岩手県久慈市で暮らすよさとは?移住のための仕事・住居・支援情報
この記事では、地方への移住を検討している方のために、岩手県久慈市(くじし)の魅力を紹介していきます。
久慈市は、岩手県の北部に位置する人口約31,000人のまちです。朝の連続テレビ小説で一世を風靡した「あまちゃん」のロケ地と言えば、海と空の青さが美しい風景を思い浮かべることができる人も多いのではないでしょうか。
夏は涼しく、冬は内陸部よりも雪が少ない過ごしやすい気候です。加えて、海と山に囲まれ美味しい食べ物もたくさんあります。岩手県北の中心的地域なので、病院などの生活基盤も整えられていますよ。
久慈市での暮らしの特徴やその魅力について、久慈市役所の及川さんに伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
岩手県久慈市の暮らし、3つの特徴
久慈市は岩手県の沿岸部に位置し、太平洋と北上山地に囲まれた地域です。素潜り漁をする場所として国内最北端の「北限の海女」のまちとしても知られており、ウニやアワビ、ホヤと言った海産物に恵まれています。
世界有数の琥珀の産地であったり、闘牛大会が催されていたり、県北最大の秋祭りの開催地であったりと、久慈市ならではの特色をたくさん持ったまちでもあります。
そんな久慈市は以下のような人におすすめです。
- 一軒家に住むことを検討している方
- 地域ならではの特色があるまちに住んでみたい方
- 寒さには強いが、暑さには弱いので夏場も涼しい地域で住みたい方
それではここから、久慈市の魅力や特色について掘り下げていきたいと思います。
特徴1:夏場も涼しく過ごしやすい気候
▲「やませ」の愛称をもつ道の駅くじの外観(引用:久慈市)
「やませ」という言葉をご存知でしょうか?東北地方の太平洋側で春から夏(主には6月から8月)にかけて吹く、偏東風(へんとうふう)のことをさします。久慈市の夏場の平均気温は21.9℃と、このやませのおかげで夏場も気温は高くならないため、快適に過ごすことができるんですよ。
内陸部の盛岡市とその気候について比べてみました。
久慈市 | 盛岡市 | |
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年間平均気温 | 10.1℃ | 10.6℃ |
最高気温(8月) | 26.1℃ | 28.4℃ |
最低気温(1月) | -4.7℃ | -5.2℃ |
積雪量 | 169cm | 209cm |
年間平均気温はほとんど差がありませんが、久慈市の方が夏は涼しく、冬は少しだけ気温が高い傾向にあるようです。また、積雪量の違いは40cmと大きく、内陸部と比べて雪の量は少ないと言えそうです。
寒さには強いが暑さに弱い、そんな方にとっても久慈市は年間を通して過ごしやすいおすすめの地域ですよ。
特徴2:海の幸と山の幸に琥珀と闘牛。久慈市ならではの特色いろいろ
▲1日20食限定で久慈駅内にて売られているウニ弁当は売り切れ必至。予約可能です(引用:久慈市)
東北と言えば海産物が思い浮かぶと思いますが、もちろん久慈市にも美味しい海産物がたくさんあります。小袖海岸から臨む太平洋の沖合は世界三大漁場のひとつにも数えられ、良質な海藻がウニやアワビなどの高級食材を育んでいるんです。
7月から9月には海女たちの素潜り実演を見学することもでき、多くの観光客が訪れています。
美味しいのは海の幸だけではありません。久慈市内には、日本短角種の祖先である「南部牛」を祖先とした「いわて山形村短角牛」を育てる企業や、全国有数の鶏肉加工工場もあります。
日本国内にはいくつかの琥珀の産地がありますが、一番大きな産地が久慈市内にあります。琥珀は「樹脂の化石」とも言われ、久慈市の琥珀はなんと約9,000万年前のものです。まさに久慈市ならではの特色と言えますね。
参考:久慈琥珀総合サイト
▲琥珀で有名な久慈市。日々太古からの息遣いが聞こえてくるよう(引用:久慈市)
先ほど出てきた短角牛は、久慈市では食牛として知られているだけでなく、闘牛大会の主役としても有名です。大会は年4回開催され、東北で唯一の開催地であることから観光行事のひとつとしても定着しています。また、全国の闘牛の育成産地としても久慈市はその役割を担っていますよ。
久慈市は全国でもなかなか類をみない特色がたくさんあるまちです。
特徴3:一軒家に住みたい方に嬉しい補助金制度あり
久慈市は、県外からの移住者や定住者が空き家バンク登録物件を取得または改修する場合に要する経費に対し、補助金を交付しています。上限は85万円ですが、子育て世帯(18歳未満の子または妊産婦の方がいる)の場合の上限は95万円にまで上がります。
一戸建てに住むことを検討している方には必ずチェックしていただきたい制度です。久慈市には空き家バンク制度もありますので、こちらも合わせて確認してみてくださいね。
岩手県久慈市の暮らしに関する情報
▲久慈市内の新山根温泉。べっぴんの湯には露天風呂もある
ここからは久慈市での生活に関する情報を、データとともに紹介します。
気候 | ・夏(8月):平均気温21.9℃ ・冬(1月):平均気温-0.5℃ ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 約31,000人(約15,000世帯)※令和6年4月時点 |
病院 | 個人経営のクリニックを含め、市内には16の医療機関が存在。「岩手県立久慈病院」は地域の中核医療機関である |
学校 | 保育所:14か所、認定こども園:5園、小学校:13校、中学校:8校、高校:3校、特別支援学校:1校 |
文化・芸術 | ・久慈琥珀:久慈市には日本最大の琥珀の鉱床があり、その埋蔵量は推定5万トンにも上る。博物館、加工場、鉱山を兼ね備えており、良質な虫入り琥珀を多産していることから学術的に貴重とされている ・久慈秋祭り:約600年前から続く歴史と伝統を誇る、岩手県北最大規模の祭り。毎年9月に開催され、市内外から多くの観光客が訪れる。見どころは市内の山車組たちによる、高さ約12mまでせり上がる手づくりの山車によるパレード |
観光スポット | ・朝の連続テレビ小説『あまちゃん』のロケ地:久慈市内には小袖海岸や久慈駅前デパート、三陸鉄道久慈駅、侍浜岩場海水プールなど、ドラマを見た人なら「あっ」と思えるスポットが多数点在している ・長泉寺の大イチョウ:久慈駅から車で5分ほどに位置する長泉寺には、樹齢1,100年以上のイチョウの巨木が鎮座している。秋にはその葉が黄色に色づき見る者を楽しませる。国の指定天然記念物 ・久慈地下水族科学館もぐらんぴあ:豊かな三陸の海の生物や「南部もぐり」と「北限の海女」の潜水実演を見ることができる。さかなクンコーナーでは、さかなクンが自ら育てた魚やイラストを展示している |
食べ物 | いわてくじ山形村短角牛、ウニ、アワビ、ホヤ、鮭、スルメイカ、雨よけほうれんそう、しいたけ、山ぶどう、久慈まめぶ汁、短角牛のべご汁、いちご煮・磯汁、豆腐田楽、軍配もち、日本酒「福来」 |
交通 | 【鉄道】 ・東日本旅客鉄道、三陸鉄道(久慈駅) 【バス】 ・高速バス:岩手県北バス ・路線バス:JRバス東北 ・市民バス:のるねっとKUJI 【道路】 ・高規格幹線道路(一般国道自動車専用道路):三陸沿岸道路 ・一般国道:国道45号、国道281号、国道395号 |
近隣都市 | 洋野町、軽米町、九戸村、葛巻町、野田村、岩泉町 |
大都市へのアクセス | 【盛岡市】 ・車:約2時間(東北縦貫自動車道/東北自動車道、八戸自動車道/東北縦貫自動車道経由) ・電車・バス:スワロー号(JR東北バス)で二戸駅まで約1時間10分、二戸駅から東北新幹線で盛岡駅まで約25分 【いわて花巻空港】 ・車:約2時間15分(東北縦貫自動車道/東北自動車道経由) |
岩手県は北海道の次に広い都道府県です。県内を移動する際にも車が必須なので、マイカーはあった方がよいでしょう。久慈市は内陸部に比べると雪が少ない地域で、夏場はやませ(偏東風)の影響で涼しく過ごすことができますよ。
スーパー、病院、100均、ホームセンターなどは駅を中心に車で約10分以内に位置しているため、コンパクトに暮らせます。
【仕事】職種の種類は多彩
大手求人サイトで「久慈市×正社員」で検索したところ、約600件の求人情報が見つかりました。
※参考:求人情報の一例
製造業、造船業、食肉処理加工業、裁縫業、保育業などさまざまな業種の求人があり、選択肢の種類は多種多様です。久慈市から北に上った八戸市、南に下った宮古市まではそれぞれ車で約1時間ほどで行けることから、市外で働く人もいるそうです。
【住まい】賃貸物件は駅周辺の市街地に多い
大手賃貸サイトで久慈市の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは約100件が見つかりました。家賃相場は約6.0万円で、広さは1LDK以上の物件が多い傾向にあります。
※参考:賃貸物件情報の一例
駅を中心として市街地が広がっていることから、物件もそのあたりに多く、生活にも便利ですよ。
岩手県久慈市に暮らす先輩移住者の声
UIJターン者や、盛岡市をはじめとした県内の他市町村、青森県八戸市などからの若手移住者が多い久慈市。先輩移住者は久慈市での生活をどのように感じているのでしょうか。ここでは実際に移住した先輩移住者のリアルな声を紹介します。
- 雪は思ったより多くないが、やっぱり寒い。
- 飲み屋が多いので、そこで交流すればすぐに溶け込める。
- 夏は涼しくて過ごしやすく、海が綺麗で住みやすいまち。
- 真面目で優しく穏やかで、ちょっとシャイな人が多い印象。最初はよそよそしくても、話をすると仲良くなれる。
- 留守の間に、誰かが家に野菜を置いてくれていったことがあった。都会だと警戒したかもしれないが、ここではそれが何てことのない出来事。人の温かさを感じる。
住民同士の近くもなく遠くもない、決して互いの生活に深く踏み込まないちょうどいい距離感や、夏場の気候のよさ、海が広がる雄大な自然など、住み心地のよさを感じるポイントはたくさんあるようです。
岩手県久慈市への移住
ここからは、久慈市に移住するためのステップをご紹介します。
- STEP1:移住説明会に参加してみる
- STEP2:お試し暮らし住宅を活用して久慈市に滞在してみる
- STEP3:地域おこし協力隊への応募を検討してみる
STEP1:移住説明会に参加してみる
久慈市は、岩手県が定期的に開催している移住相談会に参加しています。イベントはオフラインとオンラインの両方で開催されているので、久慈市の移住相談会への参加については公式ページを確認するようにしてくださいね。
公式:久慈市(移住・定住)
STEP2:お試し暮らし住宅を活用して久慈市に滞在してみる
久慈市では、最長2週間利用することができるお試し暮らし住宅が用意されています。利用可能期間は5月頭から10月末までで、一泊あたり人数制限なしの2,000円で滞在することができます。
冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、掃除機、洗濯機や調理器具など暮らしに必要な物も揃っているので、古民家に滞在しながら久慈への移住をじっくり検討したい方におすすめです。
今回お話を伺った及川さんのおすすめは、久慈秋まつりが開催される秋ごろの滞在だそう。滞在を希望する際には、まずは気軽に問い合わせてみてくださいね。
STEP3:地域おこし協力隊への応募を検討してみる
久慈市では地域おこし協力隊を随時募集しています。その職種は、農林水産業、観光、芸術・文化、教育、福祉、市外地活性化と実にさまざまです。
地域おこし協力隊と言えば、職種を限定して募集している自治体が多いですが、久慈市は選択肢が多く、移住と共に新たな挑戦をしたい方にもおすすめです。
年齢・性別は問わずやる気と元気がある方を募集しているとのことですので、興味がある方は募集要項をチェックしてみてくださいね。
久慈市への移住に関するお問い合わせ
▲ウニを両手にニッコリの移住コーディネーターの藤織さん。ご相談はお気軽にどうぞ!
久慈市に興味を持った方は、まずは、下記連絡先に問い合わせてみてくださいね。移住について親身に相談に乗ってくれますよ。
担当 | 総合政策部 地域づくり振興課 地域づくり 女性参画係 |
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住所 | 〒028-8030 岩手県久慈市川崎町1番1号 |
電話 | 0194-52-2116 |
メール | k-turn@city.kuji.iwate.jp |
公式サイト | https://www.city.kuji.iwate.jp/index.html |
移住・定住サイト | https://www.city.kuji.iwate.jp/kturn/ |