数
小布施町 | 約100件 ※求人例 |
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長野市 | 約8,900件 ※求人例 |
須坂市 | 約880件 ※求人例 |
※参考:インディード(2024年7月時点)
小布施町に住まいを構えて長野市へ通勤するというように、長野市のベッドタウンとして選ばれる方も少なくありません。
小布施町は特産品の「小布施栗」を中心に、りんご、ぶどう、梨、桃などの果樹栽培が盛んです。
栗の県内生産量は他県と比較して少ないものの、江戸時代には紀州みかん・甲州ぶどうに並ぶ将軍家への献上物「江戸三大果」の一つとして知られています。
このような伝統ある小布施栗をはじめとする豊かな農業を継承するために、小布施町では手厚い就農支援制度を設けています。
▼新規就農支援制度の一例
事業名 | 内容 |
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住居費助成事業 | 町内の賃貸住宅の賃料一部補助 ・家賃の2/3、最長7年間(上限4万円/月) |
新規就農者育成総合対策 (就農準備資金) |
・150万円/年を最長2年間支給 対象者:就農予定時の年齢が原則50歳未満 |
新規就農者育成総合対策 (経営開始資金) |
・150万円/年を最長3年間支給 対象者:独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満 |
農地賃借料補助 | 農地借り受けに関する費用を一部補助 ・農地借地料の1/2、最長5年間(上限10万円/年) |
小布施町公式サイト:新規就農支援制度の概要
各種支援を併用すれば総額500万円以上の支援を受けることも可能です。就農に興味がある方は積極的に利用してみてはいかがでしょうか。
例)新規就農者育成総合対策(150万円×2年)+住居費助成事業(家賃5万円の2/3×7年)=約577万円
【住まい】子育て世帯は最大50万円の新築費用助成あり
▲住宅新築費用の助成対象となる市街化調整区域。落ち着いた環境で生活したいファミリーにおすすめ
小布施町内にある賃貸物件の総数は20件です(※1)。
平均家賃は単身向け(1K〜1DK)が4.5万円〜5.5万円、ファミリー向け物件(1LDK〜2DK)が4.5万円〜6.7万円と長野市と比較してリーズナブルに住めます(※2)。※1.2 ホームズ(2024年7月時点)
移住を機にマイホームの購入を検討しているファミリーは、住宅支援制度を利用しましょう。18歳以下の子どもを持つ世帯は、最大50万円の助成を受けられます。
▼住宅支援制度
子育て応援市街化調整区域住宅新築助成金 | 市街化調整区域内に新築を構える子育て世帯 ・対象:18歳以下の子どもがいる世帯 ・助成率:1/2(最大30万円) ※町内の事業者利用で20万円加算 |
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子育て応援三世代住宅整備助成金 | 三世代住宅の新築・リフォームにかかる費用を一部助成 ・対象:18歳以下の子どもがいる世帯 ・助成率:1/2(最大30万円) ※町内の事業者利用で20万円加算 |
※いずれも2025年7月までに申請書提出・着工した住宅が対象
市街化調整区域とは市街化を抑制する地域を指し、小布施町では田園地帯が広がるエリアが該当します。町がコンパクトでどの地区からも市街地が近いため、郊外でも車があれば買い物もさほど不便を感じないでしょう。
中古物件を探したい方は、長野県が運営する空き家バンクを活用してみてください。
長野県公式:楽園信州空き家・空き地バンク
小布施町へ移住した人の体験談
ここでは、小布施町へ移住した人の体験談を一部紹介します。
- 地域の方の温かさが魅力です。観光に訪れると毎回住民の方がおすすめの観光スポットやお店を案内してくれました。その分け隔てない気さくな雰囲気が移住の決め手となりました。
- 「自分たちでまちを作る」という熱意が伝わります。住民たちにより街がきれいに保たれていることにも良い印象を持ちました。
- 遊び場・自然・スーパーなどすべてが近くに揃っていて生活しやすい環境です。歴史的景観が残る美しい街並みも気に入っています。
”人との交流を大事にする文化”に、魅力を感じるという声が多数聞かれました。活発な自治体活動や「小布施若者会議」などのプロジェクトを通して、地域に馴染めたという方も少なくありません。
住民の声が届きやすい風通しの良さは、古くより住民参加型のまちづくりに取り組んできた小布施町ならではの魅力だと感じました。
小布施町への移住ステップ
最後に、移住を検討する際に利用したい施設とお問い合わせ先を紹介します。小布施町の魅力を詳しく知り、理想の移住生活を実現させましょう。
移住体験施設「ハウスホクサイ」の宿泊スペースを利用しよう
クリエイターたちの活動拠点「ハウスホクサイ」には、1Fのワークスペースに加えて、2Fには宿泊施設が併設されています。
【「ハウスホクサイ」の宿泊スペース】
料金 | 3万8500円/月(税込) ※水道光熱費込み |
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利用期間 | 最長1年(短期利用は応相談) |
設備 | 家具・家電、寝具1セット |
2018年のオープン以降クリエイターを中心に利用され、2023年度には7月〜翌年2月まで滞在して移住へ至った方もいます。
移住を機に起業に挑戦したい方はもちろん、長期で小布施町の移住生活を体験をしてみたい方はぜひ活用してみましょう。
小布施町への移住に関するお問い合わせ
担当課 | 企画財政課 企画交流係 |
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住所 | 〒381-0297 長野県上高井郡小布施町小布施1491-2 |
電話番号 | 026-214-9102(企画財政課) |
対応時間 | 08:30〜17:15 |
公式サイト | https://www.town.obuse.nagano.jp/ |