愛校心があふれる「甲南中学校・高等学校」卒業生も協力する独自のプログラムとは

独自の教育方針で、次代を担う多くの生徒を輩出している学校にインタビューをしていく本企画。今回は、1919年に設立された名門男子校「甲南中学校・高等学校」を紹介します。

甲南の特徴は、「世界に通用する紳士たれ」という創立者の言葉が象徴しているような人間性と、卒業生も含めた生徒同士の繋がりの強さです。

今回は、理念や教育プログラム、部活動、伝統行事などのトピックについて、入試広報部長で国語を担当されている田村信平先生にお話を伺いました。

甲南中学校・高等学校の「世界に通用する紳士」を生み出す理念

甲南中学校・高等学校の入試広報部長で国語科教諭の田村信平先生

▲インタビューにご対応いただいた田村先生

編集部

甲南中学校・高等学校の教育理念や校風についてお教えください。

田村先生

本校の創立者、平生釟三郎は社会に必要とされる人物の育成を目指し「世界に通用する紳士たれ」という言葉を残しており、それは今もなお受け継がれている指針です。

本校には、自分のことは後回しにしても他人を助けるような精神の子が伝統的に集まってくるんです。もちろん性格は人それぞれなので意見がぶつかることもありますが、最終的にはスマートに解決している印象で、時代が変わってもその「紳士らしさ」は共通しているのかなと感じています。

「世界に通用する」という部分については、決して偏差値や進学実績などの目に見える成果だけを指しているわけではありません。大学卒業後に、社会でどれだけ通用して貢献していけるかという点において、我々は優秀な生徒たちを数多く輩出しているという自負があります。

また、ビジネスやアカデミックの分野、プロアスリートなど各界で活躍するOBを含め、みんな卒業しても甲南で過ごした時間を誇りに思ってくれています。制服やクラスで揃えたTシャツなども大事にしているようで(笑)、「学校を愛している」というのがある意味では甲南の校風なのかなと思いますね。

旧制高校の伝統を引き継ぎ、自由な雰囲気の中で成長していく

甲南中学校・高等学校の授業風景

編集部

学校愛にあふれているという点以外で、甲南中学校・高等学校の生徒の皆さんに共通しているものはありますか?

田村先生

自由な風土の中で、何にでも伸びやかに取り組んでいるのは共通していると思います。ここで言う自由とは、限度やモラルなどを理解したうえで挑戦していけるという意味です。

本校は、西日本の私立校では唯一、旧制高校の伝統を引き継いでいます(※)。旧制高校は昔は大学の位置づけだったので、そもそも自由な風土があって、生徒を制限しないような雰囲気が残っているんですね。
(※)東日本では学習院、成蹊、成城、武蔵が当てはまる。甲南中学校・高等学校はこの4校と毎年情報交換を含め交流を続けている。

入学前の保護者説明会で「うちの子どもは個性的で、公立に行くと浮いてしまうかもしれない」と心配される方もいらっしゃいます。でも、甲南では自由な風土があるが故に、個性を認めて尊重する子ばかりなんです。同じ悩みを持っている親御さんには、本校であれば心配無用だと伝えたいです。

編集部

旧制高校の伝統は、自由闊達な雰囲気以外ではどんなところに見られますか?

田村先生

甲南中学校・高等学校は創立100年を超えているので、積み重ねてきたものはいろいろなところにあらわれています。

たとえば、約10万冊の蔵書を誇る図書館もそのひとつです。昔から保有している貴重な書籍以外に、DVDなど最新の視聴覚資料を取り揃えているほか、生徒や教職員のリクエストにも積極的に応えています。

あとは、地域や保護者の方の理解や協力も本校ならではです。図書館は保護者も利用可能ですし、授業参観や行事があるとき以外にも、校外の方々が気軽に訪れて支援してくださいます。地域に根ざした繋がりと伝統があると思いますね。

甲南中学校・高等学校の体験を重視したプログラム

甲南中学校・高等学校は、6年間のカリキュラムについて2024年度から「フロントランナー・コース」「メインストリーム・コース」という2コース制に改編しています。

その学びの過程の中では、サイエンスとグローバルに特化したプログラムや、校外とも連携した多様な体験ができる機会があるので、続けてお話を伺っていきます!

■2コース制の詳細はこちら(甲南中学校・高等学校公式サイト)
https://www.konan.ed.jp/education/granddesign.html

甲南の2つの「ラボ」。科学や国際教育で高いレベルの学びが得られる

甲南中学校・高等学校のサイエンス・ラボのプログラム風景

▲高度な実験が特徴のサイエンス・ラボ。分野ごとに教室・実験室が分かれており、大学レベルの器具も揃う

編集部

甲南中学校・高等学校の2つのコースでも、より探究力を養い国際的に活躍する人物を育成していく「フロントランナー・コース」において、特徴的なプログラムを教えてください。

田村先生

中学2年生から3年生の時期に実施する、「サイエンス・ラボ」と「グローバル・ラボ」という2つのラボについては、ぜひお話ししたいです。

サイエンス・ラボは、物理・化学・生物・地学の4分野で大学と同程度のレベルの実験や実習をおこない、レポート等でまとめることで科学知識や実践的な思考力を身につけていく取り組みです。実験器具も電子顕微鏡やドラフトチャンバー(※)など大学レベルのものが揃っていて、卒業生からは「大学の授業で中学と同じ実験をやりました」という声もありました。
(※)ドラフトチャンバー:化学実験で気体や揮発性の物質を取り扱う際の局所排気装置

物理だと小型ロケットを実際に打ち上げて高さを検証したり、生物だと酵母の発酵というテーマで実生活に関連した知識が得られたりと実験の内容も幅広いので、生徒たちも楽しみながら関心を広げ、理解を深めていってくれています。

甲南中学校・高等学校のグローバル・ラボのプログラム風景

▲グローバル・ラボの授業風景。SDGsにも関連する多様な議論をきっかけに、生徒の視野が広がっていく

編集部

「グローバル・ラボ」についてはいかがでしょうか?

田村先生

こちらは、世界・平和・環境・歴史という4つの分野で専門家をお呼びしてお話を伺ったり、オリジナルの教材を使って学んでいくことで、多様な価値観を知り考察していくというプログラムです。

先日実施した例だと、日本を代表するアンデス専門家に実際にお越しいただき、俳優の方々による伝統的なダンスを観るなどしてアンデス文化の理解を深めていきました。生徒からも「遠く離れた場所で暮らす人々と自分たちの共通点がわかった」「研究職に興味を持った」などの声がありましたね。

なお、グローバル・ラボはフロントランナー・コース独自のものですが、メインストリーム・コースもグローバル教育の点ではもちろん力を入れています。希望する生徒は高校2年時の海外留学の準備として、学内・学外で多くのプログラムが受けられるんです。

著名人・各界OBとの交流が何よりの教材に

甲南中学校・高等学校のOBワークショップ

▲学校OBによるワークショップ。卒業生が快く協力してくれるのも甲南の特徴

編集部

甲南中学校・高等学校のさまざまな学びの場の中で、他に特徴的なものはありますか?

田村先生

年に2回開催する「ソフィア講演会」は、我が校ならではの取り組みだと思います。これは、企業の代表や研究者、スポーツ選手やアーティストなどのプロフェッショナルをお呼びして、全校生徒にいろいろなお話をしていただくというものです。

過去の講師の方々でいうと、元ラグビー日本代表の五郎丸歩さん、アルピニストの野口健さん、本校OBだと世界的に有名な心臓外科医の須磨久善さんや元ミズノ会長の水野正人さんにお越しいただきました。

編集部

国内のみならず海外でも活躍されている方ばかりですね!生徒の皆さんの反応はいかがですか?

田村先生

甲南生の特徴かもしれないのですが、いわゆるミーハーな生徒は少ないんです。なので、「有名人が来た!」という感じではなく、素直に感動したり、気後れすることなく質問を投げかけたりするような反応が多いですね。

講演会以外では、卒業生が参加する「OBワークショップ」というものもあります。これは、医師やパティシエ、飲食店の経営者など、各分野で活躍しているOBを毎年お呼びしてレクチャーしてもらい、質疑応答で活発に意見交換するという取り組みです。

うちの生徒は良い意味で馴れ馴れしい部分があるので(笑)、「僕も医者を目指してます。連絡先の交換をお願いします」と簡単に親しくなることもあるんです。先ほどもお話ししたように、卒業後もみんな「甲南ハート」を持っているので、忙しいなか協力してくれてありがたいですね。

また、こちらから「OB企業訪問」という形で訪ねていく機会もあって、中学高校の段階でビジネスについて学べるのも大きいですね。第11回高校生ビジネスプラン・グランプリでは学校賞を受賞するなど実績もありますし、そういう経験があると総合型選抜でも自分の言葉で語れるので、合格につなげている子もたくさんいます。

甲南中学校・高等学校のスクールライフ

甲南中学校・高等学校に入学した生徒の皆さんは、毎日の授業や豊富なプログラム以外では、どのような時間を過ごしているのでしょうか。部活動や各種イベントについてもお聞きしました!

部活で汗を流す生徒たち。灘との親善試合は70年以上の歴史が!

甲南中学校・高等学校の野球部の試合風景

▲灘中学校・高等学校とは、昭和28年から続く定期親善試合「灘甲戦」を毎年繰り広げている

編集部

甲南中学校・高等学校での、クラブ活動の状況はいかがでしょうか?

田村先生

テニス部のように長い伝統を持つクラブが存在し、ゴルフで世界大会に出るなど個人で優秀な成績を残す生徒はいるものの、正直なところ強豪クラブが揃っているというわけではありません。

でも、部活は全国大会に出ることや賞を取ることだけが目的ではないですよね。仲間が好き、甲南が好きという生徒たちが毎日熱心に練習に取り組み、友情を育みながら大事な試合や発表の場に臨む。この体験は一生の宝になっていると思います。

編集部

お聞きしたところによると、灘中学校・高等学校とはライバル関係にあるのだとか。

田村先生

そうなんです。甲南と灘はもう70年以上「灘甲戦」という親善試合を実施しています。これは両校に共通する運動部がそれぞれ試合をしてその勝敗を競うもので、負けず嫌いな子がどちらにも多いですから、すごく白熱しています。

灘はご存知の通り国内有数の進学校なので運動では甲南が有利と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は直近の中学の結果だと灘が勝っています(笑)。

でも、灘と甲南は校風では近いところもあるんですよ。生徒の自由を重んじるという点は似通っているので、ここまで長く交流戦が続いているのかもしれません。高校3年生は引退試合が灘甲戦というケースもあるので、やっぱり気合が入るみたいです。

甲南中学校・高等学校の体育館

▲大部分がグラウンドの地下にある体育館「徳体知アリーナ」。部室やトレーニングルームも設置されている

甲南中学校・高等学校のブラスアンサンブル部の演奏風景

▲運動部だけでなく文化部も盛ん。ブラスアンサンブル部はジャズの甲子園と呼ばれる大会の優勝経験もある

チャレンジ重視の学校行事だから危険を知り深く学べる

タブレットを操作して笑顔を見せる甲南中学校・高等学校の生徒たち

編集部

甲南中学校・高等学校の行事についても、教えていただけますか?

田村先生

学校行事というと、どうしてもリスクを避けてしまう傾向があると思うのですが、我々はそのリスクも込みで「面白そうだからやってみよう」と考えるんです。

全校生徒が参加する六甲登山がまさにそうですね。毎年、芦屋川からスタートしてゴールの有馬温泉に着いたら解散となるのですが、そこからは完全に自由です。つい少し前まで小学生だった子を、いきなり野に放つわけです。

普通なら引率の先生が学校の近くまで送り届けるのでしょうが、そこは信頼ですね。高校3年生が中学1年生の面倒を見るので、ゆっくり有馬の共同浴場に入ってから帰ってくることもありますよ。

あとは、伝統行事の「臨海学舎」でも、波打ち際で遊んで終わりではなく沖に出て2時間、長いときは3時間も遠泳をする生徒がいます。もちろん、事前に泳ぎのレベルを見極めて距離は設定していますけども。

編集部

現地解散にしても遠泳にしても、ついつい「危険だから止めたほうが…」と考えてしまいそうです。

田村先生

リスクよりリターンを重視するというか、本校は旧制高校の伝統が残っているので、教員も小手先の授業や形だけの行事は良しとしない傾向がありますね。

それこそサイエンス・ラボでも、危険な薬品を使った実験を平気でおこないます。子どもたちが危険性をしっかり理解したうえで取り組めば、貴重な経験となり、学問への興味も一層かき立てられるはずだからです。

甲南中学校・高等学校からご家族・お子様へのメッセージ

編集部

最後に、甲南中学校・高等学校から読者の皆様へメッセージをお願いいたします!

田村先生

甲南の特徴を一言で例えるなら、「ワイン樽」のような学校だと思います。

入学したときはみんな素材そのまま、個性豊かでバラバラの状態です。みんなまだまだ幼くて、男子だけということもあり結構騒がしく、ときには言い合うこともあります。いじめは絶対に許さないという体制は取っていますけどね。

でも1年、2年と時間が経っていくごとに、不思議と馴染みはじめる。「みんな仲良く」なんて理想論じゃなくて「あいつと俺は気が合わないけど、でもこんな良いところもあるな」という大人びた考えを持ち、個人として尊重し合う人間関係を理解していくんです。そこからの高校3年間では、学外の方々も含めたいろんな体験をすることで、ますます熟成していきます。

そして卒業していったあとは、評価の高いワインが全国に流通していくように、「甲南らしさ」を各地で発揮してくれていますね。手前味噌ではあるのですが、OBは実際に社会で活躍しています。各分野で人のため、社会のために先頭に立って爽やかに動くのが甲南生なんです。

学校の価値は何かというと、進学実績でも資格の数でもなく、誇れる卒業生の多さだと我々は考えています。その点で言うと、甲南は全国でもトップクラスだと自信を持って言えます。このようなところに興味を持っていただける関西のご家族、お子さんがいらっしゃったら、ぜひ入学を検討していただければ嬉しいです。

編集部

いろいろなお話を伺い、甲南中学校・高等学校では生徒の個性を抑えずにむしろ伸ばしていくようなプログラムや取り組みが充実しているということがわかりました。

そして、「愛校心」という言葉では言い表せないほど、先生と生徒の絆、そして生徒同士の絆が、卒業しても強く結びついているのだなと感じました。本日はありがとうございました。

甲南中学校・高等学校の進学実績

甲南中学校・高等学校の進学実績を見ると、系列校である甲南大学に進む生徒が4割〜5割程度います。甲南大学は文系理系合わせて8つの学部を持つ総合大学なので、中学・高校で関心を持った分野をさらに探究していくことができます。

甲南大学への進学では内部推薦も活用できるほか、推薦の権利を持ったまま国公立大学や私立大学(学部選択の条件あり)を受験できる「留保受験制度」があるため、さらに選択肢は広がっています。

また、外部進学では大阪大学や神戸大学といった難関大学の合格実績があるほか、海外大学にも10名以上が羽ばたいています(2023年度)。

■近年の大学合格者数(甲南中学校・高等学校公式サイト)
https://www.konan.ed.jp/schoollife/career.html

甲南中学校・高等学校に通う生徒の保護者の声

甲南中学校・高等学校の生徒の保護者の方々の声から、一部を抜粋してご紹介します。

OBがいろんな分野で活躍している名門校で、行事などでお話ができる機会も多い。卒業して社会に出たときのことを考えても、やっぱり甲南がよいと思った。

生徒同士の雰囲気がすごく良く、息子も毎日楽しそうに登校している。ガツガツした雰囲気というよりは伸び伸びと過ごせる学校。

校舎やグラウンド、体育館などがすごくキレイ。鍵付きのロッカーもあり、設備面に不満なし。

学習面でもそれ以外でも、先生方のフォローも手厚いように思う。

いろいろな口コミを見ると、人間関係の良さに満足しているという声が多く見られました。勉強でも部活でも切磋琢磨して成長していけること、そして個性を認め合う「紳士」な部分があるので、お父さん・お母さんも安心して通わせることができているようです。

お問い合わせ

問い合わせ先 甲南中学校・高等学校
住所 兵庫県芦屋市山手町31-3
電話番号 0797-31-0551
公式サイト https://www.konan.ed.jp/