キャリア教育優良学校「瀧野川女子学園中学高等学校」の“望む人生を切り開く”教育|中高一貫校

注目の学校を紹介する本企画。今回は、東京都北区にある私立の中高一貫女子校「瀧野川女子学園中学高等学校」を紹介します。

「欲しいものが無いなら創ろう」の精神が根付く同校では、ものづくりの考え方から技術、そしてそれを事業につなげるビジネス的思考まで学べる取り組みをしています。また、「女子だから理数系が苦手、工学は苦手」ではない「女子の視点」を活かした教育スタイルも魅力です。

今回は、そんな同校の特色ある教育について、瀧野川女子学園中学高等学校の副校長・山口先生にお話を伺いました。

職業を通して望む人生を実現させる「瀧野川女子学園中学高等学校」

瀧野川女子学園中学高等学校の山口副校長

▲インタビューに答えてくださった瀧野川女子学園中学高等学校の山口副校長

編集部

初めに、瀧野川女子学園中学高等学校の建学の精神について教えていただけますか?

山口先生

本校の建学の精神には「高い知性と豊かな個性を養い、心身ともに健康で、真に社会に貢献出来る有為な近代女性の育成」という言葉を掲げています。

創立者は、教員出身であり、5人の子育てをする37歳の主婦でもあった山口さとるです。創立は大正15年なのですが、当時の日本はまだ女性が自分の望む人生をなかなか実現できなかった時代です。その時代に山口さとるは、「職業を通し、女性が望むような人生を手に入れることのできる学校を作りたい」という思いのもと、自宅の2階を開放して大正15年に学園をスタートさせました。

このような背景ですので、女子校にありがちな「良妻賢母」という言葉は本校では用いられていません。

校訓もまた「剛く、正しく、明るく」という印象的な言葉を掲げています。強弱の「強く」ではなく、剛正の「剛」の字があてられているのは、誰かと比較することが前提となる強い・弱いとは違い、自分の成し遂げたいこと、挑戦したいことの軸をしっかりと持ち、ぶれない人生を送ることを目指しているからです。

また「正しく」という言葉で公平さを表し、誰に対しても裏表なく公平に振舞えることを大切にしています。そして「明るく」では、社会に出て困難と直面した時も、周囲と力を合わせて勇気づけ合いながら進んでいける明るさを育てていってほしいという思いがあります。

このように校訓では、学問や技芸の探求だけでなく、心を磨いていくことの重要性も伝えています。

「欲しいものが無いなら創る」精神を育むプログラムが文部科学大臣表彰受賞

編集部

瀧野川女子学園中学高等学校の建学の精神は、学校のどのような部分に反映されていますか?

山口先生

本校のDNAと呼ぶべき「自分が欲しいものがなければ創ればいい、自分がやりたいことがなければ仕事を創ればいい」という考えが、教育に反映されています。

例えば、「探究学習」がまだ存在していなかった2015年に東京都に相談し、創造性と起業家精神を育む「創造性教育」を独自設置科目として作りました。そしてこの「創造性教育」では、「選択肢がないなら創れば良い」という考え方を教えています。

この「創造性教育」は、今でいうキャリア教育ですが、この取り組みが評価され、「キャリア教育優良学校」として文部科学大臣表彰を受賞しています。

編集部

どのような経緯や思いがあって創造性教育を始められたのでしょうか?

山口先生

今世界では、実社会に有用なことや、新しい知識・物事を生み出し、それをビジネスに繋げられる若者が求められています。この「新しいものを生み出し事業につなげる」というのは工学的な考え方なのですが、日本で工学を学べるのは大学からです。

さらに、大学の工学部というとほとんどが男性です。なぜなら、工学部は理数系ですが、社会一般に「女性は理数系が苦手」と思われており、また実際に苦手だと思っている女性も多いのです。

それに対して本校では、これからは女性こそ工学的な分野で活躍できると考えています。それは、大きな買い物をする時、先進国ではほとんど女性が買うものを決めていることが多いからです。車にしてもシステムキッチンにしても、実際に使う女性の目線で、女性が選んだり購入するからです。この作り手と買い手のミスマッチを解消するために、先進国の産業界を中心に、工学的デザイン思考(エンジニアリングデザイン)を身につけた女性が求められているのです。東京工業大学の女性枠もこのような流れから生まれたものなのです。

だからこそ、ものを生み出す現場において女性の視点は価値がありますし、今の日本ではとても必要とされているのです。

「キャリア教育優良学校」瀧野川女子学園中学高等学校の特色ある教育

ここからは、「キャリア教育優良学校」として文部科学大臣表彰を受賞している同校の具体的な教育プログラムについて伺っていきます。

中学では、人を幸せにするエンジニアリングデザインを体験的に学ぶ

理想の街を創る瀧野川女子学園中学高等学校の「創造性教育」の授業

▲中学1年生のデザイン思考を用いた創造性教育の授業の一コマ。理想の街を創る生徒の皆さん

編集部

「創造性教育」の教育プログラムについて具体的に教えてください。

山口先生

中学1年生から高校3年生まで、段階的な創造性教育を用意しています。まず中学1年生では、デザイン思考を育む機会を作っています。授業では、身近な街を題材に、誰かのために理想の街にしていくためにすべきことを考えていきます。

よくあるケースとしてブレインストーミングや議論を通してプレゼンをする授業がありますが、本校ではそこからさらに踏み込んで実際に形にしていくプロセスまで展開していきます。工学の分野では「手を使って考える」と言ったりしますが、それくらい試行錯誤を繰り返して議論を深めていきます。

こういった時間を皆で経験することで、一人ではとても到達できないようなアイデアや結果に辿り着くことができるということをまず1年生で体験します。

中学1年生からプログラミングにも取り組みますが、1年生の後半になると、ゲームプログラミングができるくらいに成長しています。

編集部

中学2年生ではどのようなことに取り組みますか?

山口先生

中学2年生では、ロボット製作に取り組みます。

ロボットやコンピューターと聞くと現実世界から切り離されたデジタルの世界をイメージしてしまいますが、エアコンなどもコンピューターが搭載されており、ある意味ロボットなのです。すでにたくさんのロボットが実生活の中に存在していて、ロボット技術はこれからのビジネスに欠かせません

そうしたロボット技術を、人を喜ばせることをテーマに、東工大のロボット技術研究会の学生を先生として招き、製作しながら学びます。そして、幼稚園児や保育園児を「ちびっ子審査員」としてお招きして競う、一般社団法人日本機械学会主催の「ロボットグランプリ」にも挑戦します。

一般的な点数を競うロボット大会だと、身も蓋もなく効率的な戦車みたいなロボットが勝ってしまうことが多いのです。一方、子どもたちに楽しんでもらえることを目的にしている大道芸ロボットコンテストでは、ロボット技術にしても人を喜ばせることにしても、女子生徒の視点ならではの非常に柔軟な発想を活かし、育むことができるのです

瀧野川女子学園中学高等学校の「創造性教育」の授業で子どもたちを楽しませるロボット作りに取り組む女子生徒たち

▲女子ならではの、可愛らしいロボットを製作。社会や人々を幸せにする楽しさを学ぶ。

編集部

中学3年生ではどのようなことに取り組みますか?

山口先生

中学3年生では、自分の好きなことや興味のあることをテーマに、その分野専門の先生と一緒に個人研究を進めていきます。

個人的に興味のあることや好きなことを突き詰めていくと、学問に繋がり、それは人々を幸せにすることにも繋がっていくのです。こうした学びを1年かけて指導教員の先生と一緒に研究を進めることで、自分の好奇心と日々の学びが学問に繋がり、また、それをプレゼンテーションすることで、多くの人を幸せにすることになる、学問の本質を体験的に理解することができます。

高校では模擬的にビジネスを体験し、高校3年生でのキャリアビジョンに役立てる

編集部

続いて、高校生で取り組む「創造性教育」についてお教えいただけますか?

山口先生

高校生になると、デザイン思考を活かして、チームで新商品や新サービスを生み出す「商品企画コンペティション」に取り組みます。単純にアイデアを出す机上の空論のようなものではなく、実際にアイデアを形にして、ユーザーテストなどを行い、異なる3つのテーマに挑戦することを通して、「お客さまがどう使うのか」「どんな経験をもたらすことができるのか」などを考えながら、新しいユーザー体験を創り出すデザイン思考を身につけていきます。

そして高校2年生では、15~20人が1組になって自分たちで出資して起業を行う「事業化実習」に挑戦します。

世の中にはまだない新商品を開発し、YouTubeでCMを作り、マーケティングを考え、ハラハラしながら資金繰りをコントロールしたり、原価計算をしたりなど、実際の会社と変わらないところまで取り組みます。生徒たちも良いものを作るために手間暇をかけ、最後には出店して、商品の販売まで行います。

その1ヶ月後、修学旅行先のハワイ大学でチャリティーバザーを主催して、海外での販売にも挑戦します。売り上げは現地の教育基金に全額寄付します。この経験を通して、1000円寄付するよりも、ビジネスを行えば3倍にも4倍にも寄付することができ、資本主義、株式会社の面白さ、本業を通じての社会貢献を、生徒たちは体験していきます。

また、生徒たち皆が株主なので、最終的には株主総会を開き、決算、IR報告をまとめるところまで行います。何円をどこに寄付して、何円を均等分配して会社清算をしますという具合に、最初に出資した株がおよそ2倍になってくるなど、経済のダイナミズムを体験します。

瀧野川女子学園中学高等学校のハワイの修学旅行で実施するチャリティーバザーで自ら開発した渾身の新商品を販売する女子生徒たち

▲試行錯誤して開発した商品が海を越えハワイで受け入れられる経験もできる

編集部

生徒の皆さんの反応はいかがですか?

山口先生

高校2年生までにこのような経験をすることで、高校3年生で描く将来のビジョンがより鮮明になるようです。

人生の中でどんなキャリアビジョンを成し遂げたいのか、そのためにはどんなプランがあり得るのか、そのための選択肢としてどういう専門性を身に付けていくとそのビジョンが実現できるのか、ということを、進路指導部の先生たちと一緒に具体的に描いています。

「創造性教育」は生徒の進路にも大きく影響しており、例えば「自分は理系には弱く、文系だ」と思い、小説家になるために文学部を目指していた生徒が、「創造性教育」がきっかけで、数字の面白さにも気づき、結果的に建築科に進学したというケースもありました。

創造性教育の6年間では、人生が変わっていく生徒たちの姿をたくさん見せてもらっています。

学ぶ理由や面白さから教える、生徒が主体的になる授業スタイル

編集部

とても面白い授業をされている瀧野川女子学園中学高等学校ですが、授業をする中で、大切にしていることを教えてください。

山口先生

まず、授業そのものを楽しい時間にすることを大切にしています。科目に関わらず、今までできなかったことができるようになる、知らなかったことを知ることは、とても新鮮で楽しい体験です。

そして、「学んでいる学問が実生活にどのように繋がっていて、仕事にどう活かされるのか」ということを、教員が伝えています。例えば数学の授業では、言葉で表現したり考えたりすることが難しいトピックも、数学を用いて議論することで表現できるようになるなどです。

今学んでいる事を最初に伝えることで、生徒たちは「なるほど」と腑に落ち、興味を持って授業に向き合えます。

編集部

生徒の皆さんが興味を持てる授業にしていることで、生徒の皆さんの反応はいかがですか?

山口先生

生徒からどんどん面白い質問やコメントがあがるようになりました。

ちなみに本校では、「質問力」も大切だと考えていて、全校で「質問グランプリ」というイベントも行っています。授業で出てきた面白い質問を先生方がスコア化しています。

例えば中学の授業で金属の酸化を学んだ授業で「酸化しない金属は存在しますか?」という質問をした生徒がいました。こういった本質的な質問がフッと生徒の中から出てくることを嬉しく感じています。

生徒たちからどんどん自由な発想が引き出されていくので、柔軟で自由な思考が育くまれていく様子は頼もしいなと思っています。

クラウドで共有する教材で、教員と生徒で作り上げる“最強の参考書”

瀧野川女子学園中学高等学校の黒板の無い教室で授業を受ける女子生徒たち

▲黒板を使わない授業も同校の特徴。ビジネスの場にすぐ馴染めるよう、クラウドデータとiPadをフル活用した授業を実施している。

編集部

瀧野川女子学園中学高等学校の授業では、特徴的な教材を使用すると伺いました。どのような教材なのでしょうか?

山口先生

本校では、教科書はほとんど使いません。主に教員が作ったプリントをクラウドデータで共有して授業を進めているのですが、生徒たちはオンライン上でそのデータに自由に書き込んでいきます。そのデータはクラス全員で共有しているので、各々生徒たちが書き加えた教科書兼ノートが出来上がるんです。先生とクラスの生徒全員の共同制作によって、最強の参考書が完成するわけです。

生徒たちの柔軟な発想や疑問に応じて、先生方もさらに面白い知識を追加していきます。するとどういうことが起こるかというと、中学の授業であっても大学受験の内容に踏み込むことも少なくありません

さらに、授業で扱うテーマに対する回答やアイデアは、生徒ごとに異なるので、クラスでそれぞれ内容の違う最強の参考書ができるのも興味深いですよ。

ビジネスでは、データをオンラインで共有し、チームで頭をオープンにしてブレインストーミングすることが多々ありますが、本校の生徒はその現代的なビジネススキルの一部を中高生の段階で既に身に付けています。

瀧野川女子学園中学高等学校からのメッセージ

瀧野川女子学園中学高等学校のネイティブ教員の皆さん

▲英語教育にも力を入れている同校。ネイティブ教員が担当する授業も多く、日々英語を使う環境がある。

編集部

最後に、瀧野川女子学園中学高等学校に興味をお持ちのお子さま・親御さまに向け、メッセージをお願いします。

山口先生

本校は好きなことに思い切り挑戦する学校です。今回お話させていただいたこと以外にもいろいろな取り組みを行なっているので、実際に本校に来て体感していただくことが一番だと考えています。

独自の教育カリキュラムに関する紹介や実際に授業を体験する機会など、本校ならではの文化や教員、生徒たちの雰囲気を実感してもらえると嬉しいです。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

瀧野川女子学園中学高等学校の進学実績

瀧野川女子学園中学高等学校では、生徒自身がキャリアビジョンとキャリア計画を築いていけるように「創造性教育」に基づいてキャリア教育に取り組んでいます。大学入試改革があった2021年には、前年比で4倍の総合型選抜合格者を輩出しました。

瀧野川女子学園中学高等学校の直近5年間の合格実績としては、筑波大学、東京外国語大学、埼玉大学、横浜国立大学、宇都宮大学などの国公立大学や、東京女子医科大学(医学部)、上智大学、東京理科大学、学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学などの難関私立大学の合格者を多数輩出しています。

■進路実績(瀧野川女子学園中学高等学校の公式サイト)
https://www.takinogawa.ed.jp/voice.html

瀧野川女子学園中学高等学校の卒業生・保護者の口コミ

瀧野川女子学園中学高等学校の卒業生や保護者から寄せられた口コミを紹介します。

瀧野川女子学園中学高等学校には、親身になって話をよく聞いてくれる先生が多いと感じました。(卒業生)

中学までとても引っ込み思案だった娘が、この学校に通い始めてから見違えるように人前で自然と話せるようになりました。とても感謝しています。(保護者)

授業や進路についてたくさん相談に乗ってもらいとても助かりました。また、生徒からの授業評価を調査するアンケートを定期的に実施し、先生方の授業の仕方や質が随時改善されていたため、授業でわからなかったり、聞き取れなかったりすることがなくなりました。(卒業生)

校内では「ごきげんよう」と生徒たちが挨拶をしてくれる気持ちの良い学校です。下級生・上級生とのかかわりの多い一貫校ならではの文化や、礼法・茶道・華道が学べる機会など、学校を卒業してからの社会人生活でも活かすことのできる教養を身に付けられます。(保護者)

口コミからは、先生が生徒とのコミュニケーションをきめ細やかに行っていることが伺えます。また、豊かな人格形成や教養など、学校教育の枠を越えた学校生活そのものを魅力に挙げる声も聞かれました。

瀧野川女子学園中学高等学校の高度映像教育

▲口コミにあるように華道や茶道を学ぶ一方で、高度映像授業もあるなど近代的な技術も学べる環境。

瀧野川女子学園中学高等学校へのお問い合わせ

運営 瀧野川女子学園中学高等学校
住所 東京都北区上中里1丁目27-7
電話番号 03-3910-6315
問い合わせ先 https://www.takinogawa.ed.jp/request.html
公式ページ https://www.takinogawa.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください