社会貢献に向け実践力を養う「香川誠陵中学校・高等学校」のグローバル教育と探究学習|中高一貫校

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、香川県高松市にある中高一貫の共学校「香川誠陵中学校・高等学校」を紹介します。

同校は、新しい取り組みを積極的に行い、四国で初めてオンライン英会話を取り入れた授業を実施したり、探究型アクティブラーニングを取り入れた授業を行ったりしています。また学習習慣が身に付くと評判の寮には、通学圏内の生徒も入寮する好評ぶりです。

今回は、そんな香川誠陵中学校・高等学校の建学の精神や教育への取り組みについて、入試広報部部長の垣本先生にお話を伺いました。

社会に貢献する人材の育成を目指す、香川誠陵中学校・高等学校

編集部

最初に、香川誠陵中学校・高等学校の建学の精神についてお聞かせください。

垣本先生

本校の建学の精神は「誠」「良知」「至誠」です。そして、「愛(仁愛)」「敬(和敬)」「誠(至誠)」の3つを校訓としています。

「愛」とは、思いやりや慈しみの心をもち、他者を愛することです。「敬」とは、他者に敬意を払い、尊重し、調和を保つことです。そして「誠」とは、真心や誠実を意味しますが、ひいては社会貢献に繋がる指針だと考えています。

自分を大事にし、周りを大事にし、社会に貢献できる人になっていってほしいということが本校の校訓に込められた想いだと私は解釈しています。

本校は1995年創立の学校で香川県内では後発です。そのため、大学進学の実績を積み重ねていくことは大事だと考えていますが、大学合格がゴールではないということを常々生徒たちには伝えています。

大学を卒業して就職して、そこから社会人としてスタートします。生徒たちが本校を卒業した後に歩む将来において、価値や判断基準が自分のことだけではなく、他人や世の中のことを考えられる人間に育ってほしいと思っています。

編集部

他人や世の中のことを考えられるようになるために、何かされていることはありますか?

垣本先生

例えば、教員が選んだ新聞記事の中から生徒が好きな記事を選び、その記事を要約した上で自分の意見をまとめて発表するという活動をしています。この活動の意図としては、世の中のことを知り、広い視野をもつためです。ネットばかりを見ていると、エコーチェンバー効果(※)やフィルターバブル(※)と言われるように、同じ意見や情報ばかりが共有され、異なる視点や新しい情報に触れる機会が減ってしまいます。
(※)エコーチェンバー効果:狭いコミュニティで自分と同じ意見を聞き続けることにより、あたかもそれが一般常識であるかのように感じる現象。
(※)フィルターバブル:自分の見たいものだけが提供されるネット上のアルゴリズムにより、自分の求める情報以外が見えなくなる現象。

また、最近では、学校推薦や総合型選抜など非一般入試が増えてきており、その際の小論文や面接にも役立ちます。

香川誠陵中学校・高等学校の授業風景

マンツーマンで実践力をつける「オンライン英会話授業」

香川誠陵中学校・高等学校のオンライン英会話の授業

▲オンライン英会話の授業の様子

編集部

香川誠陵中学校・高等学校のグローバル教育についてお聞かせください。

垣本先生

本校は、四国で初めてオンライン英会話を導入しました。授業で毎週1時間、生徒と海外の講師が1対1で英会話をします。授業時間になれば一斉に個別に英会話が始まります。

ネイティブ講師に30~40人のクラスを見てもらっても、1人当たりの会話時間はたかが知れています。それならば、1人30分ほど全く日本語を使わずに話し続けるオンライン英会話の方が、英会話力が身につくと考えました。

本校では、オンライン英会話の授業で英検やTOEICを目指そうとは考えていません。例えば街中で英語で話しかけられたときに、ビクビクしたり緊張したりしないように、少しでも心のハードルを下げた状態で卒業してほしいですね。

オンライン英会話は毎回講師が異なることが多いのですが、「誰が相手でも話せる」を目指しているので、ちょうど良いと思っています。

ちなみに、英検取得やTOEIC、TOEFLでハイスコアを目指している生徒には、放課後に希望制でオンライン英会話を追加することができます。

香川誠陵中学校・高等学校のオーストラリア海外研修

▲オンライン英会話以外に、海外研修も実施(高校はカナダ、中学はオーストラリアへ)。

私立校で初導入!持続可能な未来を考える探究学習「サス学」

香川誠陵中学校・高等学校の「サス学」の様子

編集部

香川誠陵中学校・高等学校の探究学習について教えてください。

垣本先生

本校では、探究学習に「サス学(※)」を導入しています。「サス学」とは、“サステナブルな学び”の略で、社会で起きている問題を自分ごととして捉え、サステナブル(持続可能)な未来をつくるための知恵や価値観を培う探究型アクティブラーニングです。
(※)サス学:千葉県柏市のアフタースクールと学習塾が一体化した学び舎「ネクスファ」が開発し、三井物産株式会社とともに発展させた新しい学びのカタチ。

すでに多くの学習塾で導入されている「サス学」ですが、私立校で本格的に導入したのは全国でも本校が初めてです。

編集部

「サス学」の特徴はどのような部分でしょうか?

垣本先生

「サス学」の特徴は、レクチャーではなく生徒たちが自分で考えて実践的なことを通して提案することです。食料自給率やエネルギー問題などいろいろなトピックがあり、グループワークで意見を交わしながら調査し、提案を考えて発表します。

例えば、子ども食堂の支援はどうすればいいかというトピックであれば、課題は何か、問題解決のためにはどうすれば良いのかを調べるために子供食堂へ取材に行きます。調べてまとめてる、を繰り返しながら、自分たちならではのアイディアを出し、何らかの解決を提示することを目的とします。

長いトピックでは半年ほどかけて行います。教員はあくまでもファシリテーターとして横からサポートするだけです。

編集部

生徒の皆さんの反応はいかがでしょうか?

垣本先生

考えること、発信することを楽しみながら行っている生徒が多く、生徒同士のコミュニケーションが活発になる中で驚くようなアイデアが出ることもあります。

例えば、「農家を増やすためにはどうすればいいか」というトピックで、農業をするゲームを作ろうと提案した生徒がいます。ゲームを作って、農業の楽しい点や苦労する点をシミュレーションすることで農家を身近なこととして捉えてもらおうという提案です。

最初は乗り気ではなかった生徒もいましたが、人の意見や考えを聞くこと、意見交換することの面白さや大切さに気づいたようで、徐々に前向きに取り組むようになってきました。

香川誠陵中学校・高等学校の「サス学」の様子

▲「サス学」では活発に意見交換が行われている

自律心も身に付く「香川誠陵中学校・高等学校」の寮生活

香川誠陵中学校・高等学校の寮の集団学習の様子

▲寮の学習室での集団学習の様子

編集部

香川誠陵中学校・高等学校には寮があるとお聞きしました。寮での生活についてお伺いできますか?

垣本先生

本校の寮は冷暖房完備の完全個室でベッドや本棚、机、クローゼットは備え付けです。男子寮と女子寮に分かれていて、食事は栄養士が作ったバランスの取れた献立を食堂で提供します。病気のときは、おかゆなど特別食もあり、定期考査後には特別メニューの日もあります。洗濯や掃除は各自で行います。

18時くらいに部活が終わって寮に帰ってきて食事・入浴を済ませて19時頃から集団学習が始まります。集団学習は、自分の部屋ではなく学習室で行い、毎日約3時間あります。日曜日は朝・夜と3時間ずつあり、平日は国立大学医学部の学生が来てくれて、学習をサポートしてくれます。

こうした規則正しい寮生活では、自律心を養うことができ、タイムマネジメント力がつきます。

編集部

通学圏内の生徒も入寮しているケースもあると伺いました。

垣本先生

日頃から十分な学習時間が確保されているため、地元に自宅がある生徒も入寮するケースもあります。勉強に集中するために高校3年生になって寮に入る地元生もいますよ。

また、寮生は一緒に生活するので絆が深まるようで、卒業してからも集まりがあって仲良く長い付き合いをしていると聞きます。

実際に「長期休暇に自宅に帰ってくると、掃除やお風呂の準備をしなくていいので親のありがたみがわかる、と感謝してくれるものの、しばらくすると寮の仲間たちと一緒にいる方が楽しいから早く寮に帰りたいと言うんですよ」と親御さんから聞くこともあります。

香川誠陵中学校・高等学校の寮の個室

▲集団学習スペース以外に、寮の個室にも学習できるスペースがある

香川誠陵中学校・高等学校からのメッセージ

編集部

最後に香川誠陵中学校・高等学校に興味をもったお子さまや保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

垣本先生

偏差値や大学合格実績で学校を選ぶのではなく、ぜひ中身を見てほしいと思っています。本校は、大きな学校ではありませんが、だからこそ一人ひとりの生徒にきめ細かなサポートをできるという側面があります。

私が新入生の担任になったときに必ず言うことは、「夢を実現するためにまずは大学に行く必要があるならば、そのステップで我々教員は踏み台になるために存在しているのだから、我々教員をうまく使いこなしなさい」ということです。ですから本校では、個人添削はとても盛んで、どの教員も日常的に行っています。

本校には、そうした面倒見の良さがありますので、もしも本校に興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、学校の雰囲気を感じてみてください。

また、寮生活で親元を離れて暮らすのは、親御さんからすると寂しく感じるかと思いますが、6年間で見違えるように成長できます。2024年夏には体験入学や寮の体験もありますので、ぜひ一度ご来校ください。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。

香川誠陵中学校・高等学校の吹奏楽部と軟式野球部

▲部活も活発な同校。文化部は7個、運動部は11個あります

香川誠陵中学校・高等学校の進学実績

香川誠陵中学校・高等学校の図書室

▲進学実績を支える図書室。学習スペースも多い。

香川誠陵中学校・高等学校では、ほとんどすべての生徒が大学に進学しており、2023年度(2024年3月卒業)は卒業生107名中、58.8%にあたる63名が国公立大学に合格しています。また、5名が文部科学省所管外の大学校に合格しています。

内訳としては、大阪大学2名、筑波大学1名、神戸大学2名、京都府立医科大学1名、東京海洋大学1名、岡山大学1名、山口大学1名、徳島大学2名、香川大学8名、香川県立保健医療大学1名、愛媛大学3名、高知大学2名、下関市立大学5名、九州工業大学2名などです。

文部科学省所管外の大学校には、防衛大学校3名、防衛医科大学校1名、海上保安大学校1名が合格しています。

私立大学は、早稲田大学2名、東京理科大学3名、関関同立41名含む205名が合格しています。

香川誠陵中学校・高等学校の卒業生・保護者の口コミ

香川誠陵中学校・高等学校の校舎外観

ここでは、香川誠陵中学校・高等学校を卒業した生徒や保護者の声を紹介します。

(保護者)息子本人が寮生活に興味をもち、入学を決めました。規則正しい生活リズムの中、寮や学校の先生方に見守っていただき、同級生や他学年の方々との絆を深めながら、協調性や思いやり、感謝の気持ちを育み、通学生ではできないたくさんの経験をさせていただきました。

(保護者)香川県では少ない中高一貫校です。寮もあるため、関西方面からの生徒もいました。勉強に専念するため、意外に近隣の生徒も入寮しています。生徒数の割合で言えば、四国内はもちろん、西日本でもランキング上位に入る進学率だと思います。6年間塾なしで国公立に合格する生徒が多くいます。

(卒業生)授業はわかりやすく、高校受験もないので、大学進学を本気で考えている人にはとても良い学校だと思います。少人数制なので先生の目が行き届いているし、先生は熱心に指導してくれ、わからないところがあれば補習をしてくれました。制服も可愛くて気に入っていました。

(卒業生)先生方との距離が近く、勉強に関する質問以外にも答えてくれます。悩み相談なども気兼ねなくできたので、とても心強かったです。生徒は穏やかな人が多く、人間関係のトラブル等は聞いたことがありません。進路LHRが頻繁にあり、自分の進路を考える機会は多くありました。

これらの口コミからは、勉強に集中できる環境であることや、先生の手厚いサポート体制について充実していることがよくわかります。先生の目がよく行き届いた環境のようです。

香川誠陵中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 香川誠陵中学校・高等学校
住所 香川県高松市鬼無町佐料469番地1
電話番号 087-881-7800
公式ホームページ https://k-seiryo.ed.jp/

※詳しくは公式ホームページでご確認ください。