鳥取県日野町 移住ガイド:豊かな自然と手厚い支援で実現する理想の田舎暮らし
この記事では、地方移住を検討されている方へ「鳥取県日野町(ひのちょう)」の魅力を紹介します。
日野町は鳥取県の西部地区に位置する人口約2,700人のまちです。町面積の約90%を山林が占め、町の中央を一級河川の日野川が流れるように豊かな自然に恵まれています。
若者世帯は最大150万円の住宅補助を受けられるなど、移住者向けの支援制度がそろうため子育てを機にUターン移住をする方も少なくありません。
そんな日野町の特徴や移住に役立つ暮らしの情報をお伝えします。
日野町の3つの特徴:自然豊かな環境と充実の支援制度
日野町は谷間に集落があり、山が近い立地のため日常の中で雄大な自然を感じられます。ラフティングやアユ釣りなど、大自然ならではのアクティビティはもちろん、都会では叶わない自然体験を通した子育てを実現できる環境です。
そんな日野町への移住は、次のような方におすすめです。
- 都会の喧騒から離れて穏やかな環境を求めている方
- 就農に興味がある方
- 大自然のアクティビティを楽しみたい方
- 自然の中で子育てをしたいと考えている若年世帯
上記の理由について日野町の特徴とともに解説します。
特徴1:ライフスタイルに合わせて選べる3つの居住エリア
▲日野町の根雨地区の町並み。根雨地区はスーパーや病院などが集まっており利便性が良い
日野町内には「根雨」「黒坂」「上菅」の3つの地区があります。そのため、移住目的や理想のライフスタイルに合わせてエリアを選ぶことができます。
中心地区である根雨は、スーパーやホームセンター、病院、学校などの各施設が集約されているエリアで、利便性を考慮する方に向いています。米子市まで車で40分程度で行けるとあり、子育て世帯を中心に人気です。
黒坂地区は住民活動が盛んな地域です。毎週地区活動をしている住民も少なくありません。高齢者の見守り役も担う移動販売車が走るように、高齢者も住みやすいエリアです。特産品「鳥取茸王」の栽培も盛んに行われています。
上菅地区はさらに住民の結束が強いエリアです。農産品を使用した豆腐やみそづくりなど、地域活性化への取り組みも行われています。「農業を始めたい」「交流を大事にしたい」という方は黒坂・上菅エリアがおすすめです。
このように、エリアごとに特色があるため、移住目的や理想のライフスタイルが叶う環境が見つけやすいでしょう。
特徴2:四季を通じて楽しめる自然体験アクティビティ
▲夏には一級河川の日野川で迫力満点のラフティングを楽しめる
日野町は町面積の約90%が山林で、一級河川の日野川が流れる自然豊かな環境です。そのため、町内では大自然を生かした四季折々のアクティビティが堪能できます。
春と秋には日野川をゴムボートで下る迫力満点の「日野川くだりラフティング」が体験できます。初心者でも楽しめるカヌー教室なども開催しています。
夏には「鵜の池キャンプ場」でキャンプを楽しみながら、満天の星を眺めることができ、日野川ではアユ釣りが解禁されます。
他にも、春は新緑、秋は紅葉、冬はオシドリの飛来と、日野町の四季の移ろいを感じられるでしょう。
▲星空を眺めることができる「鵜の池キャンプ場」。鵜の池は標高420mの地点にある自然池
秋から春にかけては日野町の鳥であるオシドリが訪れます。ピーク時には約1,000羽が飛来するため、日野川沿いに設置されている専用の観察小屋で野生のオシドリを観察しましょう。
▲冬の日野川に飛来したオシドリ。 間近で野生のオシドリを見られるとあり野鳥愛好家も集う
年中自然アクティビティが楽しめる日野町は、自然体験をさせたいという子育て世帯だけでなく、都会との二拠点生活にもおすすめです。
子どもはもちろん、大人も楽しめる自然のアクティビティが日野町にはたくさんあります!
特徴3:充実の子育て支援と新設された乳幼児向け屋内施設
▲子育て支援室「おひさまひろば」でお絵かきを楽しむ子どもたち
日野町では、乳幼児や小学生を対象とした子育て支援を設けています。子どもや保護者が集える子育てサポート施設もあるため、若いファミリーの移住者も少なくありません。
▼子育て支援の一例
入学・進級お祝い | ・義務教育学校入学:30,000円 ・7年生進学:50,000円 ・新小学一年生に通学用カバン贈呈 |
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放課後子ども教室 | 地元住民による教育サポーターの見守り ・利用時間:平日18:00まで |
病後児保育 | 病気または回復期の集団保育が困難な子どもに対して専用保育室を開設 |
家庭子育て支援 | 生後6カ月~3歳に達する乳幼児がいる世帯 ・対象:保育所などに通所せず家庭内で子育てしている世帯 ・支給額:1人につき10,000円~30,000円/月 |
その他、保育所内に併設された「おひさまひろば」では、ボランティアの方や保育士が、保育施設に入所する前の子どもの子育てをサポートしています。地域住民だけでなくボランティアサポーターの支えもあるように、日野町は子育てに理解のある環境です。
2023年7月には、旧中学校校舎を利用した屋内施設「しいたん広場」がオープンし、子どもの遊び場が増えました。
▲旧中学校校舎を活用して作られた、乳幼児向けの遊び場「しいたん広場」
施設内には知育に良いとされる木のおもちゃがある他、絵本のコーナーやごろ寝ができるスペースなどが併設されています。カフェスペースはお弁当やおやつの持ち込みが可能です。
【しいたん広場】
開設日 | 毎週土・日曜 |
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開設時間 | 10:00~15:00 |
住所 | 〒689-4504 鳥取県日野町野田210 |
@siitan_park |
大自然の中で子育てできる環境のため、Uターン移住者もいますよ。2022年度は関東からの移住者が多かったです。
日野町の暮らしに関する基本情報と生活サポート
ここでは、日野町の基本情報と仕事や住まいなどの暮らしに役立つ情報をまとめました。
気候 | 1月平均気温:-0.2℃ 8月平均気温:23.4 ℃ ※参考:気象庁 ※日野町に観測地点がないため最寄りの茶屋地点 |
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人口 | 人口:2,759人 世帯:1,274世帯 (2023年8月1日時点) |
医療機関 | ・総合病院:1院 ・歯科:2院 |
保育施設・学校 | ・保育所:1所 ・義務教育学校:1校 ・高校:1校 |
観光・レジャー | ・鵜の池公園キャンプ場 ・竜王滝 ・宝仏山 ・金持神社 ・明地峠 |
交通 | 【飛行機】 ・米子空港より車で約1時間 【電車】 ・JR伯備線:「根雨駅」「黒坂駅」「上菅駅」 【バス】 ・日本交通 ・日ノ丸バス ・町営バス 【車】 ・高速道路:中国自動車道「新見IC」より約40km、米子自動車道「江府IC」より約10km ・国道:180号、181号、183号 |
近隣地域 | ・鳥取県:日南町、南部町、伯耆(ほうき)町、江府町 ・岡山県:新見市、新庄村 |
大都市へのアクセス | 【岡山県岡山市】 ・電車:特急「やくも」で約2時間 ・車:約2時間 【広島県広島市】 ・電車:新幹線で岡山まで約40分、さらに特急「やくも」で約2時間 ・車:約3時間 【大阪府】 ・新幹線:岡山駅経由伯備線特急「根雨駅」下車。約2時間30分 ・車:中国縦貫自動車道/中国自動車道経由。約3時間 【東京都】2時間15分 ・飛行機:羽田空港利用で米子空港到着後車で約1時間 |
※2023年8月時点
日野町内には3件のスーパーとホームセンターがあります。ドラックストアや子ども用品店、大型ショッピングセンターへ用事がある場合は、車で約40分の米子市へ出かけましょう。
公園はありますがアスレチック遊具はありません。遊具遊びやスポーツを楽しみたい場合は、車で20~30分の伯耆町にある総合スポーツ公園や「大山ガーデンプレイス」などの利用がおすすめです。
町内の有名な観光名所は日野町金持(かもち)地区に建つ「金持神社」で、金運上昇・開運祈願のパワースポットとして年間約20万人の参拝客が訪れます。
▲日野町内随一の観光地「金持神社」。神社の名前から縁起の良さが伝わる
雲海のビューポイントで知られる明地峠でも、雲海が見られる可能性が高い春~初夏・秋に、観光客の姿が多く見受けられます。
▲明地峠から見える雲海。奥に見えるのは「大山」、湿気の多い山陰地方ならではの景色
地域の方に人気のイベントと言えば、日野町の夏の風物詩「ねう祭り」です。根雨駅前広場をメインに開催される夏祭りで、屋台や「日野町音頭」「祇園鳴子ばやし」などの踊りが楽しめる他、フィナーレには約600発もの花火が夜空を彩ります。
▲日野町の夏の風物詩である「ねう祭り」。約600発の花火が夏の始まりを鮮やかに告げる
このように買い物や遊びは町内で完結しますが、近隣の米子市や伯耆町を活用するとより快適に生活できます。
【気候】山陰特有の短い日照時間と豪雪
日野町は日本海に面した山陰地方のため、湿度が高く雪が多い気候です。雪が50~60cm積もる豪雪地帯で、12月から3月上旬あたりまで降り続けます。ただ、早朝は除雪が入るなど豪雪地帯ならではの対策が施されています。
また、日照時間が短い点も特徴の一つです。日照時間の全国平均(平年値)が1,915時間に対して、鳥取県は1,669時間と短く、移住後に気分が落ち込みやすくなる方も珍しくありません。
※参考:岡山県庁「日照時間(平年値)(統計期間1991~2020年)」
冬は、照明を温白色に変えたり室内の温度を上げたりといった温かみのある空間づくりや、在宅時間を楽しむ工夫をして備えましょう。
日照時間の短さや季節の変わり目、湿気、雪で気分が落ち込む方もいますが、移住者の多くが通る道なので大丈夫!「何とかなる」と気楽にいることで乗り越えられますよ。
【教育】保小中一貫の教育と地域協働による学びのサポート
日野町では2023年4月より義務教育学校を導入して、保小中一貫教育の学校を開校しました。
義務教育学校の9年間では通常の授業に加えて地域課題も学べるため、自分が住む地域への理解を深められます。2023年8月時点で小・中学にあたる学年が1クラスずつあり、全校約120人の生徒が授業を受けています。
高校では、学校独自の授業を展開する取り組み「高校魅力化プロジェクト」を採用し、2020年度から県外の学生の受け入れを始めました。
その他、保育園や地域の事業所と連携して職業体験やボランティア活動などに取り組むなど、地域協働で学びをサポートしています。
移住者向けの奨学金制度もあるので利用しましょう。
あゆ奨学金 (給付型) |
転入3年未満の移住者で町内の学校に在学する児童がいる世帯 ・1名あたり10,000円支給(最長3年間) |
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【仕事】農業中心の地域産業と近隣都市への通勤サポート
大手求人サイトで調べた、日野町の正社員求人数は下記の通りです。
日野町 | 約50件 求人一例 |
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米子市 | 約4,000件 求人一例 |
※縁結び大学調べ(2023年8月時点)
日野町の正社員求人は件数があまり多くないため、米子市へ通勤する方が多い傾向にあります。米子市は営業職から製造オペレーター、プログラマーなどのIT関連の専門職まで求人が豊富です。
町外へ通勤する場合は、以下の通勤費補助が適用されます。
通勤費支援補助金 | 町外へ通勤する移住者の交通費を一部補助 【支給額】 ・1~3年目:勤務先が支給する通勤手当を除いた額 ・4~5年目:勤務先が支給する通勤手当を除いた額の1/2 ・上限:20,000円/月(最長5年) |
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日野町は古くから米の産地として発展してきた歴史があり、町内の仕事は農業が主流です。手厚い就農支援制度があり、農業に興味のある方の移住も珍しくありません。
▼日野町の就農支援制度
がんばる農家プラン支援事業 | 米作り農家の水稲苗の購入・育苗にかかる経費を補助。 ・上限金額・助成額 6,000円/10a(㎡) |
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林業へ就業をめざす研修生向け給付金 | ・林業アカデミー(日南町)を卒業後して日野町内の林業事業へ就業する方対象 ・給付額:40,000円/月 |
農業・林業のマルチワーク事業 | ・農林業の複数の仕事に携わる働き方をサポート ・年間を通じて仕事を確保してもらえる |
【住まい】若年世帯向け最大150万円の住宅支援
日野町は賃貸住宅の需要が少ないため、移住者の多くが空き家バンクや町営住宅を利用しています。
2023年8月時点の空き家バンク登録物件数は61件あり、特に黒坂地区は空き土地が豊富です。改修が必要な物件もありますが、売却物件は状態の良いものも少なくありません。
公式:日野町「日野町空き家バンク/日野町空き家借上げ・活用住宅」
町営住宅もエリアごとに複数点在しています。気になる方は下記より物件をご確認ください。
公式:日野町「町営住宅」
なお、日野町は土地代が東京圏と比較して1/20ほどと安く、家を建てたい人にはおすすめの環境です。さらに、若年世帯の場合は最大で150万の補助が受けられます。
移住・定住促進住宅整備費補助金 (たてなおし補助金) |
住宅の新築・購入・改修にかかる費用の1/2を補助 ・上限:若年世帯150万円、若年世帯以外100万円 |
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空き家家財道具等処分費補助金 (断捨離補助金) |
空き家バンクの物件にある家財を処分する際の費用を補助 ・補助率10/10(上限40万円) |
新築を購入する前に空き家バンクや町営住宅を利用することをおすすめします。
日野町へ移住者した人の声
ここでは、日野町へ地方移住した方の声を紹介します。
- 子どもが生まれたのを機にUターンして中古の空き家を購入。住宅購入の助成金が多いためとても助かった
- 待機児童問題がないため共働きで働ける。職場も子育てに理解があって働きやすい。
- 親身になって相談に乗ってくれる方が多い。頑張っていれば評価してくれる地域柄だと感じる。
自然の美しさもさることながら、子育て支援制度や住宅補助などの手厚いサポートを評価している方が多いようです。「礼儀正しい」「奥ゆかしい方が多い」など、住民の人柄に魅力を感じるという声もありました。
また、日照時間の短さや積雪による移住者の苦労を、役場の方がしっかりと理解してくれている点も印象的です。「誰もが通る道」と励まして寄り添ってくれる温かさからも、地域の方々の人柄の良さが伺えます。
日野町へ移住するまでの流れ
地方移住の失敗を防ぐには下見が重要です。日野町では移住体験ができる「お試し住宅」があるため移住前に利用してみましょう。
ここでは、「お試し住宅」の詳細と移住に関する問い合わせ先を紹介します。
「お試し住宅」で移住体験
▲移住体験用住宅のお試し住宅。二階建てで部屋数豊富なため大家族も安心
日野町のお試し住宅は、築120年の日本家屋を改装した木造二階建てです。古民家部分と増築部分があり、新旧それぞれの良さを感じられます。
駅やホームセンターまで800m圏内と利便性が良く、日常の買い物に困りません。家具・設備は一通りそろっているので、寝具類のみ準備すればお試し移住を始められます。
▼移住体験向け「お試し住宅」詳細
利用料金 | 初日から3日まで:3,000円 4日目以降:1,000円 ※電気・上下水道・灯油代は利用者負担 |
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利用期間 | 最長90日 |
家具・設備 | 冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、掃除機、ヒーター、テレビ、エアコン、調理器具 など ※布団のリースは要相談 |
下見の時期は冬がおすすめですよ。雪のある暮らしを体験してミスマッチを防いでくださいね!
日野町への移住に関するお問い合わせ
担当課 | 企画政策課 |
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住所 | 〒689-4503 鳥取県日野郡日野町根雨101 |
電話番号 | 0859-72-0332(移住担当直通) |
対応時間 | 8:30〜17:15 土・日曜、祝日、年末年始除く |
公式サイト | https://www.town.hino.tottori.jp/ |