京都先端科学大学附属中学校高等学校の「世界で活躍できる人材育成」を目指す教育とは

特徴ある教育内容で注目を集める学校を紹介するこの企画。今回は京都市右京区にある「京都先端科学大学附属中学校高等学校」を紹介します。

同校は1925年(大正14年)に創立された約100年の歴史を持ち、ニデック株式会社創業者の永守重信氏が理事長を務める中高一貫校です。「世界で活躍できるグローバル人材の育成」を掲げ、グローバル教育、探究型プログラムなど独自性のある教育を推進。文部科学省より国際的な人材の育成に力を注ぐスーパーグローバルハイスクール(SGH)、ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業(WWL)に指定されるなど、その教育プログラムは対外的にも評価されています。

この記事では、教頭の山田尊文先生にお話を伺いながら、そんな京都先端科学大学附属中学校高等学校の教育の特徴や魅力に迫っていきます。

「京都発世界人財」を掲げ、世界で活躍できる人材の育成を目指す

京都先端科学大学附属中学校高等学校の教頭・山田先生

▲インタビューにご対応いただいいた山田先生

編集部

最初に京都先端科学大学附属中学校高等学校の建学の精神について教えてください。

山田先生

本校は「世界の舞台に堂々と自分の意志で立ち、行動できる人を育てる」を建学の精神とし、大学も含めた学校法人永守学園の共通テーマとして「京都発世界人財」を掲げ、世界で活躍できる人材の育成を目標としています。

この「世界」には文字通りグローバルという意味もありますが、場所や範囲を限定せず日本でも地域でも、一人ひとりが自分のフィールドで活躍してほしいという意味が込められています。

また、本校は2025年度で100周年を迎えるのですが、その記念として8つの学校方針を元にした「智なる象」という学校マスコットを制作しました。本校の8つの学校方針を8色でデザインし、その8色が混じり合っている様子を水彩画で表現しています。

京都先端科学大学附属中学校高等学校の8つの学校方針

「智なる象」のエンブレムは、ピンバッチやオブジェ(生徒作品)にもなっています。

▲校内には大きな「智なる象」のオブジェが飾られている

「生徒一人ひとりの適性・強みを引き出す」ことを重要視

編集部

京都先端科学大学附属中学校高等学校ならではの教育の特徴についてお聞かせください。

山田先生

六年一貫前半の中学校では、生徒一人ひとりの適性や強みを引き出すことに重点を置いています。詳細は後ほど説明しますが、中学では「地球学」という探究学習に非常に力を入れています。「地球学があるから京都先端科学大学附属中学校を選んだ」という声も多い、本校の中学校ならではの特徴的な教育プログラムなんですよ。

地球学などからワクワクドキドキするような経験を通じて学ぶ楽しさを知ってもらい、そこから自分の興味関心、好きなことを見つけてもらえたらと思っています。実際に中学ではアカデミックコンテストやビジネスプランコンテストなどさまざまなことに挑戦している生徒が増えており、多くの場面で生徒の個性が発揮されているかと思います。

中学校でまず適性や強みを見出し、その上で高校では4つのコースに分かれてそれぞれの適性を伸ばしていく、という中学から高校にかけての流れがあるのが、京都先端科学大学附属中学校高等学校の教育の特徴です。

編集部

高校の4つのコースとはどのようなものでしょうか。

山田先生

高校は「特進ADVANCED」「特進BASIC」「国際」「進学」コースに分かれます。「特進ADVANCED」は国公立や難関私大を目指す、勉強面ではある意味一番厳しいコースですね。「特進BASIC」「進学」は勉強にもしっかりと取り組みつつ部活動にも力を入れる文武両道のコースです。本校は柔道部を始め部活動も盛んなため、勉強だけでなく部活動で高い目標を掲げて頑張っている生徒はこちらのコースを選択することが多くなっています。そして「国際」は全員、2年生9月から7~10か月間の長期留学を経験します。

伝説の大投手、沢村栄治さんの銅像

▲校内には京都先端科学大学附属中学校高等学校(京都商業学校時代)出身の伝説の大投手・沢村栄治さんの銅像も

中学生活で見出した自分の適性に合わせ、高校ではこれら4つのコースから自身で選択します。コース選択は成績基準がありますが、できるだけ生徒の思いを尊重したコース選択となるようサポートしています。

豊かな学びを支える「中高一貫」や施設の充実

京都先端科学大学附属中学校高等学校の施設

▲体育館2つ、テニスコート、人工芝の中庭など、学びの環境もキレイに整備

編集部

京都先端科学大学附属中学校高等学校が今ご説明いただいたような豊かな学びを実現できているのにはどのような背景があるのでしょうか。

山田先生

やはり中高一貫校だからこそできるという点は大きいと思います。生徒だけでなく我々教員も生徒たちの適性を見極めた上で高校での学びに移行できるので、より学びの質を深められているのではないでしょうか。また中高一貫であることで、高校受験の時間を探究学習や海外研修に充てられることもメリットです。

加えて京都先端科学大学附属中学校高等学校では、豊かな学びの場を提供していく上で、設備や施設面での環境整備も進めています。例えば2015年には創立90周年記念事業の一環として新校舎「翠嵐館」を竣工、2019年4月には「Cafe PhiΦ(カフェ・ファイ)」という名前の新食堂棟を竣工するなど、長い歴史の中で順次学びの環境を整えています。

2024年4月にはグラウンドを人工芝にリニューアルすることを予定していますよ。

編集部

学内の売店はコンビニと同じレベルの品揃えとか。生徒の「欲しい」を形にした環境だと感じました。

ネイティブ教員とのW担任制で、中学からグローバル教育を推進

京都先端科学大学附属中学校高等学校の教頭・山田先生

編集部

京都先端科学大学附属中学校高等学校の教育プログラムについて詳しく教えてください。最初にグローバル教育についてお聞きしたいのですが、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。

山田先生

高校には7~10か月間の長期留学が経験できる「国際コース」がありますが、中学校でも特色あるグローバル教育を推進しています。

一例として、中学校ではネイティブの先生と日本人の先生が2人で1つのクラスを担当する「W担任制」を導入しています。朝のホームルームからネイティブの先生が英語のアクティビティをしたり、最近ではイマージョン教育(※)として体育や芸術の授業も英語で実施したりと、日常の中で英語にたくさん触れてもらえるような機会を多く設けています。
※イマージョン教育…英語以外の教化の授業を英語で実施する外国語教育法

編集部

ネイティブの先生は何人ほどいらっしゃるのでしょうか。

山田先生

アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスを中心に10人以上のネイティブ教員がいます。

編集部

体育や芸術の授業中は、生徒もすべて英語で会話をするのですか?

山田先生

先生は英語で指示を出して、生徒たちもなるべく英語を使用しています。もちろん、流暢に話せる生徒ばかりではありません。しかしネイティブの先生と英語でコミュニケーションを取る環境に身を置くことで、英語を話すことに対するハードルを少しでも下げていくことを目的としています。

英語を学ぶモチベーションにもつながる中学生全員参加のカナダ研修

Piece de Peace(ピース・デ・ピース)プロジェクト

編集部

中学校で英語を学ぶ機会として、他にも特徴的なカリキュラムはあるでしょうか?

山田先生

中学3年生では全員が約10日間のカナダ研修旅行に参加します。ノバスコシア州教育委員会に協力をいただき、ホストファミリーや現地の学校との交流を行っています。着いたらすぐにホストファミリーの方がお出迎えをしてくれて、1つの家庭につき2人くらいでホームステイを行います。

もちろんホストファミリーの方は日本語が話せるわけではないので、言葉の問題はあります。そのため、我々もフォローしながら生活をしてもらいます。現地の学校で授業を受けたり、逆に日本の文化を向こうの生徒に紹介したり、一緒にアクティビティをしたり。昨年度は初めて、赤毛のアンの舞台であるプリンスエドワード島にも行きました。本当にいろいろな活動をして、最後はノバスコシア州教育委員会の方から全員が修了証を受け取ります。

編集部

カナダ研修は、生徒の方たちからはどのような反応がありますか?

山田先生

たった10日間程度ではありますが、やはり10代のうちに世界を経験することで、子どもたちにとって人生を変えるくらいの強烈なインパクトを残しているようです。

ノバスコシア州は以前からずっと教育連携をしてるエリアなので、教育委員会の方にもすごく良くしていただき安心して交流校での学習プログラムを受けられるのが魅力です。加えてカナダのお国柄として、すごくウェルカムな雰囲気があるんですね。そういうこともあり、子どもたちにとっては海外で受け入れてもらえた、良くしてもらえたという貴重な経験になっているのではないでしょうか。逆に英語が伝わらない悔しさを経験することもありますが、それが次の学びのモチベーションに変わっていく部分もあるようです。

希望制でスウェーデン研修も。交際交流を通じて異文化理解にもつなげる

編集部

中学校ではカナダ以外の海外に行く機会もありますか?

山田先生

希望者の中から10名を選抜して、スウェーデン短期(約1週間)の研修も実施しています。こちらもカナダ研修と同様、ホストファミリーの家でのホームステイや現地の学校との交流を行うプログラムです。

コロナ禍で一時中断していたのですが、2023年度に4年ぶりに再開しました。授業を経験させてもらうだけでなく、「ダーラナホース」というスウェーデン発祥の伝統工芸品の馬の置物を一緒に作ったりノーベル賞の博物館に行ったりと、北欧のさまざまな文化に触れられる体験を行いました。

また「おにぎりアクション」という、おにぎりをつくって写真を送ることで途上国への食料支援をする取り組みもスウェーデンの生徒たちと一緒に行いました。おにぎりの作り方を英語で説明して一緒に作って一緒に食べるという、日本の食文化を通じたコミュニケーションができてとても良い経験になりましたね。

こちらから行くだけでなく、毎年向こうの学校から日本に来てくださります。こういう国際交流は、他の学校ではなかなかできない、京都先端科学大学附属中学校高等学校だからこそのプログラムだと思います。

段階的に視野を広げることを目指した「ホンモノに触れる」探究学習

京都先端科学大学附属中学校高等学校の教頭・山田先生

編集部

中学で行っている特徴的な探究学習「地球学」について、どのような内容なのか概要を教えていただけますか?

山田先生

地球学は「ホンモノに触れる」がコンセプトのプログラムで、教科を超えた探究活動やフィールドワークを行います。地球学は、氷河時代の生き残りである貴重な動植物が残る深泥池(みぞろがいけ)へ観察に行くところから始まります。身近な京都を始点に、京都から日本、日本から世界へと、段階的に視野を広げていけるような学びを目指しています。

その一環として「農山村教育民泊」という、京丹波地域の農家の方々に1泊お世話になって学ぶ取り組みがあります。中学1・2年生で縦割りのグループをつくり、初対面の人とコミュニケーションを取りながら初めての体験を行います。国内ホームステイのような側面もあるため、中学3年生のカナダ研修につながる、子どもたちにとっては貴重な経験になっています。

また地球学では、全員参加ではない希望者のみを対象とした特別プログラムも実施しています。特別プログラムでは毎年テーマと行き先を変え、夏休みの期間を利用して研修に行っているんですよ。例えば行き先が九州の場合、阿蘇・雲仙などの火山をはじめとする自然がもたらす恩恵や災害、島原・天草のキリスト教伝来の地としての異文化などを学びます。また民泊を通じて、そこの土地の生活に触れられるようにしています。

自分でテーマを設定してプレゼンする「地球学プレゼンテーション大会」で成果を発表

京都先端科学大学附属中学校高等学校の授業風景

編集部

地球学では、フィールドワークの他にも、生徒自身がテーマを設定して探究するプログラムもあるのでしょうか。

山田先生

学年の終わりに「地球学プレゼンテーション大会」という成果発表の機会があり、1年間の後半くらいからは生徒が自分でテーマを決めて準備を始めます。1・2年生は1年間の学びから、3年生は自分の興味・関心のあるテーマを決定します。

まずは予選としてクラスで全員発表し、そこからクラス代表を選出、最終的には学年で10人を選抜して3月の学年末に全体の前で発表を行っています。テーマ決めから資料の作成、プレゼンの練習など、地球学の授業の中で生徒が自分たちで準備していくんですよ。

編集部

テーマに沿って生徒ご自身でいろいろと調べてまとめていくわけですね。調査はどのような方法で行うのですか?

山田先生

インターネットでの検索も行いますが、それだけなら誰がやっても同じですよね。地球学では先生や生徒にアンケートを取ったり実験をしたりして得たデータを分析して考察するという、インターネットで調べるだけでは出てこない部分を探究してもらうことをポイントにしています。

編集部

なるほど。まさに地球学の「ホンモノに触れる」というコンセプトがそこにも表れているんですね。

学校を飛び出し、社会での経験も得られるプロジェクトも

編集部

地球学の中での取り組みで、特に印象に残ったものがあれば教えてください。

山田先生

地球学ではさまざまなプロジェクトを実施しているのですが、3年程前から始めた「はちみつプロジェクト」はさまざまな展開が広がっているという点で印象的です。

元々このプロジェクトは、学校の屋上に設置した養蜂箱から蜂蜜を採取して遠心分離機にかけて試食するという取り組みでした。しかしもっと深い学びにつなげようと、採取した蜂蜜を加工して瓶に詰めラベルを貼って売る、という一連の取り組みを行うことにしました。

ラベルのデザインも生徒が行い、実際にオープンキャンパスや文化祭で販売しました。さらに京福電気鉄道、通称「嵐電」という地元の企業とコラボレーションし、嵐山駅という多くの人が集まるところにブースを出して学校の外でも販売を行ったんです。「らんでんや」という嵐電さんが経営するお店ともコラボして蜂蜜入りのレモネードやソフトクリームの販売も行いました。

嵐山駅での蜂蜜販売は2023年9月の連休に2日間生徒自身で実施し、1日目は15分で、2日目は何と5分で完売したんですよ!行列ができるほどの人気で、新聞にも取り上げてもらいました。自然の濃厚な蜂蜜がお店で買えるよりも安く買えるということで評判も良かったです。

編集部

すごい人気だったんですね!駅という学校の外での販売経験は、生徒さんにとっても貴重な経験になりますね。

山田先生

オープンキャンパスでの販売とはまた違いますよね。嵐電さんという企業とのコラボもそうですし、一般のお客様に対して販売したことで、学校と社会がつながっていくことがいかに大切かということを改めて実感しました。

取り組みの広がりでいうと、「学生養蜂サミット」というつくば市で実施している全国学生会議に呼んでいただいたのも嬉しかったですね。これは主に高校や大学の養蜂に関する取り組みを発表する場なのですが、そこに本校の中学生たちが参加して発表させていただきました。これも非常に貴重な経験になったと思います。

地球学での経験が、自分の「好き」に気づくきっかけになる

編集部

さまざまな経験ができる地球学ですが、子どもたちの成長において特にどういった点がポイントだと思われますか?

山田先生

「はちみつプロジェクト」をやることで改めて実感したのですが、蜂などの生き物が好きな生徒、蜂蜜という食品に興味を持つ生徒、ラベルデザインなどアートに興味を持つ生徒、販売や接客が好きな生徒など、興味の対象は生徒によってさまざまなんですよね。つまりプロジェクトを通して自分の興味・関心、好きなことに気づくきっかけが生まれているんです。

もちろん、だからといって生徒みんながその道を志すわけではありません。しかしまずは自分の「好き」に気づき、それを伸ばしていくことが自身の強みにつながっていきます。それこそが授業や学校の教室の中だけでは得られない、地球学のプロジェクトの役割だと思います。

“STEAM”に+α!独自の発展を続けるSTEAM教育

京都先端科学大学附属中学校高等学校の図書室の様子

▲京都先端科学大学附属中学校高等学校の図書室には、STEAM教育に関連するものを含む多くの書籍が並ぶ

編集部

京都先端科学大学附属中学校高等学校ではSTEAM教育も積極的に推進されているとのことですが、どのような内容を実施されているのでしょうか。

山田先生

本校のSTEAM教育(※)は、独自の内容を付け加えているのが特徴です。例えば、Sには科学だけでなくSports(運動)やStudent centered(生徒主体)、TにはTeam Building(チーム作り)などの要素を加えています。
(※)科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)を総合的に学習する教育手法

現在のSTEAM教育が完成形というわけではありません。今後も附属の大学の先生方ともコラボしながら、新しい教育をつくっていきたいと考えています。

800点の作品が集う「アートコンペ」も開催する、アート教育の特徴

京都先端科学大学附属中学校高等学校の施設内風景

▲京都先端科学大学附属中学校高等学校のキャンパス内には生徒たちのアート作品が並ぶ

編集部

従来のSTEAMの枠組みを超えて、独自性のある学びを広げていらっしゃるのですね。中でも特徴的な取り組みというとどういったものになりますか?

山田先生

アートの領域ではかなり独自性のある取り組みを推進しています。象徴的なのが、コロナ禍で文化祭が開催できないことからはじまった「アートコンペ」です。

「アートコンペ」は美術に限らず音楽やダンス、映像など自由にテーマを設定し、作品をつくって審査をするという内容で実施しています。審査には京都芸術大学の先生にも入っていただき、本格的に実施しています。自由にテーマ設定できる中でも、生徒が自分の興味のある分野で、個性・強みをアートを通じて表現していく点は重要視しています。

編集部

アートコンペは自由参加なのですか?

山田先生

自由参加ではあるのですが、昨年などは中学・高校約1,500人の生徒がいる中で延べ800点近い作品が集まりました。もちろん1人で何点か出している生徒もいますが、それでも800点の参加があったというのはすごいことですよね。それだけ子どもたちというのは「自分を表現したい」という気持ちがあふれているのだと改めて感じました。

校内に飾られるアート作品

校内に飾られるアート作品

校内に飾られるアート作品

※横スクロールで閲覧できます

編集部

アート教育に関しては、「智なる象」のエンブレムを制作された日本画家でもある美術教員の米田実先生の存在と伺いました。

山田先生

そうですね。米田先生は毎年12月から1月にかけて京都美術館で開催される「日展京都展」にも出品しているので、その時期になると中学1年生は米田先生の引率で日展を鑑賞しにいっています。

アートに関する部活動として、米田先生がファシリテート役となり「リサイクルアート展」という外部主催のアート展に生徒たちで作品を制作して出品しています。2021年のリサイクルアート展では、学生部門という枠を超えて一般の部で準グランプリを受賞したんですよ!

「リサイクルアート展」に出品したアート作品

▲「リサイクルアート展」で準グランプリを獲得したクラブザンビアの「Neptune」

また、2023年度高校生の部で念願のグランプリを受賞しました!

リサイクルアート展」に出品したアート作品

海外や難関校への進学も。将来を見据えた進路選択

編集部

ここまでご説明いただいたような、京都先端科学大学附属中学校高等学校の独自性のある学びは、生徒たちの進路や進学にもつながっているのでしょうか。

山田先生

グローバル教育で中学校の内から海外に触れる経験をすることで、海外の大学にチャレンジする生徒も増えてきました。ある生徒はカナダ研修をきっかけに高校では国際コースに進み、イギリスへの10か月間の留学を経てニューヨーク大学のアブダビ校に進学しました。中学3年生のときのカナダ研修がなければ彼が海外の大学を目指すことはなかったと思います。そのくらい、中高時代の経験というのは大きいものなんだと、彼を見ていると改めて思いますね。

また地球学の特別プログラムに参加した生徒で、フィールドワークで現地に行って本物を見る経験に魅力を感じ、研究の道を志した子がいます。高校では理科部でクマムシの研究をして全国大会に行くなどの結果を残しつつ、一方で勉強にも力を入れて京都大学に進学しました。

STEAM教育の一環としてのアートやものづくりも生徒の進路につながっています。やりたいことを見つけて進路を決めた生徒を見ていると、自分の興味のあるものを見つけた子どもがいかに強いかというのを感じますね。

編集部

お話を聞いていると、京都先端科学大学附属中学校高等学校の生徒たちは大学に行くことが目的ではなく、あくまでその先にあるやりたいことや目標を見据えて進路選択をしているのだなと感じました。

山田先生

大学入学はあくまで通過点であって、最終目標ではないんですよね。何よりも「社会に出たときに何を果たしたいか」という目的意識を持たせる上で、興味のあることを中高時代に見つけることが重要なんだと考えています。

本校では中学校での地球学を軸に、自分の好きなこと・興味のあることを見つけて武器にし、進むべき道を見つける生徒がどんどん誕生しています。海外や研究といったことはもちろん、数学オリンピックに挑戦する生徒もおり、幅広い分野で活躍できる場があるのが特徴です。今後も地球学を軸にしながら大学や企業などと連携し、より深い学びを広げていけたらと思っています。

■近年の大学合格実績
https://www.js.kuas.ac.jp/shs/educational/future/results

京都先端科学大学附属中学校高等学校からのメッセージ

京都先端科学大学附属中学校高等学校の教頭・山田先生

編集部

最後に、京都先端科学大学附属中学校高等学校に興味を持ったお子様や保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

山田先生

子どもの可能性は無限大です。学生生活には「受験」がつきものですが、だからといってその結果で成功・失敗が決まるわけではありません。12歳や15歳・18歳がゴールではなく、その先の30歳・40歳になったときにどう自分の力を社会で発揮していけるか、つまりどう自己実現していけるかということが大切なんです。そしてそのベースをつくるのが中学・高校時代です。

我々が地球学や海外研修をはじめとするさまざまな教育プログラムを実施しているのには、「好きなことを見つける」「主体的に学び、発表する」という目的の他に「やったらできる」という経験を子どもたちにたくさん積んでほしいからという思いがあります。失敗も当然ありますが、失敗したことを次にどう活かすかというレジリエンス(困難を乗り越え回復する力)を高めていくことが、社会に出てから活きてくるのだと思っています。

一人ひとり個性があるように、社会で自己実現を果たすまでの道のりは人それぞれです。ストレートに辿り着く子もいれば、遠回りをする子もいるでしょう。ただ1つ言えるのは、自分の強みを持っている子は、そこまでの道のりは違えど最終的に自分の納得する人生を歩んでいけるのではないか、ということです。

人生においては成功体験や達成感も大切なのですが、この「納得」が大切なんですよね。自分が納得して進学すれば、頑張れるはずです。それはそれで成功なんだと思います。社会に出てもそれは同じ。仮に望んでいる会社に入れたとしても、そこで自分のやりたい仕事ができるかどうかは分かりません。その中でも自分で決めて選んだことであれば、納得して歩んでいけると思います。

実は以前子どもたちに「10年後の私」というテーマで作文を書いてもらったときに、多くの子が「AIに仕事を奪われる」「正社員になれない」といった将来に対する不安を綴っていたんです。それを見たときに、子どもたちが明るい未来を描けないのは大人の責任が大きいなと感じました。「自分の好きなことを見つけて頑張れば明るい未来が待っている」ということを大人が見せられれば、子どもたちは自信を持って生きていけるし、それが生きる力にもつながっていくんだと思います。我々はいつもそれを子どもたちに伝えています。京都先端科学大学附属中学校高等学校に来てくれる生徒には、そういう思いを持って生きていってほしいというのが我々の思いです。

編集部

京都先端科学大学附属中学校高等学校ではグローバル教育やアート、探究プログラムなど、さまざまな経験ができるからこそ、自分で自分の可能性を狭めることなく強みを見出していけるんですね。本日は貴重なお話しをお聞かせいただき、ありがとうございました!

京都先端科学大学附属中学校高等学校の卒業生の声

卒業生の声の一部を抜粋してご紹介します。

学校生活の中でさまざまな人と交流する機会が多く、価値観が大きく変わった。留学したい人だけでなく新しいことに挑戦したい人にもおすすめ

勉強や部活動、コンテストなどさまざまな目的を持って頑張っている生徒が多いので刺激になる

留学などさまざまな体験をしたことで、将来の目標が決まり、それに向けて頑張ることができた

多様な活動をしている生徒が多いからこそ、刺激し合って頑張れるという声が多く聞かれました。中学・高校時代の経験が将来の目標につながったという声が多いのも特徴的です。

「京都先端科学大学附属中学校高等学校」の基本情報

問い合わせ先 https://www.js.kuas.ac.jp/contact
住所 京都市右京区花園寺ノ中町8番地
電話番号 075-461-5105
公式URL https://www.js.kuas.ac.jp/