次世代のリーダーを育成する「桐光学園中学校・高等学校」の海外プログラムとは|中高一貫校

特色ある教育や魅力的な校風で注目されている学校を紹介する本企画。今回は、神奈川県川崎市にある中高一貫の私立校「桐光(とうこう)学園中学校・高等学校」をご紹介します。

桐光学園中学校・高等学校は、「次世代のリーダー」を育成するというミッションのもと、多様な学校行事やクラブ活動、生徒会・委員会活動などを通じ、リーダーシップの醸成や多様性の尊重などを促進する教育を提供しています。

次世代のリーダーの育成の一環として特徴的な取り組みが、生徒一人ひとりのニーズに合わせて進化し続ける多彩な国際プログラム。世界各国への短期、中・長期留学が可能なほか、オンラインで海外の高校卒業資格を取得できるダブルディプロマ制度にも力を入れています。

今回は、桐光学園中学校・高等学校の岡村学校長、数学担当の新谷先生に、海外プログラムの特徴や特徴的な「男女別学」の制度、「二人担任制」が実現する手厚い学習支援などについて、お話を伺いました。

「世の一隅を照らす人」を育成する桐光学園の教育理念

桐光学園中学校・高等学校の岡村学校長

▲お話を伺った桐光学園中学校・高等学校の岡村薫学校長

編集部

まずは、桐光学園中学校・高等学校の建学の精神や教育方針について教えてください。

岡村学校長

桐光学園の創立者である小塚光治先生が残した「建学のこころ」には、「教師の心と生徒の心が火花を散らす、生徒と生徒の心が火花を散らす、この火花によってお互いの心がとけ合い心の扉が開きます」という言葉があります。また、「師弟同行し、いつどこにいても、社会の一隅(いちぐう)を照らすことのできる人材、人に信頼される筋金の入った人材を育成したい」とも述べています。

今は先の見通しのつかない時代といわれ、多くの方が不安を抱えていると思います。そんな困難な時代においても、健全な社会を築いていける「次世代のリーダー」を育てる、という想いを大切にしています。

編集部

御校が考える「次世代のリーダー」とは、どのような人材を意味するのでしょうか。

岡村学校長

一口にリーダーといっても、いろいろなタイプがありますよね。想像しやすいのは、カリスマ的なリーダーかもしれません。私たちは、創設者である小塚光治先生がおっしゃっているとおり、世の一隅を照らせるような、自分と関わる人に良い影響を与えることができる人材を「次世代のリーダー」と捉えています。

先頭に立って目立つようなタイプでなくても、リーダーシップを発揮することは可能です。近年のリーダーシップ論でも、ファシリテーションに長けたリーダーの形なども提唱されていますよね。リーダーシップの発揮の仕方はそれぞれでも、自らの力で社会の一隅を照らしていく人材、それが桐光学園が考える「次世代のリーダー」です。

また、これからの時代を照らす「次世代のリーダー」を育成していくためには、さらに世界との関わりを考えるためには、世界に開かれている必要があります。そのような想いから、本校ではグローバル教育に力を入れています。

編集部

建学のこころを体現する「次世代のリーダー」、それを育成する教育の一環として、桐光学園の特徴であるグローバル教育があるのですね。

生徒のニーズに合わせた桐光学園のグローバル教育

桐光学園中学校・高等学校のケンブリッジ大学リーダーズ研修の様子

▲ケンブリッジ大学リーダーズ研修にてフィールドワークを実施している様子

編集部

桐光学園中学校・高等学校のグローバル教育について伺います。岡村学校長は、2024年4月に学校長に就任されるまで、国際部の部長を務めていらっしゃいました。桐光学園のグローバル教育の特徴をどのように考えていらっしゃいますか。

岡村学校長

桐光学園中学校・高等学校には多様な生徒がいます。生徒たちを一人ひとり思い浮かべ、それぞれのニーズに応じたプログラムを作り上げるというのが、2016年の国際部の設立以来ずっと私が大切にしてきた想いです。

ニーズに合わせた留学プログラム作りで特徴的な事例が、カナダ留学プログラムです。桐光学園中学校・高等学校で一番早くできた海外プログラムは、カナダのホームステイ研修でした。これは、英語に触れてみたい、カナダの家庭の雰囲気を味わいたいという生徒向けの内容です。

具体的な内容として、午前中にESL(※)の授業、午後に乗馬体験などのアクティビティへの参加を組み込んでいます。英語初心者の生徒、海外の一般家庭で生活してみたいというニーズのある生徒には、とてもマッチしています。
(※)English as a Second Language:第二外国語としての英語学習。外国人への英語指導に関する資格を持った教師から、英語習得専用のレッスンを受ける。

一方で、例えば帰国生ですでに海外経験や英語力のある生徒、もっとハイレベルな語学学習をしたい、今流行りのPBL(※)を体験したいという生徒には、教育先進校の授業を盛り込んだサンディエゴでのプログラムもあります。また、カナダ長期(1年間)留学プログラムでは、大都会に行ってみたい生徒、田舎町を希望する生徒など、場所に関するニーズもさまざまです。
(※)Project Based Learning:課題解決型学習

編集部

たしかに、同じ学校に通っている生徒の中でも、英語スキルや留学に対するニーズは千差万別ですよね。

岡村学校長

そうなんです。そのため、よりハイレベルな英語教育を受けたい生徒には、最先端の教育プログラムを英語で学べる研修を用意しました。また、留学先エリアもカナダ全土から選べるようになっています。今年(2024年)は8名の生徒がカナダに留学するのですが、結果的に今年は全員オンタリオ州に滞在することになったものの、すべて生徒自身が選んだものです。

編集部

ここまで生徒一人ひとりの希望に寄り添ったプログラムを用意してくれるのは、とてもありがたいことですね。その他にも、生徒のニーズをくみ取ってできたプログラムはありますか。

岡村学校長

例えば、オーストラリアやニュージーランドで10週間行う「ターム留学」を導入しています。ターム留学とは、1学期間を海外の学校で学ぶプログラムのことです。生徒や保護者からのご要望が多かったことから実現し、昨年は40名が参加しました。

ニュージーランドのChristchurch Girls’ High Schoolでの桐光学園中学校・高等学校のターム留学の様子

▲ターム留学先であるニュージーランドのChristchurch Girls’ High Schoolでの集合写真

編集部

留学と聞くと、学校が用意した行先、プログラムの中から選択するイメージがありました。桐光学園では生徒の要望からプログラムを作ってくれるので、よりモチベーションや学習効果のアップが期待できそうですね。

最先端の課題解決型学習を体感できる独自留学プログラム

ケンブリッジ大学で現地の生徒たちとグループディスカッションをする様子

▲ケンブリッジ大学にて英語でグループディスカッションに参加する生徒たち

編集部

桐光学園中学校・高等学校で最近実施されている、特徴的な海外プログラムがあれば教えてください。

岡村学校長

はい。先ほどご紹介した通り、英語で最先端の教育プログラムを受けたいといったニーズを受け、2023年度よりアメリカのサンディエゴの教育先進校「High Tech High(ハイテックハイ)」の授業を体験できる「THINKTIONプログラム」を開始しました。

「High Tech High」は、教科書通りに教員が生徒に指導するのではなく、生徒たちが主体的にテーマを決めて学習を進めるスタイルです。教科書がないため、授業の方向性は各クラスの先生に委ねられます。一方で、実際に取り組むテーマについては生徒自身が考え出し、プロジェクトを進行させるため、課題意識や問題解決能力が養われます。

昨年のテーマは、「border(ボーダー:境界)」でした。アメリカとメキシコの国境線を視察し、社会に存在する様々な境界について考えるなど、実践的で主体的な学びが実現しています。まさにPBLをベースとした学習内容で、社会課題に主体的に取り組む貴重な機会といえます。

編集部

教科書がなく自由度の高いハイテックハイは、日本の既存の教育スタイルと大きく異なりますね。

岡村学校長

はい。教師の裁量が大きいことから、教育熱心な先生が集まると聞きます。また、生徒の学力面でも良い結果が証明されています。サンディエゴの「High Tech High」を学んだ生徒は、所在するカリフォルニア州の統一学力テストで平均を大きく上回り、四年制大学への進学率が9割を超えているそうです。

編集部

一般的な語学力習得だけを目的とした留学と比べると、「High Tech High」ではより考える力が養えそうです。

岡村学校長

はい。よく海外プログラムというと、英語力の向上を期待される方が多いかと思います。語学力の向上は当然のこと、より大きな目的として、考え方やマインドセットの変化が重要だと考えます。

海外プログラムに参加した生徒は、「世界と対等に渡り合っていくために何をすべきか」「どんな力がこれから必要になるのか」といった考え方を持ち帰ってくれているようです。次世代のリーダーとして活躍するうえで、重要な学びですね。

編集部

学びの多い「THINKTIONプログラム」ですが、学習面以外ではどのような体験ができますか。

岡村学校長

最先端の教育に触れながら、サンディエゴの大学の寮に滞在してアメリカの大学生活を疑似体験することができます。「THINKTIONプログラム」には中学2・3年生、高校1・2年生が参加可能ですが、今後の進路を考えるうえでも良い機会になっていると思います。

オンラインで日本と海外の高校卒業資格を取得できる「ダブルディプロマ」が人気

編集部

桐光学園高等学校では、日本と海外の高校卒業資格を同時に取得できる「ダブルディプロマ」のプログラムがあると伺いました。詳しく教えていただけますか。

岡村学校長

はい。桐光学園では、オンラインでカナダの高校卒業資格が取得できるダブルディプロマの制度を導入しています。ただし、明確な目的なく全員にダブルディプロマを取得させるべきとは考えていません。

例えば海外の大学への進学を目指す場合、ダブルディプロマで海外の高校卒業資格を持っていることは有利に働きます。また、日本の大学でも早稲田大学や上智大学、ICU(国際基督教大学)などでは、ダブルディプロマを持っていることで受けられる入試があります。

そのように、全員に強制してダブルディプロマを取得させるのではなく、生徒本人が進路選択するうえで必要があれば取得できる環境を整えている、というのが桐光学園のスタンスです。

編集部

あくまでも生徒本人のニーズや必要性に応じて、ダブルディプロマを選択できるということなのですね。具体的に、どのような方法でダブルディプロマを取得できるのでしょうか。

岡村学校長

桐光学園では、高校1、2、3年時にカナダのオンタリオ州のOSSD(※)の制度を活用することで、オンライン講義にてダブルディプロマの取得が可能です。希望者には放課後や長期休暇のタイミングで教室を開放し、オンライン講義を受けられるようにしています。
(※)Ontario Secondary School Diploma:カナダのオンタリオ州の高等学校卒業者に与えられる卒業証書

OSSDを利用することで日本の単位を認定してもらい、オンラインでカナダの講義を7単位取得することでカナダの高校卒業資格が取得できます。その結果、ダブルディプロマ取得としては最短の時間かつ安価な料金で実現できているのも特徴ですね。

編集部

日本にいながら、オンラインの講義で海外の高校卒業資格が得られるのは魅力的ですね。

岡村学校長

はい。桐光学園では高校2年生から国立大学進学がメインのⅠコース、私立大学などへの進学がメインのⅡコースに分かれます。それぞれ文系・理系に分かれますが、私は理系でも文系科目を、文系でも理系科目をある程度学習する必要があると考えています。

また、生徒たちは学習以外にも、スポーツや芸術、クラブ活動などにも積極的に参加しています。オンラインでのディプロマ取得は、忙しい生徒たちにとって効率的な取得方法だと考えています。

編集部

海外に留学しなくてもダブルディプロマでOSSDを取得できれば、そのほかの活動にも力を入れられそうですね。一方で、オンライン講義だと学習効果が薄れないのでしょうか。

岡村学校長

実際にオンライン講義の効果を心配される方が多いのですが、学習の質はしっかりと保たれています。北米では冬に大雪で学校に通えない子どもたちがいますから、彼らにもきちんと教育を届ける目的でインターネットの普及と共にオンライン教育が発達しているのです。

動画講義であれば再生スピードも調整できますから、第二言語で学ぶ日本の生徒にとってはうってつけの環境ともいえます。

編集部

オンラインでもしっかり学習効果が得られる環境が整っているのですね。

岡村学校長

はい。英語スキルに不安がある生徒の場合は、ダブルディプロマの単位にはなりませんが、中学生のうちにカナダのESLで英語の初歩を学ぶこともできます。カナダは移民の国ですから、外国語教育が進んでいます。個人の事情に合わせてプログラムを選択してもらいたいと思います。

今回はカナダの例を出しましたが、例えばアメリカのダブルディプロマを取得したいなどの要望があれば、海外の学校とのコネクションやこれまでの経験を活かし、サポートすることができます。あくまでも生徒主体で、プログラムを提供しているのが桐光学園の特徴ですね。

編集部

なるほど。ここまで生徒のニーズをくみ取って提供してもらえるダブルディプロマの制度であれば、やはり生徒からの人気も高いのではないでしょうか。

岡村学校長

ありがとうございます。校内で6月にダブルディプロマの説明会を実施しましたが、200名を超える参加者がありました。ダブルディプロマの要件である7単位すべてを取得する生徒がどれくらいの人数になるかわかりませんが、1、2教科だけでも受講する生徒はかなり多くなりそうな見込みです。

編集部

多くの生徒が、桐光学園のプログラムを活用して海外での学びに興味を持っていることがわかりました。

 生徒の「やりたい」が見つかる桐光学園中学校・高等学校の手厚いサポート

桐光学園高等学校サッカー部令和5年高校サッカー部インターハイ優勝時の写真

▲令和5年高校サッカー部インターハイで優勝した桐光学園高等学校サッカー部の集合写真

編集部

ここからは、数学教師で現在中学1年生の担任もされている新谷先生に、桐光学園中学校・高等学校ならではの学習サポート体制についてお話を伺います。新谷先生ご自身も、桐光学園の卒業生でいらっしゃるそうですね。

新谷先生

はい。私は学生時代にサッカーに打ち込んでいたため、多くのプロサッカー選手を輩出している桐光学園中学校・高等学校に入学しました。私が学生の頃は、サッカー部や野球部などの成果を称える横断幕がよく校舎にかかっていたのですが、最近では合唱部やスキー部など、実に様々なクラブ活動の横断幕が掲げられるようになりました。

第94回選抜高校野球大会で国家独唱を務めた桐光学園中学校・高等学校の合唱部の男子生徒

▲全国コンクールで優勝し、第94回選抜高校野球大会で国家独唱を務めた合唱部の男子生徒

新谷先生

ただ、生徒全員が最初から強い目的意識をもって入学するわけではありません。むしろ、本当にやりたいことが見つかっていない生徒の方が少なくないのかもしれませんね。

しかし桐光学園には現在、文化部・運動部合わせて52ものクラブ活動があるため、生徒それぞれの「好き」や「得意」に合う活動がきっと見つかると思っています。高校水泳部の全国大会・国民体育大会19年連続出場、美術部漫画班のまんが甲子園本選大会出場など、全国レベルで活躍するクラブが数多くあります。(2024年6月取材時点)

編集部

強豪クラブが多数活躍する桐光学園なら、自分が夢中になれる活動を見つけられそうですね。

新谷先生

そう思います。クラブ活動だけでなく、岡村学校長がお話しした海外プログラム、大学訪問や豊富な学校行事などを通じて、自分の「やりたいこと」が見つかっていくのだと思います。豊富な選択肢にあふれていることで、私が在学していた頃よりさらに本校の魅力が増していると感じます。

桐光学園中学校の中学1年生のスキースクールの様子

▲中学1・2年生及び高校1年生が参加するスキースクールも生徒の貴重な体験に

編集部

桐光学園中学校・高等学校で過ごす6年間で、いろいろな選択肢に触れることができるのは素晴らしいですね。新谷先生が在学されていた頃から、変わらない良さだと感じるものはありますか。

新谷先生

やはり、先生方の熱意は私の在学当初から変わらないと感じます。

桐光学園では中学3年生のタイミングで、学力などを基準にクラス替え行います。上位のクラスをSAクラス(特進クラスに相当)と呼びますが、将来的には難関大学を受験する可能性の高い生徒たちです。そのような生徒たちへの指導を早いタイミングから始めるために、上位クラスを経験してきた教員を集めたノウハウの伝達会などを行っています。

学力などを中心にしながらクラス分けをしていても、やはり個々のレベルの差はありますし、得意・不得意もあります。全員が同じペースで学習を進められるわけではありませんから、早く課題が終わった生徒にいかに大学入試につながる題材を提供するか、チャレンジしたくなる問題を提供するかなど、先生たちで話し合って創意工夫しています。

編集部

中学生の段階から、大学入試などの将来を見据えた学習支援をされているのですね。

新谷先生

そうですね。高校生になれば大学入試問題に取り組むようになりますが、中学生の段階では入試のことまでベクトルが向きにくいものです。中学生のうちから少し難しい問題に意欲的に取り組むように働きかけることが、将来的に重要になってくると実感しています。

このように、ただカリキュラム通りに教えるだけでなく、生徒たちの将来を見据え創意工夫して指導をする先生たちの熱意は、昔も今も変わっていません

6年間同じ先生が担当する「二人担任制」と学校全体での進路支援

桐光学園中学校の音楽の授業参観の様子

▲音楽の授業参観にて熱心に指導する教員(東京藝術大学を卒業した本校卒業生)と取り組む生徒たちの様子

編集部

桐光学園中学校・高等学校では、「二人担任制」を導入されていると伺いました。どのような制度なのでしょうか。

新谷先生

本校では、クラスごとに2名の専任教員が担任・副担任として担当する「二人担任制」を導入しています。基本的に同じ、担任をはじめとする教員集団が、中高合わせて6年間受け持つのです。私はこれまでに2度の担任を経験しましたので、6年間を二回り担当しました。

編集部

6年間持ち上がることで、生徒の個性も把握できそうですね。

新谷先生

はい。授業以外でも多くの時間を共有することが、きめ細やかなサポートにつながっていると感じます。例えば、大学進学に向けて、高校2年生から2年間、毎日朝7時半から8時までの朝講習を実施しました。

私だけではなく、若い他の先生たちも自発的に生徒と向き合う時間を作ってくれています。教員同士の横のつながりが強く、学校として生徒に向き合う姿勢ができていると思います。これは、教師の専任率(※)が79.2%と高い桐光学園ならではだと感じます。(2024年取材時点)
(※)教員の専任率:他の学校などと兼務せずに1つの学校に専念する教員の割合

編集部

ほとんど全ての生徒が大学進学されると思いますが、進路に向けてのアドバイスなどにも注力されているのでしょうか。

新谷先生

はい。推薦入試の志望理由書の添削や、面接の練習などはもちろん行っています。担任だけが行うというより、教員全員で一人ひとりに対応している状況です。

例えば2023年度は私が担当するクラスで海外大学への進学を希望する生徒がいましたが、当時、英語を担当していた岡村現学校長にずいぶんと相談をしていました。生徒自身が、自分の信頼する先生に自主的に相談していることは、本校では珍しいことではありません。

先生同士の連携が取れているため、担任以外の先生に相談した生徒の話などはしっかり共有されます。教員一丸となって、生徒と向き合っているのが桐光学園では多くが良さですね。

編集部

担任だけでなく、いろいろな先生に進路相談ができるのは心強いですね。桐光学園では多くが難関大学を受験されると思いますが、モチベーション維持などで注意されていることはありますか。

新谷先生

やはりコミュニケーションは特に大事にしています。2023年度はわたしのクラスから東京大学に3名の生徒が合格しましたが、全員が予備校に通っていませんでした。予備校に通うかどうかは本人の判断ですし、一概に良い、悪いと言えるものではありません。

ただ、普段から密にコミュニケーションを図っているからこそ、生徒たちが桐光学園を信じて進んでくれたことは嬉しく思っています。たとえ予備校を希望する場合でも、その選択が自分の進路に本当に合っているのか、学校と両立できるのかなど、しっかり話したうえで本人の意思を尊重しています。

編集部

6年間同じ先生方に担当してもらえるからこそ築ける信頼関係と学校全体のサポートが、生徒たちの大学進学を強く後押しされている様子が伝わりました。

全国的にも珍しい「男女別学」を導入している理由

桐光学園中学校・高等学校の競技かるた部の様子

▲競技かるた部の活動風景。授業は男女別だがクラブ活動は混合で実施している。

編集部

最後に、桐光学園中学校・高等学校が導入されている「男女別学」について教えてください。そもそも男女別学とは、どのような制度でしょうか。

岡村学校長

男女別学とは、ホームルームや授業自体は男女別で行うものの、クラブ活動や学校行事などは男女共同に行うスタイルです。私は、男子校・女子高のメリットと、共学校のメリットを「良いこと取り」した学校の在り方だと思っています。

編集部

男女別学が男子校・女子高と共学校の「良いとこ取り」とは、具体的にどのような点でしょうか。

岡村学校長

例えば男女を分けた方が学習効果が上がることが、様々な研究や論文で証明されています。数学や理科のスコアを比べると、共学校に通う女子生徒より、女子高に通う女子生徒の方が成績が良いという結果もあるそうです。学習面だけを考えると、女子高・男子校には大きなメリットがあるといえます。

ただ実社会は男女が共同で営むものですから、共学校のようにお互いが一緒に過ごす時間も必要です。桐光学園では放課後の部活動や生徒会・委員会活動、たとえば文化祭や体育大会の実行委員などは、男女で協働し、性別の壁を越えて生徒主体で盛り上げる伝統があります。

このように、男女別に学ぶメリットと協力し合うメリットの双方を実現しているのが桐光学園の男女別学です。

編集部

まさしく男子校・女子高と共学校の「良いとこ取り」ですね。学習面以外でも、男女が別のクラスであることのメリットはありますか。

岡村学校長

男女が別に学ぶことの一番大事な観点は、性別に基づく社会的な期待や役割を超えられる点にあります。例えば、リーダーシップは男子が取るものだとか、理系は男子が得意、文系は女子が得意といったバイアスが少なからずありますよね。

しかし実際には、理系科目が得意な女子もたくさんいますし、女子が得意だと言われがちな芸術の分野で才能を発揮する男子もいます。男子だけ、女子だけのクラスであれば、そのような性別によるバイアスを意識する必要がありません。これは男女別に学習する最大のメリットだと思います。

編集部

男女別に学ぶことで、性別によるバイアスがない環境で個人の得意を伸ばせるのですね。

岡村学校長

はい。一方で、桐光学園では同じ教員が同じ科目を男女それぞれに指導しているため、受け取り方の違いなどを考慮したアプローチも可能です。男女それぞれの特性を生かす教育ができるのが、桐光学園の男女別学の特徴ですね。

桐光学園中学校・高等学校からのメッセージ

高校サッカー部、冬の選手権でサッカー部を応援する生徒たちの様子

編集部

最後に、桐光学園中学校・高等学校に興味を持った生徒・保護者に向けてメッセージをお願いします。

岡村学校長

桐光学園中学校・高等学校には、サッカーや野球、合唱など、「やりたいこと」をはっきり自覚して入学する生徒がたくさんいます。そのような生徒たちに対して、桐光学園はその才能をさらに輝かせるサポートがしたいと、教職員一同考えています。

一方で、明確な「やりたいこと」が見つかっていない生徒や、目的があって入学した後に別の興味に気づく生徒もたくさんいます。桐光学園はさまざまな体験の機会を用意していますから、今までと違った自分に気づける学校です。

だから、「やりたいことがない」と悩んでいる方も心配しないでください。いろいろな分野で頑張っている先輩たち、教員たちの姿を目の当たりにすることで、また、大学訪問の授業や海外プログラム、委員会活動やクラブ活動などを通じて、自分の興味が見つかっていきます。どこかしらに居場所が見つかります。

新谷先生

私もサッカー部が目的で桐光学園に入学しましたが、数学を学ぶ楽しさに目覚めて今では数学の教員をしています。いろいろな選択肢から新しい自分に出会えるのが、桐光学園の魅力です。

岡村学校長

新谷先生の例以外にも、同じようにサッカーを目的にして入学しながら、今では東北大学や東京大学で教壇に立っている先輩もいます。中学・高校時代をがむしゃらに頑張った生徒たちは、フィールドが違ってもその先の進路で活躍している。だから安心して、桐光学園を選んでほしいと思います。

桐光学園中学校・高等学校の進学実績

桐光学園中学校・高等学校では、東京大学や京都大学などの難関国立大学、早稲田大学や慶応義塾大学など名門私立大学への合格者を輩出しています。

2024年度の大学入試では、カナダのブリティッシュコロンビア大学、アメリカのコロラド州立大学、西オーストラリア大学など、海外の大学に13名が合格しました。

桐光学園中学校・高等学校の特徴的な海外プログラムや、6年間に渡る丁寧な進路指導が、難関大学や海外大学への合格者数に反映されていることがわかります。

公式:桐光学園中学校・高等学校「2024年度 大学入試結果」

桐光学園中学校・高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ

最後に、桐光学園中学校・高等学校の感想・口コミをご紹介します。

(卒業生)先生がものすごく面倒見がいい。3年間持ち上がりで同じ担任だが、課外活動を応援しつつ、勉強も頑張れよと声がけをして、いつも気持ちを押してくれる。こちらがやる気を見せると、喜んでサポートもしてくれる。

(保護者)桐光学園は多様性に富む学校です。(大人数、男女、帰国子女含む、スポーツ・文芸全国~初心者レベルの生徒、学力東大レベルの生徒。先生方も様々いらっしゃいます。)我が子には、様々な方々や意見・考え方の違いに触れ合ってもらい「カルチャーショック」を受けて欲しいと思ってました。今それは確実に実現できてます。

(在校生)先生方の熱心さを感じる学校です。英検対策を級別にやってくれたのにはビックリです。先生も忙しそうですが、熱心です。施設の充実度は全国有数です。

教員の熱心な指導姿勢や、在学生の多様性、多彩なプログラムなどを評価する声が多数ありました。また、ハイレベルなクラブ活動、難関大学などへの進学率に対しても、肯定的な意見が寄せられています。

桐光学園中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 桐光学園中学校・高等学校
住所 神奈川県川崎市麻生区栗木3丁目12番1号
電話番号 044-987-0519
問い合わせ先
e-mail
info@toko.ed.jp
公式ページ http://www.toko.ed.jp/high/index.html

※詳しくは公式ページでご確認ください