【鹿児島県喜界町への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報
この記事では、地方への移住を検討している方のために、鹿児島県喜界町(きかいちょう)の魅力を紹介していきます。
喜界町は、奄美大島の東部、喜界島の全域を町域とする人口約6,400人の町です。喜界島は島の大半が隆起サンゴ礁でできた珍しい島であり、四方を海に囲まれ、亜熱帯性の植物も多い自然豊かな地域です。
そんな喜界町での暮らしの特徴やその魅力について、喜界町地域おこし協力隊の方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
鹿児島県喜界町の暮らし、3つの特徴
鹿児島から南に約380kmに位置する喜界島は農業が基幹産業であり、島一面にサトウキビ畑が広がっています。島の至る所で見かけるサンゴの石垣は、貴重な文化財であると同時に、島ならではののどかな光景に一役買っています。
島内のビーチは、どこに行っても海の透明度が高く、海面から熱帯魚やサンゴが見えるほどです。
そんな喜界町は以下のような特徴があります。
それではここから、喜界町の魅力や特色について更に掘り下げていきたいと思います。
特徴1:島ならではの、ため息が出るほど美しい自然
喜界町の魅力として真っ先にあげられるのが、喜界島ならではの自然です。約25km離れた場所にある奄美大島とは全く違った環境を有し、喜界島でしか見られない美しい風景も広がってます。
一番の違いはハブが生息していないこと。ですので、「ハブが飛び出してくるのでは…」なんて心配する必要はありません。
島には亜熱帯性の植物が多く、ハイビスカスはもちろん、樹齢100年以上のガジュマルやソテツなどの巨木があります。どこまでも続くようなサトウキビ畑が一面に広がっているなど、島ならではの風景をあちこちで見られる点も魅力の一つです。
▲シュガーロードの近くにある巨大なガジュマルは「魔女の木」と呼ばれているのだそう
▲収穫したサトウキビは30cmほどの大きさにカットし、製糖工場へと運ばれます
また、喜界島の大半は隆起サンゴ礁でできており、今でも年間平均約2mmのスピードで隆起しているのだそう。そんな喜界島を取り囲む海は美しく、近年ではダイビングスポットとしても注目されています。
島内には観光スポットもありますが、必要以上に手が入っていないので、自然そのままの姿が残っています。
特徴2:人が優しく、ほどよい距離感で過ごせる
喜界町には37の集落があり、約6,400人の町民が住んでいます。それぞれに独自の文化や方言があるものの、共通しているのは、その優しさや親しみやすさです。
移住後はどこかの集落で生活することになりますが、地元の方は移住者を受け入れつつ、過干渉になりすぎないように気遣ってくださる人が多いとのこと。
ぐいぐいと来るわけではなく、こちらの状況を察しながらご飯に誘ってくれたり、「良かったら島を案内しようか」と声をかけてくれたりと、島ならではのゆったりとした空気感が、人々の心にも余裕を持たせてくれているのかもしれません。
私自身も移住者で、人の優しさに惹かれて移住しました。移住前はいろいろな島を巡りましたが、喜界町の人の感じが一番肌に合いました。冷たくされるわけでもなく、ほどよい距離感でいてくれる人が多いのは、ありがたいです。
特徴3:地域全体で子育てを見守る風土がある
喜界町の3つ目の魅力としてあげられるのが、子育てをする場所として、とても良い環境にあることです。
少子高齢化の煽りを受け、喜界町でも人口は減少傾向にあります。そのためか「子どもは宝」という意識が強く、自分の家の子どもでなくても、大人たちが子どもを気にかけ、面倒を見てくれます。
他所の子どもだからといって遠慮することはなく、駄目なことをすればちゃんと叱り、泣いていたり、困っていたりする子がいれば、我が子のように何とかしようとする人が多いようです。
島という空間の中で、子どもたち同士も互いに面倒を見合っているような雰囲気があります。
過干渉にはなり過ぎず、けれど地域としてみんなで子どもを育んでいるような環境は、子育て世帯にとっても力強い助けとなるでしょう。
私はIターン者なので、喜界町に両親や親類がいるわけではありません。ですが、いざという時には周りの人たちが親身になって助けてくれ、当たり前のように子どもの面倒を見てくれます。喜界島のその「当たり前でない当たり前」なところもすごく良いですね。
鹿児島県喜界町の暮らしに関する情報
ここからは喜界町での生活に関する基本情報を、データとともに紹介します。
気候 | ・夏(8月):平均気温28.6℃ ・冬(1月):平均気温15.6℃ ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 約6,400人(約3,600世帯) ※2024年1月末時点 |
病院 | 総合病院1件 ※2024年4月時点 |
学校 | 幼稚園2園、小学校2校、中学校1校、高校1校 ※2024年2月時点 |
交通 | 【空港】 ・喜界空港:日本エアコミューター(JAC) 【航路】 ・喜界島(湾港):奄美海運(マルエーフェリー系列) 【バス】 ・喜界バス:北本線、南本線、中央線 |
大都市からのアクセス | 【鹿児島から】 ・飛行機:鹿児島空港から喜界島空港まで、約1時間10分 ・船:鹿児島本港から喜界島まで、約11時間 【奄美大島から】 ・飛行機:奄美大島空港から喜界島空港まで、約20分 ・船:名瀬港から喜界島まで、約2時間 |
喜界島の気候は約25km先の奄美大島と同じ亜熱帯気候ですが、雨は比較的少なく、年間を通じて晴れ間が多く見られます。ただ、台風が多く発生する年の場合は、毎週台風が通過していくこともあります。
よく勘違いされる「島暮らしあるある」と言えば、「冬も暖かい」というイメージです。1月の平均気温は15.6℃、最低気温は12.6℃と高くはなく、また喜界町には山がなたいめ、強い風が吹くとダイレクトに当たることから、体感温度はずっと寒く感じます。
町内にコンビニはありませんが、個人商店や7時台から23時まで開いているスーパーもあるため、ちょっと何かが足りない時でも、朝一から買い物に行くことができます。
また、Amazonなどの通販サイトを活用すると、3~4日で届き、会員種別によっては大きな品物でなければ送料もかからないとのこと。ただし、島には船便で物が運ばれてくるため、台風シーズンには船がストップしてしまうこともあるので、注意が必要です。
島には総合病院が1件と歯科が3件あります。他の島の病院と兼任している医師もいるため、診療科によっては専門医師による診察が可能な日時が限定されますが、総合病院の「喜界徳洲会病院」は24時間体制のため、夜中でも診療を受けられます。
鹿児島本島の病院ともつながっているため、同病院のみでは対処できない場合でも、連携した対応をしてもらえるので、安心です。
【仕事】仕事は求人サイトよりも、現地で探した方が効率が良い
大手求人サイトで「喜界町×正社員」で検索したところ、約20件の求人情報が見つかりました。※2024年2月時点
※参考:求人情報の一例
島内で仕事探しをする場合は、移住前に役場に確認すると良いでしょう。また、お店や会社の前などに求人情報を貼っていることも多く、実際には求人サイトやハローワークには掲載されていない求人もあります。
移住前に必ず一度は島に来て頂きたいです。その時に、住民目線で町を見ていると、店先などでいろいろな求人情報を見かけると思います。
【住まい】空き家バンク制度を活用して探そう
大手住宅情報サイトで喜界町の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは見つかりませんでした。※2024年2月時点
喜界町では空き家バンク制度にも取り組んでおり、現在20件近くの物件が登録されています。
公式:喜界町(喜界町空き家バンク(5年以上定住予定者の為の制度です))
すぐ住める物件ばかりではありませんが、「喜界町定住促進空き家改修事業」として、空き家の改修に対する補助事業も整備しています。補助対象経費の3分の2、最大100万円までの補助が出る可能性があるので、空き家バンクの物件を探す際には、こちらの制度についても頭に入れておきましょう。
観光も兼ねて島に来て頂いたついでに、住まい探しをするのが良いと思います。修繕するとなると、住めるようになるまで時間もお金もかかりますので、補助事業を上手く活用してみてください。
【遊び場】島全体が遊び場と言っても過言ではない環境
「百之台(ひゃくのだい)国立公園」の展望台からは、どこまでも続く水平線と町並みを一望することができます。奄美十景の一つとしても有名で、観光客も訪れる人気のスポットです。
また、全面芝生の「メンハナ公園」には一年を通じてハイビスカスや季節の花々が咲き、2月頃には早咲きの桜が見られる桜のスポットとしても親しまれています。
参考:じゃらん(メンハナ公園)
豊かな自然に囲まれた喜界島では、遊ぶ場所に困ることはなさそうです。
【教育】島内には幼稚園~高校まで揃っている。島ならではの取組みも
喜界町には、幼稚園が2園、小学校が2校、中学校と高校が1校ずつあります。中学校と高校は連携型中高一貫教育校として連携しているため、高校までを島内で過ごす子どもがほとんどです。
公式:鹿児島県立喜界高等学校
一方で、「サンゴ留学」として島外から喜界高校に入学する離島留学生もいます。
喜界町には日本で唯一であるサンゴ礁の研究に特化した研究所「喜界島サンゴ礁科学研究所」があり、喜界高校で3年間の学生生活を送りながら、喜界島サンゴ礁科学研究所で喜界島をフィールドにした研究活動に従事できるとのこと。
2023年4月から始まったこの制度では、12名のサンゴ留学生が喜界町にやってきて、研究と高校生活に勤しみながら、島ならではの集落行事に参加したり、農作物の収穫体験をしたりと、喜界町でしかできない体験をしています。
▲喜界島の阿伝(あでん)集落では、サンゴの石を積み重ねた石垣が見られます
公式:喜界町(サンゴ留学~喜界島をフィールドにさまざまな分野を【まなび】ながら高校生活を送りませんか?~)
高校では島の文化や方言について探求する時間も設けられているそうです。こういった喜界町ならではの授業もいろいろありますよ。
鹿児島県喜界町に暮らす先輩移住者の声
実際に喜界町で暮らし始めた移住者の皆さんは、その暮らしをどのように感じているのでしょうか。ここではそんな先輩移住者たちのリアルな声を紹介します。
- 集落での行事に参加するうちに、すっかり集落愛が芽生えた
- 直売所などでは、新鮮な野菜が安く売っているので嬉しい
- 集落ごとに個性があるように思うが、どの人も親切で優しい
- 圧倒的な自然に囲まれ、景色もいいので、毎日のびのびと暮らしている
- 引っ越しの時に、コンテナに入れた荷物が船で運ばれてきて、そのままフォークリフトに積まれて家の前にドーンと持ってこられた光景が、今までに見たことがない引っ越しスタイルでびっくりした
先輩移住者の口コミからは、島ならではの生活スタイルに馴染んで、のびのびゆったりと暮らしていることがわかりますね。
喜界町の具体的な移住サポート
喜界町での暮らしが気になり始めたら、まずは「島暮らし体験プログラム」に参加してみましょう。先輩移住者たちとオンラインで雑談をしながら島暮らしの相談ができる「オンラインプログラム(月1回程度・不定期開催)」と、実際に喜界町に訪れて体験ができる「現地プログラム」があります。
「現地プログラム」には「フリー滞在プログラム」があり、こちらは実際に現地に行って、現地の人や移住担当者と話したり、喜界町での開業について相談したり、空き家を見学したりと、希望に合わせた滞在プランを組むことができます。
「現地プログラム」として、不定期で「移住体験ツアー」も開催しています。こちらは期間や定員は限られているので、参加を希望する場合は、定期的にホームページをチェックしてみて下さい。
また、現在ホームページに掲載はありませんが、喜界町では移住体験がしやすいような、「お試し住宅」の整備も進めているとのことです。こちらは、喜界町へお問い合わせください。
公式:喜界町(観光・移住)
喜界町への移住に関するお問い合わせ
喜界町に興味を持った方は、まずは企画観光課に問い合わせてみてください。移住について親身に相談に乗ってくれますよ。
担当 | 喜界町役場 企画観光課 |
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住所 | 〒891-6292 鹿児島県大島郡喜界町大字湾1746番地 |
電話 | 0997-65-3683 |
公式サイト | https://www.town.kikai.lg.jp/ |
移住サイト | https://www.town.kikai.lg.jp/densan/kanko-iju/index.html |