田中学園立命館慶祥小学校の合言葉は「ナイストライ!」世界に挑戦する人材を育む教育

田中学園立命館慶祥小学校は、学校法人田中学園が運営する、2022年4月に開校した私立の共学校です。北海道日本ハムファイターズで活躍した元プロ野球選手・田中賢介氏が理事長を務める同校は、北海道江別市にある立命館慶祥中・高校と連携。北海道初となる小・中・高の一貫教育の実現を目指しています。

英語の授業に加え、体育・音楽・図工・情報などの実技教科は全て英語で行うなど、国際教育に力を入れている同校。感情をコントロールするマインドフルネスや、田中学園立命館慶祥小学校の課題解決型学習の最高峰として力を入れている探求学習”LINK(リンク)”においては、実社会と同じ方法でマネースタディー要素も高度に入れ込んでいる点が特徴です。

また、児童の挑戦を、同校の合言葉である「ナイストライ!」という言葉で応援する同校は、児童と教員が一丸となって学校生活のさまざまなシーンでチャレンジ精神を応援しています。

今回は校長の吉田恒先生に建学の精神や田中学園立命館慶祥小学校独自の取り組みについてお話を伺いました。

生涯教育を大切にする田中学園立命館慶祥小学校の建学精神は「学ぶを、しあわせに。」

田中学園立命館慶祥小学校の吉田恒校長先生

▲取材に応じていただいた吉田校長

編集部

はじめに、田中学園立命館慶祥小学校の建学精神についてお聞かせください。

吉田校長

「学ぶを、しあわせに。」を建学精神に掲げる本校は、2024年度に開校3年目を迎えた私立小学校です。開校準備室だった当時、初めに決定したこの建学精神は、理事長である田中賢介が大切にする生涯教育への思いを表しています。

教育とは幼少期だけで完結するものではなく、一生続きます。子供たちには人生のいかなる時も学ぶことを通じて夢と生きがいを持ち、新たな自分へと挑戦し続けてほしい。そして、その挑戦を自分や周囲、まだ見ぬ誰かのしあわせにつなげてほしい。建学精神にはこのような思いが込められています。

「世界に挑戦する12歳」を育む3つの教育理念

編集部

御校では教育理念に「挑戦」、「協働」、「貢献」を掲げられていると伺っております。これらの理念にはどのような思いが込められているのでしょう。

吉田校長

国際教育に力を入れた学校作りを進めている本校の教育理念は、元プロ野球選手である理事長の田中が海外で挑戦した際に得た経験から、これからの学校教育に必要と考える要素を3つの言葉で表しています。

1つ目の「挑戦」では世界に踏み出す力を養うため、失敗を恐れずチャレンジする子、「自分ならできる」と信じられる子。まだ見ぬ課題へ自ら立ち向かいチャレンジしていく力、自ら学ぶ力を獲得することを目指します。

「協働」は人種や肌の色、宗教の違いを超え、一人ひとりの個性を当たり前のものとして受け入れ、他者を理解し、異年齢間・地域間で協働し、人と関わる喜びを自ら獲得することを目指します。

「挑戦する」ことで自分を好きになり、「協働する」ことで人を大切にする心を持ち、そして誰かのために行動することでリーダーシップを発揮。北海道、日本、そして世界に貢献することを目指すのが3つ目の「貢献」です。これら3つの理念を総括したのが、スローガンとして掲げる「世界に挑戦する12歳」です。

子供たちが株式会社を運営。社会問題に取り組む探究学習プロジェクト「LINK」

田中学園立命館慶祥小学校の探究学習「LINK」の授業風景

編集部

続いて、田中学園立命館慶祥小学校の探究学習への取り組みについて伺います。特徴的なプログラムなどがあればぜひ、お聞かせください。

吉田校長

本校では探究学習を「LINK」というプログラムと名づけ、取り組んでいます。子供が運営する会社を擬似的に作り、さまざまな社会問題に対して行動するプログラムとなっており、会社には実際に資金が渡され、それをどう使うかは子供たちが決めます。イベントを開催したり、資金を増やしたりする取り組みも子供たちが行い、実際のお金を使って自分たちで考え、決断する本物の体験をします。

一般的な探究学習は、社会問題に対する解決策を探究することが目的ですが、実社会で課題解決を進めていくには、資金が必要となります。本校では、「金魚鉢の中だけでの課題解決」ではなく、実社会の中で行動することを重要視しています。

本校では4グループの縦割りグループを作り、6年生が代表取締役になって資金調達から運用を行い、会社を運営します。資金運用については地元の北洋銀行さんのサポートを得て、運用利率なども勉強します。

また、子供たちが作る会社にはポッカサッポロさんや、電通北海道さん、日本ハムさん、北海道企画さんなどの企業スポンサーが付き、出資金を出してくださるのですが、子供たちはその企業のイベントの手伝いに行く際に、企業の商品を売って資金を得て、会社の運用資金に回すこともあります。

このように、仮想通貨ではなく、実際のお金で運用していることが本校の探究学習の一番の特徴と思われます。

マネースタディも身に付く!実社会と同じ仕組みで会社を運営

田中学園立命館慶祥小学校の探究学習「LINK」の授業風景

編集部

まさに実社会と同じ仕組みで会社を運営している御校の「LINK」プロジェクトですが、運用などで得た利益は探究学習の資金の他、どのように使われるのでしょう。

吉田校長

まずは活動資金を増やすために、会社運営を進め、この夏の各イベントにて収益を上げる活動を行います。そのような活動で貯まったお金は、夏以降、海洋プラスティックの研究やペットの里親探しなど、環境や社会問題の解決に向けて使います。また、一般企業と同じように、お金は使いきらず、次年度の活動資金に回すこともしています。

また、ICTを使った実践教育に力を入れている本校は、2024年度において、小学校では日本で唯一の「Microsoft Showcase School」(※)の認定校です。子供たちはMicrosoft社のコミュニケーションツール「Teams」を使い、企画書作りにはWord、活動資金の計算にはExcelなどを使い、またチャット機能等で作業効率とスピードを上げながら会社の戦略や商品開発などを行います。
(※)Microsoft Showcase Schools:マイクロソフト本社が認定する教育ICT先進校。ICTで教育を変えたいという強いビジョンを持ち、ICTを日常的に授業に活用し、実践を広めていく意思のある学校が1年の任期で活動する

例えば、「このハムカツサンドを作るにはいくらかかって、いくらで売ると儲かるか」といったことをTeams内でコミュニケーションをとります。学校の授業だけでは手が回らない部分がある探究学習を、本校ではICT環境を活用することで大人と同じような感覚で事業を進めています。

このように、子供たちは会社を運営するための資金調達や利益の出し方などを擬似的に会社を運営するマネースタディを学び、お金の流れや考え方を身につけることができます。

大人が「仕事をする仲間」として接することで、ビジネス感覚が養われる

編集部

資金運用やICTを活用など、御校では子供たちが自分の力で積極的に探究学習に取り組んでいる様子が伺えます。子供たちの意識を高めている要因はどこにあると思われますか?

吉田校長

理事長の田中も含め、大人は子供たちを仕事を共にする仲間として話をするため、自然と実社会の仕組みが身に付いているように感じます。出資金を出して下さっている企業さんとは、パッケージデザインを一緒に考えたり、食品開発をしたりもします。大人と一緒に「働く」ことが何よりもの学びになっていると感じます。

代表取締役を務める6年生のなかには、大人が悩むように、原価計算で「どうしたらいいんだろう」と頭を抱えている子供もいますが、それも含め、本物の学びを体験してほしいと願っています。

感情をコントロールする「マインドフルネス」を習慣化

田中学園立命館慶祥小学校のマインドフルネス「T-Breath」をする児童

編集部

「世界に挑戦する12歳」を教育理念のスローガンに掲げている田中学園立命館慶祥小学校では、日々の学習の他、マインドフルネスを日常に取り入れることで、子供たちのチャレンジする心を養っていると伺っております。その具体的な内容について教えていただけますでしょうか。

吉田校長

「世界に挑戦する12歳」を育てていくうえで、学力や英語力ももちろん必要ですが、これからのリーダーたちには、感情をコントロールする、自分を見つめる力も大切だと考えます。瞬間的に集中し、自分と向き合うためには認知能力と非認知の両方が必要であることを海外の先進的な取り組みから学び、宗教色を除いた瞑想とも言われるマインドフルネスを学校教育に取り入れています。

本校はこのマインドフルネスの取り組みを身近なものとして習慣化し、行動変容のレベルまで達することを目指しています。授業や集会の始まりは必ず1分間の呼吸法「T-Breath」を行います。5秒吸って10秒吐く呼吸を4セット行うことで、緊張した時や勝負をかける時に呼吸を意識する習慣を身につけることができ、自分と向き合うことができます。

また、本校では教員が「静かにしなさい」という言葉はほとんど聞かれません。授業や集会の始まりにおいて「T-Breath」に合わせて流す静かな音楽が流れると、注意せずとも児童は一斉に静かになります。

編集部

「T-Breath」の他、マインドフルネスを習慣化するにあたって取り組んでいるプログラムはありますか?

吉田校長

「T-Breath」からは、学校全体の落ち着きや集団行動のスムーズさなど一定の効果を得ていますが、この我々のオリジナルの取り組みが、より具体的に、どのような効果を子供たちにもたらしているのかを検証するべく、「T-Breath」効果の見える化の研究・検証に、教職員全体で組んでいるところです。

その第一歩が「T-Breath検定」です。鼻呼吸や腹式呼吸がちゃんとできているかなど、検定項目に沿って1つひとつチェックし、結果が学業にどのように結びついているかをデータにして、「T-Breath」の効果の見える化を図りたいと考えています。

田中学園立命館慶祥小学校のユニークな教員採用ポリシー

田中学園立命館慶祥小学校の教員がギターを弾いて働くことを楽しむ様子

編集部

子供運営の会社やマインドフルネスなど、独自の教育プログラムに取り組まれている田中学園立命館慶祥小学校ですが、指導にあたる教員はどのような方が在籍されているのでしょう。

吉田校長

児童、保護者同様に、教職員の採用においても、本校の建学精神や教育理念に強く共感し、「この学校が第一希望」という気持ちを最優先にしています。

また、「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを招くことを避けるためにも、オンライン説明会、事前Zoomセッション、場合によっては学校訪問などにお応えし、本校に関心のある方々に時間を惜しまず、学校のことをよく知っていただく努力をしています。

さらに、通常の採用過程ではわかりにくい、個性の部分をアピールしてもらうために、通常の履歴書を「A面」とすると、自分の好きや関心を表現してもらうために「B面履歴書」という取り組みを取り入れています。

楽しむことを目的とした授業「Bゼロ」で、教員のB面に触れることができる

田中学園立命館慶祥小学校の敷地内にあるアスレチックで遊ぶ児童

編集部

先生方の趣味や特技などのB面は、学校生活でどのように活かされているのでしょうか。

吉田校長

教員のB面を活かした「Bゼロ」という学びの時間を設けています。昨年は自然が好きなB面を持つ教員が、森を有している本校の特徴を活かし、自然を使った遊びの場を提供しました。

ほかにも「Bゼロ」では、養護教員が焼き芋を一晩中低温で発酵させて作ったり、家族に消防士がいる教員は、救出の際にどれほどのスピードでロープが引き上げられるかを森の中で子供たちに体験させました。

本校がB面を大切にする理由は、子供たちも教職員も、好きなことをしている時が最も輝いているからです。最近の研究では楽しむことがスポーツにおいてもパフォーマンスの向上につながっていることがわかっています。このようなことから、「Bゼロ」は本校の教育理念の1つ「挑戦」につながると考えます。

編集部

敷地内に森を有する御校は、アスレチック施設も充実していると公式サイトで拝見しました。どのような使われ方をされているのでしょう。

吉田校長

30弱あるアスレチックコースは年に数回、体育の授業で使用することもあります。自分でハーネスが着けられる高学年には、休み時間にアスレチックの遊具を曜日別に解放することもあります。また、地域貢献の一環として開校2年目以降、土日は一般開放しています。

保護者にも心理学や教育を学ぶ機会を提供。学校と家庭の両輪で子供の成長を支える

吉田恒先生の保護者のワークショップの様子

編集部

田中学園立命館慶祥小学校には、保護者も学べる環境が整っていると伺っております。こちらはどのような内容なのでしょう。

吉田校長

初等教育は生活環境や親子関係が子供の成長に大きく影響します。保護者の方にも学ぶことを幸せに感じてほしいという願いのもと、本校では学校組織として保護者教育にも力を入れています。

具体的には、開校初年度に実施した講師を招いた有料の心理学講座や、保護者向けの教育講和を実施しています。また、われわれスタッフが認知心理学を書籍から学び、本校の教育方針にマッチした技術や、望ましい子供部屋の整理の仕方、子供を伸ばす声がけの仕方などをLINEのグループ機能を使って発信しています。

このような取り組みを通して毎年保護者の方に来校いただき、保護者同士で話し合う機会を設けています。子供との向き合い方や子育ての悩みを相談し合うことで、学校と家庭の両輪で子供たちの成長を支えていきたいと考えています。

学ぶ意欲や自己肯定感が高い田中学園立命館慶祥小学校の子供たち

編集部

田中学園立命館慶祥小学校は、どのような特徴を持った児童が多いと思われますか?

吉田校長

学びに対する意欲や、自己肯定感が高い子供が多いように感じます。「ナイストライ」を合言葉とする本校では、児童も教職員も常に声を掛け合い、仮に失敗したとしても、挑戦をしたという「行動」を評価します。アスレチックで怖がって泣いている子がいたら、「頑張れ!ナイストライ!」。前向きな言葉がけをすることが大切という価値感を多くの子供たちが持っています。

また、教職員・児童・保護者全体のコミュニティーで、この教育理念を実現することに対し強い一体感で臨んでいるのが本校の魅力だと感じます。

田中学園立命館慶祥小学校からメッセージ

田中学園立命館慶祥小学校の教職員の皆様

▲田中学園立命館慶祥小学校の教職員の皆様

編集部

最後に、田中学園立命館慶祥小学校から保護者や読者に向け、メッセージをお願いします。

吉田校長

開校3年目とまだ歴史が浅い本校ですが、全国の私立小学校の中でもオリジナリティを強く出した、オンリーワンの学校を目指しています。

成功した人と同じことをやると、120%ぐらいまでは結果を伸ばすことができるかもしれません。しかし、「これはできないかも」や「無理のように思える」「やめておいた方がいい」と、多くの人が反対することにあえてチャレンジすることで、自分ですら想像できなかったような素晴らしい結果につながることがあります。本校はこのような新しいことに踏み出す、「ナイストライ」を実践する学校です。

本校は、子供たちに愛情を持って指導にあたることは当然ですが、これからの時代を主体的に、幸せに生きていく力をつけて欲しいと考え、教育界が当たり前としてきたものを違う角度からアプローチすることで、子供たちにとってより良い教育とは何かを常に考えています。

幼稚園教諭から高校で長年教鞭を執っていたなど、幅広い経歴の教員が在籍する本校は、さまざま視点を持つ教員が初等教育に携わることで、多様な考えやアイデアが生まれると考えます。北海道札幌市にある小さな学校ですが、教職員一丸となって教育に真摯に向き合い挑戦する姿勢は、今後さらに成果として顕著になっていくと思われます。

本校の建学精神や教育理念に興味を抱き、共感いただいた方はぜひ、オープンキャンパスや入試説明会、入試体験会などにご参加いただければ幸いです。

編集部

吉田校長、本日はありがとうございました!

田中学園立命館慶祥小学校の進学実績

2022年度に開校したということもあり、田中学園立命館慶祥小学校の進学実績はまだありません。2025年度には、特別推薦制度にて、提携校である立命館慶祥中学校に1期生が入学する予定です。

田中学園立命館慶祥小学校の保護者の口コミ 

田中学園立命館慶祥小学校の保護者から寄せられた感想を紹介します。

英語力や海外に挑戦する力を小学校から身につけられるのは魅力です。

一定の学力条件を満たす児童は立命館慶祥中学校に進学ができるようです。

素晴らしい教育を与えてくれる学校です。子供のイキイキとした様子を見て、通わせて良かったと日々、実感しています。

学費が高いのが正直なところですが、それだけの価値がある学びを得ることができます。我が子ながら、英検のリスニング力にはとても驚きました。

3ヶ月に1度、まとめテストがあるので、学習習慣が自然と身につくと思います。

在校生の雰囲気がとても良く、心身ともに育ちの良さが伺えます。

受験の経験からか、言葉使いがとても丁寧な子供が多いです。

受験を経験した保護者からの口コミが多く寄せられていました。英語教育の高い評価や、高い質の教育、雰囲気の良い校風が口コミからも伺えますね。

田中学園立命館慶祥小学校へのお問い合わせ

運営 学校法人田中学園
住所 札幌市豊平区西岡1条7丁目2-1
電話番号 011-558-1721
問い合わせ先 問い合わせフォーム
公式ページ https://tanakagakuen.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください