京都府井手町で暮らす良さとは?移住のための仕事・住居・支援情報

この記事では地方への移住を検討している人に向けて、京都府井手町(いでちょう)の魅力や仕事、住まいといった暮らしに関する情報をまとめています。

井手町は田園が広がる風光明媚な土地でありながら、大都市に囲まれているためインフラ整備が進んでいる珍しいまちです。

そんな井手町について、井手町地域創生推進室主事・新(あたらし)さんと、地域おこし協力隊の髙橋さんのお二人に移住に役立つお話を伺ってきました。

井手町地域創生推進室主事の新さんと地域おこし協力隊の髙橋さん

京都府井手町の暮らしの特徴3選

京都府井手町の暮らしの特徴

井手町は京都の南部に位置する、面積約18㎢ほどの小さなまちです。町内にはまちの象徴である井手の玉川をはじめ、景観資産や名水百選に登録されている自然景観が数多く存在します。

一方で大都市に囲まれている立地上、産業開発や交通網の拡張が進んでいるという、地方には珍しい一面を備えています。地方の良さと現代的な便利さが交差するまちはそう多くありません

そんな独自の魅力を持つ井手町の暮らしの特徴3選を紹介します。

特徴1:京都・奈良・大阪の3大都市圏内!鉄道の複線化も進む

井手町の魅力は、京都・奈良・大阪の3つの都市に近く、交通網インフラが整備されている点です。

町内にはJR奈良線「玉水駅」と「山城多賀駅」の2つの駅があり、大阪まで約1時間・京都市へは約40分・奈良市に関しては約20分あれば行けるため、通勤や買い物にも困りません。

JR奈良線については、全線複線化の取り組みが継続中で、今後はJR山城多賀駅~玉水駅間も複線化される予定です。完成すれば列車本数が増えてより快適になるでしょう。

また、名古屋〜神戸間を結ぶ「新名神高速道路」や、国道24号の渋滞緩和が期待される「城陽井手木津川バイパス」の施工も行われています。

地方移住で懸念されやすいアクセス面がこれほどまでに良好であれば、前向きに移住を検討しやすいですよね。デュアルライフやテレワークの環境を求める若い世代にも最適です。

特徴2:医療費の無料化などの制度・教育施設が充実!子育てを網羅的に支援

京都府井手町の自然の中で遊ぶ子どもたち
▲自然の中で遊ぶ子どもたち。のびのびと子育てができる環境

井手町は「子育てするなら井手町で」をコンセプトに、子育て世帯を網羅的にサポートしています。

支援制度の代表的な取り組みの例として、京都府南部初となる「子どもの医療費の無料化」があり、18歳以下の子どもは医療費の自己負担額が無料です。

その他、妊娠・出産期には不妊治療補助、乳幼児期にはチャイルドシート購入の助成、義務教育期には英検・数検チャレンジ推進事業など、成長期ごとに役立つ制度がそろいます。

支援制度が豊富なため、詳細は「井手町の暮らしに関する情報」にて一覧で紹介します。

もちろん支援制度だけでなく、子どもを健やかに育てられる環境も整っています。町立保育所は3園あり、児童待機数はゼロ。

学習会が開催される児童館や、野外体験活動が行える総合型地域スポーツクラブなど、子どもが学べる施設も豊富です。また、子育て支援センターは保護者の情報交換の場として利用できます。

子育てに対する取り組みは他にも、Instagramを利用した給食の配信「井手町給食日記」や、食物アレルギーのある児童生徒への対応・子育て情報誌の発行など多岐に渡り、網羅的なサポートが特徴的です。

特にYouTube「井手町すくすくチャンネル」は好評で、子育てに関する情報が分かるほか、親子で楽しみながら視聴できるアニメーション動画も閲覧できます。

井手町給食日記(Instagram)

井手町すくすくチャンネル(YouTube)

家族で楽しめる遊び場も充実

井手町には教育施設のみならず、子どもたちが楽しめる遊び場も充実しています。

「玉川さくら公園」は、遊具の他に浅瀬で水遊びをすることもできる人気の施設です。

また、レクリエーション施設「大正池グリーンパーク」はキャンプ場やバンガローが併設されているので、宿泊施設としても利用可能。さらに、大正池には恋愛成就にご利益のある「願いの架け橋」がかかっているため、パワースポットとしても注目されています。近くにはサバゲースポットなどもあります。

京都府井手町の大正池
▲手の形をした「大正池」。薬指部分にリングのように願いの架け橋がある

特徴3:自然景観と歴史が重なるまち。自然と文化を育む玉川

井手町は、自然景観を通して歴史の趣を感じられるまちです。そんな井手町を象徴するのが、「平成の名水百選」に選定された玉川。

3月下旬〜4月上旬には1.5kmにも及ぶ両岸に約500本のソメイヨシノが咲き誇り、頭上を覆うような美しい桜のアーチが姿を現します。葉桜となる4月中旬〜5月頃には目にも鮮やかな山吹が見頃を迎え、オレンジ色に染まった玉川の景色を写真におさめに訪れる人も少なくありません。

京都府井手町の玉川堤の桜並木
▲井手町を象徴する「玉川」。万葉集では多くの歌人に詠まれている

玉川は古くより山吹の美しさと蛙が鳴く情景が有名で、万葉集でも多くの歌人に詠まれてきました。町内には玉川に山吹を植えた、奈良時代の公家・井手左大臣(橘諸兄)の石碑が建立されています。

井手町は井手左大臣が別荘を構えた地であり、小野小町が晩年を過ごした地でもあります。その背景から、11月には奈良・平安時代の衣装でまちを練り歩く「時代絵巻行列」が開催されてきました

京都府井手町の恒例行事である時代絵巻行列
▲井手左大臣ゆかりの地を伝承する恒例行事「時代絵巻行列」

魅力的な自然風景・観光スポットの数々

井手町には玉川の他にも、魅力的な自然風景や観光スポットがたくさんあります。

府の天然記念物や京都府景観資産に登録された名所から、若者・ファミリーも楽しめるスポットまで、以下に紹介します。

京都府井手町の玉川付近で飛び交う蛍
▲6月中旬頃になると玉川の清流にゲンジボタルが飛び交う

京都府井手町にある地蔵禅院のしだれ桜
▲府の天然記念物に指定されている「地蔵禅院のしだれ桜」

京都府井手町の万灯呂山展望台から見た風景
▲京都府景観資産に登録された「万灯呂山展望台」からの風景

京都府井手町のサイクリングスポット
▲映画『神様の轍』舞台としてサイクリストにも人気

井手町の暮らしに関する情報

京都府井手町の町内地図
▲駅周辺には施設が集まり、他エリアはレジャースポットが盛りだくさん

ここでは、井手町の公式サイトを参考に、暮らしに関する情報をまとめました。仕事・住まい・教育についても詳しく解説します。

▼井手町の概要

気候 1月:平均気温4.1℃
8月:平均気温27.5℃
※参考:気象庁ホームページ
人口 人口:約7,000人
世帯:約3,400世帯
(2023年2月1日時点)
医療機関 病院・クリニック2、歯科1
学校 保育所3、小学校2、中学校1
遊び 【名所・旧跡】
橘諸兄の旧跡、井提寺(井手寺)跡、六角井戸、蛙塚、小野小町塚

【神社・寺院】
玉津岡神社、高神社(府指定文化財)、地蔵禅院

【史跡・遺跡】
小野小町塚、石橋瓦窯跡(大安寺旧境内附石橋瓦窯跡)

【観光スポット】
玉川の桜並木、蛙塚、大正池(2007年度登録京都府景観資産)、左馬ふれあい公園、万灯呂山展望台、竜王の滝
イベント 4月:井手町さくらまつり
5月・11月:山背古道ウォーク
6月:ほたる祭り
食べ物 【特産品】
たけのこ、茶、みかん、手作りのみそ、鯖寿司

【ご当地グルメ】
かしわのすき焼き、井手じゃんめん、井手てんぷら、たけのこご飯、草もち
伝統工芸品 清水焼、草木染
近隣都市 城陽市、京田辺市、木津川市、相楽郡和束町、綴喜郡宇治田原町
交通 【鉄道】
中心となる駅:JR奈良線山城多賀駅・玉水駅

【バス】
路線バスなし
〇国道307号に沿う地域
・京都京阪バス:山城大橋停留所
・多賀口停留所(近鉄京都線新田辺駅・片町線京田辺駅、宇治田原町方面のアクセス可能)
〇木津川市が徒歩圏内の地域
・木津川市コミュニティバス山城線:渋川停留所・渋川西停留所・JR奈良線棚倉駅、上狛駅、関西本線木津駅へ行ける

【道路】
〇国道:24号、307号
〇主要地方道・奈良県道、京都府道65号生駒井手線、京都府道70号上狛城陽線
〇一般府道・京都府道321号和束井手線
大都市へのアクセス 〇京都府
・電車:JR奈良線で約30分(みやこ路快速)
・車:国道24号線走行で約50分

〇大阪府
電車:JR奈良線・東海道本線で約1時間
車:国道307号走行で約1時間30分

〇奈良県
電車:JR奈良線で約15分(みやこ路快速)
車:国道24号線走行で約30分

町内は多賀・井手・有王の3区域に分かれています。まちがコンパクトにまとまっていて、駅から遠くても約1km程度なので、車がなくてもそこまで移動には困りません。多賀エリアは、城陽市青谷方面の乗合タクシーの利用が可能です。

駅前の商業施設などの誘致に積極的に取り組んでおり、今後はスーパーマーケットや飲食店が増える可能性も十分に考えられます。

新さん
新さん

運行頻度は火・木曜に1日3往復と少ないものの、大型商業施設「アル・プラザ城陽」や城陽郵便局などへ行く際に便利です。

仕事:都市部への通勤者も多数。新卒者は奨学金返済支援を活用しよう

井手町の正社員求人を調べたところ、ハローワークで約100件・大手求人情報サイトで約280件見つかりました。※2023年2月現在
求人情報の一例

町内の求人数はそこまで少なくないですが、職種の幅を広げたい場合は都市部への通勤も視野に入れましょう。求人件数が約20,000件と大幅に増加します。
求人情報の一例

なお、大学新卒者にとっては心強い「奨学金返還支援制度」があります。新たな生活を始めるための資金源として活用しましょう。

奨学金返還支援制度 大学卒業後に就業し、5年以上定住する方を対象に奨学金の返還に対する支援を交付。
・1年間に返還した奨学金額の1/2
・上限86,000円、最大5年間
新さん
新さん

日中は京都や大阪で働かれ、住まいはのどかなこの町でゆったりと過ごされる方も多くいらっしゃいます。

住まい:空き家バンクは物件が多くて好評。町営住宅も狙い目

京都府井手町の空き家バンク登録物件
▲空き家バンク登録物件の一例

大手住宅情報サイトで井手町の賃貸物件を検索すると、約25件の空室が確認できました。間取りは1K~2LDKまで幅広く、立地については駅から徒歩10分圏内の物件も多く見受けられます。※2023年2月現在

コンパクトながら都市に近い立地のため、まちの大きさに対してアパート数は少なくありません。
賃貸物件の一例

新さん
新さん

井手町の賃貸物件の傾向として、最近はメゾネットタイプのアパートが増えています。

特に移住者に好評なのが空き家バンクで、物件を登録するとすぐ契約が決まるほど人気です。移住を決める際は早めに町役場へ問い合わせましょう。

公式:空き家バンク

なお、空き家バンクを利用する際は、以下の住宅助成制度が適用されます。

▼住宅助成制度

空き家残存家財等撤去支援 空き家バンクに登録された物件で、一定年数継続して利用が見込まれる場合は残存家財などの撤去支援を行う
・対象額:50万円以内
【支援対象】
・残存家財の撤去費用・ハウスクリーニング費用・最低限の修繕費

なお、町営住宅に住むのも1つの手です。随時リフォームされてキレイな物件が多いため、築年数による内装劣化を気にする方もぜひ見学してみましょう。

公式:町営住宅・府営住宅の入居者募集

教育:成長期ごとに支援が豊富!積極的に学べる教育環境

成長期に合わせた子育て・教育に関する支援制度が豊富です。

不妊治療から産後ケア、保育利用補助などさまざまあるため、子育ての体力的・経済的不安を軽減できます。

以下に、子育て・教育の支援制度の一例を紹介します。

妊娠・出産 井手町出産応援給付金 出産をお祝いし、出産応援給付金を支給・お子様一人につき10万円
不妊治療補助 一般不妊治療・不育症治療の治療などに要した医療費の一部を助成
妊婦健康診査 妊娠中に公費負担で健康診査を受けられる
新生児・乳児訪問 出産後保健師が家庭訪問を行い、体調管理などのアドバイスを行う
産後ケア事業 産後ケアの実技指導を行う事業
・利用日数:上限3日
・利用料金:1日2,000円
乳幼児期 18歳までの医療費の無料化 18歳以下の医療費の自己負担額が無料
チャイルドシート助成 チャイルドシートなどの購入費に対して補助金を給付
・購入金額の1/2・上限15,000円
・子ども1人につき1回
乳児健診 2カ月に1度、医師や看護師などによる集団指導・乳児健診を実施
絵本の贈呈事業 毎年幼児に1冊の絵本を無料で贈呈
・対象:1歳~3歳
園時期 第3子以降の保育料の無償化 20歳までの兄弟姉妹がいる世帯の第3子以降の保育料を無償化
一時預かり事業 仕事や冠婚葬祭に合わせて、有料で一時的に子どもを預けられる
病児保育利用料補助事業 「病児・病後児保育事業」を利用する際に利用料の一部を助成
・日額1,000円~2,000円
義務教育期 オーストラリアの姉妹校との相互派遣 オーストラリアの姉妹校との中学生の相互派遣を実施
英検・数検チャレンジ推進事業 小・中学生を対象に英検と数検の受験費用を補助
給食費の無償化 保育園から義務教育終了までの給食費がすべて無償

「オーストラリアの姉妹校との相互交流」では、英語力や文化の違いを知り、グローバル社会に対応した人材育成を目指しています。

京都府井手町の教育制度オーストラリアの姉妹校との相互派遣
▲オーストラリアの姉妹校との相互派遣で語学と多様性を身につける

このように、井手町は育児だけでなく教育面にも力を入れていることが分かります。

その他の子育て・教育支援は下記よりご確認ください。

公式:いでで育てる

井手町に移住した人の感想

京都府井手町に移住した方の声

移住者の口コミでは地元の方にはない視点の情報を知ることができるため、移住先を決める際に必ずチェックしておきましょう。

ここでは、井手町へ移住した方のリアルな感想を5つ紹介します。

  • 山間部とは違って自然がありながら都市部へ通勤できるので、地方移住のハードルが高くない。
  • 東京にはない自然に囲まれた環境の中、リフレッシュできていると感じる。
  • ほどよい自然の中、ゆったりとした時間を過ごせるのでストレスがない。
  • 困ったときに手を差し伸べてくれるような、温かい方が多い。
  • 子育て支援センターの存在が大きい。子育ての悩みを共有できる場があるのは非常にありがたい。

東京から移住してきた方は口をそろえて、「里山は心を癒す風景」だと言います。自然に囲まれた環境でスローライフを満喫しているようです。

そんな豊かな自然がありながら、交通の便が良く不自由しない点が、井手町が選ばれる大きな理由ではないでしょうか。ほどよい田舎を求める人にとっては、まさに理想のまちと言えそうです。

髙橋さん
髙橋さん

移住者の方いわく、「移住目的や挑戦したいことがあると移住に成功しやすい」とのことです。

井手町への移住に向けた2ステップ

ここでは、井手町への移住に向けた具体的な準備について解説します。

ステップ1:観光での生活を体験

京都府井手町のまちづくりセンター椿坂
▲地域住民の憩いの場まちづくりセンター「椿坂」

大都市圏からのアクセスが良いため、まずは観光を兼ねて足を運んでみましょう。町内には地域住民の憩いの場として利用されている、まちづくりセンター「椿坂」があります。

館内には縁側や囲炉裏があり、山背古道ハイキングの休憩スポットとして観光客も訪れます。地域の方と交流を図れる絶好の場なので、ぜひ立ち寄ってみてください。

ステップ2:移住支援制度をチェック

井手町には、京都府と共同で実施している支援金制度があります。

東京圏からの移住者を対象に、就業等に関する条件を満たせば世帯人数が2人以上の場合は100万円・単身の場合は60万円が給付される制度です。

移住支援の概要や給付条件は、以下よりご確認ください。

公式:井手町移住支援金交付要綱

井手町への移住に関するお問い合わせ

井手町は過去に京都府主催の移住フェアなどに参画していた事例があります。

移住に向けた情報をもっと詳しく知りたい方や気になる点がある方は、下記にお問い合わせください。

担当課 地域創生推進室
住所 〒610-0302
京都府綴喜郡井手町大字井手小字南玉水67
電話番号 0774-82-2001(代表)
対応時間 平日8:30~17:15
公式サイト 町役場公式サイト
・公式プロモーションサイト「あなたと井手町のいいであい
・公式インスタグラム「井手ぐらし