生徒の自主性を尊重する「札幌日本大学中学校高等学校」の探究プログラム|中高一貫校

多様な学びの機会を提供する注目の学校を紹介するこの企画。今回は北海道北広島市では唯一の私立中高一貫校である「札幌日本大学中学校高等学校」を紹介します。

同校は、文科省指定のスーパーサイエンスハイスクールやスーパーグローバルハイスクールなど、科学や国際交流、医療に特化した特色ある探究型学習を進めています。また2022年には道内の私立校としては初のバカロレアコースが新設されるなど、生徒が自分の興味に合った学びを深めていける環境があります。

そんな札幌日本大学中学校高等学校の教育方針や教育プログラム、また部活動やイベントなどの学校生活について、教頭の佐々木貴久先生にお話を伺いました。

「世界に貢献できる人」を目標に、生徒の強みを引き出す

札幌日本大学中学校高等学校の校舎外観

編集部

札幌日本大学中学校高等学校の教育方針について教えてください。

佐々木先生

「世界に貢献できる人」の育成が、本校の教育における大きなテーマです。「世界」をグローバルに限らず自分の周囲にあるすべてを世界と捉え、そこでしっかりと自分の力を発揮し貢献できる。そんな人材の育成を目指しています。

そのためには学力も大切ですが、希望の大学に進学しても自分の思い描く将来を実現できるわけではありません。社会で活躍するためには知識・技能だけでなく、創造力やプレゼン能力、リーダーシップ、交渉力など、プラスアルファの部分でいかに自分の強みを持つかが大切です。従来そういった力は個人の特性とみなされてきましたが、本校では学校教育の中でしっかりと育んでいくべき力だと考えています。

本校での教育を通じて、学力だけでなく社会で活躍するために必要な力を身につけてもらうことが、札幌日本大学中学校高等学校の教育方針です。

チャレンジ精神旺盛な生徒多数!刺激し合って新たな挑戦が生まれる

編集部

札幌日本大学中学校高等学校には、どのような生徒が多いでしょうか。

佐々木先生

チャンスに対して貪欲にチャレンジする生徒が多いです。本校では教育方針に従ってさまざまな機会を案内しているのですが、そこに対して多くの生徒が積極的にチャレンジしています。

例えば、文部科学省主催の「トビタテ!留学JAPAN」というキャンペーンで派遣留学生を募集しているのですが、本校の生徒も毎年数多く挑戦しています。全国で一番本校の応募者が多かった年もあるくらいで、採択者も過去5年間で全国トップ5に入るくらいの数を輩出しています。

元々の性質として積極的ではない生徒もいますが、周囲がチャレンジしている姿に刺激を受けて変わっていくケースも多いんです。学校全体にチャレンジの風土があることで、お互いに良い影響を与え合える環境があるのだと思っています。

編集部

前向きでチャレンジングな環境で過ごしているからこそ、生徒の取り組み姿勢も良い方向に変わっていっているんですね。

豊富なコースを展開する札幌日本大学中学校高等学校の教育プログラム

札幌日本大学中学校高等学校は、「世界に貢献できる人材」を育んでいくための多様な教育プログラムを用意しており、その幅広さは中学・高校のコース選択にもあらわれています。

中学校はスーパーアクティブコース(SAコース)、アクティブコース(Aコース)の2つに分かれています。SAコースは学力上位クラスという位置付けですが、あくまでもその時点の学力に沿った環境下で学ぶための区分けなので、固定ではなく学力に応じて入れ替えが行われます。

また、高校からは中高一貫の上記2コースに、「プレミアSコース」「特進コース」「総合進学コース」「国際バカロレアコース(IBコース)」が加わります。

それぞれのコースは難関大・海外大・日大への内部進学など目指す進学先が異なり、目標に適したカリキュラムが用意されているのです。ここでは、その中から特徴的なプログラムを紹介していきます。

道内2校目の国際バカロレアコースで、海外大への可能性が広がる

札幌日本大学中学校高等学校の授業風景

▲ネイティブ教員が行う英語学習の様子

編集部

高校の国際バカロレアコースは、近年新たに加わったそうですね?

佐々木先生

札幌日本大学中学校高等学校は、2022年1月に道内で2校目の国際バカロレア認定校となったので、2022年度から「国際バカロレアコース」がスタートしました。18か月間で履修するディプロマプログラム(※)が、高校1年生の1月からスタートします。それまでの9ヶ月は準備期間です。
(※)ディプロマプログラム:所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能なプログラム(引用:文部科学省IB教育推進コンソーシアム)。

編集部

国際バカロレアコースは、どんなカリキュラムなのでしょうか。

佐々木先生

このコースは、少人数制で世界基準の授業が受けられます。レベルに応じたクラス分けのもと、3つのコア(※)に基づき母語(日本語)・外国語(英語)・理科・歴史(個人と社会)・数学・芸術の6教科が展開されます。
(※)Extended Essay(課題論文)、Theory of Knowledge(知の理論)、Creativity, Activity, Service(創造性・活動・奉仕)

単に重点的に英語を学ぶというのではなく、教科を選んで論文を執筆する、生徒同士で議論をして知見を深める、自分でテーマを決めてボランティアなどの社会貢献を行うなど、ハイレベルかつ自主性が求められる内容なのが特徴です。

また、本校は日本語DP(デュアルランゲージプログラム)認定校のため、日々の授業は科目ごとに英語と日本語の両方で履修します。

編集部

国際バカロレアコースに進む生徒は、海外大学への進学を目指す人が多いのでしょうか?

佐々木先生

ディプロマプログラムを修了することで、海外大学への進学の道が大きく開けることは確かです。ただし国際バカロレアコースは自主性を持った勉強姿勢が求められるため、海外大学に進学したいからという理由だけで選択すると苦労するケースが多いと思います。

自分がどういう将来を思い描いているか、どういう力をつけていきたいかという目的意識を持ち、さらにそのために自分で責任を持って学ぶ決意がある生徒が集うコースといえるのではないでしょうか。

全校生徒が探究型の学びを深め、社会で活きる力を育む

編集部

その他に、札幌日本大学中学校高等学校で特徴的な教育プログラムがあれば教えてください。

佐々木先生

本校の特徴的な教育プログラムとして、「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」「スーパーグローバル・リベラルアーツ・プログラム(SGL)」「メディカルリーダー育成プログラム(MLP)」の3つがあります。

SSHは科学、社会問題はSGL、医療はMLPというようにそれぞれ切り口は異なりますが、いずれも創造力や独創性、問題発見能力・解決能力、プレゼンテーション力など、社会で活躍するために必要な力を育む探究型学習です。

編集部

このプログラムはすべてのコースの生徒さんが選択できるのですか?

佐々木先生

コースによって選択できる・できないがあり、総合進学コースの場合はその3つのプログラムには参加しません。ただし探究型の学びは大学進学だけでなくその後の人生においても大切な力であるため、3つのプログラムとは異なる「探求プログラム」を用意し、全校生徒が探究活動を経験できるようにしています。

編集部

SSH、SGL、MLPをはじめ、探究活動では具体的にどのようなことを実施するのでしょうか。

佐々木先生

興味のあるテーマについて、自分で情報収集して分析・考察するという過程を3年間を通じて行い、学びを深めていきます。その過程の中で特に大切にしているのが、大学や病院など、外部機関とのつながりです。大学の教授に話を聞いたり、途中経過の発表に行ったり、あるいは医療体験として実際の医療現場に出向いたりと、外部の意見を取り入れながら探求テーマを深めることを推奨しています。

授業を聞くだけではなく自分で主体的に動き情報を得ていくことで、生徒の自主性・主体性が育まれていくのがこの探究活動のポイントです。自主的な学習姿勢が生まれることで、学びの浸透度が大きく変わってきます。

そのため本校では探究に限らず、普段の授業の中でも生徒に主体的に考える時間を設けるなど、生徒たちの自主性を育む工夫をしています。それには、学校全体で勉強の楽しさや学びの本質について伝えることが大切で、それが生徒たちの成長につながると考えています。

札幌日本大学中学校高等学校のスクールライフを紹介

札幌日本大学中学校高等学校の生徒がカンボジアでボランティア研修をする様子

▲国際ボランティア研修 in カンボジア

札幌日本大学中学校高等学校の生徒は、普段どのようなスクールライフを過ごしているのでしょうか。学校生活を過ごす上で重要な制服や、部活動、イベントの魅力などについてもお聞きしました!

100種類以上の組み合わせを自由に選べる、リニューアルされた制服

札幌日本大学中学校高等学校の正装制服

▲札幌日本大学中学校高等学校の中学校の正装制服

編集部

学校を選ぶ上で制服を重要視する方も多いと思います。札幌日本大学中学校高等学校では2024年度から制服をリニューアルされるとのことですが、どのように変わるのでしょうか。

佐々木先生

大きくは正装制服とカジュアル制服の2種類あります。その中でも、多様な組み合わせを生徒自らが選べるよう、デザインや色などの種類はとても豊富です。例えばカジュアル制服は、ポロシャツやパーカー、Tシャツなどが、従来の制服の枠にとらわれないものとなっています。生徒はその中から自由に組み合わせることができ、全部で100種類以上の着こなしが可能です。

ジェンダーレスも意識し、「男子の制服」「女子の制服」ではなく「男性体型制服」「女性体型制服」という呼び方をしています。男子だから、女子だからではなく、あくまで体格の違いを踏まえて好きな制服を選べるようにしています。

編集部

どういった背景で今回の制服のリニューアルに至ったのでしょうか。

佐々木先生

札幌日本大学中学校高等学校では、生徒の自主性や個性を大切にした教育を行っています。しかし制服の着方を学校側が規定することは、生徒の個性や自主性、創造力を阻害することにつながりますよね。制服でも自分を自由に表現できるようにと考えたのが、今回のリニューアルの背景です。

一方で制服には、社会で必要な礼儀作法を伝える役割もあります。「世界に貢献できる人」の育成を目指す上で、TPOをわきまえた服装ができることも大切です。そのため式典や全校集会など節目となる場面では、正装制服を着用するルールとしています。

吹奏楽部や剣道部は全国レベル!朝練前に雪かきをする生徒も

編集部

札幌日本大学中学校高等学校では部活動も活発に行っているのでしょうか?

佐々木先生

はい。全国レベルで活躍している部活としては、吹奏楽や剣道部などがあります。野球部は惜しくも甲子園出場は果たせてはいませんが、北海道大会の決勝・準決勝の常連です。

編集部

部活動を頑張っている生徒のエピソードなどがあればお聞せください。

佐々木先生

部活動そのものを頑張っている生徒も多いのですが、印象的なのが、朝練の際に雪かきを率先してやってくれる生徒の姿です。本校は雪が降ると、階段が雪で凍って滑り台のようになってしまうのですが、そういうときに朝練で早く来ている生徒が、登校する生徒のために雪かきをしてくれているんです。学校内だけでなく、近所の高齢者の方が住む家の雪かきをしてくれることもあるんですよ。

部活動の結果も素晴らしいことですが、自分の練習時間を削って周囲の人のために自然と行動できるというのは、本当に立派なことだと思います。

生徒の自主性が活きる、札幌日本大学中学校高等学校の学園祭

札幌日本大学中学校高等学校のスポーツフェスティバルの様子

▲7月の学園祭「桜虹祭」の他に、10月のスポーツフェスティバルでも盛り上がる!

編集部

札幌日本大学中学校高等学校で実施している行事やイベントについても教えていただけますか?

佐々木先生

7月に学園祭「桜虹祭」を行うのですが、中学校では1から生徒主体で考えた発表を行います。テーマ設定からどう進めるかまで、すべて生徒たちで考えていくんです。劇をやるクラスもあれば、ダンスをするクラスも、テレビ番組のようなコンテンツを制作するクラスもあります。

発表自体の成功・失敗ではなく、発表までの過程でいかに生徒同士で話し合い、創造力豊かにつくり上げていったのかを重視するのが、本校の学園祭の特徴です。

編集部

生徒主体で考えていくことで、独自性のある発表が生まれていきそうですね。佐々木先生が特に印象に残った発表はありますか?

佐々木先生

コロナ禍における学園祭での発表が印象的でした。体育館に全クラスの生徒が入れないため、発表クラスだけが体育館に入って、その他のクラスは教室でその様子をオンラインで見る、という方法で学園祭を実施しました。しかし生で見るのに比べると、どうしても伝わりづらいものになってしまいます。

そこで「オンラインでも楽しめるようなクイズ番組をつくろう」と企画したクラスがあったんです。発表クラスの生徒が1人ずつ各クラスを訪れてクイズを出題し、分かった生徒はその答えを体育館に言いに行くという、参加型の楽しい企画となりました。制約がある中でも、学園皆で楽しめるような創意工夫をしたのは素晴らしいと思います。

吹奏楽部の演奏や探究の発表にも使用される「N Link」

札幌日本大学中学校高等学校の多目的ホール「N Link」

▲新たに生まれた多目的ホール「N Link」

編集部

学校施設で特徴的なものがあれば教えてください。

佐々木先生

多目的ホールの「N Link」という多目的ホールが2023年5月に竣工しました!最大477名収容できる、音楽専用の設計がされたホールです。吹奏楽部の演奏もそこで行ったのですが、やはり音楽専用の設計なので音の響きが大きく違います。演奏を聞いた生徒や地域の方からも「素晴らしい演奏を聞けた」という声をいただくことができました。

学園際や合唱コンクールなどの学校行事にもN Linkを使用しています。また探究学習でも、ポスターセッションをしたり、優秀者が皆の前で発表したりといった発表の場で活用しています。しっかりとした施設で多くの人に発表をできる機会は、生徒にとってとても貴重なものになっていると思います。

札幌日本大学中学校高等学校からのメッセージ

編集部

最後に、札幌日本大学中学校高等学校に興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。

佐々木先生

中高の6年間は、人間の成長においてとても大切な時間です。札幌日本大学中学校高等学校ではその6年で、勉強や進路実現だけでなく、社会に出て活躍できる力を身につけてもらいたいと考えています。

卒業時に「あなたの強みは何ですか」と聞かれたとき、「自分の強みは○○です」と自信を持ってアピールできるような成長をしてもらえたらと思います。興味を持った方は、ぜひ一度足を運んで学校の雰囲気を見ていただけると嬉しいです。

編集部

札幌日本大学中学校高等学校であれば、いろいろなコースやプログラムの中から自分の興味に合った学びを深め、強みを見出していけそうです。チャレンジ精神を持った生徒さんが多い環境で刺激を受けながら成長していけるのも魅力的だと感じました。

本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

札幌日本大学中学校高等学校の生徒の声

ここでは、札幌日本大学中学校高等学校に通う生徒の声を一部抜粋して紹介します。

探究学習に力を入れており、生徒同士で議論をしたり自分の考えを発表したりしているため、自分の意見を持って人に伝える力が身につく。

先取り学習ができるので、大学受験に有利になる

明るく和気あいあいとした雰囲気があるのが魅力!

先生と生徒の距離が近く、分からないことも聞きやすい。先生は生徒の考えを大切にして様々な形式で授業を進めてくれる。

探究学習や先取り学習など、札幌日本大学中学校高等学校の教育プログラムで身につく力に魅力を感じている声が多くなっています。学習面の魅力はもちろんのこと、明るく良い雰囲気の中で過ごせる環境があることもさまざまな生徒の声から伝わってきました。

札幌日本大学中学校高等学校の進学実績

札幌日本大学中学校高等学校では、道内だけでなく全国の大学に進学する生徒が多くなっています。国公立大学では、東京大学や京都大学、筑波大学といった国内難関大学への合格者をコンスタントに輩出しているのが特徴です。道内一の難関校である北海道大学には毎年10名前後が合格しており、医学部医学科の合格実績もあります。

私立大学では慶応義塾大学や早稲田大学といった有名私立大学への合格者も毎年輩出しています。また付属校である日本大学に進学する生徒は、16学部87学科という豊富な学部・学科から自分の興味のある分野の学問を深めていくことができます。

■進学実績の詳細はこちら:https://www.sapporonichidai.ed.jp/high/passing/achievements/

札幌日本大学中学校高等学校の基本情報

お問い合わせ https://www.sapporonichidai.ed.jp/contact/
住所 北海道北広島市虹ヶ丘5丁目7-1
電話番号 中学校:011-375-5311
高校:011-375-2611
公式URL https://www.sapporonichidai.ed.jp/