和歌山県日高川町への移住はどう?暮らし・仕事・住まい情報を解説

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「和歌山県日高川町(ひだかがわちょう)」をご紹介します。

日高川町は、日本一長い二級河川「日高川」や県下最大の貯水量を誇る「椿山ダム」を有するまちです。開発や観光地化を進めず、自然と共に生きるまちづくりを進めているところが特徴的です。

日高川町では、ありのままの自然が残る環境の中で、のどかな暮らしと多彩な遊びを楽しむことができます。もともと3つの町村が合併して誕生した町という背景から、エリアによってそれぞれの個性があり、より自分のライフスタイルにフィットする地区を探せるのも嬉しいところです。

また移住をしてきた方がそのまま長く暮らして「地域住民」になっているというケースが多く、暮らし心地の良さがうかがえますね。

そんな日高川町について、暮らしの特徴や、仕事・住まい探しについてなど、移住に役立つ情報をたっぷりとお届けします。

和歌山県日高川町の移住相談を担当されている奥村さんと西川さん

日高川町の暮らしの特徴3つ

日高川町の暮らしの特徴

移住を検討している方の中でも、特に次のような方には日高川町がおすすめです。

  • 観光地化の進んでいない自然豊かなまちに暮らしたい
  • より自分の好みに合うエリアを追求して住まいを構えたい
  • 先輩移住者や移住仲間がいたら心強いと思う

ここからは、このような方に日高川町が向いている理由を、日高川町の特徴を3つ紹介しながら説明していきます。

特徴1:ありのままの豊かな自然の中で暮らして遊ぶ

日高川町の俯瞰写真

町の中心を流れ、町名の由来にもなっている「日高川」は、日本一長い二級河川(都道府県が管理する河川)です。アユ・アマゴ釣りの名所として有名で、多くの釣り人に愛されています。

また、町内上流部にある椿山ダムは県下最大の貯水量を誇り、2015年の和歌山国体カヌー競技でも使用された本格的な漕艇場を有しています。

日高川町の大きな魅力は、自然と共に生きるまちづくりを進めているところにあります。

都会のような便利さはあまり無い一方で、ありのままの自然を活かした遊び場や素敵なスポットがあり、休日も町内で存分に楽しむことができます。花火やバーベキューも家の近くでできますよ。

日本一のヤッホーポイント

日本一のヤッホーポイントを上から眺めたところ

山に囲まれた場所で大きな声を発すると反響が起こる「やまびこ」は、多くの方がご存じでしょう。日高川町の「椿山ダム」近くにある「日本一のヤッホーポイント」では、そのやまびこが日本一きれいに返ってくるといわれています。

ただ大声で叫ぶだけですが、やってみれば気分は爽快。大人も童心にかえって夢中になってしまいます。一度、家族や友達を連れて遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

日本一長い藤棚ロード

みやまの里森林公園の藤棚ロード

町内の「みやまの里森林公園」には、日本で一番長い藤棚の遊歩道があり、春には一面が美しい紫色に染まる絶景が楽しめます。

藤の花の見ごろは、4月末~5月初旬頃です。初夏の心地よい風にふかれながら、のんびりとお散歩するのにピッタリですね。

特徴2:きっと「自分向き」が見つかる、エリアごとの豊かな特色

日高川町を3つのエリアに分けた地図

日高川町は、2005年に3つの町村が合併して誕生した町です。

合併により「川辺」「中津」「美山」という旧町村名は地名としてはなくなりましたが、それぞれの地区ごとの個性は健在です。各エリアの特徴を知り、自分の求める環境を選ぶことで、より理想に近いライフスタイルが実現できます。

川辺地区

道成寺と桜の咲く境内
▲道成寺に伝わる「安珍・清姫伝説」は、能や歌舞伎のモチーフとしても有名

川辺地区は、町内で最も人口の多いエリアです。駅や高速道路のインターチェンジ、また隣接する御坊市の市街地にも近いので、活気のあるまちに暮らしたい方や、テレワークなどで定期的に町外へお出かけされる方におすすめです。

数々の重要文化財が保存される道成寺や、ユニークな「丹生祭(笑い祭)」が催される丹生神社といった、有名なお寺や神社もあります。

中津地区

ほどよく田舎の雰囲気がある一方で、町の中央公民館である「日高川交流センター」や、300人規模のバーベキューもできる「日高川ふれあいドーム」などの交流拠点も集まるエリアです。

移住してきた方も多く暮らしているので、移住の手始めに中津地区の賃貸住宅などに住めば、先輩移住者の方からその後の暮らし方を考えるヒントを得られるかもしれませんね。

地理的にも、日高川町を3つに分けたうちの真ん中に位置しているため、町のあちこちへ出かけやすいでしょう。

美山地区

猪谷川水辺公園
日高川の支流にある猪谷川水辺公園は、夏場に家族連れでにぎわう

山が四方に迫り、自然あふれる本格的な「田舎」という雰囲気のエリアです。大自然の中で暮らし、遊びたい方にはピッタリだと言えます。

地区内には国道424号線が通り、沿線にはヤッホーポイントのほか、猪谷川水辺公園などの観光スポットが点在しています。さらに、サバイバルゲームが体験できるアウトドアフィールドもあります。

サバイバルゲームをする人々
▲サバイバルゲームのできる「みやまフォレストフィールド」は、温泉旅館に隣接している。ゲームの後はゆっくり休んでリフレッシュもおすすめ

特徴3:先輩移住者多数!移住したい、住み続けたい魅力満載

日高川町は、長期にわたって住み続けている方が多い町です。日高川町には「移住したい」と思える魅力とともに、「住み続けたい」と思える暮らし心地の良さもある証とも言えるでしょう。

知らない土地へ移住するにあたって、同じ移住者という立場の先輩がいるのも心強いですよね。

例えば、定住支援員(元地域おこし協力隊)の西川さんも移住者の1人です。「地域おこし協力隊」という制度を知って、空き家関連の仕事がしたいと思い移住先を探していた中で、空き家対策に力を入れていた日高川町に移住を決意されたそうです。

定住促進室の奥村さんと、地域おこし協力隊の西川さん
企画政策課の奥村さん(写真左)と、定住支援員の西川さん(右)

「移住後、生活に不便を感じたことはない」というほど、日高川町の暮らしを満喫していらっしゃる西川さん。

周りの移住者の方も「紀州備長炭(和歌山のブランド)の職人になりたくて移住した」「狩猟を習ってできるようになった」など、それぞれの暮らしのスタイルを楽しまれているそうですよ。

長炭の炭焼きをする人
▲日高川町は、高級料亭などで使用される「紀州備長炭」の生産量日本一。その技術は県の無形文化財にも指定されている

日高川町の暮らしに関する情報

ここでは、移住を検討するにあたって重要な、日高川町での暮らしに関する情報をお届けします。

気候 平均気温(8月):26.5度
平均気温(1月):6.0度
※日高川町内に観測地点がないため、直近の川辺地点を参照
人口 人口:9,396人
世帯:4,234世帯
(2022年10月末日現在)
近隣都市 御坊市、田辺市、日高町、印南町、広川町、有田川町
町内公共交通 鉄道:JR西日本紀勢本線
バス:御坊南海バス、有田鉄道バス、日高川町コミュニティバス、田辺市住民バス(日高川町に一部乗り入れ)
大都市へのアクセス ○和歌山市まで
電車で約50分
○大阪まで
車で約1時間半/電車で約2時間
病院 診療所2、クリニック2 など
学校 保育園4、小学校9、中学校5、高等学校2
特産 紀州備長炭、紀州材、ジビエ、川魚
行事 みやまの里ふじまつり、日高川ホタル祭り、丹生祭(笑い祭)、寒川祭

日高川町は、国道424号や複数の主要県道などによる交通ネットワークが発達した、アクセスが便利なまちです。

大阪市中心部までは車で約1時間半ほど。関西国際空港までも1時間程度です。空港へのアクセスが良いと、国内の遠方や海外への旅行がグッと身近になりますよね。

一方で、町内の公共交通機関は少なめなので、生活には車が必須と考えた方がよいでしょう。

川沿いのまっすぐに伸びた道路

日高川町内の道路はきれいに整備され、信号も町内に6か所と少ないため、車の運転に慣れていない人にとっても走りやすいと言えます。ゆるやかな気持ちのよいカーブもあり、ドライブやツーリングを楽しむ方にも好まれています。

診療所やクリニックは町内にそろっています。ただ、大きい病院や産婦人科はないので、必要に応じて近隣の市町の病院を利用することになります。

山に囲まれた日高川町では、鹿やイノシシが畑などを荒らすことがあるため、多くの農業者や猟師が捕獲に取り組んでいます。その一部はジビエとして加工されており、町内の販売所などで手に入れることができるほか、近所の猟師さんからおすそ分けしてもらえることがあるかもしれません。

【仕事】2拠点生活の方も多い

2022年11月現在、大手求人サイトで日高川町の正社員求人を検索すると、約200件がヒットしました(※縁結び大学調べ)。工場作業や建設会社、ゴルフ場の運営管理などの仕事が多く見つかります。

町ではみかんをはじめとした農業や林業もさかんで、下記のような支援制度もあります。

制度名 対象者 内容
農業用機械購入支援事業 認定農業者 作業効率の向上等のために導入する農業用機械について、費用の1/3(50万円)以内を補助
農地保全対策事業 町内に10a(1,000㎡)以上の経営面積をもつ農家
※認定農業者を除く
作業効率の向上等のために導入する農業用機械について、費用の1/3(50万円)以内を補助
「山の恵み」活用事業 町内の農協・森林組合、3戸以上の生産者で組織された団体 特用林産物等(椎茸、備長炭など)の生産、加工または販売に必要となる費用の1/2以内を補助

農業支援について詳しくはこちら
林業支援について詳しくはこちら

もっとも、日高川町へ移住される方は、新規に就職するよりも「早期退職してカフェを始める」、また「2拠点生活でもともとの仕事を継続」などのスタイルを選ばれる方が多いそうです。

大阪方面の会社にお勤めの方で、テレワークメインの働き方ができるのであれば、仕事はそのままに暮らしの拠点だけを日高川町へ移すというライフスタイルはいかがでしょうか。アクセスの便利な日高川町なら、出社が必要な際の移動ストレスも少なくて済みそうです。

【住まい】賃貸の一戸建ても見つかる

2022年11月現在、大手住宅サイトで日高川町の賃貸物件を検索すると、約15件がヒットしました(※縁結び大学調べ)。一戸建ての賃貸も見つかるので、「子育て中で、集合住宅では近隣の部屋への音漏れなどが気になる」という方にもおすすめです。

住宅を新築するのであれば、下記の補助金を利用することができます。

制度名 内容 内容
若者定住促進新築住宅取得支援事業 新築住宅または未使用の建売住宅を取得し、下記のいずれかの条件を満たす方
・本人または配偶者が、満18歳以上39歳以下
・中学生以下の児童と同居し扶養する方
対象経費の10%以内を補助(上限130万円)

空き家バンクで日高川町の物件を探したい方は、和歌山県が運営する住まいのポータルサイト「わかやまLIFE」をご参照ください。
わかやまLIFE

多くの場合、住むには修繕が必要ですが、「移住推進空き家活用事業補助金」の下記制度も利用することができます。

制度名 対象者 内容
空き家改修事業 空き家を改修する方
ほか条件あり
補助金を交付(上限80万円)
空き家片付け事業 空き家の家財撤去などを行う方
ほか条件あり
補助金を交付(上限8万円)

【育児・教育】子ども1人あたりの教師数が多い

川遊びをする子ども達

自然の豊かな日高川町は、「子どもをのびのびと遊ばせながら育てたい」と考えている方には魅力的な環境と言えるでしょう。町では、子どもを育てる家庭に対し、以下のような支援を行っています。

制度名 対象となる方 内容
出生祝金 町内に住所を有する者が出産した場合
(※ただし、出産のための一時転入者は除く)
第1子、第2子:3万円
第3子以降:10万円
すくすく赤ちゃん紙おむつ費用助成金 満1歳未満の乳児の保護者 3,000円×12か月を助成
子育て支援チャイルドシート購入費助成金 満1歳未満の乳児の保護者で、国土交通省の安全基準に適合するチャイルドシートを購入した方 上限1万円の補助金
在宅育児支援事業 第2子(所得制限あり)もしくは第3子以降の乳児を在宅で育児し、育児休業給付金の支給を受けていない世帯 乳児1人当たり 3万円/月
(上限:30万円/10か月)

教育面では、子どもの数が少なくなっているため、子ども1人あたりの教師の数が多いことが特徴です。

1人の先生が多数の生徒を受け持っていると、どうしても目が届きづらいのではと不安になることもありますよね。移住の場合は特に「子どもが新しい環境になじめているか心配」という方もいらっしゃるでしょう。その意味で、1人ひとりの子どもに目が届く日高川町の教育環境は、学習面でも人間関係面でも“置いてけぼり”になりにくく、安心感があります。

日高川町に移住した方の体験談・感想

日高川町に移住した方の体験談

ここでは、実際に日高川町へ移住された方の体験談や感想をお届けします。

  • 川や星空がキレイで空気も気持ちいい。毎日が夏休みのような気分
  • 地域の方がとても親切でフレンドリー。外から帰ってきたら「こんにちは」でなく「おかえり」と声をかけてくれたりする
  • 子どもの様子を、周囲の方がいつも気にかけてくれているのが嬉しい
  • 車で移動をする際、渋滞や信号待ちが少ないので時間のメドが立てやすい
  • 和歌山は暖かいと思っていたので、冬の寒さにはびっくりした。備長炭は、火鉢に入れて暖を取るのにも役立つ!

「自然の豊かさ」と「地域の人の温かさ」が日高川町の大きな魅力のようです。なお、「冬場の寒さは予想外だった」という声も見られるので、心配な方は念入りなリサーチをおすすめします。

日高川町への移住に向けた具体的な行動ステップ

ここでは、日高川町への移住に向けて、具体的に起こせる行動をご案内します。

ステップ1:オンライン相談など、移住イベントに参加

日高川町では、まち単体でも、また和歌山県や全国への参加という形でも、移住イベントを多く開催しています。

メインとなっているのはオンライン相談会。自宅などでリラックスしながら、現地の方に聞きたいことをざっくばらんに聞けるチャンスです移住に関するイメージがまだ具体的になっていない方も、一度利用してみることをオススメします。

また、東京での移住フェアなどが行われることもあるので、こちらもチェックしてみてください。

移住イベントについて詳しくはこちら

ステップ2:現地訪問の相談は、移住相談窓口へ

移住への関心が高まってきて「日高川町をもっと詳しく知りたい」「日高川町に行ってみたい」という方は、移住相談窓口へ連絡しましょう。

日高川町では、移住相談対応の担当者である「ワンストップパーソン」と「定住支援員」が、先輩移住者などと連携しながら移住希望者のサポートを行なっています。

気になる地域・空き家を実際に案内してくれたり(要予約)、各種補助金の申請手続きなども手伝ってくれる、頼りになる存在です。

分からないことや心配なことは何でも相談しながら、移住に向けて足場を固めていけるとよいですね。

ステップ3:短期滞在施設で日高川町のリアルな暮らしを体験

お試し滞在ルーム「てんこそら」
▲昔ながらの美しい風景が残る集落にある「てんこそら」。トイレ・風呂付きの個室のほか、共用の談話室が設けられている

日高川町では、もともと林業従事者のために建設された集合住宅を、移住お試しルーム「てんこそら」として整備しています。

家具・家電は備え付けられているので、身軽に現地へ行けるのが嬉しいところです。

「てんこそら」が位置する寒川地区は、人とのつながりを大切にしてきた人情味あふれる集落です商店でお買い物をしたり地域の方とお話をしたりといった体験を通して、地元の方との交流を深め、移住後の生活イメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。

所在地・アクセス 日高川町寒川220-1

阪和自動車道「有田」ICより車で60分、「川辺」ICより車で60分
利用期間 1日~最大1ヶ月
利用料金 1日あたり1人3,000円(2人目追加はプラス500円)
定員 1部屋おおむね3名まで

移住お試しルーム「てんこそら」について詳しくはこちら

日高川町への移住に関するお問い合わせ

担当課 企画政策課
住所 〒649-1324
和歌山県日高郡日高川町大字土生160番地
電話番号 0738-23-9511
対応時間 8:30~17:15
公式サイト https://hidakagawa-iju.jp/