長野県木曽町移住のすすめ:充実した子育て支援と豊かな自然環境が魅力
この記事では移住を考えている人に向けて、長野県木曽町(きそまち)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。
木曽町は長野県の南西部に位置し、町の中央を流れる木曽川を境に、西に木曽御嶽山(きそおんたけさん)、東に木曽駒ケ岳(きそこまがたけ)を望む自然豊かな山間のまちです。
今回は、木曽町役場移住定住係長の岩井さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。
木曽町の魅力:移住前に知っておきたい3つの特徴
木曽町は、江戸時代に整備された五街道の1つである中山道が通る歴史ある町です。また、高品質な木曽ヒノキの産地として知られる木工・林業の盛んな地域であり、日本在来馬である木曽馬との共生も特徴的です。このように、木曽町はさまざまな歴史と文化に彩られた魅力的な町といえます。
そんな木曽町での暮らしは、次のような方に特におすすめです。
- 自然豊かな環境で子育てをしたい
- 健康的な生活を送りたい
- 地域とのつながりを大切にしたい
これらの方々に木曽町が適している理由を、町の持つ3つの特徴から詳しく解説していきます。
特徴1:充実の子育て支援と自然体験型保育
▲こども園の様子。田んぼで泥遊びをする園児たち。子ども園では泥遊びや水遊びも楽しんでいる
木曽町では子育て支援が充実しています。その中から、経済的な支援の一部をご紹介します。
結婚祝金 | 商品券2万円分を支給 |
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新婚生活支援補助金 | 夫婦ともに39歳以下の新婚夫婦の新居家賃、引越費用等を支援 ※所得要件あり |
新生児出産祝い金 | 新生児1人あたり次の通り支給 第1・2子:現金10万5千円+商品券5万円分 第3子以降:現金15万5千円+商品券5万円分 |
出産・子育て応援祝金 | 妊娠届出時、出生後に保健師が行う面談等を受けている人を対象に支給 妊娠1回あたり5万円 新生児1人あたり5万円 |
ウッドスタート宣言 | 1歳児にファーストトイとして木製のおもちゃを贈呈 |
福祉医療費助成制度 | 3歳から高校卒業までの医療費を無償化 |
保育料無償化 | 3歳以上児の保育料を無償化 |
入学準備補助金 | 小中学校へ入学する児童等1人あたり2万円を支給 |
小中学校教材費・修学旅行費 | 小中学校の教材費・修学旅行費を全額補助 |
木曽町の開田(かいだ)地区には「信州やまほいく(信州型自然保育)」認定のこども園「木曽町立開田こども園」があります。「信州やまほいく」とは、自然の中での遊びや体験を通して子どもの知力や体力、感性などを育む保育のことです。
「木曽町立開田こども園」では、畑での野菜作りや山遊び、木曽馬との触れ合い等を通じて、自然との関わりを深め、一人ひとりの可能性をのびのび育てています。幼少期の体験はその後の人生に大きく影響すると言われています。豊かな自然の中で遊び学ぶ毎日は、子どもたちにとってかけがえのない経験となるでしょう。
また、木曽町では「木曽町こども園移住体験ツアー」を2022年度から開催し、木曽町への移住を検討する人に木曽での子育てを体験してもらう機会を設けています。詳しくはページ下部の「木曽町へ移住するために利用したい窓口・支援」をご覧ください。
▲こども園の様子。木曽馬と触れ合う園児たち
特徴2:「ヘルシータウン」構想で推進する心身の健康づくり
▲木曽馬ウォーキングは運動効果だけでなく癒し効果も期待できる
木曽町は恵まれた自然と地域資源を活用したさまざまなアクティビティなどの自然療法により、心身を健康にする「木曽町ヘルシータウン構想」を掲げています。「ヘルスツーリズム」にも力を入れており、「木曽馬ウォーキング」や森林浴などのアクティビティを提供し、健康増進を推進しています。
中でも「木曽馬セラピー」は、日本在来馬「木曽馬」を有する木曽町ならではのアクティビティです。木曽馬は古くから家族の一員として育てられてきた経緯があり、人懐こく人に寄り添ってくれる性質を持ちます。
「木曽馬セラピー」では、乗馬や馬の手入れなど、木曽馬との触れ合いを通じてこころが癒されるとされています。元々は障がいを持つ人のリハビリテーションの一環として行っていましたが、現在は観光客も「木曽馬の里」などで体験することができます。心身のリフレッシュを求める方にお勧めの体験です。
公式:木曽馬の里
また、木曽町は、日本で唯一「発酵食品振興条例」が定められている「発酵のまち」です。味噌や酒といった一般的な発酵食品のほかに、特徴的なものとして「すんき」が挙げられます。
「すんき」は赤カブの茎葉などを塩を使わずに乳酸発酵させたものです。木曽町は海から遠いため塩が手に入りにくく、塩を使わない発酵文化が発展してきました。無塩の乳酸菌由来の自然な酸味とうま味があり、味わいとしてはプレーンヨーグルトに似ています。
▲木曽地方に古くから伝わる「すんき」は無塩の漬物
「すんき」を味噌汁に入れた「すんき汁」や、そばのトッピングにした「すんきそば」などは、古くから木曽の住民に愛されてきました。木曽町は健康寿命が全国でも上位になっています。その秘訣は「すんき」をはじめとした発酵食品にあるのかもしれません。地元の方々の健康的な食生活を体験してみるのも良いでしょう。
▲「すんきそば」は木曽の冬の味
特徴3:伝統的な祭りで深まる地域コミュニティ
▲水無神社例大祭(みこしまくり)。神輿を縦に大きく転がす「縦まくり」の様子
木曽町は、木曽福島町・日義村・開田村・三岳村の4町村が合併して誕生した町です。現在でも旧4町村の各地域で、古くからの伝統的な祭りやイベントが盛んに行われています。
水無神社例大祭(みこしまくり) | 神輿を落とし、転がし、最後には壊すという荒々しい祭り。特に縦に大きく転がす「縦まくり」は迫力があり、見る者を圧倒します。 |
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木曽義仲旗挙げまつり | 木曽の英雄・木曽義仲公を偲ぶ祭り。山吹山に「木」の火文字を灯した後、武者行列が松明を掲げて下山し、徳音寺境内の義仲公の墓まで練り歩きます。 |
開田高原かまくら祭り | 日中はスノーシューでの散歩やかまくら作りなど、雪上アクティビティが楽しめます。夜はアイスキャンドルのライトアップにより、幻想的な雰囲気を味わえます。 |
御嶽神社例大祭 | 毎年7月27・28日に開催される、村の安全や健康を願う祭り。天岩戸の神話をモチーフにした御幣剣鉾による男舞や巫女舞が披露されます。 |
これらのイベントは全て地域住民の協力により行われています。現代社会では人とのつながりが希薄になりがちですが、木曽町では人々の絆が深く残り、温かみのある地域コミュニティが形成されています。移住した際には、これらのイベントに積極的に参加し、地域の人々との交流を楽しむことをおすすめします。
▲木曽義仲旗挙げまつりの武者行列
木曽町での生活:移住後の暮らしに関する具体的情報
ここからは、木曽町の暮らしに関する情報をご紹介します。
気候 | 8月平均気温:23.2℃ 1月平均気温:-1.4℃ ※参考:気象庁 |
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人口 | 人口:約10,100人 世帯:約4,800戸 (令和5年8月1日時点) |
病院 | 病院・クリニック:6 歯科:8 |
学校 | 子ども園:4園 小学校:4校 中学校:3校 高等学校:1校 専門学校:1校 林業大学校:1校 |
交通 | 【鉄道】 JR中央本線:木曽福島駅、原野駅、宮ノ越駅 【路線バス】 木曽町営バス 【車】 東京まで約3時間30分 名古屋まで約2時間20分 |
近隣都市 | 松本市、塩尻市、伊那市 |
木曽町は、夏季は日中でも30度を超える程度で比較的涼しく、快適な気候です。一方で冬季は-10℃を下回ることも多く、寒さは厳しいです。主要道路は除雪されますが、自宅周辺は自力での雪かきが必須です。また、冬季の安全な走行のためにスタッドレスタイヤの準備も必要です。
町の中心部(木曽福島駅周辺)には、品ぞろえの豊富なスーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアなどがあるため、日常の買い物は町内で完結できます。木曽町には総合病院があるほか、診療所や歯科もあり、医療体制も充実しています。
近隣都市としては松本市、塩尻市、伊那市があり、松本市までは車で約1時間30分です。また、東京・新宿行の高速バスが運行されているほか、名古屋には木曽福島駅から特急列車で1時間30分ほどで到着するため、都市部へのアクセスも比較的良好です。
【子育て】充実の子育て・教育施設で安心の子育て環境
▲「木曽おもちゃ美術館」
木曽町には、子育てに関する悩みを相談できる子育て支援センターや、子どもが楽しめる施設が充実しています。これらの施設は、お子さんと一緒に気軽に利用することができます。
子育て支援センター | 町内に3ヶ所設置。子どもがおもちゃや遊具で遊ぶ間に、保護者が子育てに関する悩みを相談できる場所 |
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木曽おもちゃ美術館 | 木曽町産の木材を使用した館内で、様々なおもちゃ遊びが楽しめる。0~2歳児向けの「赤ちゃん木育ひろば」には、おむつ替え室と授乳室が完備されており安心して利用可能 |
木曽町図書館 | 生涯学習施設「文化交流センター」内にある図書館。4万冊以上の蔵書と学習スペース、カフェを備え、定期的に「おはなし会」などの子ども向けイベントを開催 |
【仕事】近隣地域への通勤で広がる就職先と起業支援
大手求人情報サイトで木曽町の求人を調べたところ、180件ヒットしました(2023年8月現在)。
※求人情報の一例
車での通勤時間30分圏内(約25km以内)で検索すると、約2,100件ヒットしました(2023年8月現在)。近隣地域への通勤も視野に入れることで、より多くの選択肢から希望の仕事が見つかる可能性が高くなります。
※求人情報の一例
木曽町への移住者の起業傾向としては、カフェやカレー店などの飲食店が多く見られます。また、画家、ガラス職人、木工職人などのアーティストの移住も増加傾向にあります。起業を考えている方には、最大100万円の創業支援補助金制度があります。条件に該当する場合は、ぜひ活用を検討してみてください。
【住まい】町営住宅と空き家バンクを活用した住居探し
大手住まい情報サイトで木曽町の賃貸物件を調べると、件数は少ないのが現状です。そのため、移住者にとっては町営住宅や空き家バンクが主な選択肢となります。
空き家バンクは物件数が豊富で(令和4年度は46件)、住宅地にある一般的な住宅から別荘地にある住宅まで、多様な物件が揃っています。希望するライフスタイルに合わせて選択することをお勧めします。
新築や空き家の購入、改修には以下のような補助制度があります。これらを有効活用しましょう。また、企業等が空き家を活用する場合、購入費や改修費を補助する「企業版空き家活用補助金」も用意されています。利用を検討する企業は、木曽町役場 町民課住宅係(TEL:0264-22-4281)にお問い合わせください。
木造住宅新築等補助金 | 在来工法による木造住宅を新築する人が対象 延べ床面積3.3㎡あたり15,000円(上限130万円) |
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定住促進補助金 | 木造住宅新築等補助金に該当しない住宅の新築や中古住宅を購入する人が対象 延べ床面積3.3㎡あたり7,500円(上限80万円) ※45歳未満の人で200万円以上の物件であることが条件 |
空き家活用補助金 | 空き家バンクの物件を購入・賃借して改修する人が対象 改修費用の2分の1の額(上限80万円) |
加算要件 | 加算要件に該当する場合、上記3つの補助金に次の金額を加算
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木曽町移住者の声:実際の暮らしぶりと感想を紹介
次に、木曽町に移住した方々の生の声をご紹介します。
- 美しい御嶽山を毎日眺めながら出勤できる喜び
- 夏場は都市部の猛暑と比べ冷涼で、快適な睡眠が取れる
- 冬の寒さ対策は必要だが、適切な断熱処理で快適に過ごせる
- 地域との交流が重要。地区の行事や作業に積極的に参加することで馴染みやすくなる
- 子育てに適した環境。休日は太陽の丘公園(三岳)など、自然豊かな場所で遊べる
- 観光や地元向けの商売を始めやすい。中古住宅を活用した店舗開業が増加傾向
木曽町長からのウェルカムメッセージ
▲木曽町 原久仁男町長
長野県の南西部に位置する木曽町は、西に木曽御嶽山、東には中央アルプス木曽駒ケ岳がそびえる山間の町です。町の総面積の90%が山林という自然豊かな環境で、町の中央には清流木曽川が流れています。
気候は内陸性気候で、夏と冬、昼と夜の寒暖差が大きいのが特徴です。四季がはっきりと感じられ、木曽町の人々は春の新緑、夏の涼風、秋の紅葉、冬の雪景色など、四季折々の美しい自然風景とともに暮らしています。
ぜひこのすばらしい木曽町にお越しいただき、豊かな自然や歴史ある町並みを肌で感じていただければ幸いです。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げています。
移住支援:相談窓口と体験ツアーの活用法
▲「木曽町こども園移住体験ツアー」。モデルプランは2泊3日で46,000円~(大人2名幼児1名)。
木曽町への移住に興味を持ったら、まずは移住相談窓口「木曽町移住サポートセンター」へ相談してみましょう。
移住サポートセンターでは、町内のエリアごとの案内や先輩移住者への相談、仕事や住宅探しのサポートなどをワンストップで対応しています。移住後も困りごと相談や地域への紹介など、さまざまな支援を継続的に提供してくれるので、長期的なサポートが期待できます。
木曽町では、移住体験ツアーとして「木曽町こども園移住体験ツアー」を開催しています。このツアーは、参加者の希望に合わせて日程や体験メニューをフルオーダーメイドで決められるため、非常に人気があります。
このツアーでは、お子さんを木曽町のこども園(子育て支援センター)に預けながら、リモートワークや観光を楽しむことができ、木曽での子育てを実際に体験できます。木曽町への移住を真剣に検討している方は、ぜひこのツアーに参加してみることをおすすめします。
申込先:木曽町こども園移住体験ツアー
木曽町移住サポートセンター:ワンストップの移住相談窓口
移住相談窓口 | 木曽町移住サポートセンター |
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住所 | 〒397-0001 長野県木曽郡木曽町福島5122 ふらっと木曽2階 オフィス1 |
電話番号 | 0264-24-0216 |
公式ウェブサイト | 木曽町移住サポート: life-kiso |