熊本県南阿蘇村への移住!雄大な自然と豊かな暮らしを実現する支援制度
今回の記事では、地方への移住を考えている方に向けて、熊本県南阿蘇村での暮らしに関する情報をご紹介していきます。
南阿蘇村は阿蘇カルデラ内の南部に位置する村で、草原や雄大な山、きれいな水など自然が色濃く残る美しい場所です。
今回は、南阿蘇村の特徴や住まい、仕事や子育てについて、村の移住担当の方にうかがった話を元にお伝えしていきます。
南阿蘇村の魅力:移住前に知っておきたい3つの特徴
南阿蘇村は、雄大な阿蘇五岳を中央に有する阿蘇カルデラ内の南部に位置する村です。多くの湧水群があることから名水の里としても知られています。
きれいな水から作られる農作物や圧倒的な自然景観に魅了され、移住を希望する人も多いのだとか。
そんな南阿蘇村への移住には、次のような方が向いています。
- 自然の中で子育てしたい
- 都会での生活から離れて、のびのびと暮らしたい
- きれいな水や農作物が手に入る生活がしたい
- 伝統文化や人のつながりを大切にして暮らしたい
ここからは、南阿蘇村の特徴について詳しくみていきましょう。
特徴1:阿蘇五岳の絶景が広がる圧倒的な自然環境
▲東西に一列に並ぶ阿蘇五岳(あそごがく)の風景
南阿蘇村の一番の特徴は、なんといっても阿蘇山のある雄大な風景です。阿蘇山は世界でも有数と言われる大型カルデラと外輪山を有し、その麓に広がる水田と草原地帯の美しさには誰もが目を奪われます。
村を横断する街道を走っていると、雄大な山々をバックに牛がのんびりと放たれている光景を目にすることもできます。その広大な風景はなんとも感動的で、開放的な気分に浸れることでしょう。
▲南阿蘇村で古くから飼育されている「あか牛」
これほどの大自然に囲まれながら、近隣の熊本市までは車で1時間ほどでアクセスできるため、自然に癒やされる拠点を持ちつつ、周辺のいろいろなスポットへ出ていくことも可能です。都市部まで働きに行くという選択もできるかもしれません。
農業を始めたい人や、リモートワーカーなら、自然のなかでの暮らしを堪能できることでしょう。
特徴2:名水百選の湧水群:美味しい水と食材の宝庫
▲名水百水に選出されている白川水源
二つ目の特徴としてあげられるのは、きれいな水に恵まれた環境です。南阿蘇村には、阿蘇の地形が長い年月を経てもたらした湧水群が豊富にあります。
なかでも、白川水源はカルデラ内の代表的な湧泉です。毎分60トンもの良質な天然水が湧出し、”名水百選”にも選ばれています。
参考:白川水源(みなみあそinfo)
参考:その他の南阿蘇村の水源(みなみあそinfo)
南阿蘇のきれいな水を使ってご飯を炊くと、格別に美味しいご飯ができるそうですよ。
水源を活かして、こだわりの珈琲やハーブティーを楽しむ人も多いです。南阿蘇村に住んだら、豊かな水の恩恵を感じて暮らすことができるでしょう。
特徴3:伝統文化を大切にする地域:地区ごとの宮祭りが盛ん
▲長野阿蘇神社の秋季大祭。300年以上の歴史を持つ「長野岩戸神楽」の様子。
南阿蘇村には、伝統文化を受け継ぐ地域のお祭りがたくさんあります。無病息災と五穀豊穣を祈る1月の「どんどや」や、花火も打ちあがる夏祭りは、村が活気づく催しです。
村の行政区ではそれぞれ祀っている神様も多く、地区ごとに宮祭りを大事に実施しています。畑のまんなかに鳥居などがある風景は、独特な文化として印象的です。
▲祭りのお神輿を担ぐ子どもたち
南阿蘇村の3地区:エリアごとの特色と暮らしの違い
▲久木野地区にある「道の駅あそ望の郷くぎの」の風景
南阿蘇村は、2005年に阿蘇郡の旧白水村、旧久木野村、旧長陽村の3村が合併して発足した村です。3つの地区に37行政区があり、それぞれの歴史や行事があります。
暮らしのルールや自治会の集まりなどは地区によって異なり、それぞれ協力し合ってゴミステーションや公民館、神社の維持管理が行われています。
長陽地区(16区) | 村の北西部にあたる一帯。役場や新阿蘇大橋があり、神話や昔話が多く残る地域。 |
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白水地区(12区) | 村の北東部にあたり、白川水源をはじめ水源が豊富な地域。 |
久木野地区(9区) | 村の南部にあたり、五岳の眺めが良く移住者が多い地域。公民館単位で行事が行われる。 |
行政区では、それぞれの区長が村民と行政の橋渡しをしています。3つの地区にはそれぞれ保育園と小学校があり、保育園バスとスクールバスの利用が可能です。
美化作業や地域行事などの集まりに参加して、村民と交流を深めることができます。
移住担当に相談してもらえれば、具体的な地区に関するお尋ねについては回答できると思います。区長につないで情報を得ることもできますよ。
南阿蘇村での生活:気候・医療・教育など暮らしの基本情報
気候 | 8月平均気温:26.1度 1月平均気温:2.7度 ※気象庁ホームページ |
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人口 | 約10,000人、約4,700世帯 (※2023年7月31日現在) |
病院 | 診療所5、総合病院1、歯科医院3 (※2022年11月現在) |
学校 | 保育園3、小学校3、中学校1、通信制高校1、専門学校1 |
交通 | ・JR豊肥本線:1駅 ・南阿蘇鉄道・高森線:9駅 ・コミュニティバス(ゆるっとバス) ・九州横断バス、特急バス、快速バス ・国道57号・325号 ・乗合タクシー(要事前予約) |
大都市へのアクセス | ・熊本市内まで車で約1時間 ・熊本空港まで車で30分 ・九州新幹線「熊本駅」まで豊肥本線と南阿蘇鉄道で約50分 ・福岡まで「熊本駅」から新幹線で30分 |
文化 | あそ望の郷くぎの夏祭り、どんどや、長野阿蘇神社「長野岩戸神楽」、等 |
イベント | 阿蘇ロックフェスティバル、さくらまつり、等 |
近隣市町村 | 阿蘇市・高森町・大津町・西原村・山都町 |
南阿蘇村の夏は、昼間は暑く夜は寒いという寒暖差があります。冬は2月が特に寒く、寒さ対策がされていないと厳しい寒さとなるようです。
買い物はエリア内にスーパーマーケットが1件あり、車で15分~20分の高森町や大津町には、大きなショッピングセンターがあります。
交通面ではバスはありますが本数が少なく、乗合タクシーは事前予約が必要です。電車で近隣都市に行くこともできます。
南阿蘇村での生活では、通勤や買い物などでの移動は車があたり前になってます。
観光スポットとしては、南阿蘇の見事な景色を活かした複合施設があります。久木野地区にある「道の駅 あそ望の郷くぎの」では、阿蘇の大パノラマを一望できるレストランや広大な芝生広場、パークゴルフ場、そば道場などが完備され、南阿蘇の特産品を買うこともできます。
▲「あそ望の郷くぎの」のあか牛モニュメント。広大な敷地は夏祭りのイベント会場にもなる。
公式:道の駅 あそ望の郷くぎの
また、村内には温泉施設もあります。温泉好きな人は、お湯に浸かってリラックスした時間が楽しめることでしょう。
参考:温泉施設(みなみあそinfo)
仕事情報:多様な就業機会と起業支援、新規就農プロジェクトも
南阿蘇村は農業と観光が主です。大手の求人情報サイトで検索すると、エリア内での正社員の求人件数は300件ほどです(2023年8月現在)。
※南阿蘇村での求人情報の一例
近隣の町まで範囲を広げると求人件数はぐっと多くなります。南阿蘇村以外で働いている方は、車で約1時間の熊本市や、約20分の大津町などへ働きに出ているケースが多いようです。また、南阿蘇村はインターネット環境も整っているので、テレワーカーとして在宅勤務という選択も可能です。
一方、移住者で起業を希望する方も多く、観光客を相手に喫茶店や飲食店を始める人もいます。
新規就農支援と地域おこし協力隊:農業で新生活を始める選択肢
就農を目指す方は、熊本県と市町村の新規就農支援制度があるのでチェックしてみてください。
公式:熊本県・市町村の新規就農支援制度(熊本の新規就農ポータルサイト)
南阿蘇村はアスパラガス、トマト、ミニトマト、いちごなどの産地で、花類を育てる人もいます。畜産では褐毛和種の「あか牛」が特産品です。
▲南阿蘇村の特産品のアスパラガス
▲南阿蘇村で収穫されるミニトマト
▲南阿蘇村の寒暖差で美味しく育ついちご。いちご農園ではいちご狩りもできる。
南阿蘇村では「地域おこし協力隊」の制度に取り組んでおり、その中の新規就農プロジェクトに参加した後に就農を目指すという人もいます。地域おこし協力隊は、一定期間地域に居住して地場産品の開発や地元産業の応援、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行うもので、年間5人から10人くらい採用しています。
就農以外にもさまざまプロジェクトがあります。時期によって募集内容も変わるので、どのような活動があるのかチェックしてみてはどうでしょうか。
参考:南阿蘇移住サイト はたらく
参考:新規就農プロジェクト
参考:地域経営組織推進プロジェクト
住まい情報:賃貸住宅助成と空き家バンク制度で住居探しをサポート
南阿蘇村ではファミリー向けの賃貸住宅が大変人気です。空き物件が公開されると、すぐに入居者が決まってしまいます。もし気になる物件を見かけたら、すぐに連絡をとったほうが良いです。
村の施策として戸建賃貸住宅の建設に一戸あたり300万円の助成を行い、2023年度は20件分を予算化しています。今後も続けていく方針です。
また、南阿蘇村には空き家空き地バンク制度があり、2023年8月現在、空き家の登録物件は5件で、空き地は6件です。現在、物件の掘り起しも行っており、今後はさらに活用に向けて取り組んでいくということです。
実績をみると、2020年までの5年間に空き家と空き地バンクに申し込んだ世帯数が約600、このうち制度を利用して移住できたのは約150世帯(2021年6月現在)というデータがありました。需要に対応できる登録数は少ないものの、それだけ移住を希望する人が多いともいえます。
また、空き家・空き地に関する助成金制度もあります。
参考:空き家・空き地バンク改修事業補助金
参考:家財道具等処分事業補助金の交付制度
他には、地元の人と仲良くなることで、不動産に出していない物件を紹介してもらえたりと、住宅取得につながる場合もあります。
子育て支援:充実の経済的サポートと自然を活かした教育環境
南阿蘇村の主な子育て支援としては、次のようなものがあります。
(2023年10月時点)
出産祝い金 | 第1子・第2子に5万円、第3子以降に10万円を支給 |
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小学校・中学校の給食費 | 全員に対し半額補助 |
医療費の助成 | 0歳~高校生まで医療費を全額助成 |
ランドセル・中学生カバンの支給 | 小学校・中学校入学時にランドセルや通学カバンを支給 |
チャイルドシート半額助成 | 購入費の半額(3万円まで)を助成 |
その他、児童手当や多子世帯支援など、さまざまな支援サービスがあるので確認してみてください。
参考:支援制度一覧
▲好評のランドセル支給制度で、ランドセルを受け取る子どもたち
また2023年度は初めての試みとして「移住体験ツアー」で小学校の見学ツアーの実施が計画されています。学校内や授業を見学したり、給食の試食体験や、現役の保護者に話を聞くことができるツアーです。詳細は南阿蘇村定住促進課へお尋ねください。
子育て支援施設と活動:LOOPみなみあそと多彩な子ども向けプログラム
小さい子向けの居場所としては、2021年に「LOOP(ループ)みなみあそ」が開館しました。旧庁舎を改装した施設で、図書室や子育て支援スペースが整備されています。
参考:LOOPみなみあそ
村内には都会にあるような遊具のある公園はありませんが、自然のなかでの暮らしがそのまま遊び場になるので、のびのびと遊ぶことができます。
▲南阿蘇久木野キャンプ場のツリーイングで遊ぶ子どもたち
また、子どもたちの活動を支援する場として「クラブ南阿蘇」があります。クラブ南阿蘇では、放課後子どもを集めて体操や野球、サッカーなどの運動教室のほか、油絵や箏など文化系のプログラムも実施しています。
公式:クラブ南阿蘇
南阿蘇村移住者の声:実際の暮らしと感想を紹介
ここでは、南阿蘇村の地域おこし協力隊に参加した人の声と、南阿蘇村に移住した人たちの声をご紹介します。
地域おこし協力隊経験者の声:移住のきっかけと南阿蘇村の魅力
- 熊本地震のボランティアに関わり、阿蘇の魅力を知った。地域おこし協力隊の情報を知って移住への気持ちが固まった。
- 観光で訪れて水の良さに感動、温泉があることが決め手となった。家族との時間を大切にできる。
- 海外赴任で日本の食に興味を持ち、農業をしたくて南阿蘇村へ移住した。
- 田舎で暮らしたいという憧れから、地域おこし協力隊募集を知り、現地を訪れないまま移住に踏み切った。
- 広い空と五岳の眺めに感動し移住を決めた。この地に呼ばれた感じがして5カ月でスピード移住した。
移住者が語る南阿蘇村の魅力:自然環境と生活の質の高さ
- もっと田舎をイメージしていたが、観光地で人も訪れる場所で、思ったより住みやすかった。
- 村内におしゃれなレストランがたくさんある。
- 田園風景に癒やされる。
- 温泉が楽しめる。
移住生活の課題:自然との共生や買い物など田舎暮らしの現実
- ハローワークまでの行き来が大変に感じる。
- 自然豊かで素敵な家だけれど、虫やヘビ、サルもいる。
- 鳥獣被害が多い。
- まとめ買いが大変。
移住者の多くは南阿蘇村の景色に魅了され、都市部に比べてのびのびとした暮らしをしているようです。新規就農で野菜作りを始め、家族で畑の近くに暮らせる楽しさを実感しているという声もありました。
参考:移住者インタビュー
南阿蘇村長からのメッセージ:創造的復興と魅力あふれる村づくりへの想い
▲南阿蘇村 吉良清一村長
南阿蘇村は、阿蘇カルデラの南山麓に位置し、豊かな湧水に恵まれた農業と観光が基幹産業の中山間地の村です。
2016年4月の熊本地震では甚大な被害を受けましたが、2021年に開通した「新阿蘇大橋」を始め、主要道路の全線開通及び南阿蘇鉄道の全面運行再開により、多くの観光客の方々が再び南阿蘇村を訪れています。村にとっての良い流れを断ち切らないように、更なる創造的復興を目指していく所存です。
その上で、「環境」「活力」「暮らし」の3つのKを柱に、誰もが住みたい・住み続けたい南阿蘇村の実現を目指しております。
一度南阿蘇村を訪れていただき、雄大な阿蘇山の景色や豊かな水に触れ、自然の中に息づく村民の暮らしを感じていただけたら幸いです。
南阿蘇村への移住ステップ:体験プログラムから相談窓口まで
南阿蘇村のある程度の情報もわかり、移住を検討してみたくなった方は、お試し移住体験の活用がおすすめです。
お試し移住制度:最長29泊の体験住宅で南阿蘇村の暮らしを体感
お試し移住体験では、体験住居施設に最短1泊から最長29泊まで宿泊ができます。住居施設があるのは、白水地区の白川区です。
実際に生活体験をしてみることで、周りの環境や水や食べ物、人との交流を肌で感じることができ、移住への具体的なイメージが湧いてくることでしょう。
施設の概要や利用料金などは以下のページを参考にしてください。
参考:お試し移住体験
参考:おためし移住in南阿蘇村
▲お試し移住の住居施設外観
▲お試し移住住宅の内部の様子。平屋3LDKで冷暖房完備、必要な備品は揃っている。
交流の機会:住民交流会と田舎ともだち相談員で地域に溶け込む
村では移住者の交流の場となる、小規模の住民交流会的なものがときどき開かれます。高菜漬けや梅の漬けこみ、焼きもの体験などが行われ、地域の人との良い交流の場となっています。
お試し移住のなかでも参加する機会があれば、先輩移住者の話を聞くこともできるでしょう。今後、小学校・保育園を見学する「体験ツアー」も年に何度か実施される予定です。
また、個人的に話を聞きたい人向けに、田舎ともだち相談員を紹介してもらえる制度もあります。移住して10年くらいの人に住んでみた感想など、生の声を聞くこともできるので、じっくり話を聞きたい場合には紹介してもらうと良いでしょう。
自然の中での子育ては、都会の町中とは全く違うものになると思います。子育て世帯の方にも来ていただけたらうれしいです。
移住相談窓口:南阿蘇村役場定住促進課の連絡先と対応時間
担当課 | 南阿蘇村役場 定住促進課 |
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住所 | 〒869-1404 熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字河陽1705番地1 |
電話番号 | 0967-67-2705 |
対応時間 | 平日8:30~17:15 |
公式サイト | https://minamiasoijyuu.jp/ |
※掲載の情報は2023年10月時点のものです。最新の情報は南阿蘇村のホームページ等でご確認ください。