【高知県北川村への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報
この記事では、地方移住を検討している方に向けて「高知県北川村」をご紹介します。
高知県北川村は、村民の多くが“ゆず”の栽培に関わる、ゆず栽培の盛んな村。高品質なゆずがさまざまな形で楽しめるほか、就農支援も手厚く、農業を始めたい方におすすめの移住先です。
また、「子どもは村の宝」と考え、充実した子育て・教育を行っていたり、自然が豊かで食べ物がおいしかったりと、魅力がいっぱい。
そんな北川村について、暮らしの特徴や仕事・住まいの状況など、移住を検討するために役立つ情報をたっぷりとお届けします。
北川村の暮らし、3つの特徴
北川村は、次のような特徴のある村です。
- ゆずの栽培が盛んで、ゆずを使った食品をたっぷり味わえる。就農支援も充実している
- 子どもが少人数であることを活かした、手厚い教育体制
- 山と川の豊かな自然。野菜や魚などの食べ物もおいしい
ここからは、これらの特徴について、詳しく紹介していきます。
特徴1:村をあげてのゆず栽培。就農支援も充実
高知県東部の山間地に位置する北川村は、昼夜の気温差が大きく、年間を通じて温暖多雨です。
昔、この気候条件を活かして村でゆず栽培を行うことを奨励した人物がいました。幕末に活躍した北川村生まれの志士・中岡慎太郎です。
そして現在、ゆず栽培は村の基幹産業となり、村内の多くの方ががゆず栽培に関わっています。
ゆずの収穫時期になれば、村中がゆずの香りに満たされます。各家庭には「ゆのす(柚の酢)」と呼ばれるゆず果汁が常備され、焼き魚に、お寿司に、酢の物にと毎日のように食卓に登場。
▲村で採れたゆずをたっぷりと浮かべたゆず風呂は、最高の贅沢
そんな北川村は、ゆず農家を目指したい方にはまさに最適といえる移住先です。他の農作物と比べ、ゆず栽培はハウスなどが不要で初期投資があまりかからない点も、メリットと言えるでしょう。
北川村のゆずは海外からも人気があり、生産が追い付かない状況です。こういったことを踏まえ、村でも、ゆず農家を目指す方に対し手厚いサポートを実施。
新規就農を希望する方は、まずは地域おこし協力隊として最長3年間、委託料を受け取りながら、村内の農家さんのもとで研修を受けることができます。農機具・トラックなどの貸与や、家賃補助も利用できます。
▲農業研修の様子。ゆず栽培のノウハウを、しっかりと指導してもらえる
地域おこし協力隊の任期が終了したら、起業家農業者として経営を開始。その際にも、以下のような支援があります。
北川村ゆず次世代人材投資事業 | 就農時60歳未満の認定新規就農者に対し、年間最大150万円(夫婦の場合は225万円)を支給 ※最長3年間 |
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経営開始資金 | 就農時49歳以下、かつ、前年世帯所得600万円以下の認定新規就農者に対し、年間150万円を支給 ※最長3年間 |
移住後、農業で生きがい・やりがいを見つけたい方は、ぜひ北川村を検討してみてはいかがでしょうか。
特徴2:子ども達は村の宝!一人ひとりをのびのび育てる教育支援制度
▲「北川学」の取り組みの一例。北川中学校の生徒が企業と連携し、ゆずを使用した洗顔せっけんを開発・販売した
北川村は人口1,200人ほどの小さな村です。中でも子どもの数は、1学年10人程度と多くありません。
しかし、だからこそ「子どもは村の宝」ととらえ、育児・教育面の手厚い支援を行っていることが、北川村の大きな魅力の1つ。村では子ども達一人ひとりの能力を伸ばすことを目指しています。
支援制度としては、一例として以下のようなものがあります。
保育料無料 | 全員について無償化(6ヶ月児から受入可能) |
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子ども会活動 | 週に1回、小学生を対象に卓球・バレーボール・自然体験の活動 |
放課後英会話教室 | 小学5・6年生を対象とし、英会話、発音練習、英単語数を増やすための教室を実施(無料) |
臨時職員配置事業 | 小学校、中学校に臨時講師を雇用し、基礎学力の向上や支援の必要な子どもへの対応を充実させる |
公設公営塾 | 小中学生を対象とし、探究学習を中心に加力学習等を実施(無料) 講師は地域おこし協力隊 |
英検・漢検受験料助成 | 中学卒業までに、英検・漢検習得のための受験料を村が負担 |
高校生の通学費助成 | 安芸管内までの高等学校通学に利用する公共交通機関(村営バスを除く)の定期料金を助成 |
また、北川村独自の教育ビジョン「北川学」も特徴的です。
「北川学」では、小学校1年生から中学校3年生までの生活科や総合学習の時間を利用し、ふるさとを知り、ふるさとに貢献していく学びを段階的に実施。
子ども達は自ら考え、地域資源を掘り起こしたり、村の課題解決に取り組んでいきます。
学校と地域が一体となって子どもを見守る中でのこうした体験によって、子ども達の知力・学力はもちろん、“生きる力”も大きく育まれることでしょう。
特徴3:豊かな自然がもたらす、美しい風景とおいしい食材
約95%が森林と緑があふれ、村の中央には「奈半利川」が流れる北川村。空気が澄んでいるため、天気の良い夜には満天の星が広がります。
その自然豊かでゆったりとした風景には、あわただしい都会の毎日で少しくたびれた心も、ホッと癒されるのではないでしょうか。
そして、恵まれた自然環境は、数々のおいしい食材をもたらしています。
奈半利川で獲れるアユやアマゴなど川魚の塩焼きに、北川村産のゆずを絞って食べたり、採れたての野菜ならそのままで。
高知県独自の食文化である「田舎寿司」は、ネタが野菜で、穀物酢でなくゆず酢100%が用いられた“ここだけの味”です。
こんな、シンプルで素朴なおいしさをたくさん味わえる北川村。心と身体が喜ぶ食生活をしたい方にも、ピッタリと言える環境です。
北川村の暮らしに関する情報
ここでは、移住を検討するうえで重要となる、北川村の暮らしに関してのさまざまなデータをお届けします。
気候 | 1月:平均気温7.5°C 8月:平均気温31.2°C (北川村に観測地点がないため、近隣の安芸地点を参照) ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 人口:1,203人 世帯数:631世帯 (2024年1月時点) |
近隣都市 | 高知県:室戸市、安芸郡東洋町、奈半利町、田野町、安田町、馬路村 徳島県:海部郡海陽町 |
公共交通 | 路線バス:北川村営バス |
大都市へのアクセス | 高知市まで:車で約90分 大阪へ:高知空港まで車で約1時間+飛行機で約50分 名古屋へ:高知空港まで車で約1時間+飛行機で約1時間 東京へ:高知空港まで車で約1時間+飛行機で約1時間30分 |
病院 | 村内に医療機関なし |
学校 | 小学校:1、中学校:1 |
名所・観光 | 北川村モネの庭 マルモッタン、北川村温泉 ゆずの宿、中岡慎太郎館 |
北川村は、年間を通して温暖で、過ごしやすい条件に恵まれた村です。
夏は、村中に張られた水田や、あちこちにある木陰のおかげで過ごしやすく、夜には涼しい風も吹いています。冬は、雪が1年に1度降るか降らないかといった程度。
極端な暑さ・寒さが苦手な方、雪のある生活は不安という方にも、北川村は嬉しい環境と言えそうです。
北川村には鉄道の駅はなく、村営バスは1日に数本ほどです。また、スーパーや病院などもありません。
ただ、近隣の町村(奈半利町、田野町、安田町、馬路村)との距離が近いため、生活に必要なほとんどの施設は車で10分程度の位置にそろっています。
北川村を含めたこの5町村で、お互いに協力し合うコミュニティが築かれていることも、地域の特徴と言えるでしょう。
買い物は週末にまとめ買いをするなど、車があれば生活には不自由しないという声が多いです。家に食料品・日用品ストッカーを備えたりと工夫される方もいらっしゃいますよ
“何もない”ところが魅力でもある北川村ですが、一方で、遠方からも多くの人が訪れる名所を有しています。
「北川村モネの庭 マルモッタン」は、印象派の巨匠クロード・モネが、フランスのジヴェルニーでつくり上げた“モネの庭”を再現し、2000年に開園した施設。
実は北川村は、ジヴェルニーとの交流を通し、世界で唯一“モネの庭”を名乗ることが許されています。
この「北川村モネの庭 マルモッタン」が、北川村民であれば入園料無料。モネの絵画そのもののような、季節おりおりの植物に彩られる美しい庭に通い詰めることができるのも、北川村に暮らすことの大きな恩恵です。
▲「北川村モネの庭 マルモッタン」では、モネが訪れ絵の題材にとった、イタリア・ボルディゲラの美しい地中海の光と植栽を再現
▲モネがとりわけ愛した、色とりどりの睡蓮も咲いている
▲園内のカフェでは、地元食材を使った料理も楽しめる
また、歴史・幕末好きにはたまらない「中岡慎太郎館」や、森の中でとろとろのお湯を楽しめる、源泉100%の「北川村温泉」も、北川村ご自慢のスポットです。
▲中岡慎太郎像は、1999(平成11)年に、生誕160年を記念して建設された
なお、北川村から高知空港(愛称:高地龍馬空港)へは車で約1時間です。そこから東京・大阪・名古屋の3大都市へ1時間~1時間30分程度で移動できるので、2拠点生活の候補地としてもおすすめです。
【仕事】村内の仕事はゆず栽培メイン。近隣エリアへ通勤する人も多い
2024年2月現在、大手求人サイトで北川村から通勤30分程度(25km圏内)の正社員求人を検索すると、約1,100件がヒットしました。
村内でのお仕事として、ゆずをはじめとする農業の他には、建設業や保育所、森林組合などの職場にお勤めの方がいらっしゃいます。
村の公式サイトで村内の企業・お仕事が紹介されているので、参考にしてみてください。
詳細:村内の仕事紹介
村外であれば、安芸市や室戸市、香南市などへ通勤される方が多いようです。車での通勤はもちろん、北川村に隣接する奈半利町からは、電車(土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線)を利用することもできます。
【住まい】ライフスタイルに合わせて選べる空き家各種
北川村での移住後の住まいとしては、村営住宅や空き家バンクの利用が一般的です。
空き家というと売買物件のイメージが強いかもしれませんが、北川村では賃貸物件が多数。また「単身向け」「若者定住団地」「世帯用」などいくつかのタイプがあり、ライフスタイルにあった住まいを探すことができます。
需要が高いため、入居中の物件が多めですが、興味のある方はまずはお問い合わせをしてみてください。
参考:空き家物件の一例
北川村へ移住した人の体験談・感想
ここでは、実際に移住して北川村に暮らしている方の体験談や感想をご紹介します。
- ゆず農家を志して移住した。支援制度が充実しているし、地域の方が気さくに声をかけてくれるのがありがたい
- 初めて味わった北川村のゆずのおいしさ、香りの良さには感動した
- 四季折々の自然が美しく、食べ物も豊富で、日々の楽しみがたくさんある
“ゆずの里”という、他の地域にはないここならではの特徴・魅力をもつ北川村。やはり、ゆず栽培を希望して移住される方が多いようです。
また、どこか懐かしさを感じるような美しい自然の風景や、素朴でおいしい食べ物に、何気ない幸せを感じられるという声も見つかりました。
北川村への移住に向けた行動
▲東京での移住相談会の様子。ゆずカラーがひときわ目を引く
北川村では、移住を検討している方が実際に“北川村暮らし”を体験できる「こしま移住体験施設」を用意しています。
シェアハウスになっていて、居住スペースが4室と共有スペースという造りなので、他の利用者の方との交流や情報交換もできるかもしれません。
また、地域の方とふれ合ったり、ゆず収穫の時期なら収穫体験ができることも。就農についてこれから検討したい方の“はじめの一歩”にもおすすめです。
詳細:北川村移住体験施設
北川村への移住に関するお問い合わせ
担当課 | 産業政策課 |
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住所 | 高知県安芸郡北川村大字野友甲1530 |
電話番号 | 0887-32-1221 |
公式サイト | http://iju.kitagawamura.jp/index.html |