熊本県阿蘇市で暮らす魅力とは?移住に役立つ子育て支援・仕事・住まいの情報
この記事では、地方への移住を検討されている方に向けて熊本県阿蘇市で暮らす魅力を紹介します。
阿蘇市は、熊本県の北東部に位置しています。世界最大級のカルデラと雄大な外輪山をもつ阿蘇山のふもとに広がるまちです。
阿蘇山といえば、壮大で美しい景観が楽しめる観光スポットです。大自然に囲まれた阿蘇市は、水が美味しいことで知られ、温泉地としても有名です。ほかにもさまざまなアクティビティーを体験できます。
今回は阿蘇市での暮らしやその魅力について、阿蘇市役所の兒玉さんに伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
阿蘇市での暮らし「4つの特徴」
阿蘇市は阿蘇地域の中央部に位置しており、市の大部分が阿蘇くじゅう国立公園内にあります。雄大な阿蘇山を眺めながら、広々とした平野部で生活を送ることができます。
また都市部との交通アクセスが良く、車やJRで県庁所在地の熊本市まで気軽に出かけられます。
そんな阿蘇市は、次のような方におすすめです。
- 自然に囲まれて、子どもをのびのび育てたい
- 飲み水や農産物にこだわりがある
- 日常生活に困らない、ほどよい田舎暮らしがしたい
- 温泉があるまちで暮らしたい
それでは、おすすめする理由について説明していきます。
特徴1:雄大な自然を身近に感じながら、買い物に困らない生活ができる
▲大観峰から阿蘇五岳と阿蘇市が一望できる
阿蘇市は、阿蘇北外輪山の最高峰であり展望スポットとして知られる「大観峰」から一望できます。
雄大な阿蘇五岳や、平野部に広がる阿蘇の千枚田といった景色に囲まれて、自然を身近に感じられることが魅力の一つです。
▲阿蘇五岳と「千枚田」の風景。雄大な自然は阿蘇市の大きな魅力
自然豊かな暮らしを送りながら、地方移住にありがちな「周りにお店がなくて買い物に困る」ということはありません。
阿蘇市には「JA阿蘇 四季彩いちのみや」などの物産館やスーパーマーケットが10店以上、大手ドラッグストアが4店と薬局が約10店、大手コンビニが10店以上あります。ほかにも商店街まで足を運べばおしゃれなカフェなど、いろいろなお店が並んでいます。
また熊本県最大の繁華街がある熊本市まで約50kmしか離れておらず、車に乗って1時間15分ほどで行けるため、日帰りでショッピングを楽しめます。
生活に必要なお店は揃っているので不便は感じません。車で近隣の菊陽町に行けば大型ショッピングモールがあり、山も街も近いのが魅力です。
▲阿蘇市は阿蘇五岳の北に広がっている(阿蘇カルデラの空撮写真)
特徴2:湧き水がいたるところにあって、水道水もおいしい
▲『熊本県平成の水百選』に認定された「ポケットパーク湧水」
阿蘇地域は「九州の水がめ」といわれます。阿蘇の山々や大地に降り注いだ大量の雨水は、時を経て湧き水となり、九州各地の河川に流れ出ることからそう呼ばれるのです。
阿蘇市では生活用水に湧き水や地下水を用いており、今でも湧き水を汲める「水基(みずき)」が人々に愛されています。
▲湧き水を飲む場所として利用されている水基(みずき)。
「手野の名水」など数々の湧き水スポットがあり、阿蘇一の宮門前町商店街による「水基巡りの道」と、役犬原の「ポケットパーク湧水(ゆうすい)」は『熊本県平成の水百選』に認定されました。
▲人気がある湧水スポット「手野の名水」
いたるところで湧き水が出ていて、100%湧水の水道水が冷たくておいしい。その水で育った農作物もおいしいです。
特徴3:文豪たちが訪れた温泉郷。町湯・温泉センターがたくさんあり、自宅に温泉がある人も
阿蘇内牧温泉は、阿蘇エリア最大の温泉郷として知られます。明治時代には夏目漱石が逗留して、その時の体験をもとに小説「二百十日」を書いたといわれます。また与謝野鉄幹や与謝野晶子も訪れたといわれ、文豪たちが愛した温泉郷として有名です。
▲浴衣を着た女性達が内牧温泉郷を歩く風情がある風景
阿蘇市には10軒以上の温泉施設があるので、自分に合った温泉を見つけて、極上の湯を楽しめます。
▲阿蘇エリア最大の温泉郷である、内牧温泉からの絶景
内牧にある源泉100%掛け流しの日帰り温泉「阿蘇内牧音泉 湯楽」をはじめ、黒川に「阿蘇坊中温泉 夢の湯」、小里には露天風呂や家族風呂を備えた大浴場「湯の宿 入船」、一の宮町には「アゼリア21 長者乃湯」などがあります。市内の温泉施設や共同浴場は10軒を超えます。
▲阿蘇市黒川にある温泉センター「阿蘇坊中温泉 夢の湯」
温泉街が近い地元の人は、毎日のように共同浴場に行くのが習慣になっているようです。自宅に温泉がある人もいるので、移住して「家に温泉」も夢ではないかもしれません。
特徴4:子どもがのびのび育つ環境。子育て支援や保育施設が充実
阿蘇市内には、家族連れで楽しめる公園、阿蘇内牧ファミリーパーク「あそ☆ビバ」があります。
▲家族のふれあいや地域交流をはかるために作られた「あそ☆ビバ」
阿蘇内牧ファミリーパーク「あそ☆ビバ」の大型コンビネーション遊具施設は、阿蘇五岳などをイメージしたデザインになっています。子どもたちの想像力を刺激して、飽きずに何度でも遊びたくなるような作りが特徴です。家族のふれあいや、地域交流を目的としており、無料で遊ぶことができます。詳細は公式サイトをご覧下さい。
詳細:阿蘇市公式サイト内「阿蘇内牧ファミリーパーク『あそ☆ビバ』」
阿蘇市には、就学前の子どもと保護者が一緒に参加できる「子育て支援センター」や「子育て支援広場」などの施設が7カ所あります。
移住したばかりの子育て世帯のお母さんやお父さんは、誰に相談してよいか分からないときに頼ってみましょう。悩みを聞いてもらったり、子ども同士、保護者同士でおしゃべりすることでストレスを発散できます。
保育施設も充実しています。保育園は10園、認定こども園は4園あり、その多くが延長保育、一時預かり保育および一時預かり事業(幼稚園型)に対応しています。移住してきたお母さんは、保育園でのびのび育つ子どもを見て安心していました。
保護者が病気や冠婚葬祭などの事情で子どもを見られないときは、生後6か月から小学生までならば「ファミリーサポートセンター」に有償で預けることもできます。
詳細:阿蘇市公式サイト内「子育て」
「自然豊かなところで子育てしたい」という子育て世帯には、ぴったりな環境が整っていると思います。
育児手当や入学祝い金などの支援制度も
ほかにも、3人目の子どもから月2万円の養育費がもらえる「阿蘇市育児手当」や、18歳までの子どもは医療費が実質無料となる「阿蘇市子ども医療費助成制度」などの子育て支援制度があります。
詳細:阿蘇市公式サイト内「子育て」
また阿蘇市立の小学校に入学する子どもは「阿蘇市入学祝金」を5,000円もらえます。高校・専門学校・短大・大学に進学する子どもが活用できる「阿蘇市奨学金」などの支援制度もあります。
阿蘇市の暮らしに関する情報
ここでは、阿蘇市での暮らしに役立つさまざまなデータや情報を紹介します。移住を検討するうえで、ぜひ参考にしてください。
気候 | 8月平均気温:24.2℃ 1月平均気温:2.0℃ ※参考:気象庁HP |
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人口 | 人口:約24,700人 世帯:約11,650世帯 (令和5年5月31日現在) |
近隣都市 | 熊本県菊池市 阿蘇郡南小国町、産山村、高森町、南阿蘇村 菊池郡大津町 大分県竹田市、日田市 |
主要都市へのアクセス | 【飛行機】(阿蘇くまもと空港からの所要時間) 東京:羽田空港まで約1時間45分 大阪:伊丹空港まで約1時間15分 【車】 福岡:熊本ICから高速道路を使って博多駅まで約2時間30分 |
交通 | 市内路線バスは産交バスが運行 JR豊肥本線:阿蘇駅、いこいの村駅、内牧駅など停車駅が8駅 |
病院 | 医療センター:1 歯科・内科・眼科・小児科・整形外科など約20軒 |
学校 | 保育園・認定こども園:14 小学校:5 中学校:3 |
交通に関しては、2016年に熊本地震の被害を受けた阿蘇への主要幹線道路や鉄道は復興が進み、2020年にJR豊肥本線と国道57号線の2ルートが開通しました。これによって、市内を観光するうえでも便利になりました。
▲熊本地震に被害を受けた主要アクセスが復旧・開通した国道57号線北側復旧道路
阿蘇市は標高約500mなので、夏は避暑地として知られますが、冬は寒いです。積雪しても地面を覆う程度ですが、山間部は道路が凍結したり、滝が凍ることもあります。
【ご当地グルメ】イメージキャラクターになった「あか牛」や郷土料理
阿蘇外輪山の草原に放牧されて育つ褐毛和種「あか牛」は、ご当地グルメとして知られます。ステーキをスライスして盛り付けた「あか牛丼」は、阿蘇市にあるお店が提供したことから人気に火がついたといわれます。
▲阿蘇市のご当地グルメ「あか牛丼」
▲ポーズをとる阿蘇市のイメージキャラクター「あか牛くん」
高菜漬けを油で炒め、炊き上がったご飯と混ぜ合わせる「高菜めし」は阿蘇の郷土料理として有名です。阿蘇市内には提供しているお店がたくさんあります。
▲学校給食のメニューにもある「高菜めし」
【仕事】市内で求人あり。空き店舗を利用して出店すれば支援制度も
大手求人情報サイトで勤務地を「阿蘇市」として調べたところ、地域内の正社員の求人は約1,100件ありました。(2023年6月現在)
※参考:求人情報の一例
さらに、30分以内で通勤可能な地域(25km以内)を含めたところ、求人数は約2,400件に増えました。
※参考:求人情報の一例
近隣都市への通勤まで視野に入れて、自分に合った仕事を探す方法もあります。
阿蘇市では移住して起業する人も少なくありません。その際には次のような支援制度を活用できるケースもあるので、参考にしてください。
阿蘇市商店街活性化事業 | 空き店舗を活用して出店した場合、条件を満たしていれば月額最大50,000円の補助金を最長3年間受け取ることができます。 |
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新規就農者支援事業 | 新規就農者は、条件を満たせば農業用機械・施設等の導入費用の助成金として最大150万円を受け取ることが可能です |
詳細:阿蘇市空き家バンク公式サイト内「阿蘇市の主な移住定住促進支援事業:その他の情報」
【住まい】アパート賃貸物件あり。空き家バンクを活用すればリフォーム補助も
大手住宅情報サイトで「阿蘇市」の賃貸物件を調べたところ、一戸建ての該当物件はなく、マンションは1件、アパートは37件でした。(2023年6月現在)
※参考:賃貸物件情報の一例
市営住宅は、条件を満たして公開抽選に当選すれば入居できます。8地区に合計30の団地があり、総戸数は800以上です。
詳細:阿蘇市公式サイト内「市営住宅」
「阿蘇市空き家バンク」制度を活用して、空き家を購入した場合、リフォームや家財道具等の処分に必要な費用の補助金を、最大で120万円もらえます。
詳細:阿蘇市公式サイト内「阿蘇市空き家活用のためのリフォーム等支援事業」
阿蘇市へ移住した人の感想や体験談
阿蘇市に移住した方々の声をご紹介します。Uターンで移住した子育て中のお母さん、東京から出向してきたのをきっかけに移住した方などさまざまなケースがあります。まちの人たちの印象など参考になるのではないでしょうか。
- 実際に住んでみて、皆さんとても優しくて親切。大先輩達からいろいろ教えた頂いて、今の私がある感じです。
- 森の中にあるような保育園で、子どもたちをのびのびと育てていただきました。
- どこにいても阿蘇山が見えて、その時々で「今、私はここにいるんだな」と思えるところが一番の魅力。
- 敷地の中にある畑で育てた野菜を収穫して、とても新鮮なので幸せです。
- 人とのつながりや自然が好きな方には、おすすめの移住先です。
「水が美味しい」という声も多かったです。なかには熊本県内に半導体最大手の台湾の会社が工場を建設しているので、「阿蘇エリアも賑やかになりそう」と期待する声も聞かれました。
阿蘇市への移住に向けて
ここからは、阿蘇市への移住を検討する際に役立つ情報を紹介します。
まずは阿蘇市に行ってみよう!おすすめスポット&イベントを紹介
阿蘇市には、たくさんの観光スポットがあります。また、阿蘇市ならではの行事やイベントもたくさんあるので、まずは気軽に足を運んでみて、雰囲気を確かめてみることをおすすめします。
いろいろなスポット・イベントがありますが、中でも特におすすめのものをいくつか紹介します。
観光:中岳火口の見学や草千里・砂千里
阿蘇五岳では、高岳の山頂付近に広がるミヤマキリシマの群落が5月~6月上旬に見頃となります。
▲阿蘇五岳と平野部を包む雲海
▲阿蘇五岳での一つ、高岳の山頂付近に広がるミヤマキリシマ
中岳は阿蘇山の火口を間近で見学できる展望台があり、烏帽子岳の北麓に広がる大草原「草千里ヶ浜」や、中岳火口の南東部に見られる古い火口跡「砂千里ヶ浜」など多くの観光スポットがあります。
▲中岳には阿蘇山の火口を間近で見られる展望台が整備されている
▲阿蘇の有名な観光スポット、草千里ヶ浜
▲草千里と対照的に緑がない古い火口跡・砂千里
ほかにも家族で楽しめる動物園「阿蘇カドリー・ドミニオン」や「モーモーファーム竹原牧場」をはじめ、トレッキング、北外輪山乗馬、パラグライダー、熱気球体験などさまざまなアクティビティーを体験できます。
行事・イベント:野焼きや阿蘇神社の神事
阿蘇市には、阿蘇山麓の野焼きやさまざまな神事など、行事やイベントがたくさんあります。
▲草原を守るために必要な「野焼き」は春に行われる。
阿蘇神社は熊本地震によって甚大な被害を受けましたが、復旧が進むなか2021年には拝殿が完成しました。
▲熊本地震で被災した阿蘇神社の復旧が進み、拝殿が完成
阿蘇神社は松明に火をつけて振り回し、神様の結婚式をお祝いする「火振り神事」や、秋の豊作を祈る神事「御田植神幸式」(通称、おんだ祭)などで知られます。
▲阿蘇の農耕祭事として、国の重要無形民俗文化財に指定されている「火振り神事」
▲阿蘇の御田植として、国の選択無形民俗文化財に指定されている「御田植神幸式」(通称、おんだ祭)
また、阿蘇市には伝統芸能「神楽」が大切に継承されています。「中江岩戸神楽」は国の選択無形民俗文化財と県の重要無形民俗文化財に指定されており、「横堀岩戸神楽」は市の指定民俗文化財に指定されています。
さらに、道の駅波野・神楽苑では、恒例行事として「神楽フェスティバル」が開催され、多くの人々に親しまれています。
▲岩戸神楽は伝統芸能として継承されています。
▲道の駅波野・神楽苑で開催される「神楽フェスティバル」
移住支援金あり。対象だったら最大100万円超もお得
東京23区内に在住していて阿蘇市に移住してきた場合、「熊本県移住支援事業」の諸要件を満たせば移住支援金がもらえます。
単身で60万円、2人以上の世帯なら100万円、さらに18歳未満の世帯員1人につき100万円を加算して受け取ることが可能です。
阿蘇市への移住に関するお問い合わせ
移住相談窓口 | 阿蘇市経済部まちづくり課 |
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住所 | 熊本県阿蘇市一の宮町宮地504番地1 |
電話番号 | 0967-22-3318 |
公式サイト | https://www.city.aso.kumamoto.jp/ |