文武両道で活躍!崇徳中学校・高等学校の特色ある教育プログラムと部活動|中高一貫校

特色ある教育に取り組む“注目の学校”を紹介するこの企画。本記事では、広島県広島市にある共学の私立中高一貫校「崇徳中学校・高等学校」を紹介します。

約150年もの歴史がある同校の起源は、寺院の後継者を育てる「学仏場」です。いのちに感謝する授業や朝の仏参など、仏教の精神に根ざした「心の教育」に取り組んでいます。

また、毎年国公立大学や有名私立大学に多数の合格者を出す進学校でありながら、強豪ぞろいの部活動も特徴的。どの生徒も文武両道で、勉強にも好きなことにも精一杯打ち込むスクールライフを送っているようです。

今回はそんな崇徳中学校・高等学校の取り組みについて、宗教科の蟹谷先生と企画広報部の山本先生にお話を伺いました。

崇徳中学校・高等学校の教育方針:仏教精神に基づく人間性の育成

崇徳中学校・高等学校の講堂で阿弥陀如来に手を合わせる生徒たち

▲仏さまにお参りをする「仏参」のようす

編集部

まず最初に、崇徳中学校・高等学校の建学の精神をお聞かせください。

蟹谷先生

本校の建学の精神は、浄土真宗の教えであり、宗祖である親鸞聖人が明らかにされた阿弥陀如来の願いを教育の基盤としています。「崇徳」とは、親鸞聖人が最も大切にされた『仏説無量寿経』という経典の「崇徳興仁(そうとくこうにん)務修礼譲(むしゅらいじょう)」という一説からきています。

これは、「善い行いを尊び(崇徳)、思いやりの心をおこし(興仁) つとめて礼儀を守り互いに譲り合う(務修礼譲)」という意味で、これを校名の由来としています。

本校では、お釈迦さまや親鸞聖人の教えにもとづき、思いやりの心を大切にして、人のために尽くせるような人を育成することを教育目標としています。

編集部

建学の精神を体現する仏教教育は、どのように学校生活へ取り入れられていますか?

蟹谷先生

中学校は週2回、高校では週1回、朝8時30分から仏さまにお参りをする「仏参」の時間があります。阿弥陀如来がご安置されている講堂で手を合わせ、落ち着いた気持ちで一日のはじめを迎えます。

また、週1回宗教の授業があるほか、年間を通して宗教行事も開催します。4月にはお釈迦さまのご誕生をお祝いする「花まつり」、5月には親鸞聖人のご誕生をお祝いする「降誕会」、親鸞聖人のご命日がある11月には「報恩講」をお勤めしています。さらに、本校においても原爆によって多数の生徒や教員が犠牲になったことから、8月6日に「原爆忌法要」を勤修し、平和への願いをともにしています。

「降誕会」と「報恩講」のあとには、学校周辺や通学などで通る場所を中心に掃除する「清掃奉仕活動」もあわせて行っています。

崇徳中学校・高等学校の特色ある仏教教育プログラム

崇徳中学校・高等学校の教室で授業を受ける生徒たち

▲煮ごめ実食前のホームルームのようす

編集部

仏教教育の取り組みの中で、特徴的なものを教えていただけますか?

蟹谷先生

中学1年生を対象に「煮ごめの実食体験」を実施しています。「煮ごめ」とは、広島地方に伝わる精進料理で、野菜やこんにゃくなどをさいの目切りにし、小豆を入れて煮たものです。この地は浄土真宗の信仰が篤く、親鸞聖人のご命日の前から、一週間ほどこの煮ごめを食べ粗食で過ごす習慣があったと伝えられています。

本校でも、この実食体験の日は白米のみを持参して、家庭科の時間で作った煮ごめと一緒に食べます。

器に盛られた煮ごめと白米

▲生徒たちが作った煮ごめと持参した白米

編集部

生徒の皆さんの反応はいかがですか?

蟹谷先生

「いのちをいただく」ことを実感し、普段の生活に感謝する機会になったという声が上がっています。「いただきます」といのちに感謝して手を合わせることで、自分1人では生きていけないことや、自分自身のいのちが多くの存在から生かされていることを、生徒たちなりに感じ取っているのだと思います。

煮ごめの実食体験は、たった1日間の取り組みではありますが、この飽食の時代に精進料理を昼食とするのは、生徒たちにとっては大変印象的な行事になっているようです。

“瞑想に始まり瞑想に終わる”集中して授業に臨む工夫

崇徳中学校・高等学校の教室

編集部

崇徳中学校・高等学校の仏教教育について教えてください。

蟹谷先生

すべての授業の前後に瞑想を取り入れているほか、中学校ではホームルーム礼拝というものもあります。自分の席に落ち着いて座り、号令に合わせて目を閉じ、心をいったん落ち着けてから、授業を開始するという流れです。これを行うことで、集中して授業に取り組み、積極的に学ぶ姿勢が身につけることを目標としています。

本校の学校生活の中にはさまざまな仏教の取り組みがありますが、その願いは、仏教の教えに照らし合わせて、自己を省みることにその中心があるように思います。

たとえば、普段の生活で身だしなみを整えるとき、鏡を用います。その時、「今日の鏡は丸いな」などと鏡自体のかたちを気に留める人は少ないでしょう。鏡を見る目的は、そこに映し出される自分の姿を見ることにあります。

本校での学びもある意味同じで、仏教の知識を得ることのみが目的ではなく、仏さまという真実の存在から照らしだされた自分の姿を見つめることに意義があると思います。

仏教専門コース:龍谷大学などへの進学を見据えたカリキュラム

崇徳高等学校での「花まつり」の様子

▲仏教行事のひとつ「花まつり」

編集部

崇徳高等学校には通常の進学コース以外に「仏教コース」というものがあると聞きました。どんなことが学べるのでしょうか。

蟹谷先生

仏教コースは、僧侶や浄土真宗本願寺派の教師を目指す人向けに設置されたコースです。仏教的な視点から物事を考えこれからの時代を支える人を育てることを目的としています。

高校1年生では進学コースの授業に加えて仏教の基礎知識や作法を、そして2年生以降は一部の授業を仏教専門の授業に置き換えた独自カリキュラムで学びます。修了後には、浄土真宗本願寺派の龍谷大学や京都女子大学などへの進学を目指しており、実際に毎年多数の合格者を輩出しています

編集部

仏教コースを選択するのはどんな生徒が多いですか?

蟹谷先生

仏教コースに所属する生徒は、寺院関係の生徒が多いですが、寺院関係者に限るといった決まりはありません。仏教に興味を持った生徒が選択することもあります

全国大会常連!崇徳中学校・高等学校の注目クラブ活動

編集部

崇徳中学校・高等学校は広島県の中でも部活動が盛んな学校として知られていると伺いました。

山本先生

その通りです。高校だけでも運動部が32、文化部が20あり、中学・高校ともに、毎年複数のクラブが全国大会に出場しています。2023年度の全国大会では、中学校の柔道部が個人で全国優勝と第2位、団体で第3位となりました。高校では柔道部・ボクシング部・陸上競技部が第2位、自転車競技部が第2位、第5位、第7位、弓道部が第7位という好成績を納めました。このほか、バレーボール部、体操競技部、水泳部、軟式野球部なども全国大会の常連です。

編集部

文化部の中にも有名なクラブがあるそうですね。

山本先生

はい。近年、特に頑張っているのは新聞部です。本校の新聞部には、兼部している生徒も含めると約200名が所属しており、全国大会で3年連続最優秀賞を受賞するなど、全国的にも高い知名度があります。運動部の大会取材から平和問題など、取材対象はさまざまです。他のメディアに取材内容が取り上げられたりすることも多く、新聞部の取材活動が報道番組で使用されたりしたこともあります。

2023年に開催された広島サミットでは、報道機関と肩を並べて記者会見に参加して質問を行ったり、街頭インタビューで市民の声を聞いたりして、精力的に取材を重ねていました。

ほかにも、取材をきっかけに戦時中の広島が舞台のアニメ映画監督と懇意にさせてもらったり、発信が注目されて海外のメディアから逆に取材を受けたりしたこともあります。顧問の手助けのもと、鋭い企画力と取り組む姿勢が評価されていると思っています。

崇徳中学校・高等学校の新聞部

▲活動中の新聞部のようす

編集部

すごいですね。崇徳中学校・高等学校は進学校でもあると思いますが、なぜこんなに強豪クラブ揃いなのでしょうか。

山本先生

やはり高い目標を掲げて、それに向かってみんなが一生懸命取り組んでいること、そしてそのための指導者も揃っていることが大きな理由だと思います。本校の長い歴史の中で生まれた「絶対に全国大会に出よう」「そのための練習を頑張ろう」という熱い思いが代々受け継がれていると思います。

2023年度は弓道部や陸上部がインターハイで入賞をしましたが、特別進学コースに所属している生徒も多くいて、その後、みごと国公立大学に進路を決めた生徒もいました。自分の好きなことに打ち込んでいる生徒ほど時間のやりくりが上手で、希望の進路を叶えている印象があります。

編集部

まさに文武両道ですね。部活動に打ち込むことは、生徒にどんな影響を与えると思いますか?

山本先生

全国大会に参加する生徒にとっては、学内では体験できない外の世界を見ることができますし、進路や視野を広げるきっかけにもなります。また、部活動で好成績をおさめるような生徒は、周囲にも良い影響を与えています。周りの生徒が彼らを見て、「全国大会に出る人はこんな努力をしているんだな」「あれくらい頑張れば、私にも何かできるかもしれない」と感じ取ることで、成長するためのヒントを与える良い存在になってくれていると感じています。

崇徳中学校・高等学校の山本先生

▲お話を伺った山本先生

崇徳中学校・高等学校からのメッセージ

クラスマッチでオセロ対決をする崇徳中学校・高等学校の生徒たち(左)、クラスマッチで教員と生徒の戦いを撮影する崇徳中学校・高等学校新聞部の生徒(右)

▲行事も目一杯楽しむ同校。クラスマッチでは珍しいオセロ対決に、先生と生徒の対決も。

編集部

最後に、記事をご覧のお子さんと保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

山本先生

本校は龍谷総合学園という学校グループに加盟しており、龍谷大学の連携校でもあります。大学から講師を招いて授業をしてもらったり、中学生が京都研修で龍谷大学を訪問し、探究学習を協働して行ったりもします。早い段階から大学での学びを意識した取り組みが盛んなこともポイントのひとつかと思います。

また、本校はよく「面倒見の良い学校」という評価をいただきます。実際に、教員と生徒の関係がとても良好で、塾に通わずに、わからないところは学校で質問しようと考える生徒が多いと感じます。

ひとりひとりの興味に合わせてスクールライフを選べるのも特徴です。1年次から将来を見据えた学習を行い国公立大学の現役合格を目指す「特別進学コース」や、基礎的な学力を養いながら目標や興味に合わせて学びを深め、国公立大学・私立大学などへの進学を目指す「進学コース」、そして先ほどもお話しした「仏教コース」の3つがあり、希望に合わせて手厚くサポートしています。

勉強と部活動を両立することも、難関大学を目指して勉強中心に頑張ることもできます。まだ将来の姿が明確ではないからこそ、いろんな選択肢を用意しておきたいという方にはぴったりの学校です。崇徳中学校・高等学校を進路のひとつに考えていただけたらうれしく思います。

編集部

仏教教育を中心とした学校独自の取り組みがとても印象的でした。また、学力や進路に合わせて自在に選べるコースや豊富なクラブ活動も魅力に感じました。本日はありがとうございました。

講義を受ける崇徳中学校・高等学校の生徒たち

▲龍谷大学との連携講義の様子

国公立大学から龍谷大学まで:崇徳中学校・高等学校の多彩な進学実績

崇徳中学校・高等学校の教室で英語の授業を受ける生徒たち

進学校でもある崇徳中学校・高等学校は、国公立大学や有名私立大学に毎年多数の合格者を輩出しています。

2023年度は、九州大学、筑波大学、広島大学などの国公立大学に79名、東京都立大学、大阪公立大学、横浜市立大学などの公立大学に59名、同志社大学、立命館大学などをはじめとする関西の上位私立大学に110名が合格しました。

また、同校と同じ浄土真宗本願寺派の大学である龍谷大学・京都女子大学には、計69名の生徒が現役合格を決めています。

■近年の大学合格実績(崇徳中学校・高等学校公式サイト)
https://www.sotoku.ed.jp/high/manabi/jisseki/

崇徳中学校・高等学校のラーニングコモンズ

▲広々とした探究活動の行えるスペースも完備。

崇徳中学校・高等学校の保護者の口コミ

体育館で演舞をする崇徳中学校の生徒たち

最後に、崇徳中学校・高等学校に通う生徒の保護者から寄せられた感想の一部をご紹介します。

地元でもスポーツに熱心な学校というイメージがあります。顧問の先生との関わりもしっかりあり、指導が行き届いているようです。

毎日練習がある部活もあって、一生懸命好きなことに打ち込むのに良い環境だと思います。一方で部活動だけではなく勉強面でのサポートも手厚く、みんな文武両道で頑張っているようです。

子どもがイキイキと学校へ通っています。先輩も先生方もとても優しく面倒を見てくださるので、この学校に決めてよかったと感じています。

まじめな生徒が多いです。授業では細やかな指導があるようで安心できます。先生は生徒に逐一気を配り、反応が悪いとしっかり教えてくれる雰囲気があります。

教員と生徒の距離が近く、しっかり面倒を見てくれるという声が多く上がっていました。おだやかな校風で伸び伸びと生徒を育てる一方で、勉強も部活動も指導が行き届いているという声もありました。

崇徳中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人崇徳学園
住所 〒733-8511 広島県広島市西区楠木町4-15-13
電話番号 082-237-9331
問い合わせ先 崇徳中学校・高等学校
公式ページ https://www.sotoku.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください