上ノ国町移住のすすめ:充実の子育て支援と四季折々の自然を楽しむ生活
この記事では移住を考えている人に向けて、北海道上ノ国町(かみのくにちょう)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。
上ノ国町は、渡島半島の南西部、松前半島の付け根部分に位置する、人口約4,200人のまちです。日本海に面しているため、日本海北方交易の拠点として栄えてきました。
町土の92%が山地で占められ、平野部の北部を天野川、南部を石崎川が流れており、海・山・川とぜいたくなほどの自然環境に恵まれています。
今回は、上ノ国町役場総務課・企画統計グループの担当の方に、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。
▲上ノ国町のご当地キャラ「カミゴン」は、上ノ国町に伝わる「龍燈伝説」をモチーフにしたドラゴン
上ノ国町の暮らし:3つの魅力的な特徴
上ノ国町は人口約4,200人の小規模な町ですが、札幌と東京にふるさと会が組織されており、上ノ国町出身者同士の親睦を深めています。これらの会は、上ノ国町との交流を深めるとともに、まちづくりの支援も行っており、地域の強い絆が感じられます。
このような上ノ国町での暮らしは、次のような方に適していると言えます。
- 子育ての経済的負担を軽減したい方
- 四季折々の自然を楽しみながら暮らしたい方
- 温泉が好きで、日常的に温泉を楽しみたい方
これらの点について、上ノ国町に見られる3つの特徴から詳しく解説していきます。
特徴1:充実の子育て支援で家計の負担を大幅軽減
上ノ国町では、子育てに関する無料化施策が充実しています。18歳以下の医療費負担、保育料や学校給食費などがすべて無料となっており、世帯主の年収が400万円(所得税8万円)で子どもが一人の場合、負担軽減額は約257万円にもなります。
さらに2023年2月からは、出産した場合、子ども1人につき出生祝金40万円と出産・子育て応援ギフトとして10万円分のクーポン券が交付されるようになりました。特に子どもが多い世帯では、このような支援がとても助かります。
▼世帯主の年収が400万円(所得税8万円)で子どもが1人の場合の軽減
医療費 | 0~18歳までの医療費参考額2,852,000円(※)×0.3=855,600円 (※)生涯医療費厚労省令和元年医療保険に関する基礎資料をもとに積算 →18年間で855,600円 |
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保育料・副食費 (1歳で入所した場合) |
・保育料:月額24,000円×12か月×2年間=576,000円 ・副食費:月額4,500円×12か月×3年間=162,000円 →5年間で738,000円 |
給食費 | 小学校:月額4,750円×12か月×6年間=342,000円 中学校:月額5,700円×12か月×3年間=205,200円 →9年間で547,200円 |
学童保育利用料 (6年間) |
小学校:月額6,000円×12か月×6年間=432,000円 →6年間で432,000円 |
上記を合計すると、約257万円の負担軽減となります。さらに出産祝い金40万円と、出産・子育て応援ギフト10万円分のクーポン券を加えると、お子さん1人につき約307万円の支援を行っています。これは子育て世帯にとって大きな経済的支援となります。
特徴2:四季を彩る自然とイベントで充実した暮らし
▲4~10月に開設される上ノ国町のキャンプ場。予約不要・無料で利用できる
上ノ国町は自然豊かな地域で、四季折々の楽しみがあります。春には山菜採取、夏から秋にかけては渓流釣り、キャンプ、七ッ岳登山、湯ノ岱地区での紅葉狩りが楽しめます。冬はスキーなどのウィンタースポーツが人気です。
海と川に恵まれた町であることから、釣りを趣味にしている住民が多く、特に鮎釣りが人気を集めています。
6月には町の花であるエゾヤマツツジの名所、夷王山(いおうざん)で「夷王山まつり」が開催されます。山を赤く彩るエゾヤマツツジと眼下に広がる日本海の景色は、訪れる人々の心に深く刻まれる絶景です。
その他にも、8月の上ノ国天の川まつりでは3,000発の花火が打ち上げられ、仮装して盆踊りに参加できます。10月の産業まつりでは子ども向けに鮭のつかみ取りが行われるなど、年間を通してさまざまな魅力的なイベントが開催されています。
▲夷王山頂上から上ノ国町を望む
特徴3:個性豊かな2つの温泉で心身をリフレッシュ
▲上ノ国町国民温泉保養センター(湯ノ岱温泉)。炭酸泉には血行促進効果があるとされている
上ノ国町には2つの天然温泉があり、地域の方々が日常的に利用しています。
特に山間にある上ノ国町国民温泉保養センター(通称:湯ノ岱温泉)は、珍しい炭酸泉の温泉です。週末には遠方から訪れる方もいるほど人気があります。3種類の温度(35℃、38℃、42℃)の浴槽とうたせ湯が用意されています。比較的ぬるめの温度設定なのでのぼせにくく、長時間の入浴を楽しみたい方におすすめです。
もうひとつの花沢温泉は、市街地から近く、最寄りのバス停から徒歩10分という好アクセスが魅力です。入浴料金が200円と手頃なこともあり、多くの町民に愛される憩いの場となっています。お湯は少しぬるぬるした肌ざわりがあり、美肌効果があると評判です。
▲花沢温泉の露天風呂。冬は雪見風呂も楽しめる
上ノ国町の生活情報:子育て、仕事、住まいの現状
ここからは、上ノ国町の気候や病院、学校など、暮らしに関する情報をご紹介します。
気候 | 上ノ国町には観測地点がないため、近隣の江差地点 8月平均気温22.6℃ 1月平均気温-0.6℃ ※参考:気象庁 |
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人口 | 人口:約4,200人 世帯:約2,400戸 (令和6年5月31日現在) |
病院 | 病院・クリニック:2か所 歯科:1か所 |
学校 | 保育所:1所 小学校:2校 中学校:1校 高等学校:1校 |
文化・芸術 |
【名所】 |
食べ物 | 手づくりみそ 生しいたけ 菜の花油 活エゾあわび アワビ入りウニ塩辛 根ほっけ ほっけの開き 生干しイカ ブラックシリカ ひば製品 フルーツポーク |
交通 | 【空港】 最寄り空港:函館空港(函館市) 【鉄道】 なし 鉄道を利用する場合の最寄り駅は、北海道旅客鉄道(JR北海道)北海道新幹線および道南いさりび鉄道道南いさりび鉄道線「木古内」駅 【バス】 函館バス |
観光・レジャー | 夷王山 北海道夜明けの塔 夷王山キャンプ場 道の駅 上ノ国もんじゅ 七ツ岳 大千軒岳 |
近隣都市 | 江差町、函館市 |
北海道というと寒くて降雪量が多いイメージがありますが、上ノ国町は道央地域に比べると降雪が少なく、寒さも比較的穏やかです。ただし、町内でも除雪が難しい地域などでは冬季に通行止め区間があり、迂回路を利用することもあります。
移住を検討する際は、あらかじめ移住相談窓口や地元の人に冬季の生活状況をよく確認しておくことをおすすめします。
上ノ国町には鉄道が通っていないため、日常生活には自動車が必要不可欠です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、道の駅などがあるので、日用品の買い物は町内で済ませられます。大型ショッピングや映画鑑賞などは、函館市までドライブすることが多いようです。
医療面では、町内に診療所が2件ありますが、より専門的な治療を受ける場合は、隣町の江差町にある道立病院か、函館市の総合病院を利用することになります。上ノ国町から函館までは、自動車で約1時間40分かかります。
上ノ国町の方言は、道央や道東に比べると語気が強めの特徴があります。そのため、地元の高齢者と初めて会話をすると、叱られているような印象を受ける場合があるかもしれません。
しかし、これは単に方言の特徴であり、決して怒っているわけではありませんので、安心してください。地元の人々は、上ノ国町の魅力をたくさん教えてくれることでしょう。
【子育て】体験型学習で子どもの豊かな成長をサポート
▲小学校の農業体験授業の様子。地域と連携して取り組んでいる
上ノ国町では、子育てに関する無料化施策が充実しているだけでなく、仕事と子育ての両立を支援するサービスも提供しています。例えば、2021年度に新しく建て替えられた保育所では、保育サービスの充実が図られています。
さらに、健康づくりセンターでは、子育てサークル「つくしの子」が定期的に開催され、子ども同士や親同士の交流の場として活用されています。この取り組みにより、子育て中の保護者の孤立を防ぎ、情報交換や相互支援の機会を提供しています。
教育面では、学校の授業に加えて、家庭や地域と連携した取り組みが行われています。子どもたちが主体的に学べる環境を整備し、以下のような体験学習を実施しています:
- 農業体験を通じた上ノ国町の自然や産業についての学習
- 凧づくりや将棋などの伝統的な遊びを通じた高齢者との世代間交流
- 保育体験を通じた命の尊さの学習
これらの取り組みにより、子どもたちは地域の特性を生かした多様な学びの機会を得ています。
【仕事】近隣地域も含めた多様な就業機会
大手求人情報サイトで上ノ国町の求人を調べたところ、約50件がヒットしました。また、車で30分以内の通勤圏内(町内から15km以内)で検索したところ、求人情報は約230件と大幅に増えました。近隣地域にまで範囲を広げて探すと、より多くの選択肢が得られそうです。
※求人情報の一例
町外で働く場合は、近隣の江差町や乙部町にマイカー通勤する方が多いようです。
上ノ国町では、新規就漁希望者に対し、漁業資格取得にかかる経費の補助などの支援を行っています。具体的には、漁業に必要な資格取得のための講習費用や教材費などが補助の対象となります。また、農林水産業以外の新規起業者に対しても、融資の借入償還金の2分の1以内で補助を行っています。これは、新規事業立ち上げ時の経済的負担を軽減するための支援策です。
これらの支援制度に興味がある方は、移住相談窓口か、上ノ国町役場の水産商工課(電話:0139-55-2311)に相談してみてください。担当者が詳しい情報や申請方法について説明してくれるでしょう。
【住まい】手頃な土地価格で新築マイホームの夢も
▲上ノ国町が販売している宅地分譲地・ハンノキ地区宅地分譲の全景
大手住まい情報サイトで上ノ国町の賃貸物件を調べると、登録数が非常に少ないことがわかります。これは町内の不動産業者が少ないためです。そのため、物件を探す際は、アパートの連絡先に直接空き状況を確認することをおすすめします。上ノ国町公式サイトでは、民間アパートの一覧と連絡先を確認できます。
また、上ノ国町では空き家バンク制度を実施しています。物件リストは上ノ国町公式サイトで確認できますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
さらに、上ノ国町では1坪1万円という格安価格で宅地を分譲しています。この宅地は町の中心部に近く、緑豊かな環境にあります。約200坪の広さがあり、家庭菜園を楽しむこともできます。新築の戸建て住宅を検討している方にはぜひおすすめの物件です。
上ノ国町移住者の声:新生活の喜びと驚き
次に、上ノ国町に移住した方々の感想をご紹介します。
- 移住時に近所の方々から「よく来たね~」と温かく歓迎されました
- 移住当初は茶わん蒸しが甘いなど地域特有の食文化の違いに驚きましたが、すぐに慣れました
- 移住直後は、周囲の方々のやさしさにたくさん助けられました
- 四季の移り変わりをはっきりと感じられるところが魅力的です
多くの移住者が、地域の人々のやさしさやあたたかさに好印象を持っているようです。上ノ国町にはふるさと会も存在し、お互いを気遣い、助け合う文化が根付いていると言えるでしょう。このような地域コミュニティの雰囲気は、新しい環境に馴染む上で大きな支えとなっています。
上ノ国町へ移住するために利用したい窓口・支援
インターネットで情報収集をしたら、次は実際に現地へ足を運んでみましょう。上ノ国町では、ネットの情報や観光では知ることのできない、実際の日常生活を体験できる「ちょっと暮らし住宅」が用意されています。
利用期間は7日から30日まで、利用料は1日あたり1,500円(光熱費込み)です。事前に相談すれば、愛犬と一緒に滞在することも可能です。この機会を活用して、周辺環境の調査や住まい・仕事探しの拠点として、移住の準備を進めましょう。
▲「ちょっと暮らし住宅」の外観
住宅には生活に必要な家具や家電が揃っていますが、長期滞在の場合は移動手段として車が必要になります。マイカーを持参するか、レンタカーを利用することをおすすめします。
▲「ちょっと暮らし住宅」のリビング。基本的な家具・家電が揃っている
上ノ国町への移住に関するお問い合わせ
移住相談窓口 | 上ノ国町役場 総務課 企画統計グループ |
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住所 | 〒049-0698 北海道檜山郡上ノ国町字大留100番地 |
電話番号 | 0139-55-2311 |
公式サイト | 上ノ国町「上ノ国町に住んでみませんか?」 |