岩手県西和賀町での移住はどう?知っておきたい暮らし・仕事・支援情報

この記事では、地方への移住を検討している方に向けて岩手県西和賀町(にしわがまち)で暮らす魅力を紹介しています。

西和賀町は岩手県の南西部に位置し、西は秋田県横手市や大仙市に接しています。奥羽山脈の山懐にある自然に恵まれたまちを南北に貫く和賀川はダム湖(錦秋湖)へと流れ、温泉地としても知られます。

近隣エリアとのアクセスがよく、高速道路を使っていろいろな観光地や名所に行きやすいことも特徴です。

「一つの家族が安心して子育て出来る」まちを目指しており、医療・保健・福祉・教育・生活など支援制度が充実しています。

雪と共に生きるために人々が手を取り合いお互いを見守る環境は町の財産といえるでしょう。6次産業として地域ブランドづくりに取り組むなかで「雪」をテーマにしたプロジェクトが注目され、雪国の暮らしに魅力を感じて移住を考える人も増えています。

そんな西和賀町への移住に役立つ情報を移住コーディネーター・工藤博さんに聞いたお話しや、移住された方の声を交えながら紹介します。

本日お話を伺った方
移住コーディネーター 工藤博さん

移住コーディネーター

工藤 博さん

西和賀町の暮らし3つの特徴

岩手県西和賀町の暮らしの特徴

西和賀町は豊かな自然や育まれてきた伝統文化を守り伝えてくれる"新たな町民”を増やすため、さらに魅力ある地域づくりを目指しています。

たとえば「女性が住みやすいまちづくり」のために結婚・出産・子育て支援を充実させることを目標に掲げています。

そんな西和賀町は地方移住することで次のようなことを望む方におすすめです。

  • 自然に囲まれてゆったりとした時間を過ごしたり、アウトドアを楽しみたい
  • 子育て世帯が安心して暮らせる田舎町に住みたい
  • 雪国での暮らしを満喫しながら近隣エリアにも遊びに行きたい

上記のような方におすすめしたい理由を、西和賀町の特徴とともに解説します。

特徴1:自然豊かで四季が美しい。ダム湖やスキー場、温泉もある

西和賀町の北西部にそびえる和賀岳(標高1,439m)を源流に、錦秋湖へと流れるのが和賀川です。錦秋湖周辺は自然豊かな場所で、湯田温泉峡県立自然公園に指定されています。

ダム湖の水没林「錦秋湖」

錦秋湖は和賀川に建設された湯田ダム(ゆだダム)にかかわる人造湖で、ダム湖百選に選定されました。

その上流部に建設された湯田貯砂ダムは水が放流される様子を内側の通路から鑑賞できるため「錦秋湖大滝」と呼ばれます。7月〜10月頃にはナイトイベント「錦秋湖大滝ライトアップ」が名物となっています。

ダムのライトアップ「錦秋湖大滝」
▲ダムのライトアップ「錦秋湖大滝」

冬の錦秋湖は大雪原となるため「カンジキ」を履いてスノートレッキングを楽しむことができ、4月下旬からは雪が解けて新緑の水没林を巡るカヌーツアーが体験できます。さらに夏の錦秋湖畔はハイキングコースとして人気があります。

西和賀町には初級者から上級者まで家族そろって楽しめる町営の湯田スキー場と志賀来(しがらい)スキー場があります。12月下旬から3月上旬頃まで滑走が楽しめ、クロスカントリースキー大会も開催されます。

温泉がある駅舎「ほっとゆだ駅」

西和賀町の旧・湯田町周辺には湯本温泉や湯川温泉、大沓温泉、巣郷温泉などさまざなま温泉があり「湯田温泉峡」として有名です。駅舎に温泉を併設した「ほっとゆだ駅」や、東北初の砂風呂である「砂ゆっこ」といった個性豊かな温泉も楽しめます。

滝と紅葉の風景が楽しめる「白糸の滝」

秋田県仙北郡美郷町と岩手県和賀郡西和賀町の境に位置する女神山は登山コースとして知られ、白糸の滝などの名所があります。

桜とカタクリの花「安ヶ沢カタクリ群生地」
▲桜とカタクリの花「安ヶ沢カタクリ群生地」

安ヶ沢カタクリ群生地では雪解けとともに春の訪れを告げる花が咲きはじめ、4月下旬から5月上旬にはカタクリの花やオオヤマザクラが見られます。

移住コーディネーター 工藤博さん
工藤さん

ダム湖でサップやカヌーなどアクティビティーを楽しめるし、温泉もたくさんあるので自分のためにゆっくりと時間を使えますね。自然環境にひかれて移住してくる人もいます。

特徴2:子育て世帯に優しいまち。保育所から高校まで支援制度が充実

西和賀町では出生から高校生まで医療費の助成を受けられるほか、保育の待機児童ゼロを実現しており、保育料免除などの支援制度があります。

西和賀町ではさまざまな子育て支援制度を行っています。以下で一部ご紹介します。

不妊に悩む方への特定治療支援 不妊治療のうち体外受精・顕微鏡受精を受けられたご夫婦は条件を満たせば治療費の一部を1回につき20万円を限度に助成金を受けとることが可能です。
※問い合わせ先:沢内庁舎 健康福祉課(保健)
新生児聴覚検査費用の助成 生まれてすぐ聴覚障害の疑いがないかを調べる新生児聴覚検査に要した費用の2分の1を、4,000円を上限に助成金を受け取ることができます。
※問い合わせ先:沢内庁舎 健康福祉課(保健)
子ども医療費助成制度 出生から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで助成を受けることができます。
※問い合わせ先:沢内庁舎 健康福祉課(福祉・医療保険)
児童手当 児童の健全育成を目的にした手当てを学校卒業までを対象に養育している方が受け取ることが可能です。
【支給額】3歳未満一律15,000円・3歳以上小学校修了前10,000円(第3子以降は15,000円)・中学生一律10,000円
※問い合わせ先:沢内庁舎 健康福祉課(福祉・医療保険)
保育料免除 保育所・保育園は3~5歳児クラスが保育料本体を全額無償、0~2歳児クラスは保護者負担(非課税世帯は全額無償)となります。
申請すれば保育所入所児童3人目以降の保育料免除を受けることが可能です。
※問い合わせ先:湯田庁舎 教育委員会学務課

ほかにも岩手県立西和賀高等学校では「兄弟姉妹は2人目以降の通学費を全額補助」「ランチのおかず提供:希望者は実質負担1食150円で利用可能」といった支援を受けることができます(問い合わせ先:湯田庁舎 教育委員会学務課)。

ちなみに旧沢内村(湯田町と合併して西和賀町に)は「人間の尊厳・生命尊重こそが政治の基本である」を信条としていました。現在は資料館で故深澤晟雄村長の業績を伝え続けています。

生命尊重行政「深澤晟雄資料館」
▲故深澤晟雄村長の業績を伝える「深澤晟雄資料館」

特徴3:盛岡市など近隣都市へのアクセスが充実

西和賀町には国道107号が東西に走り、南北には県道1号が通っているため、近隣エリアや秋田県とのアクセスがよく、秋田自動車道を使えば湯田ICから秋田中央ICまで約1時間で到着します。

岩手県北上市と秋田県横手市の間に位置しておりJR北上線が通る交通の要です。国道107号を通れば西和賀町役場から雪まつり・かまくらやご当地グルメ・横手やきそばが有名な横手市まで約30分、スポーツタウン北上市まで約50分でつきます。

岩手県県庁所在地の盛岡市までは国道46号と県道1号を通って約1時間ほどの距離にあり、湯田ICから秋田自動車道を経由することでさらに時間短縮が可能です。

移住コーディネーター 工藤博さん
工藤さん

北東北では真ん中の位置にあるので、いろんな所へも遊びに行きやすいです。高速道路を使えば日本海側や太平洋側も2〜3時間で行けます。

西和賀町の暮らしに役立つ情報

西和賀町は周辺エリアとのアクセスがよいだけでなく、交通渋滞が少ないのでストレスを感じません。町内にも観光名所やグルメスポットがたくさんあるので気軽なドライブを楽しめます。

ここでは西和賀町の基本データや仕事・住まいの情報を紹介します。

気候 平均気温 2月-2.1℃ 8月22.3℃
気象庁「岩手県湯田」より
人口 人口:約4,989人
世帯:約2,226世帯(2023年2月末現在)
近隣都市 花巻市、北上市、奥州市、秋田県仙北市、大仙市、横手市
病院 病院・診療所4、歯科医院2
学校 小学校2、中学校2、高校1
保育所(園) 保育所3、保育園2
交通 ■高速道路 
浦和IC(東北自動車道)-北上JCT:約6時間
北上JCTー(秋田自動車道)ー湯田IC:約20分

■鉄道
東京駅ー(東北新幹線)ー北上駅:約3時間
北上駅ー(JR北上線)ーほっとゆだ駅:約45分

■飛行機
札幌ーいわて花巻:約55分
名古屋ーいわて花巻:約1時間10分
大阪ーいわて花巻:約1時間20分
福岡ーいわて花巻:約2時間
いわて花巻空港ー(バス)ー北上駅:約50分

町内のスーパーやホームセンターへは車で20分程度です。コンビニやドラッグストアがないため、町外まで買い物に行く必要がある時は隣町まで約1時間かかります。

仕事情報:西和賀町内で求人あり、移住して転職する人も

大手求人サイトで西和賀町を勤務地とした正社員の求人を検索したところ、約190件でした(2023年3月現在)
※参考:求人情報の一例

ほかの大手求人サイトによると岩手県における正社員の平均年収は約326万円、月給換算で27万円が相場とのことです。仕事を探す際の目安にしてください。
※参考:岩手県の仕事の年収・時給・給料

西和賀町では町内での起業や新規就農などを支援する制度が活用できます。

西和賀町創業支援事業費補助金 西和賀商工会の会員で補助金の申請年度内に創業する場合は上限150万円の補助を受けることができます。
※問い合わせ先:湯田庁舎 観光商工課
農業次世代人材投資事業交付金 45歳未満で就農を目指して研修を受ける場合に年間150万円を最長2年間受け取ることが可能です。
※問い合わせ先:沢内庁舎 農業振興課

なお2022年12月には「西和賀町地域おこし協力隊」として観光商工課が観光分野で観光PR等の事業展開に関わる人材を募集しており、林業振興課では「森林組合就業コース~目指せ!一流のきこり~」への参加を募りました。

住まい情報:売買居住用農地付き物件も有、空き家バンクを活用できる

西和賀町ホームページの「住まい」情報では民間賃貸住宅や町営住宅が少ないため「主に空き家を紹介します」と案内しています。
※参考:西和賀町への移住定住

大手賃貸情報サイトで和賀郡西和賀町の空き家を探したところ空き家物件・9件のうち賃貸居住用が3件、売買居住用が6件でそのうち詳細情報が出ていたのは農地付き物件が1件でした。(2023年3月現在)
※参考:岩手県和賀郡西和賀町の空き家物件

西和賀町では移住するための住まい探しに空き家バンク制度を活用できます。詳しくは最後の項目「西和賀町への移住を考えているなら」をご覧ください。

西和賀町に移住した人の感想や体験談

西和賀町 移住者の声

西和賀町に移住した先輩たちの声をご紹介します。移住を考えたきっかけや、実際に暮らしてみて印象が変わったことなど参考になるのではないでしょうか。

  • 孫ターンです。新しいフィールドで挑戦したくて移住しました。就農していちごを作っています。
  • どこに車を置いてもよくて、花を植えてもいい。自分の生きる場所なんだなぁという安心感がある。
  • 地域おこし協力隊として移住しました。ユキノチカラプロジェクトなど常に新しいことが生まれている感じが好きです。
  • 林業関係の地域おこし協力隊に応募しました。とにかく静かでいいですね。生まれて初めてカッコーが鳴くのを聞きました。
  • 移住前は買い物をどうするか気になりましたが、コンビニもなければないで困りません。スーパーに週1回程度行けば十分です。

このほかには東日本大震災後にボランティアとして訪れたり、地域おこし協力隊をきっかけにまちの人たちのやさしさに触れて移住を考えたという声が目立ちました。

西和賀町への移住を考えているなら

移住体験住宅を活用して実際に町で暮らしてみてはいかがでしょう。「雪は好きだけれど雪国の生活はどんな感じなのか知っておきたい」という方は冬季も滞在が可能です。

移住体験住宅 移住をお考えの方は移住体験施設として空き家を借りることが可能です。
【利用期間】3日~30日以内、通算60日が限度。
【利用料金】500円/日(冬季は700円)

移住するための住まい探しは空き家バンク制度を活用することができます。西和賀町ではほかにも移住支援事業を行っています。

空き家バンク 西和賀町HPで情報公開した空き家バンクに登録された物件を希望する場合、
利用登録して申請することで物件所有者と交渉・契約することができます。
移住支援金 東京23区から西和賀町へ移住して就業した方は条件を満たせば支援金を(最大100万円)受け取ることができます。
世帯での移住の場合は100万円、単身での移住は60万円
起業の場合はさらに起業支援金を最大200万円受け取ることが可能です。
移住者住宅取得補助金 移住者の方は西和賀町で住宅を取得する際、事前に申請することで補助金を受け取ることができます。
工事着手前、購入前に交付申請書を提出しないと補助金を受け取れないので注意が必要です。
若者定住促進住宅 西和賀町で暮らす若者は定住の条件を満たせば住宅を借りることができます。
【対象】町内に住所を有する40歳未満の単身者。12世帯。
【入居期間】5年(更に5年まで延長可能)

移住体験住宅および移住支援に関するご相談はこちらへお願いします。

▼西和賀町役場湯田庁舎 ふるさと振興課

住所 岩手県和賀郡西和賀町川尻40地割40番地71
電話番号 0197-82-3285
公式サイト 西和賀町HP「移住・定住」