秩父市移住のメリット:都心近接×自然豊かな暮らしを実現

この記事では、地方への移住を検討している方のために、埼玉県秩父市(ちちぶし)の魅力を紹介していきます。

秩父市は、埼玉県の西部に位置する、人口約58,000人(2024年5月時点)のまちです。池袋駅から特急に乗り80分ほどで西武秩父駅に到着できることから、「都心に近く、ほどよい地方に住みたい」と考えている移住者に人気の高い地域となっています。

埼玉県内では最も広い面積を有する自治体で、総面積の約87%を森林が占めるという自然豊かな地域でもあります。周辺には20以上のキャンプ場があり、その他にもさまざまなアクティビティが楽しめますよ。

このような特徴を持つ秩父市での暮らしはどんなものか、移住に関してはどのような支援を行っているのかなど、移住相談センターの方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。

お話を伺った方
秩父市イメージキャラクター「ポテくまくん」

秩父市移住相談センター

担当者さん

埼玉県秩父市での暮らし:移住者を惹きつける4つの魅力

埼玉県秩父市・暮らしの特徴

秩父市に移住相談に来られる方の多くは、20代から40代。「都心で働きつつも、自然の中で過ごしたい」と考える世帯が多いそうで、関東近郊や埼玉県南部など、近場から移住する方もいらっしゃいます。

秩父市は、都会へのアクセスの良好さと自然の豊かさを両立しているまちです。「自然の豊かな地域に住みたいけれど、生活ががらりと変わって不便になるのはちょっと…」と思っている方におすすめの地域だと言えます。

そんな秩父市には、以下のような特徴があります。

  • 特徴1:都心からのアクセスが良好。2拠点生活ができる立地
  • 特徴2:四季折々の豊かな自然環境で充実した子育て
  • 特徴3:お祭りなどの伝統文化からカヌー体験まで。地域のアクティビティが盛ん
  • 特徴4:大きく4つのエリアにわけられる。自分にあったエリアに住もう

それではここから、秩父市の魅力や特色について掘り下げていきたいと思います。

特徴1:都心からのアクセス良好で2拠点生活も可能

秩父市に通っている電車は「西武鉄道」と「秩父鉄道」の2路線です。西武鉄道は池袋と繋がっており、秩父鉄道は熊谷と繋がっています。池袋までは特急で約80分、普通列車を使った場合でも2時間足らずでアクセスが可能です。また、熊谷までは約70分ほどで行くことができますよ。

電車でのアクセスの場合・秩父市と都心の位置関係を表した図
▲池袋から西武秩父駅まで、西武鉄道の特急を使えば最短約77分でアクセスが可能 ※秩父市公式HPより引用

 

車の場合は、関越自動車道を利用しましょう。練馬ICから花園ICまでは約40分、そこから秩父市までは約50分と、都内から秩父までトータル約1時間半ほどでアクセスできます。

車で秩父市までアクセスする場合の図
▲関越自動車道を経由した場合、花園ICからは約50分でアクセスが可能 ※秩父市公式HPより引用

自然に囲まれた生活を実現しつつも都会へのアクセスが容易な、「ちょこっと地方暮らし」ができる立地といえますね。

特徴2:四季折々の豊かな自然環境で充実した子育て

四季折々の自然の移り変わりを楽しめるのも、秩父市の特徴のひとつです。春にはサクラやスイセン、夏にはアジサイやシャクナゲ、秋にはミューズパークのイチョウ並木や奥秩父の紅葉などを観賞することができます。

また、秩父市は都心から一番近い「雲海スポット」としても人気が高いんですよ。雲海は、地表付近に発生した霧がまるで雲の海が広がっているように見える現象で、秩父市内では秩父ミューズパーク、三峯神社、美の山公園、羊山公園などの展望スポットから眺めることができます。

秩父ミューズパークからの見た雲海の様子
▲秩父ミューズパークからは市街地を覆う秩父雲海を見ることができる

雲海のピークは10月下旬から11月頃で、見られる時間帯は明け方から早朝まで。天気がよく風が弱い朝に、お子さんと一緒に早起きして神秘的な景色を満喫してみてはいかがでしょうか。

都会に住んでいると自然に触れ合うために少し遠出しなくてはならない場合もありますが、秩父市なら自然が身近にあるため、生活をする中でその恩恵を得ることができます

特徴3:伝統文化と自然を楽しむ多彩なアクティビティ

秩父夜祭の様子
▲日本三大曳山祭のひとつ、秩父夜祭。秩父市最大のお祭りであり師走の名物。

秩父市のお祭りといえば、毎年12月2日~3日に開催される「秩父夜祭」が筆頭に上げられます。秩父神社の例大祭であり、京都の祇園祭、飛騨の高山祭と同じく日本三大曳山祭の1つとされ、ユネスコ無形文化遺産としても登録されています。

300年余りの歴史がある秩父夜祭。そんな伝統文化が大事にされているうえ、自然を存分に感じられるアクティビティも盛んに行われています。キャンプ場はなんと周辺に20か所以上もあるほか、ハイキングや山登りを楽しめるスポットもたくさんありますよ。

公式:秩父観光協会 ぶらっとちちぶ

また、市内から車で約15分ほどの秩父さくら湖では、カナディアンカヌー体験ができます。カナディアンカヌーは安定性や衝撃の吸収性に優れており、通常は2人乗りですが、ふたつのカヌーを組み合わせて乗ることもできます。湖には、絶滅危惧種のクマタカをはじめとした野鳥が約80種類生息しており、カヌーに乗りながら鳥たちのさえずりに耳を傾け、ほっとした時間を過ごせそうです。

参考:カナディアンカヌークラブ≪Bencher≫

ちなみに、このカナディアンカヌーの会社は移住者によって設立されました。他にも、カフェや雑貨店、インテリアショップなどを開いた移住者もいるため、街なかの風景も今と昔が融合するかたちで変わってきているんだとか。秩父市に住んでいると、イベントやアクティビティに街歩きと、週末の過ごし方に困ることはなさそうですね。

特徴4:4つの特色あるエリアから理想の居住地を選択可能

秩父市を4つのエリアにわけた図
▲秩父市は大きく4つのエリアにわけることができる ※秩父市移住パンフレットより引用

総面積が埼玉県で一番広く、総面積の約15%を占める秩父市は、大きく4つのエリアにわけることができます。

エリア名 特徴
市街地エリア 主要駅である「西武秩父駅」「秩父駅」があり都会からのアクセスが良好。買い物する際にも最も利便性が高い
吉田エリア 農作物の栽培が盛んに行われているエリア。春にはいちご狩りができる。市街地からは路線バスが走っているものの、本数は多くない。スーパーやコンビニはある
荒川エリア 秩父鉄道の「浦山口駅」から終点の「三峰口駅」が走っているため、比較的アクセスは良好。秩父の大自然を楽しめるエリアだが、市街地にも近い
大滝エリア 奥秩父とも呼ばれる山梨との県境にも位置するエリアで、広い面積を有するが人口は一番少ない。市街地からは車で約40分ほどの距離。最寄りのスーパーまで約30分ほどかかる所もある

最も生活の利便性が高いのは「市街地エリア」ですが、車があればどのエリアでも極端に生活に不便することはなさそうです。とはいえ、百聞は一見に如かず。住居探しの際などにも、エリアごとの特徴を参考にしてみてくださいね。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」(秩父市を知る)

秩父市での生活:移住前に知っておきたい暮らしの情報

秩父ミューズパークからの市街地の眺め
▲秩父ミューズパークからは秩父盆地と秩父のシンボル武甲山が一望できる

ここからは、秩父市での生活に関する情報を、データとともに紹介します。

気候 ・夏の平均気温(8月):31.0℃
・冬の平均気温(1月):-3.8℃
・年間平均気温は13.5℃。盆地であることから、夏は暑く冬は寒い傾向にある
人口 人口:約58,000人
世帯数:約26,000世帯
(2024年5月時点)
病院 クリニック含め、市内には92の医療機関がある
学校

幼稚園1園、保育園11園、認定こども園8園、小学校13校、中学校8校、高等学校2校、専門学校・大学1校、特別支援学校2校、高等技術専門学校1校

文化・芸術 ・秩父三社:秩父神社・寶登山(ほどさん)神社・三峯(みつみね)神社の3つをさす。特に三峯神社は権現造りの拝殿が美しく、観光客から人気が高い
・秩父札所:観世音菩薩を祀ったお寺が地域内に三十四ケ所点在している。日本百番観音の一つとされており、秩父札所を一巡すると約100kmほどの距離となる。ゆっくり歩いても8日間ほどで巡ることが可能
観光スポット

自然豊かな秩父ならではの春夏秋冬を感じられるスポットが多数
【春】
羊山公園では約17,600平方メートルに広がる芝桜を楽しめる(4月中旬から5月初旬)
秩父ミューズパークでは約60,000の球根を植えたスイセン花畑を楽しめる(4月中旬から5月上旬)
【夏】
関、小川、上町等のスポットで野生のホタルを鑑賞することができる(6月中旬から7月上旬)
【秋】
深山の花園では約30,000株の真っ赤な曼珠沙華を見ることができる(9月下旬から10月上旬)
【冬】
奥秩父の冬の名所である「三十槌の氷柱(みそつちのつらら)」では氷柱が見られる(1月上旬から2月中旬)

食べ物 【農産加工品等】板こんにゃく、日本酒、ワイン、秩父そば、肉の味噌漬け、黒米、ゆず巻き、しゃくし菜、岩魚すし
【お菓子】みそまんじゅう、秩父飴、秩父夜まつり最中、手焼きみそせんべい、黒糖水ようかん
交通 ・鉄道:西武鉄道(西武秩父駅)、秩父鉄道(秩父駅)
・路線バス:西武観光バス、秩父市営バス、小鹿野町営バス
・車:高速道路のICはない
近隣都市 飯能市、比企郡ときがわ町、秩父郡小鹿野町、皆野町、横瀬町、東秩父村、長瀞町、東京都西多摩郡奥多摩町、山梨県山梨市
東京へのアクセス ・車:国道140号と西関東連絡道路を経由し、関越自動車道で約90分
・電車:西武鉄道の西武秩父駅から池袋駅まで特急で約80分

埼玉県で一番暑い地域として「熊谷市」が思い浮かぶ方も多そうですが、秩父市も盆地であるため、時には熊谷市よりも暑いことがあります。ただし、同じ夏の暑さであっても、秩父市は空気が美味しく湿度も少し柔らかく感じるため、そこまで不快ではないそうです。

市街地にはスーパー、コンビニ、銀行、学校、病院、郵便局が揃っていますが、移動の際には車があった方がよいでしょう。

仕事情報:豊富な求人と45歳以下向け就職奨励金制度

大手求人サイトで「秩父市×正社員」で検索したところ、約1,300件の求人情報が見つかりました。車で30分以内の通勤圏(秩父市から25km以内)を含め検索すると、結果は約13,000件となりました。(2024年7月時点)
※求人情報の一例(秩父市内)
※求人情報の一例(秩父市から25km以内)

移住者への支援としては「若者移住者(IJUターン)就職奨励金」制度を設けており、45歳以下の移住者を対象として、1人あたり20万円の奨励金を出しています。諸条件はありますが、秩父市内の法人・個人の事業所に就職する予定がある場合は、あわせて活用してみてはいかがでしょうか。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」(若者移住者(IJUターン)就職奨励金)

住まい事情:秩父鉄道沿線の家賃相場と空き家バンク活用法

大手賃貸サイトで秩父市の物件を探したところ、約60件見つかりました。家賃相場は2LDKで6万~8万円で、秩父鉄道沿線の他の駅と比べるとやや高い金額となっています。(2024年7月時点)
※賃貸物件の一例

賃貸の場合の部屋の広さは1LDK~2LDKが主流であり、一人暮らしや二人世帯にはピッタリですが、それ以上の広さの賃貸物件は少ないです。

また市では空き家バンクも導入しており、約70件ほどの登録がありますが、賃貸の希望が多いのに対して売り物件が多いのが現状です。

担当者さんによれば、需要に対して供給が少ない傾向にあるため、移住の際には先に物件を決めた方がよいとのことでした。首都圏からは日帰りでも物件探しができると思うので、希望の物件があれば積極的に内見するなどして、納得のいく住居を見つけるようにしましょう。

参考:ちちぶ空き家バンク

秩父市の先輩移住者が語る:新生活の実態と魅力

埼玉県秩父市・移住者の声

ここでは、秩父市への移住を決めた先輩移住者の声をいくつか紹介します。

移住サイト内にある「つながる、ちちぶ」のバナー画像
▲移住サイト内の「つながる、ちちぶ」では移住者を含む、秩父在住者の声を紹介している

  • 東京から近いのも魅力のひとつ。
  • 虫がたくさんいるので、虫が苦手な人はちょっと大変かもしれない。
  • 自然と人間との共生を体感できる場所というのが最高の魅力だと思う。
  • 山間に住んでいて、沢から水をひいているため、蛇口からは天然水が出る。
  • 動物も人間に慣れているのか、鹿やイノシシが親子で玄関近くまで来たことがあった。
  • 住んでいるところから10分ほど歩いたところにある川にホタルが住んでいる。歩いてホタルを見に行くことができるという環境に感動した。

生活の中に当たり前のように自然が感じられる場所、というのはある種贅沢な環境であると言えるかもしれません。都内から普通列車でも2時間程度でアクセスでき、自然と生活のバランスがよいところが、移住者にとっても魅力に映るのかもしれませんね。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」(「秩父の人」の声)

秩父市への移住ガイド:スムーズな新生活スタートのためのステップ

どの地域に移住するにしても、まずは情報収集から始めるのがよいでしょう。秩父市には移住サイト「暮らす秩父」があり、秩父での暮らしに関する情報や、支援制度、移住に関する心得まで掲載しています。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」

秩父ファンクラブ:地域の生きた情報を得るコミュニティ

秩父ファンクラブでのハイキングイベントの様子
▲秩父ファンクラブのメンバーでハイキングイベントをした時の様子

秩父ファンクラブは、コミュニティを通じて秩父を外と中から盛り上げるべく設立されました。2022年11月時点では、400人ほどの会員がいるそうです。秩父に住んでいなくても「秩父に興味がある」「秩父が好き」「秩父へ移住を考えている」方なら誰でも入会できます。

ファンクラブではイベント等も開催しており、過去には「秩父移住初心者探検」「BBQ交流イベント」などが行われました。秩父のリアルな情報を知りたい方や、地域に馴染めるかどうか不安に思っている人も、ぜひ気軽に参加してみてくださいね。きっと秩父市民の人柄のよさも感じることができますよ。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」(秩父ファンクラブ)

お試し居住制度:実際の秩父暮らしを無料で体験

お試し居住ができる施設の様子
▲お試し居住ができる住宅、秩父杉の家「絆」

「秩父への移住について色々な情報は得たけど、実際どんな暮らしなんだろう」。そうした疑問を解決するには、実際に住んで体感するのが一番です。秩父市にはお試し居住ができる住宅が用意されており、最短3日から最長7日間まで無料で滞在することができます。

電話で仮予約後、対面もしくはオンラインにて移住支援センターと事前面談をし、利用に際して問題がなければ正式に利用申請をする流れになります。実際に利用した人からは「いつも山が見える街で暮らすのが楽しかった」「杉の暖かみのある家で、ゆったり過ごすことができた」などの声も上がっています。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」(お試し居住)

移住支援制度:新生活をサポートする各種助成金

秩父市では「若者移住者(IJUターン)就職奨励金」のほかにも、いくつかの移住者向けの支援制度を設けています。例えば、空き家バンクの家をリフォームする際の費用を補助する「空き家リフォーム等工事費助成金」などです。

いずれも、新生活を始める際に必要となる費用を補助してもらえるので、使わない手はなさそうです。詳しい要件を確認の上、ぜひ活用してくださいね。

公式:秩父市移住サイト「暮らす秩父」(移住を考えている方向けの支援制度)

秩父市移住相談センター:専門スタッフによる親身な相談対応

秩父市に興味を持った方は、移住相談センターに問い合わせてみてくださいね。移住について、親身になって相談にのってくれますよ。

担当課 秩父市移住相談センター
住所 埼玉県秩父市宮側町1番7号 秩父地場産センター5階(秩父鉄道:秩父駅直結)
電話番号 0494-26-7946
公式サイト https://www.chichibu-iju.com/