北海道神恵内村の暮らしの魅力とは?移住のための仕事・住居・支援情報
この記事では地方への移住を検討している人に向けて、北海道神恵内村(かもえないむら)の魅力や仕事、住まいといった暮らしに関する情報をまとめています。
神恵内村は、新千歳空港から3時間以内の北海道積丹半島西部に位置しており、「札幌から一番近い秘境」と呼ばれています。
日本海に面し、美しい景勝と新鮮な海産物が堪能できる自然の恵みに溢れた村です。
しかし、地方移住の検討は、支援制度や子育て環境といった暮らしに関する不安を払拭した上で進めていきたいですよね。
そこで、今回は神恵内村役場企画振興課の川崎さんに、神恵内村の魅力や移住に役立つお話を伺いました。
北海道神恵内村の暮らしの特徴3選
神恵内村は、人口が約780人程度しかいない、自然に囲まれた小さな村です。雄大な自然に恵まれている環境ならではの絶景スポットや新鮮な海産物など、都会にはない贅沢に溢れています。
また、妊活から就学までワンストップでサポートしているため、ファミリー世帯が住みやすい環境も魅力のひとつ。子どもが楽しめるレジャー施設や、地域の方々と交流を図れる伝統行事も少なくありません。
ここでは、神恵内村の暮らしの特徴3選を紹介します。
特徴1:医療費無料・保育所無料などでファミリー世帯をバックアップ
神恵内村は子育て支援に注力しており、ファミリー世帯を多角的にサポートしています。0〜18歳まで医療費無料、保育料全額無料などの家計の負担を軽減する助成制度が豊富です。
また、ひとり親家庭に対する支援も手厚く、年1回30,000円の生活費助成や高校生の通学費一部助成、医療費助成などを実施しています。
さらに、少子化対策を目的とした結婚新生活支援事業も好評です。
婚姻届を提出した夫婦へ祝い金として30,000円を贈呈。その他、住居費用(物件購入費・賃料など)と引っ越し費用の助成として、30万円を限度に給付金を支給するなど、新婚へのサポートも行き届いています。
▼子育て支援制度の一例
乳幼児等医療助成事業 | 0歳~18歳になった最初の3月31日までの医療費の自己負担分を全額助成 ・保険外診療や入院時の食事代は対象外 |
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神恵内村立保育所の保育料 | 全額無料 |
すこやか妊婦さん支援事業 | 妊婦健康診査事業以外の保険適用外の妊婦健診を助成 ・限度額:4,000円/回 |
妊婦健康診査事業 | 妊婦一般健康診査を公費負担で14回実施 |
妊婦健康診査交通費の助成 | 妊婦健康診査事業の検査を受診する際、病院までの交通費を支給 ・助成額:往復バス料金3/4 |
出産祝金支給事業 | 出産時に出産祝金を支給 ・支給額:第一子30,000円、第二子50,000円、第三子以降70,000円 |
新生児聴覚検査助成事業 | 新生児の自動聴性脳幹反応検査・耳音響放射検査などの初回検査費用を助成 |
子育て支援の詳細は下記をご覧ください。
神恵内村公式|子育て支援制度
特徴2:海の恵みを五感で堪能。日本海の絶景と旬の海産物を楽しめる
▲山々の緑と日本海のコントラストが美しい村のようす
神恵内村の魅力は何といっても日本海の絶景。冬の日本海や一帯が赤色に覆われる夕景など、季節や時間帯によってさまざまな景観を楽しめます。
「神恵内」はアイヌ語で“美しい沢”を表す「カムイナイ」が由来です。“地形が険しく、人が近づきがたい神秘的な沢”という意味も込められており、その名の通り、美しい海の他に自然の威力を感じる奇岩がいたるところで見られます。
岩の中心部に窓が開いているような不自然な空洞があることから名づけられた「窓岩」には、自然の不思議を感じざるを得ません。日が沈む時間帯は、夕陽を背にロマンティックな景観を演出します。
▲赤色で一帯を覆う美しい窓岩の夕景は、ロマンティックな雰囲気を醸し出す
ニシン漁で栄えた時代の名残を感じる「キス熊岩」は、2頭の熊がニシンを食べた後に寄り添う姿を表していると言われています。
▲ニシンを食べ終えた2頭の熊が寄り添うようすを表した「キス熊岩」
▲日中とは違った表情を見せる「キス熊岩」の夕景
雄大な海と神秘的な奇岩が織りなす光景はまさに自然のミュージアムです。
ウニ・ホタテ・イカなど、獲れたての海の幸が味わえる
▲北海道知事奨励賞を受賞した「神恵内村産冬の生うに」
また、神恵内村は日本海で獲れるウニ・ホタテ・イカ・アンコウなどの新鮮な海産物が味わえます。
「神恵内村産冬の生うに」は、北海道庁主催による「食絶景北海道×ゼロカーボンアワード2023」にて、味と環境保全に対する取り組みが評価され奨励賞を受賞しました。
参考:北海道公式|「食絶景北海道×ゼロカーボンアワード」について
養殖も行われているので、冬でも濃厚でとろけるような生ウニが食べられます。
ホタテも村を代表する海産物のひとつです。道の駅ではホタテを水槽に入れて、欲しい分だけ網ですくって買えます。
▲道の駅「オスコイ!かもえない」内にあるホタテの水槽
▲実がぷりぷりで旨味が凝縮された「ホタテ焼き」
海の絶景と新鮮な海産物を心ゆくまで味わえるのは、北海道の自然に囲まれた神恵内村ならではの大きな魅力と言えるでしょう。
村内の商店や海産物直売所、乾物屋でも新鮮な海産物を買うことができます。
特徴3:「札幌から一番近い秘境」。夏はレジャーや観光行事で賑わう
神恵内村は、新千歳空港から3時間以内で着く「札幌から一番近い秘境」です。そのため、マリンスポーツやキャンプをしに、道内外からも観光客が訪れます。
キャンプができる「神恵内青少年旅行村」は、コテージ・バンガロー・バーベキューハウスなどが完備されており、ファミリーで野外生活が楽しめます。大パノラマの日本海や満天の星も見ものです。
▲ファミリーに人気の「神恵内青少年旅行村」
7月は大漁を祝う「沖揚げまつり」をはじめ、「稲荷神社祭典」や「厳島神社例大祭」などの恒例行事が開催されます。
▲恒例行事「沖揚げまつり」。イベントでは大漁を祝い沖揚げ音頭などが披露される
「厳島神社例大祭」では、松前藩より継承される城内神楽が奉奏され、夜は火渡りが行われるなど終始見どころが満載です。
▲「沖揚げまつり」では松前神楽が奉奏される
▲「厳島神社例大祭」のクライマックスには火渡りが行われる
このように、神恵内村は札幌市から一番近い秘境であり、レジャー・観光でも賑わいます。また、恒例行事も行われるため、地域の方々とコミュニケーションを図りやすい環境と言えるでしょう。
神恵内村の暮らしに関する情報
▲神恵内村のようす。日常の中で海と山々の大自然を感じられる
ここでは、神恵内村の公式サイトを参考に暮らしに関する情報をまとめました。仕事・住まい・教育についても詳しく解説します。
▼神恵内村町の概要
気候 | 1月:平均気温-2.3℃ 8月:平均気温21.4℃ ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 人口:約780人 世帯:約460世帯 (2023年12月時点) |
医療機関 | 病院・クリニック1、歯科1 |
学校 | 保育所1、小学校1、中学校1 |
遊び | 【観光】 中の滝、窓岩、西の河原、竜神岬 【レジャー】 神恵内青少年旅行村、珊内ぬくもり温泉、あんない展望公園、神恵内2000年の森公園、神恵内村郷土資料館、道の駅「オスコイ!かもえない」 |
イベント | 7月:沖揚げまつり、稲荷神社祭典、神恵内厳島神社例大祭 |
食べ物 | ウニ、ホタテ、ホッケ、イカ、タラ |
近隣都市 | 古宇郡泊村、古平郡古平町、積丹郡積丹町 |
交通 | 【鉄道】 ・村内に駅なし ・最寄駅:JR北海道函館本線「小沢駅」 【バス】 ・北海道中央バス 【道路】 ・国道229号(小樽市と江差町を結び海岸沿いを走る国道) ・北海道道998号(神恵内村と古平町を結ぶ道路) |
大都市へのアクセス | 〇札幌市 【車】 ・稲穂峠経由で約2時間30分 ・当丸峠経由で約2時間 【バス】 ・札幌駅‐岩内BT‐神恵内線利用で約4時間30分 〇小樽市 【車】 ・国道5号経由で約1時間30分 【バス】 ・札幌駅‐岩内BT‐神恵内線で約3時間45分 ・岩内BT-余市町-小樽駅で約3時間30分 |
村内にはスーパーとコンビニはありませんが、個人商店はあります。大型スーパーへ行くなら車で約30分の岩内町が便利です。
医療機関は診療所と歯科のみなので、専門的な治療が必要な場合は札幌市の医療機関を利用しましょう。
日用品や食品は買えますが、村にないものは近隣の市町村で購入している方が多いです。
仕事:近隣を含めて探すのがベター!起業なら就業支援を活用しよう
神恵内村の正社員求人は、ハローワークで2件・大手求人情報サイトで約30件見つかりました。
※求人情報の一例
通勤の範囲となる25km圏内まで広げると、約550件まで求人数が増えます。就職を目指す場合は近隣地域の求人も併せて探してみてください。
※求人情報の一例
なお、神恵内村には、45歳以下の就農希望者と起業予定の方を対象とした2つの就業支援があります。移住を機に挑戦したい方はぜひ利用しましょう。
青年就農給付金(経営開始型) | 就農直後(5年以内)の所得確保を目的に助成金を支給 ・給付対象:45歳未満の独立・自営就農者 ・給付額:年間150万円(最長5年間) |
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神恵内村空き家空き店舗改修補助 | 起業目的の空き家などの改修工事にかかる経費を補助 ・補助金額:3/4を補助(上限300万円) ・対象経費:機能回復・向上のために行う修繕、模様替え、設備改善改修工事費 |
漁業関連の仕事や老人介護施設の仕事があります。村外へ通勤の場合は、後志管内の隣町などへ出勤すると選択肢が広がります。
住まい:村営住宅と空き家バンクの利用が可能。就農・起業向け住宅支援あり
大手住宅情報サイトで神恵内村の賃貸物件を検索したところ、空室はありませんでした。
賃貸物件は少なく入居が難しいですが、公営住宅があるためそちらを利用しましょう。空室状況に関しては神恵内村役場へご確認ください。
中古住宅の購入の際は、空き家バンクの利用が可能です。神恵内村には空き家の解体工事費用を助成する支援制度があり、空き家バンクにも適用されます。
神恵内村危険空き家対策支援事業 | 危険空き家の解体工事にかかる経費の1/2(上限50万円)を補助 【対象物件】 ・居住者がおらず倒壊の危険や衛生上有害となるもの ・著しく景観を損なっているもの |
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2023年12月時点で賃貸物件と戸建ての空きはほぼないですが、公営住宅は空きがあれば即入居できます。
教育:タブレット学習・奨学金返還補助などのサポートが充実
神恵内村は、出産・子育て支援だけでなく、就学後のサポート体制が整っている点も魅力です。
教育支援の例として、タブレット端末を使った学習が挙げられます。村内の小・中学校では個々の学習深度に合わせたデジタル学習ドリルや、論理的思考を培うオンラインプログラミング学習を導入。能力向上はもちろん、子どもたちの将来の方向性を広げる手段としても役立っています。
その他、年間最大24万円受給できる奨学金返還補助や入学準備金の援助など、各種給付金制度も手厚いです。
▼教育支援制度の一例
神恵内村奨学給付金 | 大学・短期大学・専修学校などに在学している学生の保護者に対し、授業料の一部を給付 ・給付額:月額負担額1/2(上限2万円) |
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神恵内村教育援助資金 | 高校・専門学校に在学する保護者に、入学準備金を援助 ・援助資金額:高校3万円以内、高専3万円以内 |
神恵内村児童・生徒修学旅行費等助成 | 村立小・中学校に通う子どもの修学旅行・宿泊研修費の一部を助成 ・助成額:学校へ納入する額の1/2 |
神恵内村学校給食費補助金 | 村立小・中学校に通う子どもの学校給食費の1/2分を補助 |
教育支援の詳細は下記よりご確認ください。
神恵内村公式|教育支援制度
神恵内村に移住した人の感想
ここでは、神恵内村へ移住した方のリアルな声を5つ紹介します。
- 移住当初はスーパーやコンビニがなく不便を感じていたが、村の人たちが優しく支えてくれた。今では大自然の絶景を楽しみながら暮らしている。
- 当たり前と感じていたことが、当たり前じゃないと気づいた。経験値が増えて視野が広がる。
- 海の透明度と真っ赤な夕日が海にゆっくりと沈む光景に一目惚れして移住を決めました。自然豊かで心身ともに健康な生活が送れます。
- 人口が少ないためご近所同士の絆が強く、助け合いの精神がある。濃いコミュニティを望む方は安心して暮らせる。
- 人の温かさや大自然の恵みなど、お金では買えない価値があることを実感した。
「移住してすぐは苦労した」という率直な意見も少なくありません。ただ、皆さん口をそろえて、「次第に“何もない”が心地よく感じる」と言います。
モノや情報が過多な状態では気づかない自然の恵みや、人との直接的なふれあいに価値を見いだす方が多いようです。
移住者の方から最も多く寄せられるのは「大自然の絶景が魅力」という声です。また、海岸沿いに沈む夕日がとても美しいと喜んでいただけます。
神恵内村への移住に向けた2つの準備プラン
神恵内村の詳しい情報を知った後は、実際に現地へ足を運んでみましょう。地方移住を後悔しないためには、現地の暮らしを体感して理想とマッチしているかどうか確認することが重要です。
移住体験ツアーはないですが、観光資源が豊富なので旅行で訪れるのもひとつの手でしょう。なお、神恵内村にはワーケーションプランがあり、下見と仕事の両立が可能です。
ここでは、移住に向けた2つの準備プランを提案します。
プラン1:旅行を通して村の自然や人に触れる
神恵内村には大パノラマの日本海を筆頭に、船でしか行けない霊地「西の河原」や竜神伝説で知られる当丸沼が残る「神恵内2000年の森公園」などがあり、観光にもおすすめです。
▲霊地「西の河原」。お堂には守り神のお地蔵様が祀られている
「神恵内青少年旅行村」の他にも宿泊施設があるため、神恵内村の大自然を感じながら村の環境や暮らしのようすをチェックしてみましょう。
なお、東京からの移動時間は、約4時間40分。東京から新千歳空港まで約1時間40分・空港から神恵内村まで車で約3時間程度です。1泊2日ではタイトスケジュールになる恐れがあるため、日程に余裕を持って計画を立てることをおすすめします。
プラン2:「地域ふれあい&課題解決型ワーケーション(夏・秋編)」を利用する
神恵内村では、地域交流ができる「地域ふれあい&課題解決型ワーケーション(夏・秋編)」を実施しています。
コワーキングスペースは「神恵内青少年旅行村」の敷地内にあるフリーエリアとミーティングエリア、宿泊施設「SPR綱城荘」内のコワーキングスペースの3か所で、どこを利用してもワーケーションプランを体験できます。
一週間のモデルプランは、下記の通り内容盛りだくさんです。
- 地域おこし協力隊との交流
- 漁船クルージング体験
- 鮭フレークづくり体験
- ドローンサッカー体験
- 村外周遊(仁木・余市・小樽エリア、ニセコエリア)
- ワークショップ(地域課題の抽出、改善策の提案) など
その他、テレワークに集中したい方向けの「非接触型プラン」も用意されています。気になる点はオンラインによる事前情報共有会で相談してみましょう。
ワーケーションの詳細や宿泊施設は下記より閲覧できます。開催予定は担当課へご確認ください。
神恵内村への地方移住に関するお問い合わせ
神恵内村の地方移住を検討している方は、下記にお問い合わせください。
担当課 | 企画振興課 企画振興係 |
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住所 | 〒045-0301 北海道古宇郡神恵内村大字神恵内村81-20 |
電話番号 | 0135-76-5011(代表) |
対応時間 | 平日8:45~17:30 |
公式サイト | ・神恵内村役場 ・移住定住情報ページ |