上勝町への移住はどう?まちの魅力・仕事・住まい情報を徹底解説|縁結び大学

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「徳島県上勝町(かみかつちょう)」をご紹介します。

上勝町は「日本の棚田100選」に選ばれた「樫原の棚田」や、苔の名所「山犬嶽(やまいぬだけ)」などを有する、自然豊かなまち。山に登ったり、川で釣りや水遊びをしたりと、大人も子どもも自然の中でのびのびと過ごすことができます。

また、その自然を守る取り組みにも積極的で、2003年に全国で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行って以降、徹底したリサイクルを続けています。自然環境に優しい暮らしをしたい方、子ども達や次の世代のために行動したい方には、ピッタリの移住先と言えるでしょう。子育て面では、支援体制や教育環境の充実ぶりも注目を集めています。

そんな上勝町について、暮らしの特徴や、住まい・仕事探しについてなど、移住に役立つ情報をたっぷりとお届けします。

本日お話を伺った方
上勝町移住コーディネーターの安田さん

上勝町役場 移住交流支援センター
移住コーディネーター

安田 知春さん

上勝町の暮らしの特徴3つ

上勝町の暮らしの特徴

地方移住を検討している方の中でも、特に次のような方には上勝町がおすすめです。

  • 緑に囲まれた、自然の豊かなまちに暮らしたい
  • エコに関心がある。環境に優しい暮らしを心がけている
  • 子育て世帯に優しい支援や、子どもの教育環境が充実したまちを希望
  • 移住をしたら地域に溶け込み、人との交流や行事への参加を積極的に行いたい

なぜこのような方に上勝町が向いているのか、その理由を踏まえつつ、上勝町の暮らしの特徴を紹介していきます。

特徴1:美しい里山の風景、自然に寄り添う暮らし

樫原の棚田
▲あぜの曲線が美しい、樫原の棚田。平成22年には、徳島県で初めて「国の重要文化的景観」にも認定された

徳島市内から車で約1時間のところにある上勝町は、豊かな自然に囲まれた小さなまちです。

町内には、日本の棚田100選にも選ばれた「樫原の棚田」をはじめ多くの棚田があり、四季折々の美しい風景が広がります。

観光客にも人気の苔の名所「山犬嶽(やまいぬだけ)」は、巨石群と水苔などに覆われた、まるごと自然の聖域とも言える山。上勝町にはこんな風に、そこにいるだけでもホッとリラックスできるような、深呼吸をしたくなるような場所がたくさんあります。

苔の名所、山犬嶽

また、まちを流れる勝浦川では、水遊びや、近隣のキャンプ場でのキャンプが楽しめます。鮎釣りスポットとしても知られ、毎年6月の解禁日には早朝から多くの方が釣りをするために訪れます。

皿に盛られた焼き鮎

山や川の、豊かな自然の中で思い切り遊んだり、その自然が育む旬の食べ物を楽しんだり。都会ではお金を払って手に入れるような“贅沢”が、上勝町でなら、日々の暮らしの一部になりますよ。

特徴2:地球に優しい「ゼロ・ウェイスト」のまち

ゼロ・ウェイストセンター

豊かな自然を有する上勝町はまた、その自然や環境を守る取り組みにも積極的です。

上勝町は2003年、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言をしました。「ゼロ・ウェイスト」とは、ムダ・浪費・ごみをなくすということ。徹底したリサイクルによって、ごみを出さないようにするという考え方に基づいています。

現在、上勝町内では生ごみは家庭での堆肥化を推進、ごみは45分別を行い、リサイクル率約80%を達成しています。とはいっても、難しい作業などは必要ありません。住民は、町内にある「ゼロ・ウェイストセンター」内のゴミステーションに、好きな時にごみを持っていくことができます。早朝にごみ出しをしなくていいので、朝の時間も少しゆったり過ごせそう。ゴミステーションには常駐スタッフがいるので、分別の分からないものはそこで確認すれば大丈夫です。

ゴミステーション内のビン分別コーナー
▲分別後はほとんどがリサイクルされる。家庭では大まかに分け、ゴミステーションで細分化する方が多いそう

センター内には、まだ使える不要品の持ち込み・持ち帰りができる「くるくるショップ」や、フリースペース、コインランドリーなどが併設され、地域の人のコミュニケーションの場にもなっているそうです。

誰もが環境問題に無関心ではいられない時代ですが「何から行動したら良いか分からない」「自分ひとりの行動では手ごたえを感じにくい」という方もいらっしゃるかもしれません。

上勝町では、一人ひとりの心がけがまち全体の動きとなり、確実に未来へとつながっていることが実感できるでしょう。

特徴3:充実の支援と教育環境が、子育て世帯をサポート

上勝町は子育て支援と教育環境が充実したまち。移住希望者の中でも、特に子育て世代の方から注目を集めています。

子育て支援

まず、子どものいる家庭への支援としては、次のようなものがあります。

転入支度金 小学校4年生以下の子どもがいて、移住後5年以上町内で暮らすことが見込める世帯に対し【30万円】を支給。
誕生祝い金 新生児の誕生をお祝いして、以下のお祝い金を支給
第1子:10万円
第2子:20万円
第3子:30万円
第4子:30万円
布おむつプレゼント 布おむつの使用を希望する方に「布おむつスターターセット」を支給
入学祝い金 小学校・中学校への入学時に、それぞれ【10万円】を支給

布おむつの提供があるのは、さすがエコに力を入れている上勝町ですね。何かとお金がかかる移住時に利用できる「転入支度金」も、嬉しい制度です。

教育環境

上勝町内に保育園・小学校・中学校はそれぞれ1つ。0~15歳の子ども達が、ずっと一緒に育つのが特徴です。少人数だからこその、子ども同士や、地域の方・先生との距離の近さは、子どもの成長にさまざまな良い影響を与えてくれるでしょう。

また、各教育機関には、次のような特徴や取り組みがあります。

保育園 野菜やお米を子ども達自身が育て味わうなど、「農」と「食」の体験を多く取り入れた保育
小学校 ・英語の授業を1年生から開始
・植樹や田植え、稲刈りなど、自然に親しむ課外授業
・4~6年生は全員が楽器(金管バンド)を体験
・週に4回、放課後に無料の学習会が開かれ、勉強の分からないことはその日のうちに解決
中学校 ・町産材をふんだんに使った木造校舎。各教室には薪ストーブを完備
・「ゼロ・ウェイスト」をはじめ環境について学ぶため、木の間伐や薪作りを体験

子ども達の身体・心・学習面の成長をしっかりとサポートする、バランスの良い教育体制が魅力的です。

中でも、子どもの頃から環境問題をしっかりと学ぶ教育は、上勝町ならではの取り組み。こういった土壌から、将来の社会を率いるリーダーが育つのかもしれません。

上勝町の暮らしに関する情報

ここでは、移住を検討するうえで重要となる、上勝町の暮らしに関してのさまざまなデータをお届けします。

気候 1月:平均気温6.3°C
8月:平均気温28.1°C
(上勝町内に観測地点がないため、徳島地点を参照)
※参考:気象庁ホームページ
人口 人口:1,416人
世帯数:740世帯
(2023年5月1日時点)
近隣都市 勝浦郡勝浦町、那賀郡那賀町、名西郡神山町、名東郡佐那河内村
大都市へのアクセス 徳島市へ:車で約1時間
大阪へ:車で約4時間(高速道路利用)
病院 診療所:2ケ所
学校 保育園1、小学校1、中学校1
特産品 上勝阿波晩茶、柑橘類(ゆこう、ゆず、すだち)、あまご

上勝町は「豊かなスローライフ」が叶うまちです。

町内には鉄道が通っていないため、マイカーは必須となります。また、個人商店はありますがスーパーやコンビニはなく、大型スーパーなどで買いだめをしたい場合には近隣の市へ行くという方が多いそうです。

都会と比べると一見不便な生活ですが、そのぶん、自然と触れ合ったり、いろいろな世代の人と交流して助け合ったりという、代えがたい“豊かさ”に出会えます。

夏祭りや秋祭りは、地域の方々が楽しみにしている大切な行事です。移住後には積極的に参加をして、地域の方との絆を深めてはいかがでしょうか。

秋祭りで舞台に上がる子ども
▲秋祭りの一場面。お神輿を担いだり花火が上がったりと、地域がにぎわいに包まれる

まちの特産品「上勝阿波晩茶」は、代々自家用として伝えられてきたお茶です。ほとんどの工程が機械に頼らない手作業でつくられます。

上勝阿波晩茶の製造工程

特徴は、美しい黄金色とすっきりとした風味。各家庭で少しずつ味が違うのもおもしろいところだそうです。移住後には、地域の方と親しくなって、いろいろな家庭の上勝阿波晩茶をいただくのも楽しみになりそうですね。

ティーポットとカップに入った、上勝阿波晩茶
▲上勝阿波晩茶はカフェイン含有量が緑茶の3分の1程度と少な目。子どもからお年寄りまで一緒に楽しめる

【仕事】新規就農や起業に対するサポートあり

大手求人情報サイトで上勝町内の正社員求人を検索したところ、約50件がヒットしました。この検索範囲を町から25km以内(通勤約30分圏内)まで広げると、ヒット数約12,000件と大幅に増加するので、就業を希望する方は周辺地域を含めて検討してみることをおすすめします(2023年4月時点)

参考:正社員求人情報の一例(上勝町内のみ)
参考:正社員求人情報の一例(25km圏内)

また、新規に農業を始める方は以下の支援が利用できます。

新規就農者育成総合対策事業(経営開始資金) 新たに経営を開始する、49歳以下の認定新規就農者に対し、資金を助成
支援額:12.5万円/月(150万円/年)

詳細:農業経営の給付金について

そのほか、特産物や地域の特性を活かし、新しいビジネスを始める方も増えてきています。上勝町は人口が多くない分、一人ひとりが果たす役割が大きく、何かを発信すると周囲の人たちが積極的に助けてくれるまちです。

就労人口の増加や産業振興を目的とした施設として、有料の貸事務所「上勝町福原貸事務所」も整備されています。地域活性化のため活動中の方はもちろん、これから活動したいという意欲をお持ちの方もぜひ利用してみてください。

公式:上勝町福原貸事務所

【住まい】古民家からデザイナーズ物件までそろう町営住宅

一戸建ての町営住宅
▲町営住宅の一例。物件によって、ウッドデッキが付いていたり、高台で地域が一望できたりと、さまざまな魅力がある

上勝町の住宅は、すべて町が管理している「町営住宅」である点が特徴的です。

複合住宅(集合住宅)のほか一軒家もあり、デザイナーズ住宅から長屋風の集合住宅までタイプもさまざま。すべての町営住宅で光ファイバー網が整備され、デジタルTV、IP電話、インターネット対応と至れり尽くせりです。公営住宅の設備がここまで充実しているのは珍しいと言えるでしょう。

詳細:町営住宅物件一覧

また、空き家バンクの登録物件も利用できます。ただ、修繕が必要な物件が多く、すぐに住むことは難しいそうなので、空き家に興味のある方はまずはお問い合わせをしてみてください。

お問い合わせ先 企画環境課
0885-46-0111

上勝町へ移住した人の体験談・感想

上勝町に移住した人の体験談

ここでは、実際に移住して上勝町に暮らしている方の体験談や感想をご紹介します。

  • いろいろな移住先を検討する中で、自然の豊かさやゼロウェイストの取り組みに惹かれて上勝町に決めた
  • 子どもたちがのびのびと遊び、学べる。子育てにはとても良い環境
  • コンビニやスーパーはないけれど、慣れればあまり不便は感じない。買い物はインターネットを利用することも多い
  • 人と人との距離が近く、楽しいことや嬉しいことはみんなでシェアできる雰囲気が気に入っている
  • 大人から子どもまで、文化・伝統を大事にしているところが魅力的

自然が豊かなことに加え、その自然を守っていく取り組みに魅力を感じたという声が多く見つかりました。

人口が少なく助け合いの文化が根付いている分、住民同士のコミュニケーションが密なので、そのような環境を好む方にはピッタリと言えそうです。

上勝町への移住に向けた行動

ここでは、上勝町への移住に向けて、実際に起こせる行動をご案内します。

シェアハウスで上勝町のリアルな暮らしを体験

シェアハウス外観

上勝町では、移住を検討している人に向けて、お試し暮らしができるシェアハウスを用意しています。

まちの雰囲気や気候、買い物や通勤の手段など、上勝町でのリアルな生活が体験できるので、ぜひ利用してみてください。

滞在中には、ナビゲーターさんに町内の各所を案内してもらえるほか、地域の行事などに参加することもできます。夏前には特産品の「上勝阿波晩茶」を飲んだり、秋なら、ゆず、すだちなど摘み取り体験をしたりと、季節それぞれに上勝町の豊かな表情に出会えるでしょう。

シェアハウスの室内
▲個室にはベッドやシャワールームが完備され、すぐに生活することができる

上勝町への移住に関するお問い合わせ

担当課 企画環境課 移住交流支援センター
住所 徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下横峯3-1
電話番号 0885-46-0111
公式サイト https://kamipara.jp/