【山形県河北町への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・子育て・支援情報

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「山形県河北町(かほくちょう)」の魅力を紹介します。

山形県のほぼ中央に位置する河北町は、田畑が広がる豊かな自然環境ながら近隣都市や空港まで約10分で移動できるアクセスの良さが魅力です。

さくらんぼや米の栽培が盛んで、就農目的で移住する人も珍しくありません。また、子どもの成長に合わせた経済的支援や最大100万円の住まい補助があり、若い世帯の移住相談も増えています。

今回は、河北町の魅力や仕事・住まい探し、支援制度などの暮らしに役立つ情報をお届けします。

本日お話を伺った方
山形県河北町役場のまちづくり推進課に勤務する菊地さん

河北町 まちづくり推進課 総括主任

菊地 恭平さん

山形県河北町の地域おこし協力隊で活動している金子さん

地域おこし協力隊(移住・定住支援員)

金子 眞さん

河北町の3つの特徴

山形県河北町の暮らしの特徴

河北町は「雛とべに花の里」をうたうように、まちの至る所で上方文化を継承する雛人形と紅花が楽しめます。子どもたちの遊び場やファミリーで参加できる地域行事が豊富で、のびのびと子育てをしたいファミリーにおすすめのまちです。

寒河江市と山形空港や新幹線の停車駅がある東根市まで車で約10分とアクセスが良好で、県内の移動はもちろん、県外へのお出かけにも不便がありません。人付き合いも深すぎないことからも、程よい暮らしが実現しやすいでしょう。

以下では、このような河北町の特徴を詳しく解説します。

特徴1:県内外へのアクセス良好。新幹線の停車駅・空港まで車で約10分

河北町は山形県のほぼ中心部に位置していることから県内の各地域へ行きやすく、近隣の東根市と寒河江市までは車で10分程度しかかかりません。大型商業施設への買い物や通勤など、行動範囲を広げられます。

県外へのアクセスも良好で、高速道路のICが近くにあり、仙台市内まで車で約1時間30分で到着します。また、車で10分程度の東根市には新幹線の停車駅と山形空港があるため、国内旅行や帰省もしやすいでしょう。なお、山形空港から東京までは1時間程度です。

移住先を決めるにあたって、自然環境と利便性のバランスを重視している方におすすめのまちと言えるでしょう。

特徴2:出産時10万円給付。子どもの成長に合わせた経済的支援が充実

山形県河北町の小学校の給食風景
▲給食でさくらんぼを味わう子どもたち。地場産物を活用した食育は農業が盛んなまちならでは

河北町ではまちをあげて子育て応援に注力しています。経済的支援はもちろん、小さな子どもが楽しめる遊び場やイベントも豊富です。

子育てに関する経済的支援の一部は以下の通りです。

かほく安心子育て応援事業給付金 ・出産:子ども1人につき10万円
・小学校入学:5万円
・中学校入学:5万円
・高校入学:5万円
子育て支援医療 0歳〜高校3年生までの外来・入院費無料
学校給食費無償化 小・中学校の給食費無料

子どもの成長過程に合わせて支援金が受け取れる「かほく安心子育て応援事業給付金」に加えて、2023年には給食費の完全無償化を実現しました。

なお、給食では地元産の野菜を使用したメニューや、旬の果物であるさくらんぼが味わえるなど、おいしく楽しく地産地消を学べます。

町内は子どもたちの遊び場も豊富です。まちの中心部にある「河北中央公園」は、フィールドアスレチックや木製遊具が設置されており、小さい子どもも一緒に遊べます。中でもいもこ列車が人気で、月に一度の一般公開日(公開日がない月もあり)には、動いた列車に乗ることができます。

山形県河北町の河北中央公園にあるいもこ列車
▲河北中央公園にあるいもこ列車。一般公開時は実際に乗って楽しめる

紅花が見ごろを迎える7月に開催されるのは「べに花マラソン大会」。6kmと2kmのコースがあり、2kmのコースは誰でも参加できるため、ファミリーで参加する方も珍しくありません。

紅花が咲き誇る初夏の河北町を堪能しましょう。

山形県河北町のべに花マラソン大会
▲毎年7月に開催される「べに花マラソン大会」。初夏のさわやかな風が心地よい

その他の遊び場として、山形県内唯一の動物園「児童動物園」も人気です。規模はコンパクトながら、サルやポニーなどの小動物を見学できるほか、不定期に開催されるふれあい体験ではウサギに触れ合えます。

また「どんがホール」内にも遊具や座敷空間などの多目的スペースがあります。保護者の交流の場として活用されているほか、一時預かり事業を行っている団体もあります。

教育面では、地域学習として小・中学生の授業で紅花栽培や紅花染め体験を取り入れています。また、地域事業者のプロジェクトの一環で新たな特産品を開発するなど、企業と提携した取り組みも活発です。

特徴3:人付き合いが深すぎず適度な距離感。地域行事で交流を図れる

山形県河北町に広がる田園風景の空中写真
▲河北町の田園風景。米やさくらんぼ、ラ・フランスなどの生産が盛ん

河北町は人付き合いが深すぎず、ほどよい距離感を保ちながら生活できます。

東京圏と比較すると人付き合いは多いですが、近所付き合いはそこまで密ではありません。町内会の活動は、地区ごとに特色があるため、その頻度は様々です。

谷地地区で開催される河北町内随一の国指定重要無形民俗文化財「林家舞楽」が奉奏される「谷地どんがまつり」では、町民が一体となってイベントを盛り上げます。

山形県河北町で開催される地域行事の谷地どんがまつり
▲9月中旬に3日間開催される谷地八幡宮の例祭「谷地どんがまつり」

「谷地どんがまつり」は約400年の伝統を誇る祭礼で、町内外から観光客が訪れます。谷地奴を先頭に約2kmにも及ぶ神輿還御の行列が町内を練り歩く姿は特に華やかです。また、囃子屋台の巡演では子どもたちが太鼓を担当し、青年たちが三味線や横笛を演奏するなど、様々な年代が一体となり祭りを盛り上げます。

このように交流が図れるイベントがありながら適度な距離感が保てる点も、河北町が住みやすい理由の一つと言えるでしょう。

山形県河北町役場のまちづくり推進課に勤務する菊地さん
菊地さん

各地区に祭りや寄り合いがあるので、下見の際はコミュニティの特徴を把握して住む地区を選んでもらうようにおすすめしています。

河北町の暮らしに関する情報

山形県河北町で栽培されているさくらんぼ
▲河北町を代表する特産品のさくらんぼ。6月〜7月は町内の農園でさくらんぼ狩りが体験できる

「河北町にはどのような仕事があるか知りたい」「就農支援制度はある?」など、移住に関する疑問を解消するために、河北町の基本情報と暮らしに役立つ情報を紹介します。

気候 1月平均気温:-1.0℃
8月平均気温:23.7℃
※参考:気象庁
人口 人口:17,086人
世帯数:6,346戸
(2023年9月末時点)
医療施設 ・県立病院:1院
・診療所・クリニック:17院
・歯科:9院
学校 ・保育施設:9園
・小学校:6校
・中学校:1校
・高校:1校
特産品 ・米
・さくらんぼ
・ラ・フランス
・イタリア野菜
・冷たい肉そば
・秘伝豆
・スリッパ など
交通 【空港】
・最寄りの空港:山形空港(車で約10分)

【電車】※町内に駅がないため最寄り駅を記載
・最寄り駅:JR「東根駅」「寒河江駅」(車で約15分)

【バス】
・山交バス
・河北町路線バス

【車】
・国道:287号、347号
・高速道路:東北中央自動車道「東根IC」(車で約5分)
都市部へのアクセス 【山形市】
・車で約45分

【仙台市】
・車:東北自動車道利用で約1時間30分

【東京】
・飛行機:山形空港から約1時間
近隣地域 東根市、寒河江市、天童市、村山市

※2023年10月現在

町内にはJRの駅がなく、公共交通機関はバスのみです。町内循環バス「河北町路線バス」も運行しているものの本数が少ないため車は欠かせません。

しかし、町内にはスーパーやホームセンターの他、県立病院もあり生活に不便はありません。また、野菜や果物、大豆、米など食が豊かで、新鮮な食材がいつでも手に入るのも魅力です。

一方で、考慮すべきは冬の暮らしでしょう。山形県は全域が豪雪地帯です。河北町は比較的雪が少ない地域ですが、積雪が20cm〜30cmに及ぶ年も少なくありません。

雪が降ると朝・夕は渋滞することがあるなど、雪国ならではの多少の不便があります。しかし、雪は田んぼや畑を真っ白に埋め尽くし、素晴らしい景観を見せてくれることもあります。雪に不慣れな方は冬の暮らしについて相談してみましょう。

山形県河北町の地域おこし協力隊で活動している金子さん
金子さん

冬の生活はミスマッチが起こりやすいため、移住を検討される方には注意点や暮らしの様子を丁寧に案内しています。

【文化】「雛とべに花の里」。河北町の歴史を刻む紅花と雛人形

河北町は古くから紅花の生産が盛んなまちです。道の駅や紅花資料館では、紅花染めの職人が手掛けるハンカチや、紅花染めの糸で刺繍を施したこぎん刺し「かほく紅こぎん」などの工芸品が手に入ります。

また、地域行事で紅花染めのワークショップが行われるなど、誰でも日頃から紅花に触れられます。

そして、河北町の紅花と深い関わりがあるのが雛人形です。江戸時代の紅花貿易の際に、紅花染めの袴を着た雛人形を京都から持ってきたことがきっかけで、雛人形は河北町の名物となりました。4月に開催される「谷地ひなまつり」では、その雛人形が展示されるとあり多くの方で賑わいます。

山形県河北町役場のまちづくり推進課に勤務する菊地さん
菊地さん

町内の至る所に雛人形が飾られています。春から初夏には紅花が咲くためぜひ下見の際にお楽しみください。

【仕事】町内に2つの工業団地あり。就農・起業支援も充実

大手求人サイトに掲載されている河北町の正社員求人数は以下の通りです。

河北町 約300件 求人一覧
東根市 約1,300件 求人一覧
寒河江市 約1,000件 求人一覧

※縁結び大学調べ(2023年10月現在)

河北町には「谷地工業団地」「花ノ木工業団地」の2つの工業団地があり、工業団地の立地企業の求人が豊富です。地場企業が多く、運送や電子部品・デバイス、食品、物流など業種は多岐に渡ります。

選択肢を広げたい場合は東根市や寒河江市も視野に入れましょう。車で約1時間の山形市まで通勤する人も珍しくありません。

また、河北町は新規就農や起業に活用できる支援制度があり、新しいことにも挑戦しやすい環境です。

就農準備資金 ・就農前の研修をサポートするための資金
・交付金:150万円(2年以内)
新規就農者農業用機械購入支援事業 ・農業用機購入にかかる経費の一部を補助
・補助率:費用の1/2(上限50万円)
起業支援事業費補助金 【起業にかかる費用の4/5を交付】
・上限500万円
※審査員へプレゼンして採用された場合に支援を受けられる

町内はさくらんぼや米の農家が多く、後継者を募集しているケースもあるそうです。

そこで、新規就農者支援団体「かほくさくらんぼ塾」が、希望する作物に合った農家をつないだり、農作物の栽培方法を指導したりと多角的なサポートを行っています。

その他、首都圏の企業にテレワーク勤務する方もいるように働き方は様々です。

山形県河北町役場のまちづくり推進課に勤務する菊地さん
菊地さん

移住者の中には独立せずに農業法人で学びながら農業を営んでいる方もいます。

【住まい】選択肢豊富。住宅購入は最大100万円の補助あり

河北町は民間の賃貸物件をはじめ、戸建てや町営住宅など選択肢が豊富で住まい選びに困りません。賃貸と住宅購入それぞれで活用できる支援制度もそろいます。

まずは、大手不動産サイトに掲載されている物件数を確認しましょう。

賃貸アパート 約20件 物件一例
賃貸戸建て 2件 物件一例
購入(戸建て・土地) 6件 物件一例

※縁結び大学調べ(2023年10月現在)

1DK〜3DKまで幅広く、世帯人数に合った物件が探せるでしょう。なお、民間の賃貸物件に継続して居住すると、最大で年間12万円受け取れる補助金制度を利用できます。

賃貸住宅入居移住支援事業費補助金 県外から転入し、賃貸住宅へ入居して1年経過した世帯を対象に家賃の一部を補助
・支給額:家賃の1/3(月額最大1万円)
※公的住宅や社宅、親族・姻族が所有する物件は対象外

月々の家賃を抑えたい場合は、町営の移住定住促進住宅「サン・コーポラス河北」がおすすめです。単身者も入居可能で所得制限もありません。家賃は月額26,000円〜34,000円とリーズナブルなうえ、谷地地区のため利便性も良好です。

その他、通常の町営住宅「東団地」もあります。

公式:河北町「町営住宅 定住促進住宅(サン・コーポラス河北)」
公式:河北町「町営住宅 東団地」

戸建て購入を希望する場合は、空き家バンクをチェックしましょう。谷地地区を中心に6件ほど中古住宅が登録されています。(2023年10月現在)

公式:河北町「空き家バンク」

住宅購入の際は以下の支援を活用しましょう。若年世帯は最大で100万円の補助が見込めます。

移住定住促進事業費補助金制度 新築、中古・建売の住宅を購入した移住者へ支給
・交付条件に該当する方へ70万円支給
・夫婦かつ40歳未満の方は30万円加算
山形県河北町役場のまちづくり推進課に勤務する菊地さん
菊地さん

空き家バンクは毎年2、3件ほど登録があります。所有者と購入希望者のご要望に沿って紹介していますので、ご希望の際はぜひご相談ください。

河北町へ移住した人の体験談

山形県河北町へ移住した方の感想

ここでは、河北町へ移住した方の声を一部紹介します。

  • 個人商店やスーパー、飲食店もそろっていて暮らしに不便を感じない。
  • 町内に駅はないが近隣の東根市や寒河江市、空港まで10分〜15分で行けるので県外にも出かけやすい。
  • 食が豊かで四季がはっきりしている。旬の食材や雪景色など都会では体験できない四季折々の楽しみがある。

近隣都市へのアクセスや町内で買い物が完結するといった、利便性の高さに魅力を感じる声が多く聞かれました。また、さくらんぼやラ・フランスの生産が盛んなように、食の豊かさを挙げる人も少なくありません。

自然と利便性の両方を求める人にとって適したまちと言えるでしょう。

河北町へ下見に行く際は移住体験住宅を活用しよう

山形県河北町の移住体験住宅の外観
▲移住体験住宅の外観。河北町特産の紅花がお出迎え

地方移住で理想のライフスタイルを実現するには、下調べが欠かせません。

河北町では1週間無料で滞在できる移住体験住宅「河北町ちぇっと移住体験住宅」を利用できるため、じっくりとまちの雰囲気を味わえます。

建物はファミリーでも広々使える2階建ての5DLです。生活に必要な家具・家電はもちろん、寝具(2組)や自転車までそろっています。

山形県河北町の移住体験住宅の居間
▲移住体験住宅の居間。部屋は全て落ち着きのある和室

なお、就農・起業目的で移住を検討している方は、最大1カ月まで延長できます。滞在中に就農体験を希望する場合は、滞在期間を考慮してもらえるケースもあるので相談してみましょう。

また、菊地さんや金子さんへ町内のガイドを依頼することも可能です。体験住宅の申し込み時に体験したいことや見学したい場所を伝えてみましょう。

公式:河北町「移住体験住宅(河北町ちぇっと移住体験住宅)」

山形県河北町の地域おこし協力隊で活動している金子さん
金子さん

移住体験住宅の申し込みは月1〜2件ほどあるため、日程に余裕を持ってお問い合わせいただくことをおすすめします。

河北町への移住に関するお問い合わせ

担当課 まちづくり推進課
住所 〒999-3511
山形県西村山郡河北町谷地戊81
電話番号 0237-73-2116(直通)
対応時間 8:30〜17:15
※土・日曜、祝日、年末年始を除く
公式サイト https://www.town.kahoku.yamagata.jp/
山形県河北町役場のまちづくり推進課に勤務する菊地さん
菊地さん

移住を希望される方それぞれのニーズに合わせてご対応いたします。まずは体験住宅にお越しいただき、河北町のまちの雰囲気をご体感ください。

山形県河北町の地域おこし協力隊で活動している金子さん
金子さん

足を運んでいただいた際は、ぜひ移住に関する疑問などをお聞かせください。安心して移住ができるようにアドバイスいたします。