岩手県野田村での移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

この記事では、地方移住を検討している人に向けて、岩手県九戸郡にある野田村の暮らしを紹介します。

野田村は太平洋沿岸に位置する、海・山・川に囲まれた自然豊かな村。「のだ塩」をはじめとした海と山の恵みを活かした豊かな食の魅力や、充実の子育て環境、交通面や気候面での暮らしやすさなど、バランスの整った生活環境が魅力です。

そんな野田村での暮らしの魅力をはじめ、移住支援制度なども詳しく解説していきます。

本日お話を伺った方
野田村役場未来づくり推進課移住定住観光班主柾谷裕子さん

野田村役場 未来づくり推進課
移住定住観光班 主査

柾谷 裕子さん

野田村の暮らしの魅力

岩手県野田村の暮らしの特徴

野田村は岩手県の沿岸北部にある、人口約4,000人、総面積約80平方キロメートルのコンパクトな村。村内には海・山・川を有しており、豊かな自然に育まれた「美しい景観」と「美味しい食」が魅力です。また野田村がキャッチフレーズとして掲げる「育てあう村」の言葉の通り、村に根付く地域との支え合い、助け合いの精神も特徴です。

雪の多いイメージのある東北地方に位置していますが、冬は比較的降雪が少なく、夏は「やませ」という冷たく湿った海風の影響で涼しく過ごすことができます。高速道路のIC開通により交通利便性も向上しており、気候的にも交通アクセス的にも暮らしやすい村です。

そんな野田村への移住をおすすめしたいのは、次のような方です。

  • 子育て世帯へのサポートが充実しているまちで暮らしたい
  • 地域で子どもを見守り育ててくれる環境があると安心できる
  • 海も山も近くにある自然豊かな場所が好き
  • 移住先では豊かな自然の恵みを受けた「食」を楽しみたい
  • 普段は田舎暮らしをしながら、仕事や週末の遊びの場は周辺都市も含めて多様な選択肢が欲しい

野田村には「自然環境」「公共サービス」「地域のつながり」「利便性」がバランス良く整った環境があります。そんな野田村の暮らしの魅力を、3つの観点から深掘りしていきます。

魅力1:「育てあう村」を体現する充実の子育て環境

野田村では「育てあう村」を謳い、村全体で子育てしやすい環境づくりを進めています。大きな特徴として挙げられるのが、経済的な支援をはじめとする子育て世帯への公的サポートの充実。

妊婦の医療費助成から子どもの医療費無償化、出産祝金、さらにはインフルエンザワクチン予防接種への助成まで、子どもの成長に応じたきめ細かなサポートを受けることができます。

▼子どもの成長に応じた経済的支援制度

妊婦医療費への支援 妊娠5か月から出産した月の翌月末までにかかる妊婦の医療費の一部負担金を村が全額助成する制度。
妊婦歯科検診への助成 妊婦の口腔内診査と歯科保健指導にかかる費用を1回3,000円上限で助成する制度。
妊産婦健康診査等交通費助成 すべての妊婦を対象に、医療機関までの交通費を一部助成する制度。
出産祝金『エンゼル祝金』 子どもが生まれた家庭に対して出産祝金を支給する制度。多子世帯程加算金額が大きくなり、最大で第4子以降は12万円を支給。
在宅育児への支援 生後8週~満3歳まで保育所に預けず家庭で保育をしている世帯に対して、月10,000円分の野田村共通商品券を支給する制度。
保育園の無償化 児童全員の保育料を無料化する制度。
子ども医療費の無償化 高校卒業までの子どもの医療費を全額助成する制度。
インフルエンザワクチン予防接種への助成 生後6か月以上の全村民に対してインフルエンザワクチン予防接種を無償化する制度。
野田村育英会奨学金 専門学校、大学に進学希望があるが経済的な事情がある学生に対して、無利子で奨学金を貸与する制度。

また野田村の子育て環境で特徴的なのは、公的支援が充実しているだけでなく村全体で子どもを育む意識が醸成されていること。子どもたちと地域の方との距離がとても近く、「地域皆が知り合い」という環境の中で子育てをすることができます。

放課後子ども教室「のだキッズセンター」では、地域の方が講師となって子どもたちに踊りや料理を教える機会も設けられており、多世代交流の機会にもなっています。

移住先で子育てをする場合は、知り合いがいない中で孤立してしまわないか不安を感じる方も多いかもしれません。しかし「育てあう」環境のある野田村なら、手厚い公的支援と地域の暖かな見守りの目の中で、親も子どもも安心してのびやかに暮らしていくことができそうです。

岩手県野田村の「十府ヶ浦公園」
▲野田村では子どもの遊び場も充実!特に人気な「十府ヶ浦公園」では遊具もたくさん

魅力2:自然を活かしたイベント・おいしい食を楽しめる

岩手県野田村の玉川海岸▲岩手県野田村の玉川海岸

海も山も近くにある野田村では、緩やかな海岸線が美しい十府ヶ浦の風景や、野田村の最高峰・和佐羅比山など、日常的に美しい自然の姿を楽しむことができます。

玉川海岸沿いのキャンプ場や、和佐羅比山での山登りなど、子どもから大人までさまざまな形で自然を満喫できるのもポイントです。

岩手県野田村の十府ヶ浦
▲十府ヶ浦の日の出風景

岩手県野田村の「塩の道を歩こう会」
▲かつて「のだ塩」を牛の背に載せて運んだ歴史ある山道を歩く「塩の道を歩こう会」も人気

自然の恵みは美しい景観やアクティビティだけではありません。野田村には海と山の恵みを受けたおいしい食べ物がたくさんあります。

特に伝統的な製法でつくられた「のだ塩」は有名で、のだ塩を使った「のだ塩ソフトクリーム」や「のだ塩ラーメン」といった名物もあります。他にも野田村の漁師で組織する「荒海団」が手塩に掛けて育てた荒海ホタテや荒海ワカメ、手間暇かけて糖度を高めた山ぶどう、ワイン、鮭、南部福来豚など、海の幸・山の幸の特産品は盛だくさん。

村の玄関口「道の駅のだ」にある直売所では新鮮な野菜を購入できます。その向かいの「お魚センター」では三陸沿岸で水揚げされた新鮮な魚介類が並んでいます。

岩手県野田村の特産品「山ぶどう」
▲野田村の特産品「山ぶどう」

岩手県野田村の名物「ぱあぷるラーメン」
▲道の駅のだにある「レストランぱあぷる」の人気商品「ぱあぷるラーメン」

岩手県野田村の「野田塩ソフトクリーム」
▲岩手県野田村の名物「のだ塩ソフトクリーム」

野田村の豊かな食は、子どもたちの給食にも活用されています。地元食材をふんだんに使った給食は、村の人から「とにかくおいしい」という声があがる程です。

生産者の方から子どもたちに野田村の食の魅力を伝える機会もあるそうです。地元でつくっているからこそ“生産者の顔が見える”環境があるのは、子どもの食育の観点からみても嬉しいポイントです。

岩手県野田村の学校給食
地域の特産品を活かした学校給食(写真は荒海ホタテ)

魅力3:コンパクトな生活と周辺都市へのアクセスの良さを兼ね備えた「暮らしやすさ」

野田村は人口約4,000人弱、面積も岩手県の中で4番目に小さい、全体的にコンパクトなサイズ感の村です。しかし村内にはスーパーや銀行、病院など生活に欠かせない施設が整っているため、生活に大きく不便なことはありません。

生活施設は中心市街地に集結してはいますが、山間部からも10分かからないため、どこで暮らしても村内の主要施設にすぐアクセスできる環境があります。

さらに2021年12月には村内に「野田IC」が開通し、周辺都市との交通利便性も向上しました。隣市の久慈市だけでなく、青森県八戸市にもアクセスしやすくなったことで、遊びに行く場所の選択肢はもちろん、仕事の選択肢も広がっています。

普段は自然豊かな田舎暮らしを楽しみ、必要に応じて周辺の都市機能も活用する。野田村ならそんな良いとこ取りの生活で自分らしい暮らしを送ることができそうです。

野田村の暮らしに関する情報

ここからは、野田村での暮らしで気になる基本的な情報をご紹介します。

気候 1月:平均気温-0.5℃
8月:平均気温21.9°C
※参考:気象庁ホームページ(野田村内に観測地点が無いため、久慈地点を参照)
人口

3,984人
※2023年11月末日時点(公式サイト参照)

病院 一般診療所:1か所
歯科医:1か所 
学校 【保育】
保育所:3か所

【学校】
小学校:1校
中学校:1校
高等学校:1校
交通 【公共交通】
三陸鉄道リアス線(陸中野田駅・十府ヶ浦海岸駅・野田玉川駅)
岩手県北バス(久慈路線バス久慈海岸線)

【車】
2021年12月に三陸沿岸道路(仙台~八戸)全線開通、村内に「野田IC」が開通
近隣都市 久慈市(車で10~15分)・普代村・岩泉町

まず気になる気候についてですが、野田村は太平洋沿岸部ということもあり、冬季でもそこまで積雪はありません。夏は「やませ」の影響で比較的涼しく過ごせるのもポイントです。

前述した通りスーパーや銀行、病院などの生活機能はある程度充足しており、中心市街地に集結しています。小児科や産婦人科といった医療機能や、大きな買い物、遊びに行く場所などに関しては車で10~15分でアクセスできる久慈市を利用する方も少なくありません。

仕事情報:村外、リモートワーク、起業も含め幅広い選択肢から検討するのが◎

野田村の正社員の求人数を大手求人サイトで調べると、10数件の求人がヒットしました。村内では漁業、農業、土木関連などさまざまな仕事に就業している方がいますが、村内だけを見ると豊富な求人数があるとは言いづらい状況です。
※参考:村内求人情報の一例

30分以内で通勤できる近隣も含めると400件以上に求人数が増えました。久慈市まで車で10~15分、青森県八戸市まで約1時間という交通利便性を活かし村外で働いている方も多いようです。
※参考:近隣の求人情報の一例

村内には築160年以上の伝統的民家を改修したワークスペースなど、自宅以外でリモートワークできる場所も整備されています。また農業等の起業支援制度もあります。村内就業にこだわらなければ、多様な選択肢から自分に合った働き方を選ぶことができそうです。

地域新事業チャレンジ応援補助金 村内の農業、林業、漁業及び商工業の分野での起業等を支援するために、個人・団体は50万円、法人は300万円を上限に必要な経費に対して補助金を交付する制度。

住まい情報:移住者向けの住まい取得支援を活用しよう

野田村には賃貸物件は少なく、大手物件サイトでも探しづらい状況があります。

住まい探しには空き家バンクも活用されていますが、築年数が浅い家などはすぐに居住者が決まってしまうようです。もし空き家バンクを活用したい方は更新情報をこまめにチェックすることをおすすめします。

※最新の空き家バンクの情報はこちら:https://www.vill.noda.iwate.jp/soshiki/miraizukurisuishinka/ijuteijuhan/iju_teiju/671.html

野田村では移住者に対して物件購入、賃貸のそれぞれに補助があるため、住まい探しの際は参考にしてみてください。

住宅建築費及び購入費補助金 野田村への定住を目的に住宅を新築・購入した方に対して最大150万円を補助。
賃貸住宅家賃補助金 村に定住することを目的とする方で賃貸住宅に入居する場合、最大月2万円を補助。

野田村への移住者の口コミ・体験談

岩手県野田村の移住者の声

ここでは、実際に野田村に移住した方の口コミ、体験談を紹介します。

  • 都市部のような派手さはないので不便を感じることもあるが、それ以上に魅力的な海、山、川がもたらす自然の恵みがある
  • 「育てあう」をテーマにした充実の子育て環境に魅力を感じて移住した
  • 地域の中で声をかけあい、人々の優しさを感じなら生活できる
  • 就農に不安を感じていたが、経験豊富な農家さんからの指導をしっかり受けることができた
  • 移住して農業に関わる中で、「自分が村の役に立っている」というやりがいを感じられている
  • 農業や漁業に携わる職人の先輩から学ぶことが多い。ここでしかできない経験がたくさんある

豊かな自然環境はもちろんのこと、特に「人と人とのつながり」に魅力を感じる声が多く聞かれました。担い手不足が進む農業に携わることで「村の役に立っている」というやりがいを感じるという方もいるようです。

村の人口が多くない分、移住した方が村の活力をつくる担い手となるのは、とても意義のあることだといえそうです。

野田村への移住の具体的なステップ

ここまでの記事を読んで野田村への移住に興味を持った方に向けて、移住の具体的なステップを解説します。

観光・ワーケーションで野田村の雰囲気を体感

移住先を決めるにあたっては、そのまちの雰囲気が自分に合っているのかを確かめておくことが重要です。そのため、まずは観光を楽しむ感覚で一度野田村に行くことをおすすめします。

野田村は小さな村なので、観光で訪れた短い時間でも村内を巡ることができます。野田村の隣の久慈市は連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地でもあるため、あまちゃん好きは聖地巡礼とあわせて訪れてみるのも良いかもしれません。

また、野田村では四季折々のさまざまなお祭りイベントが行われています。そういったイベントに参加することで村の活気を体感できるので、気になったイベントの開催時期に合わせて訪れてみるのも良いでしょう。

岩手県野田村の「野田まつり」
▲年に1回開催される「野田まつり」の盛況の様子

最大30日宿泊可能!お試し移住施設で「野田村暮らし」を具体的にイメージ

観光で訪れるだけでも野田村の空気感は感じられますが、より「生活していく」イメージを具体的にしたいのであればお試し移住をおすすめします。野田村には「のんちゃんハウス」というお試し移住用の施設があり、1日500円で最長30日宿泊することができます。

また、野田村にはワーケーション向けの施設も複数整備されています。自分の好きな場所で長期滞在しながら、買い物や交通利便も含めて野田村での暮らしを体験してみてはいかがでしょうか。

野田村への移住に関するお問い合わせ

担当課 野田村役場 未来づくり推進課
住所 〒028-8201
岩手県九戸郡野田村大字野田第20地割14番地
電話番号 0194-78-2963(直通)
対応時間 8:30〜17:15(平日のみ)
公式サイト https://www.vill.noda.iwate.jp/index.html