英語教育専用校舎がある「専修大学松戸中学校・高等学校」が養う国際性と人間力|中高一貫校

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、千葉県松戸市にある中高一貫の共学校「専修大学松戸中学校・高等学校」を紹介します。

専修大学松戸高等学校は専修大学の付属校として1959年に創立されました。その後、2000年に専修大学松戸中学校を開校。以来、中高6年間の一貫教育による高度な学力の養成に努めています。

校内に英語教育専用校舎「アンビションホール」を設け、中学3年生全員がアメリカへの修学旅行に行くなどグローバルに活躍できる人材の育成に励んでいます。また、一般的な理科の授業とは別に「理科実験」という実験に特化した授業を設けるなど、理数教育にも力を入れています。

今回は、そんな専修大学松戸中学校・高等学校独自の取り組みについて、中学校教頭の中村先生と入試広報・国際教育担当の北村先生にお話を伺いました。

「社会に貢献できる知性豊かな人材」を育む専修大学松戸中学校・高等学校

取材にご対応いただいた専修大学松戸中学校・高等学校の中村教頭先生と北村先生

▲取材にご対応いただいた中村教頭先生(左)と北村先生(右)

編集部

最初に、専修大学松戸中学校・高等学校の建学の精神および教育理念について教えてください。

中村先生

本校の建学の精神は「報恩奉仕」「質実剛健」「誠実力行」の3つであり、これは専修大学と同じとなっています。

恩に報いるために社会に対して奉仕すること、見た目を飾ることにとらわれず、たくましく健やかに生きること、誠実な態度で目標に向かって努力すること、これら3つの精神に基づき、設立以来『人間力』と『国際性』の育成に取り組んでいます。

教育ビジョンとしては「社会に貢献できる知性豊かな人材の育成」を掲げています。本校ならではの多彩な活動を経験する中で、人間的にも能力的にも成長して、他者を助けることができる人、他者の中でリーダーシップを発揮できる人になってほしいという思いを込めています。

体験を通して国際的な視野を養う専修大学松戸中学校・高等学校のグローバル教育

専修大学松戸中学校のアメリカ・ネブラスカ修学旅行

▲中学3年生のアメリカ・ネブラスカ修学旅行の様子

編集部

御校のグローバル教育における特徴的な取り組みについてお聞かせください。

北村先生

本校は2000年の中学開校以来、国際教育に力を入れており、その一環として英語力の向上を目指したカリキュラムを導入しています。特徴的な取り組みとしては、週7時間の英語の授業のうち、2時間は英語を聞く・話すを中心とした英会話の授業としています。中高合わせて7名のネイティブ教員が指導にあたっています。

英語を話す機会、聞く機会を増やしていこうというもので、1クラスが2つに分かれて少人数で楽しみながら実践で使える英語を学んでいきます。本校のネイティブ教員は、正しい英語をしゃべろうとしてためらうよりも、間違えてもいいから積極的にたくさん話をし、たくさん聞きましょう、という方針をとっています。

この2時間の英会話は座学の授業とは別で、場所も教室から移動し、「アンビションホール」と呼ばれる英語教育専用校舎で行います。

アメリカの風情がただよう専用校舎での英語学習へのモチベアップ!

専修大学松戸中学校・高等学校の英語専用校舎「アンビションホール」

▲アメリカの学校をモチーフにした英語専用校舎「アンビションホール」

編集部

英語教育専用の校舎「アンビションホール」は異国の情緒がある素敵な建物ですね。

北村先生

ここは、中に入れば生徒が英語をしゃべりたくなるような、アメリカの学校の教室のような雰囲気となっています。インテリアやオーナメントもアメリカ風で、英語版の漫画や雑誌、DVD、ボードゲームなども置いてあります。

編集部

具体的な授業内容についてお伺いできますか?

北村先生

本校では中学3年生全員がアメリカへ修学旅行に行きます。英会話の授業はそれに向けた実践的な練習の場として、修学旅行で実践的な会話を想定したオリジナル授業となっています。

例えば、ショッピングモールでの買い物の仕方、アメリカのコインの種類やお金の数え方といった実用的なことです。また、現地の生徒との交流で自己紹介する機会があり、自分の住んでいる場所や、好きな食べ物、趣味などの説明もします。

編集部

英語専用の校舎があって、さらに中学3年生でアメリカに行くことが決まっているとなれば、高いモチベーションで英語に取り組めますね。

北村先生

そうですね。中学1年生は特に楽しんで英語をたくさん発話することに注力しています。中学2年生の9月からはペンパルプログラムと言って、同年代のアメリカの生徒と手紙でやりとりします。

手紙の書き方や返信の仕方を教えながら、アメリカの生徒が好きな色や食べ物を調査したり、みんなでその内容を共有したりしながら発表するという取り組みを行っています。現地の生徒の都合があえば修学旅行のときにペンパルと出会うことができる場合もあります。

米ネブラスカの修学旅行で現地の生徒と生物解剖やミュージカルの授業を受講

専修大学松戸中学校のアメリカ・ネブラスカ修学旅行

▲中学3年生のアメリカ・ネブラスカ修学旅行の様子

編集部

修学旅行はどのようなプログラムで行なっているのでしょうか?

北村先生

修学旅行はアメリカのちょうど真ん中にあるネブラスカ州に10日間行きます。午前中は5日間、現地の生徒と一緒にオールイングリッシュの体験授業を受けます。いろいろな授業があり、生徒は好きな授業を選択することができます。

生物解剖であれば、現地の生徒と一緒にウナギやカエルなどの解剖をします。ミュージカルであれば、一緒にミュージカルを演じ、料理ならアメリカと日本の料理を作って食べ比べをしたりします。英語だけの授業ですが、現地の生徒と本当に仲良くなって、最後の日には別れが辛くて涙を流す生徒もいます。

午後は、歴史博物館、州庁舎、動物園、ボーリングなどさまざまな場所へ訪問し、活動を行いますが、本校生徒5~6人のグループに、現地の大学生がメンター(お世話係り)として1人ついてくれます。どこへ行くにも一緒に行動し、行く先々の説明を英語でしてくれるので、生徒はずっと英語のシャワーを浴びながら活動に取り組みます。

また、メンターと一緒にショッピングモールで買い物をしたり、フードコートやレストランで食事をしたり、アメリカでの日常生活も体験できます。

ネブラスカ州は自然豊かで、人々がやさしい良い地域です。アメリカの現地の人と交流をして、文化に触れて、あっという間に過ぎてしまう充実した修学旅行になっています。

能や狂言の鑑賞・体験で学ぶ日本文化が、国際的な視野の礎に

専修大学松戸中学校・高等学校の田植え体験

▲日本を知るためのフィールドワーク/田植え体験

編集部

そのほかグローバル教育について何か取り組みがあればお聞かせください。

北村先生

本校では、国際的な視野をもつために、まずは日本のことを語れるようになろうということで、日本を知る取り組みを行っています。例えば芸術鑑賞会では、能・狂言や文楽、歌舞伎を鑑賞します。田植えや稲刈りのフィールドワークもあります。

アメリカへ修学旅行へ行く際は日本を代表して行くような気持ちを持ってほしいと思います。ですので、例えば千葉の人口が何人かと聞かれたときに、答えられるように準備したり、能・狂言や歌舞伎に興味をもっているアメリカの生徒に聞かれたときに、それを説明できるように日本の伝統芸能を1度は観て知っておくことが大切だと考えています。

英語力だけではなく、日本の暮らしや文化、伝統を知ることも国際教育の取り組みの一つと考えています。

編集部

日本の文化に対する生徒の興味・関心はいかがでしょうか?

中村先生

最初から能・狂言や文楽、歌舞伎などの日本文化に興味をもっている生徒はあまりいません。ですが、初めて見る生徒は新鮮な気持ちで興味深く見ているように見受けられます。いずれにしても、新しい発見を楽しんでいるといった印象です。

北村先生

私は昨年、中学3年生と能・狂言の鑑賞と体験教室に行ったのですが、生徒たちは真剣に食い入るように見ていました。体験教室では本当に楽しそうに踊っていました。(取材時は2024年6月)

事前にいろいろと学習してから行くのですが、実際に見て感じる方が圧倒的なインパクトがあるようで、とても興味深く鑑賞していたと思います。机上ではなく、リアルな経験は大きな意味があると思いました。

欧米100以上の大学が連携する海外大への推薦制度に加盟

専修大学松戸中学校・高等学校の鎌倉でのフィールドワーク

▲鎌倉でのフィールドワーク

編集部

これまでお伺いしたような中学校での国際教育に関する取り組みは、高校にはどうつながっていくのでしょうか?

北村先生

まず、中学3年の修学旅行が終わった後も、DMMオンライン英会話やISAプログラムなど英語を使う機会を多く準備しています。これらはすべて中学では原則全員参加です。

高校では、アメリカ、ニュージーランド、マレーシア、ベトナムといった国への海外研修、国内研修のISA、姉妹校のラックスサウスウエストハイスクールとの交換留学やSkypeでやり取りを行うなどさまざまな国際プログラムを準備しています。

さらに、生徒有志による団体「グローバルスチューデントリーダーズ」が、外国から訪れた生徒のホームステイ先となり、その生徒と一緒に学校に来て授業を受けたり、浅草や葛飾など日本を案内をしたりといったボランティア活動も行っています。

もちろんネイティブ教員による英会話の授業は引き続き行われていきます。さまざまなプログラムは希望制で用意されているので、生徒は興味に応じて参加できます。

編集部

海外への大学進学に向けて新しい推薦制度を導入したと聞きましたが、そちらについても教えてください。

北村先生

本校は今年2024年からユーパス=UPAS(海外大学進学協定校推薦制度)加盟校となりました。これは、海外の大学が優秀な日本人学生を受け入れる目的で始めた制度で、アメリカやカナダ、イギリスなど欧米の100校以上の大学が協定校として参加しています。

数々の国際プログラムを実践する中で、進学先を海外へと考える生徒も少なくないことから海外大学に進学しやすいようユーパス=UPASに加盟しています。

 理科実験だけの授業を実施。専修大学松戸中学校・高等学校の理数教育

専修大学松戸中学校・高等学校の理科実験授業

▲週に1時間は理科実験に特化した授業科目を設定

編集部

次に、理数教育について、御校の特徴的な取り組みについて教えてください。

中村先生

本校の理数教育の中で一番特徴的なのは、中学校1年生と2年生で週に1時間「理科実験」の授業科目を設定していることです。理科は物理・化学・生物・地学の教科に分かれていて、各教科で教科書に準じた実験は授業で行いますが、「理科実験」の授業はそれとは別に、生徒たちの理科への興味関心を引き出すことを目的にした実験だけの授業になります。

実験の分野・種類・内容はさまざまで、理科として単独で行うものもあれば、他教科と連携する内容や学校行事と絡めながら行うものもあります。例えば、先ほど田植えの話がでましたが、中学2年生ではお米の炊飯実験を行います。田植えして稲刈りして、収穫したお米を炊くのですが、その際、炊飯中の対流や温度上昇の様子、お米の品質の違いも含め、観察します。

編集部

実験授業について生徒さんの反応はいかがでしょうか?

中村先生

楽しく学んでいると思います。実験の後にレポートを書かなければいけないので、そこまでを含めると少し大変だとの声は聞くのですが、先ほどの芸術鑑賞会と同じで、とても反応が良く、興味をもって積極的に取り組んでいます。

中学から数学は幾何と代数、理科は生物・化学・物理・地学に分けて学ぶ

編集部

そのほか何か理数教育関連で御校独自の取り組みがあれば教えてください。

中村先生

数学は中学1年から図形的な幾何と計算的な代数に分かれています。先ほどの生物・化学・物理・地学で分かれている理科と同じように、それぞれ専門的に勉強していきます。

また、本校では開校当初から中学校1年生と2年生で「情報」の科目設定があります。パソコンやタブレットの使い方を学ぶところからスタートし、中学2年生では、初心者向けのプログラミングソフトを使って制御や繰り返しといったプログラミングの基本を学びます。最終的にはみんなが遊べるゲームを作成するといったところまで発展していきます。

専修大学松戸中学校・高等学校からのメッセージ

専修大学松戸中学校・高等学校のオリエンテーション合宿

▲中学入学後、4月に行われるオリエンテーション合宿の様子

編集部

最後に、専修大学松戸中学校・高等学校に興味をもったお子さんや保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

中村先生

本校は、とても穏やかな生徒が多いと感じますし、周囲からもそういった声を聞きます。もちろん活発な生徒もいますが、どのようなお子さまも入学していただければ有意義な学校生活を過ごせることと思います。

国際的な視野を養う本校のグローバル教育と理数教育の特徴的な取り組みについてお話しましたが、そのほかにも多くの体験プログラムを通じて楽しく学ぶことができる環境を整えています。また、学校行事や部活動も充実しています。

もし本校に興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び学校の雰囲気を感じてみてください。

編集部

御校にはさまざまな学びを得られる機会が用意されていると感じました。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

専修大学松戸中学校・高等学校のサッカー部と和太鼓部、グラウンドの結合画像

▲部活動に励む生徒たち

専修大学松戸中学校・高等学校の進学実績

専修大学松戸中学校・高等学校の学校生活

専修大学松戸中学校・高等学校では、国公立大学や難関私立大学の合格者も多数輩出しています。2023年度は卒業生423名のうち、365名が現役で大学に進学しています。

東京大学・京都大学を含む国公立大学には、58名(既卒生10名含む)が合格しています。地元の千葉大学の合格者数は19名(既卒生1名)です。

私立大学の合格者数は、早稲田大学33名(既卒生12名)、慶応大学16名(同2名)、上智大学32名、東京理科大学42名(同3名)をはじめ、133名が関東・関西の難関私立大学に合格しています。

■進路実績(専修大学松戸中学校・高等学校公式ページ)

https://www.senshu-u-matsudo.ed.jp/news/nid00000232.html

専修大学松戸中学校・高等学校の卒業生・保護者の口コミ

専修大学松戸中学校・高等学校の卒業生や保護者の声を紹介します。

(卒業生)この学校で大切な時期を過ごせたこと、とても満足しています。進学校ですが、勉強以外のことにも打ち込める環境が整っています。勉強も部活も学校生活もすべて楽しくて充実していました。勉強面では放課後に授業を取ることができ、先生方のサポートは手厚かったです。

(卒業生)英語教育に力を入れている学校で、アンビションホールのインパクトがすごいです。いろいろな大学の広報担当者と直接話をする機会もあり、進路選定に役立ちます。生涯続くと思われる友人たちにも出会え、楽しい思い出がたくさんできました。

(保護者)中高一貫校なので授業の進度は速いですが、ついていける範囲だと思います。特に厳しい校則はなく、服装が乱れている生徒もいません。のびのびと勉強ができる環境だったので、親として安心して通わせることができました。

(保護者)短期留学があることと英語教育に引かれて入学を決めました。ネイティブの先生と一緒に食事をするなど授業以外のコミュニケーションもあるそうです。先生と生徒の距離が近く、面倒見の良い先生が多い印象です。

専修大学松戸中学校・高等学校への問い合わせ

運営 専修大学松戸中学校・高等学校
住所 千葉県松戸市上本郷2-3621
電話番号 047-362-9102(中学校)
047-362-9101(高等学校)
問い合わせ先 https://www.senshu-u-matsudo.ed.jp/inquiry.html#/
公式ページ https://www.senshu-u-matsudo.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください。