長野県上松町への移住ガイド:森林の町で叶える自然豊かな子育て環境

この記事では移住を考えている人に向けて、長野県上松町(あげまつまち)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。

長野県上松町は長野県の南西部に位置し、木材産業を基幹産業とする森林のまちです。良質な木曽ひのきを産出する町として知られています。

今回は上松町企画財政課の浅井さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。

本日お話を伺った方
上松町企画財政課の浅井 翼さん

上松町 企画財政課 企画政策係 主査

浅井 翼さん

上松町の魅力:移住者を惹きつける3つの特徴

長野県上松町暮らしの特徴

上松町では、木曽八景で知られる「寝覚の床(ねざめのとこ)」や「木曽の棧(きそのかけはし)」などの絶景を堪能できます。一方で、自動車部品を製造する企業が誘致され、まちの主要な産業のひとつとなっています。

そんな上松町での暮らしは、次のような方に適しています。

  • 自然の中で子育てしたい
  • 子育て支援の充実しているまちに住みたい
  • 祭りや伝統芸能に興味がある

上記のような方に適している理由を、上松町に見られる3つの特徴から解説します。

特徴1:森林浴発祥の地、豊かな自然環境

上松町の高倉区から望む木曽駒ヶ岳
▲高倉区から望む木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)

上松町は、町の東部には木曽山脈が、西部にはなだらかな阿寺山地が広がる森林のまちです。「上松」という地名も、松が数多く生えていて「見上げれば松ばかり」というところから名付けられたという説もあります。

上松町にある「赤沢自然休養林」は、日本三大美林のひとつとして多くの観光客が訪れる、樹齢300年以上の天然の木曽ヒノキが林立する針葉樹林です。1969年に林野庁から国内第1期の自然休養林(特に景観が美しく、保健休養に適した森林)に指定され、現在では森林浴発祥の地として知られています。

上松町の森林鉄道
▲秋の森林鉄道。赤沢自然休養林の開園期間中の春から秋まで、園内で運行されている

「赤沢自然休養林」には、さまざまな散策コースがあります。舗装と木橋で整備され、車椅子や脚力に自信のない人でも気軽に森林浴を体験できるコースや、ガイド付きの散策も楽しめます

静かな森でリラックスしたい人は、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

特徴2:自然の中での子育てと充実した支援制度

上松町の赤沢越しに森林鉄道を眺める親子
▲森林鉄道を眺める親子

上松町は、自然の中で子育てしたい方にはおすすめのまちといえます。身近なところにヒノキをはじめとした森林があり、ゆったりと子育てができます。

上松町の緑豊かな自然の中で遊ぶ子どもたち
▲緑豊かな自然の中で遊ぶ子どもたち

また、上松町では子育て支援も充実しています。ここではその一部をご紹介します。

結婚祝金 対象となる新婚夫婦へ祝金(現金20万円+商品券5万円分)を支給
新生活支援補助金 夫婦がともに39歳以下の新婚夫婦の住居費・引越費用・リフォーム費用を対象に上限30万円を支給(夫婦がともに29歳以下の場合は上限60万円)
出産祝い金と子育て商品券 出産祝い金:1児につき10万円を支給
子育て商品券:第1子3万円分、第2子5万円分、第3子7万円分を支給
出産・子育て応援給付金 妊娠届出時面接後に5万円、新生児訪問等の後に5万円を支給
ハローウッド 5,000円相当の木製の子ども用品をお祝いの品として支給
在宅育児世帯応援給付金 満1歳から3歳になる年度の子どもを保育所を利用せず子育てしている家庭へ1か月1万円を支給
ウェルカム祝い金 中学校終了前の子どもが上松町に転入した場合に商品券を支給
子ども1名3万円分、子ども2名5万円分、子ども3名以上7万円分
就学祝い金 小学校入学1万円分商品券、中学校入学3万円分商品券を支給
小学校・中学校給食費無償化 小中学校の給食にかかる費用を全額公費負担
保育園保育料無償化(未満児含む) 未満児を含む保育料を全額公費負担

公式:上松町「上松町の補助制度一覧」(PDFファイルが開きます)

上松町の保育園での雪遊びの様子
▲保育園での雪遊び

特徴3:祭りと伝統芸能で息づく地域文化

上松町の太太神楽
▲太々神楽(上松町「あげまつガイドブック」から引用)

上松町では、年間を通してさまざまな祭りや伝統芸能が行われています。上松町の地域の人々は祭りが大好きで、神社の例祭や各地域での獅子舞などを毎年楽しみにしています。

森林のまちらしい祭りとしては、「御神木祭」が挙げられます。これは、伊勢神宮の「式年遷宮(しきねんせんぐう)」に使用される御神木の伐採に伴って開催されるご奉祝(ごほうしゅく)行事です。伐採された御神木は先端を整えられたあと、伊勢に向けて旅立ちます。御神木が立ち寄る各地域では神事や例祭が開催されます。

「駒ヶ岳神社(こまがたけじんじゃ)」の「太々神楽(だいだいかぐら)」は、国と県の無形民俗文化財に指定されています。地区の家々に一子相伝で伝えられ、門外不出とされている神楽で、4人の天狗が舞う「四神五返拝(ししんごへんぱい)」の姿が印象的です。

上松町の生活事情:気候・交通・施設など暮らしの基本情報

ここからは、上松町の暮らしに関する情報をご紹介します。

気候 上松町に観測地点がないため、近隣の辰野のデータを掲載
8月平均気温23.6℃
1月平均気温-1.2℃
※参考:気象庁
人口 人口:約4,000人
世帯:約1,980戸
(令和5年5月1日時点)
病院 病院・クリニック:3
歯科:1
学校 保育園:1園
小学校:1校
中学校:1校
交通 【電車】
JR中央本線:上松駅、倉本駅

【バス】
上松町地域振興バス

【車】
駒ヶ根市まで約1時間
近隣都市 駒ヶ根市

上松町は、降雪はあまり多くなく、年によっては雪かき数回程度で済むこともあります。また、電車が走っていますが、車があった方が便利です。スタッドレスタイヤの準備をしておくと良いでしょう。

上松の中心部(上松駅周辺)にはスーパーマーケットが3つあり、酒店、精肉店などもあります。普段の生活は町内で完結できそうですね。

教育環境:木育を中心とした特色ある教育プログラム

上松町では木材産業を基幹産業としていることから、木と触れ合う木育(もくいく)に力を入れています。木工をテーマに活動している地域おこし協力隊を講師として、子どもたちは木製の椅子などを作る体験をしています。

中学校には「ひのきの時間」という課外授業があり、その中で郷土芸能である獅子舞を地域の方から教わる等、地域への愛着を深める学習が取り入れられています。なお、約半年間の学習で得た成果は秋の総合発表会でお披露目されます。

仕事事情:町内外の就職状況と移住支援制度

大手求人情報サイトで上松町の求人を調べたところ、約140件ヒットしました。(2023年5月時点)
※求人情報の一例

上松町では、自動車の部品製造と福祉の仕事が多いようです。

近隣の市町へ通勤する人も多く、塩尻市、中津川市、駒ヶ根市、伊那市などで働いているようです。通勤時間30分圏内の25km以内で求人を調べたところ、約3,500件ヒットしました(2023年5月時点)。近隣地域も含めて探すと、希望の仕事が見つかりそうですね。

上松町では、国・県と共同で「UIJターン就業・創業移住支援事業補助金」制度を実施しています。該当する人は活用しましょう。

上松UIJターン就業・創業移住支援事業補助金 東京圏、愛知県または大阪府から上松町に移住し、長野県マッチングサイトに登録されている企業に就業、または長野県の「ソーシャル・ビジネス創業支援金」の交付決定を受けて起業された人で対象要件を満たす人に、単身での移住に60万円、世帯での移住に100万円を支給
※18歳未満1人につき、最大100万円を加算(最大3人分まで)

公式:上松町「上松町(UIJターン)就業・創業移住支援事業補助金について」

【住まい】空き家バンクが利用できる。改修促進補助金の活用を

上松町の町営住宅「田代ハイツE」
▲町営住宅「田代ハイツE」

大手住まい情報サイトで上松町の賃貸物件を調べましたが、とても少ないようです(2023年5月時点)町営住宅もありますが、人気が高いので頻繁にチェックすると良いでしょう。

上松町では、空き家バンクが利用できます。改修の必要な物件が多いので、空き家改修に関する補助金を利用しましょう。

空き家片付け事業 空き家バンク登録物件の家財道具等の搬出、処分や清掃等に要する経費
補助率:かかった経費の全額(上限10万円)
空き家改修事業 次に掲げる空き家バンク登録物件の改修工事に要する経費
・台所、浴室、便所または洗面設備の改修
・電気、ガスまたは上下水道設備の改修(下水道への接続工事は含まない)
・天井、壁紙又は床面仕上げ等の内装の改修
・屋根または外壁等の外装の改修
補助率:かかった経費の半額(上限50万円)
空き家解体事業 空き家の解体工事に要する経費(解体跡地の利用予定(住宅、店舗等の建設、駐車場の整備等)が定まっているものに限る)
※単に「さら地とする」場合は補助の対象とならない。
※空き家バンク登録物件でなくても利用できる。
補助率:かかった経費の半額(上限50万円)

公式:上松町「「上松町空き家片付け・改修促進補助金」「上松町空き家解体促進補助金」のご案内」

上松町移住者の声:実際の暮らしぶりと感想

長野県上松町移住者の声

次に、上松町に移住した方の感想をご紹介します。

  • 子育てをするなら上松がいいと思い、Uターンしてきた。都会より子育てしやすい
  • 自然の中で育てたかった。幼少期に貴重な体験させることができたのがよかった
  • 周りの方が優しい。15分もあれば病院にも行けるのがよかった。
  • 地域の人の距離が近く、優しくて良い方が多い

自然の中で子育てできる点と、地域の人々の優しさが好印象のようです。移住者が地域の人々とコミュニケーションできる場は、地区の集まりやレクリエーション、消防団などが多いようです。公民館講座でクッキング、工作などに参加して輪が広がったパターンもありました。

上松町へ移住するために利用したい窓口・支援

上松町への移住を検討したら、まずは情報収集しましょう。情報収集が済んだらいよいよ下見です。

浅井さんによると、下見は夏・秋に訪れるのがおすすめとのこと。「赤沢自然休養林」は夏の暑い時期には涼しさを体感できますし、秋の紅葉も素晴らしいそうです。

上松町企画財政課の浅井 翼さん
浅井さん

今後は、木曽地域全体での移住体験ツアーの計画もあります。ぜひご参加ください

上松町への移住に関するお問い合わせ

移住相談窓口 上松町 企画財政課 企画政策係
住所 〒399-5601
長野県木曽郡上松町大字上松159番地4
電話 0264-52-2001(代表)
公式サイト 上松町 移住・定住