佐賀県有田町で暮らす良さとは?移住のための仕事・住居・支援情報|縁結び大学
この記事では、地方への移住を検討している方のために、佐賀県有田町(ありたちょう)の魅力を紹介していきます。
有田町は、佐賀県の西部に位置する人口約19,000人のまちです。焼き物に詳しくない人でも「有田焼」は聞いたことがあるのではないでしょうか。有田町は日本の伝統工芸品である「有田焼」の産地であり、日本で初めて磁器が焼かれたまちでもあります。
このような特徴を持つ有田町での暮らしはどんなものか、町役場の方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
佐賀県有田町の暮らし、3つの特徴
有田町は周辺都市からのアクセスがよく、佐賀市、長崎市、佐世保市にも車で約1時間半以内で行くことができる好立地なまちです。江戸時代から昭和にかけての建造物が立ち並ぶ街並みや、焼き物のまちならではの情緒溢れる文化が息づいています。
そんな有田町は以下のような人におすすめです。
- 焼き物をはじめとした伝統文化に興味がある方
- 結婚から子育てまで網羅的な支援を受けたいと考えている方
- 町から周辺都市までのアクセスが良いところに住みたい方
それではここから、有田町の魅力や特色について掘り下げていきたいと思います。
特徴1:日本の磁器発祥地。伝統ある工芸品と町並み
▲トンバイ塀と有田焼。耐火レンガの廃材と使い捨ての窯道具を赤土で塗り固めた塀を「トンバイ塀」と呼ぶ
「有田焼」は日本の磁器の一種として知られており、その歴史は西暦1600年頃にまでさかのぼります。
当時、国内で磁器を生産するのは不可能であるとされていました。ところが、朝鮮の陶工が有田の泉山で磁器の原料となる陶石を発見したことで、有田周辺で日本で初めての磁器の焼成が始まったのです。
このように約400年以上の歴史を持つ磁器・有田焼のある有田町には、全国的にも珍しい窯業が学べるセラミック科を有する高校があり、佐賀大学の有田キャンパスでは有田セラミック分野で陶磁器について学ぶこともできます。
有田町では現在でも陶磁器の生産が盛んなので、焼き物や陶芸に興味を持つ人にはうってつけの町ですよ。
▲古い町並みを残す「内山地区」は重要伝統的建造物群保存地区に指定されている
歴史を紡いできた有田町には、現在でも伝統的な街並みが残されています。江戸時代に設けられた上の番所(泉山)から下の番所(岩谷川内)の間にある約2kmの範囲の「内山地区」には、江戸時代から昭和初期の町屋まで、各時代の和風・洋風の建造物が立ち並び、風情が漂いますよ。
有田町ならではの町並みとその雰囲気に惹かれ、移住をする人もいるそう。有田町を訪れたらぜひ一度歩いてみてくださいね。
特徴2:結婚に、子育て。新たなライフステージを支援
▲満開の桜とツヴィンガー宮殿を模した建物が美しい春の有田ポーセリンパーク。親子で陶芸なども楽しめる
有田町は子育て支援にも取り組んでおり、主な支援制度は以下です。
支援制度 | 概要 |
---|---|
子どもの医療費助成 | 中学3年生までの子どもを対象に、入院・通院・調剤費を助成 |
チャイルドシート等購入費補助事業 | 6歳未満の児童を自動車に乗車させる場合に使用する、チャイルドシート等の購入費に対して補助金を交付 |
赤ちゃん訪問 | ・生後2か月までに、保健師や看護師が自宅を訪問サポート ・身長と体重の測定、子どもの発育と発達の確認、母親の体調の確認、乳幼児健診(相談)や予防接種などについての説明、子育てに関するサービス等の情報提供を実施 |
有田町多世代交流センター「ゆいたん」の中には、子育て支援センター「ちろりん」が開設されており、プールや親子で遊べるキッズスペースもあります。絵本の読み聞かせなどのイベントや子育てセミナー、相談も実施しているため、子育て中の親子同士が交流を図ることもできますよ。
公式:社会福祉法人有田町社会福祉協議会(有田町多世代交流センター「ゆいたん」)
また、結婚を考えている方に対して「結婚新生活支援事業」も行なっており、住宅の購入費や賃借費、リフォーム費や引っ越し費を補助しています。毎年内容が変わるそうなので、内容は確認するようにしてください。
特徴3:周辺都市へのアクセスが良好
▲有田町への周辺地域からのアクセスマップ(引用元:有田観光協会ウェブサイト)
有田町は周辺都市にアクセスしやすい場所に位置しています。
移動手段 | 行先き | 所要時間 |
---|---|---|
車 | 伊万里市 | 約15分 |
武雄市、佐世保市 | 約30分 | |
佐賀市、長崎市 | 約1時間 | |
福岡市、久留米市 | 約1時間半 | |
長崎空港 | 約50分 | |
佐賀空港 | 約1時間10分 | |
電車(有田駅から出発) | 佐賀駅 | 約50分 |
博多駅 | 約1時間15分(特急利用) | |
長崎駅 | ・武雄温泉駅まで約15分(特急利用) ・武雄温泉駅で乗り換え約30分(新幹線利用) |
佐賀市、長崎市、福岡市までアクセスがしやすいので、買い物やちょっとした遊びのために近隣都市へ出かけるにも便利なまちだと言えるでしょう。
電車利用をする場合も、特急が通っているため、主要な駅へ出るにあたり不便はなさそうです。ただし、乗り換えがある場合は、待ち時間が発生する可能性がありますので注意してくださいね。
佐賀県有田町の暮らしに関する情報
▲日本でもここでしか見られない陶山神社の磁器製の鳥居
ここからは有田町での生活に関する情報を、データとともに紹介します。
気候 | ・夏:7月〜8月は最高気温が30℃を超えることもある ・冬:雪は1年に1度降るか降らないか程度。1月から2月の最低気温は1℃台だが氷点下にはならない ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 約19,000人(約7,800世帯)※令和4年9月30日時点 |
病院 | クリニック含め、町内には26の医療機関がある。「伊万里有田共立病院」が地域の中核医療機関 ※令和3年12月31日時点 |
学校 | 保育園3園、認定こども園5園、小学校4校、中学校2校、高等学校1校。大学は佐賀大学の有田キャンパスがある |
文化・芸術 | ・有田焼:日本の伝統工芸品である磁器の名称。一口に有田焼と言っても「白磁」「染付」「青磁」など多彩な表現方法がある ・大公孫樹(おおいちょう):樹齢1,000年、高さ40mの国指定天然記念物。泉山弁財天神社の境内にあり、毎年11月下旬に葉が黄色に色づき観光客を圧倒する ・有田陶器市:毎年4月29日から5月5日に行われる大規模な陶器市。全国から約100万人の人々が訪れる |
観光スポット | ・有田ポーセリンパーク:ドイツ・バロック建築のツヴィンガー宮殿を再現した建物を中心とし、有田焼の鑑賞や陶芸体験ができるテーマパーク。入場料は無料 ・竜門峡:「名水百選」や「水源の森百選」にも選ばれた清らかな水が流れる渓谷。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉が楽しめるスポット ・陶山神社:陶磁器之神を祀り、「やきものの神様」として親しまれている神社。日本で唯一の磁器製の鳥居があるほか、有田焼のお守りを授かることができる |
食べ物 | 【農畜産物】佐賀牛、ありたぶた、ありたどり、棚田米、アスパラガス、きんかん、有田戸矢かぶ、ぶどう、玉ねぎ 【加工品】ごどうふ、日本酒、焼酎、菜種オイル、きんかんソフトクリーム・ジャム・甘露煮・大福・パイ 【名物料理】鯉料理、有田焼カレー、から揚げドンドンの唐揚げ、有田焼五膳 |
交通 | 【鉄道】 ・九州旅客鉄道(JR九州):佐世保線(上有田駅—有田駅) ・松浦鉄道:西九州線(有田駅—三代橋駅—黒川駅—蔵宿駅—西有田駅—大木駅—山谷駅—夫婦石駅) 【バス】 ・有田町コミュニティバス、西肥バス 【高速道路】 ・町内には高速道路自体が通っていないため、インターチェンジはない ・町の南隣の波佐見町・佐世保市域に西九州自動車道が通っており、町との境界に近い場所に波佐見有田ICと佐世保三川内ICがある |
近隣都市 | 佐賀県:伊万里市、武雄市 長崎県:佐世保市、東彼杵郡波佐見町 |
スーパーは有田駅を中心に数店舗あり、コンビニは町内の道路沿いに点在しています。主要な施設へのアクセスには車が欠かせないので、移住の際には車の確保も忘れないようにしてくださいね。
【仕事】近隣都市まで約30分で通勤可能。有田町ならではの職種もある
大手求人サイトで「有田町×正社員」で検索したところ、約700件の求人情報が見つかりました。車で30分程度の通勤圏(有田町から25km以内)を含め検索すると、結果は約22,000件となりました。
※参考:求人情報の一例
県内で言えば、武雄市、嬉野市、伊万里市などには車で30分程度で行くことができるため、近隣都市で仕事をされる方もいるそうです。仕事の選択肢の幅は広そうですね。
業種として「伝統工芸品の製造管理職」「陶磁器の出荷業務」なども見かけました。これは有田町ならではの特色と言えます。
【住まい】賃貸物件は築年数が古め。「空き家物件インフォメーション」も確認を
大手賃貸サイトで有田町の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは約15件でした。家賃相場は4.9万円ですが、かなり築年数の古い物件もいくつか見受けられました。最近ではWEB上で内見できることもありますが、現地に行ってしっかりと目で見て確かめたいところです。
※縁結び大学独自調べ(2022年11月現在)
有田町では「空き物件インフォメーション」として、移住者や事業を営むことを希望する方に対し、空き物件の情報を提供しています。町から委託を受けた「特定非営利活動法人 灯す屋」がホームページを運営しており、2022年11月現在、約15件の物件が掲載されています。
割合としては売買希望物件が多いですが、賃貸希望物件も登録されているので、気になる方は一度チェックしてみてください。
参考:特定非営利活動法人灯す屋(空き物件インフォメーション)
また、空き物件インフォメーションに登録された空き家に住むとなった場合には、奨励金が支払われる(有田町空き家流通促進奨励金)ほか、空き家の改修、不要物の撤去に対しても補助金が支払われる場合(有田町移住支援空き家改修補助金)があります。
移住には引っ越し費用が欠かせないので、ぜひこれらの支援制度も活用してくださいね。
公式:有田町(有田町空き家流通促進奨励金)
公式:有田町(有田町移住支援空き家改修補助金)
佐賀県有田町に暮らす先輩移住者の声
「やきものに興味があった」「実際に来てみて町の雰囲気が気に入った」「町民の人柄に惹かれた」などなど、移住の利用は人によってさまざま。ここでは、実際に有田町に移住した先輩移住者の声を集めました。
有田町のここが魅力
- 人と人が積極的につながって情報交換している印象。都会では経験できないこと
- 有田のまちには完成された美しさがある。けれど、今も動きがあって、まだまだ変わり続けているまちだなと感じている
- 有田町に越してきて、不思議と人に会う機会が増えた。家族もいるが、町の人とも距離感が近い。みんな個性があって面白い
- 焼きものに特化した町であること。石膏にしても「ろくろ」にしても先輩がいっぱいいる。陶芸、特に磁器に興味がある人には心強い町
- 農業や畜産業が盛んなので、たくさんの食材が作られている。地元の器を使い、地元でとれた米や肉、野菜を楽しめるというのはとても大きな魅力だと思う
焼き物の町である有田町には、自己表現の多彩な人が多い印象を持ちました。加えて、磁器であれ農業であれ畜産であれ、地産地消で生活できる豊かさが魅力的ですね。
有田町で予想外だったこと
- 思っていた以上に冬が寒い。古民家なので余計に寒さを感じる
- 車がないと移動には不便。ただ、満員電車から解放されたのは嬉しい
年に一度降雪があるかないか、の有田町ですが、「思っていたよりも寒い」と言及される先輩移住者の方がちらほら見受けられました。
九州は温暖なイメージもありますが、移住の際には防寒対策もしっかりと行うようにしてくださいね。
佐賀県有田町への移住ステップ
有田町での暮らしに興味がわいてきたら、以下のステップでもっと有田町への移住について知ってみましょう。
- オンラインで移住について相談してみる
- 空き家物件見学ツアーに参加してみる
オンラインで移住について相談してみる
佐賀県では、オンライン移住相談を行なっています。オンライン会議システム「Webex」を通じて相談できるため、気軽に相談してみてください。受付は平日の10:00から19:00です。事前予約が必要なので、あらかじめ予約フォームから予約をしてくださいね。
また、佐賀県では、さらに気軽な相談スタイルとしてLINEでも移住の相談を受け付けています。その名も「佐賀の移住子ちゃん」。佐賀県に移住した先輩移住者の移住子ちゃんが、暮らしのよさや移住に関するお役立ち情報を発信しているアカウントでもあります。
気軽な問い合わせができるツールなので、気になることがあれば「移住子ちゃん」に聞いてみるのも手ではないでしょうか。
空き家物件見学ツアーに参加してみる
「空き物件インフォメーション」を運営する「特定非営利活動法人 灯す屋」では、不定期で「空き家物件見学ツアー」を行なっています。ツアーでは簡単なオリエンテーションを行なった後、不動産業者さんと一緒に実際の空き家物件を見てまわります。
全国的に空き家が増加している日本では、「空き家バンク」等の制度も盛んに実施されていますが、そもそも「空き家に住むってどんなもの?」と疑問に思う人も多いはず。同じような悩みを抱えている仲間と一緒にまわることができるのも魅力的ですね。
先輩移住者の中にも、このツアーに複数回参加して物件を決めた方もいました。
2022年9月に行われた空き家物件見学ツアーの様子がYouTubeでも配信されているので、気になる方は見てみてくださいね。
空き家物件見学ツアーの開催については、「特定非営利活動法人灯す屋」のWEBサイトをチェックしてください。
参考:特定非営利活動法人灯す屋(空き物件見学ツアーvol.59の様子)
有田町への移住に関するお問い合わせ
有田町に興味を持った方は、まずは、まちづくり課に問い合わせてみてくださいね。「焼き物に興味がある方大歓迎です!」とのことですよ。
担当 | まちづくり課 |
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住所 | 〒849-4153 佐賀県西松浦郡有田町立部乙2202 |
電話番号 | 0955-46-2990 |
公式サイト | https://www.town.arita.lg.jp/ |