北海道幌加内町で暮らす魅力とは?移住に役立つ仕事・住まい・支援の情報

この記事では移住を考えている人に向けて、北海道幌加内町(ほろかないちょう)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。

幌加内町は北海道の中央より北西に位置し、士別市や旭川市の西に隣接しています。四方を山に囲まれ、自然豊かな町としては北海道で最も人口が少ないところです。

町名の由来は、まちの南部を流れる幌加内川を指した、アイヌ語の「ホロカナイ(逆戻りする川)」からです。

今回は、幌加内町役場地域振興室の梅津さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。

本日お話を伺った方
幌加内町役場・地域振興室・企画振興係兼ふるさと納税係の梅津さん

幌加内町役場 地域振興室 企画振興係兼ふるさと納税係 主事

梅津 孔希さん

幌加内町の暮らしの特徴を3つご紹介

幌加内町の暮らしの特徴

幌加内町は、日本一が3つある町です。

  • そばの作付面積・生産量が日本一
  • 日本最大の人造湖の朱鞠内湖(しゅまりないこ)
  • 日本最寒記録「-41.2℃」

そんな幌加内町での暮らしは、次のような方に適しています。

  • 移住先での出産や子育てが不安
  • 蕎麦打ちを始めてみたい
  • 降雪地域でのマイカー運転が心配

上記のような方に適している理由を、幌加内町に見られる3つの特徴から解説します。

特徴1:自然の中で子どもとアクティビティを楽しめる

朱鞠内湖でのキャンプの様子
▲朱鞠内湖のキャンプ場。コインシャワーやランドリーもあり、快適に過ごせる

幌加内町には、お子さんと一緒に楽しめるスポットがたくさんあります。

「ほろたちスキー場」は、初心者コースから上級者コースまで、パウダースノーをたっぷり楽しめます。幌加内町は、道内有数の豪雪地かつ厳寒の地なので、雪質も雪量も文句なし。プロボーダーの人も来ているそうです。

小学校でもスキーの授業がありますし、幼児向けのレッスンもあり、地域の人にとっては身近なスキー場です。

冬は朱鞠内湖でのアイスフィッシングも人気です。厚さ1m以上の氷が張った湖面の上でのワカサギ釣りは、非日常的な体験です。運がよければ見られるダイヤモンドダストは、お子さんにとって忘れられない光景になることでしょう。

春から秋は、朱鞠内湖のキャンプ場がおすすめです。林間、芝生、湖畔際など好みの場所を選んでテントを張ることができます。バードウォッチングやカヌーを楽しんでもいいですし、幻の魚といわれる「イトウ」を狙って釣りをする人もいます。

幌加内町役場・地域振興室・企画振興係兼ふるさと納税係の梅津さん
梅津さん

町内に2つあるパークゴルフ場のひとつである「百年記念公園パークゴルフ場」は、広々としたロングコースが特徴です。長距離ヒッターを目指して特訓するのも楽しいですね

特徴2:蕎麦のまちでは、蕎麦打ちをマスターしてから高校卒業できる

幌加内町の蕎麦
▲幌加内町が初めて作付面積日本一の生産地となったのは昭和55年

蕎麦の作付面積・生産量が日本一である幌加内。幌加内町の冷涼な気候や昼夜の寒暖差などが、蕎麦の栽培に適していたため、蕎麦の里となりました。町内には、自慢の蕎麦をいただける飲食店がたくさんありますし、年越し蕎麦は粉を買ってきて自分で打つ家庭が多いようです。

幌加内の蕎麦へのこだわりはとても強く、町内唯一の高校である幌加内高校ではそば打ちの授業が必須科目です。素人そば打ち段位認定制度は初段から7段まであり、初段に合格しないと高校を卒業できない特色のある高校となっています。

また毎年9月頃には「幌加内町新そば祭り」が開催され、人口約1,300人の幌加内町に、約4万人もの人が訪れます。全国の蕎麦打ち名人が集結する一大イベントですので、一度は参加してみたいものですね。

幌加内町役場・地域振興室・企画振興係兼ふるさと納税係の梅津さん
梅津さん

町内の生涯学習センター「あえる97」では、年間を通して蕎麦打ち体験ができます。興味のある人は腕試しをしてみてはいかがでしょうか?

幌加内町の蕎麦の花
▲蕎麦の花が見られるのは7月中旬から8月中旬

特徴3:完全予約制のデマンド交通(タクシー車両による乗合運送)で冬も移動しやすい

幌加内町には鉄道は走っていませんが、最寄りの駅までの路線バスがあります。マイカーがあればさらに便利です。ただ、近隣都市の旭川市までは峠があって路線バスは運行できません。冬は降雪でマイカーの運転が不安な人も多いことでしょう。

そんなときのために、幌加内町では、完全予約制(デマンド)で10人乗りの乗合自動車デマンド公共交通「ほろみん号」を運行しています。旭川市内の病院2か所にも停車しますので、通院の際の便利な足として活用できます。

幌加内町役場・地域振興室・企画振興係兼ふるさと納税係の梅津さん
梅津さん

予約は利用前日まで。利用料金は片道1,100円(65歳以上の人のための高齢者割引、障がいを持つ人のための福祉割引あり)です。

幌加内町の暮らしに関する情報

ここからは、幌加内町の暮らしに関する情報をご紹介します。

気候 8月平均気温20.0℃
1月平均気温-8.4℃
※参考:気象庁
人口 人口:約1,300人
世帯:約700戸
(令和5年1月31日現在)
病院 病院・クリニック:4か所
歯科:1か所
学校 保育施設:2所
小学校:2校
中学校:1校
高等学校:1校
文化・芸術 三頭山山開き
政和アートFes
朱鞠内湖湖水祭
厳寒祭り
幌加内町新そば祭り
産業祭
天使の囁き記念日ライトアップ
JR深名線資料館
旧第三橋梁鉄橋(ポンコタン鉄橋)
旧JR深名線「沼牛駅」「添牛内駅」
交通 【一般路線バス】
JR北海道バス:JR深川駅-幌加内-朱鞠内湖-JR名寄駅
(幌加内町市街地から深川駅までJRバスで約1時間20分。朱鞠内湖から名寄駅までJRバスで約1時間20分)

【鉄道】
なし。最寄駅は深川駅、名寄駅
(幌加内町市街地から路線バスとJRを乗り継ぎ、旭川駅まで約2時間20分、札幌駅まで約2時間50分)

【車】
幌加内町市街地から旭川市中心部まで約45分、札幌市中心部まで約2時間
近隣都市 名寄市、士別市、旭川市、深川市

幌加内町で暮らすには車があった方が便利です。ただ、幌加内町は、道内でも1〜2位を争うほど積雪の多い地域なので、冬はスタッドレスタイヤを装着するなどの対策が必要です。移住の下見の際などに、地元の人に冬季の状況を確認しておくとよいでしょう。

幌加内町の雪対策は整っており、家の玄関前までしっかり除雪してくれます。また、町内の家は雪が積もることを考慮し、床下が高めに作られているので、真冬でも通常通り玄関から入れます。多くの家庭では、冬は24時間暖房をつけていて、暑くなったら半袖になることで調整しているようです。

そんな豪雪を利用した温泉が、道の駅「森と湖の里ほろかない」内の「せいわ温泉ルオント」にあります。「豪雪露天風呂」は、その名の通り周囲を雪が覆い尽くす露天風呂で、一面の銀世界が楽しめます。

幌加内町の、道の駅「森と湖の里ほろかない」にある「豪雪露天風呂」
▲道の駅「森と湖の里ほろかない」にある「豪雪露天風呂」。施設内にはバンガローがあり、ワーケーションも可能

幌加内町で買い物ができるところは、道の駅とスーパーマーケット1件です。買い物は、車やバス、デマンド便で旭川市や士別市、名寄市に行くことが多いようです。

旧JR深名線沼牛駅の外観
▲旧JR深名線沼牛駅。深名線廃止後20年以上経つ現在も、有志によって保存され、イベントで利用されている

【子育て】子育て世帯にさまざまな助成を実施

公園で遊ぶ親子3人

幌加内町は子育て世帯を支援するため、さまざまな助成を行なっています。その一部を紹介します。

出産祝金支給事業 町内に1年以上在住し、2児を養育し、第3子以上の出産があり、かつ6か月以上児童を養育している人に出産祝金を支給
指定ごみ袋の支給 満2歳に満たない乳幼児のいる世帯に、燃やせるごみ用70ℓのごみ袋を月4枚、年間50枚を上限に支給
チャイルドシート等購入費用の助成 新生児から6歳未満のいるチャイルドシート等が必要な家庭に、乳幼児1人につき1回限り、2万円を上限に購入費用を助成
乳幼児等医療費助成 0歳から中学校を修了するまでの子どもにかかる医療費を助成

公式:幌加内町「妊娠・出産・子育て」

移住後に出産した人によると、「移住先の出産は不安が多かったが、町で子育て教室などを開催しているし、福祉課や保健師さんにいつでも相談できたので安心できた」とのこと。保健師さんも他のまちから来た人が多いので、移住者の不安を理解し、親身に聞いてくれるのでしょう。

乳幼児健診や乳幼児相談を行う「保健福祉総合センターアルク」と「幌加内診療所」が併設しているのも便利ですね。

【仕事】働く意欲のあるひとり親とその家族を積極的に受け入れ

大手求人情報サイトで幌加内町の求人を調べたところ、約30件がヒットしました。
※求人情報の一例

情報サイトでは求人数が少ないように感じますが、幌加内町に住んでいる人は、町内で仕事に就いている人ばかりとのこと。役場、地域おこし協力隊、介護、テレワーク、自営業、蕎麦関連、宿泊施設、湖職員などが多いそうです。移住相談窓口で相談してみるとよいかもしれませんね。

また、幌加内町では、ひとり親とその家族を積極的に受け入れています。とくに、介護や保育の仕事につく人には支援が用意されていますので、対象となる人はぜひ活用してください。

公式:幌加内町「幌加内町移住・定住情報」

【住まい】賃貸物件は少ない。持ち家建設の助成あり

大手住まい情報サイトで幌加内町の賃貸物件を調べましたが、件数がとても少ないようです。インターネットには掲載されていない物件もあるかもしれませんので、移住相談窓口で相談してみましょう。

幌加内町が宅地の分譲販売(150坪の土地代で89万円程度)を行なっているので、新築住宅を建設するか、中古住宅を購入することになりそうです。どちらの場合も「持ち家建設促進奨励金」として最大200万円(北海道が定める北方型住宅2020の場合、更に100万円上乗せ)を助成しています。

公式:幌加内町「宅地・新築・上下水道」

幌加内町に移住した人の声・感想

幌加内町に移住した人の声

次に、幌加内町に移住した方の感想をご紹介します。

  • スノーボードが趣味なので、雪の多い幌加内町に移住してきた
  • 大自然と空気のよさに惹かれて移住した
  • 買い物はやや不便だが、一週間に一回まとめ買いをすれば大丈夫。宅配サービスも利用している
  • 冬場は無理に車を運転しなくても、路線バスやデマンド便で十分
  • 今はネットで買い物ができるので、どこに住んでいても不便がない

豊かな自然に惹かれて移住した方が多いようです。雪の多い地域なので買い物が不安に思う人も多いことでしょうが、移住者の声をきくと大丈夫そうですね。

幌加内町へ移住するために利用したい窓口

幌加内町のお試し住宅のダイニングルーム
▲お試し住宅のダイニングルーム。基本的な家具や暖房設備は整っている

幌加内町では、移住を検討する人を対象に、お試し住宅を用意しています。利用期間は1週間から2か月程度です。市街地までの距離は約7kmで、車で約5〜10分。路線バスの停留所からは徒歩1分です。

できれば、日本一厳しいとされる冬季の生活を体験してみましょう。現実的に移住が可能かどうか、よい検討材料になります。

公式:幌加内町「幌加内町お試し住宅について」

幌加内町への移住に関するお問い合わせ

移住相談窓口 幌加内町役場 地域振興室 企画振興係
住所 〒074-0492
北海道雨竜郡幌加内町字幌加内4699番地
電話 0165-35-2121(内線121)
公式サイト 幌加内町「幌加内町移住・定住情報」