立教新座中学校・高等学校の自由な環境が生む、自律心のあるグローバルリーダー|中高一貫校

独自の教育を展開する学校を特集するこの企画。今回は、学校法人立教学院が運営する埼玉県新座市の中高一貫の私立男子校「立教新座(りっきょうにいざ)中学校・高等学校」を紹介します。

通称“立教新座”と呼ばれる同校には、生徒の個性や主体性を尊重する自由な校風と、高校からは自分でカリキュラムをつくる「自由選択科目」など、自由度が増していくことが特徴です。またグローバル教育にも重点を置いており、国際交流プログラムには、年間100人近くの生徒が参加しています。

今回はそんな立教新座中学校・高等学校の教育方針に基づく特色ある教育プログラム、また広々としたキャンパスと充実の設備の中で送るスクールライフの魅力について、校長の佐藤先生に詳しくお話を伺いました。

立教新座中学校・高等学校の「自由と自律」を重んじる教育

立教新座中学校・高等学校校長の佐藤先生

▲インタビューにご対応いただいた校長の佐藤先生

編集部

はじめに、立教新座中学校・高等学校がどのような学校なのか、成り立ちを教えていただけますか?

佐藤校長

本校は、学校法人立教学院によって運営される、日本聖公会を母体とするミッションスクールです。東京池袋にあった本校の前身「立教高等学校」が1960年に新座の地に移転し、さらに2000年に中学校を併設したことで現在の中高一貫校の形となりました。

編集部

御校ではどのような独自の教育方針を掲げていらっしゃるのですか?

佐藤校長

本校では「キリスト教に基づく人間教育」を建学の精神に掲げ、「自由と自律の学び」を大切にしています。中学校から高校までの6年間、授業や行事など学校生活のあらゆる場面において、生徒が自分自身の興味・関心に合わせて自由に選べる選択肢を用意しています。

学校側が決めた枠組みの中でただ過ごすのではないからこそ、生徒の主体的な学び、行動が生まれていくのが立教新座の特徴です。

編集部

自由に選べる選択肢というのは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

佐藤校長

例えば中学3年生の「英語2」の授業では「聞く、話す、読む、書く」から生徒が伸ばしたい分野を自分で選択できます。また中学3年生の修学旅行でも、5つのコースを用意しており、クラス単位ではなく、生徒自身が行先を選んでいます。

さらに高校からは「選択科目」として、自分自身でカリキュラムを選択し、時間割をつくっていく機会が増えていきます。自分の興味・関心や進路希望等に応じて学校生活をデザインしていくという、大学での学びに近い環境があるといえるでしょう。

また生徒の“自律”には、「校舎が非常に広く特別教室も充実している」という本校ならではの特徴も影響しています。中学生のときから、教室内だけでなくいろいろな場所に移動して授業を受ける機会が多いんですね。

「何時までにどこに移動して何の授業を受ける」という意識が強まる分、クラスで粛々と授業を受けるよりも、自分の生活をマネジメントする意識は強くなるのではないかと思っています。

立教新座中学校・高等学校の中学校の修学旅行の様子

▲5つのコースから自由に選択できる中学3年生校外研修旅行(修学旅行)、北海道コースでのファームビジットの様子

自由選択科目は約90講座!高校では「選択科目」で主体的に学ぶ

編集部

今お話にあった高校の「選択科目」について、詳しく教えていただけますか?

佐藤校長

学年が上がるにつれて選択できる科目が増えていくのが特徴で、高校1年生では芸術科で音楽・美術・工芸・書道、2年生では社会科で地理か歴史、理科で化学か生物を選択します。体育科では10種目から2年生では3種目、3年生では4種目を選択することができます。

3年生はほとんどの授業が選択科目となります。その中でも特徴的なのが、必修選択科目に加えて約90講座から自由に選択できる「自由選択科目」の履修が始まる点です。高校3年生では月曜日から金曜日までの1・2限は自由選択科目の時間となり、それ以外の時間もほぼ自身で選択した科目を組み合わせて時間割をつくっていくことになります。

編集部

「自由選択科目」の講座には具体的にどのようなものがあるのですか?

佐藤校長

2024年度は全88講座用意しています。国語・数学・社会・理科といった主要科目に関するものもあれば、家庭科や体育、語学まで本当にさまざまな講座があります。語学も、英語だけでなくドイツ語やフランス語、イタリア語といったヨーロッパ言語から、中国語、ラテン語、アラビア語まで幅広いものから選択できます。

「ハワイの歴史」や「相対性理論に基づく宇宙論と測定」「人類はいかにして原子を認識していったか」など、教員の知識、興味を活かしたユニークな講座も多々ありますよ。「茶の湯とキリスト教のおもてなし」という、本校の特色であるキリスト教をまた違った角度から学べる講座もあります。

立教新座中学校・高等学校の自由選択科目のアラビア語の授業の様子

▲アラビア語の授業の様子

編集部

全88種類を教員の方が用意するというのは大変なことですよね。

佐藤校長

そうですね。もちろん中には人数がそれほど集まらない講座もありますが、だからといって開講しなかったり、次の年に縮小したりはしないようにしています。特定の分野に偏らない幅広い学びを用意するというのはとても大切にしている部分です。

編集部

幅広い選択肢の中から、生徒の皆さんはどのように自由選択科目を選んでいくのですか?

佐藤校長

受講する講座を選ぶ基準は、生徒によって本当にさまざまです。自分の将来のために役立ちそうだからという理由もあれば、純粋に面白そうだからという理由もあります。また本校では卒業研究論文を執筆する必要があるため、自身の卒論のテーマに近い講座を受講する生徒もいます。

一方で生徒に共通しているのが、人数が少なくても自分が受講したいと思った講座を選んでいる点です。人気の有無ではなく生徒一人ひとりが自身の考えを持って講座を選んでいるのは、本校ならではの良さが出ている点ではないでしょうか。学校側から「これを受けた方が良い」と指導することは一切ありませんが、一度選ぶと1年間、途中でやめることはできないため、責任を持って選ぶべきだということは伝えています。

編集部

生徒さんの個性や自由を尊重しつつ、それに伴う責任があることもしっかりと伝えられているんですね。まさに「自由と自律」の方針が体現された教育プログラムだと感じました。

立教新座が目指す、人と人との垣根をなくす「グローバルリーダー」の育成

立教新座中学校・高等学校が提携校St. Paul's School から留学生を受け入れた時の様子

▲提携校St. Paul's School から留学生を受け入れた時の様子

編集部

グローバル教育についても伺います。まずは立教新座中学校・高等学校がグローバル教育において大切にされている点を教えてください。

佐藤校長

本校では「グローバルリーダーの育成」を掲げ、グローバル教育及びリーダーシップ教育に取り組んでいます。グローバルリーダーというと国際的に活躍できる人間だと思われがちですが、本校では海外に限らず、人と人との垣根をなくし皆が同じ目線で尊重し合える社会の架け橋となるような存在を「グローバルリーダー」と捉えています。

これからの時代、多様な価値観、バックグラウンドを持つ人々が力を合わせて協働していくことが欠かせません。だからこそ発言力やカリスマ性を持つだけではなく、一人ひとりの個性を尊重し、良さを引き出せるリーダーシップが大切です。そんな国内外問わず「共に生きる力」を持ったグローバルリーダーの育成を目標としています。

多種多様な留学・研修プログラム。留学先での単位互換制度あり

立教新座中学校・高等学校の中学3年生対象のアメリカ・サマーキャンプの様子

▲中学3年生対象のアメリカ・サマーキャンプの様子

編集部

グローバルリーダーを育成していくために、御校のグローバル教育で取り組んでいることを教えてください。

佐藤校長

多国籍の方々と協働していくためには、語学力だけでなく異文化理解の心が不可欠です。そのため、本校のグローバル教育では異文化を知るための「体験」に重きを置き、海外留学や研修などの多種多様な国際交流プログラムを実施しています。中高あわせて約10種の海外留学・研修プログラムを用意しており、1年で100名以上の生徒が参加しています。

海外留学には「派遣留学」と「私費留学」があります。派遣留学の場合は4か月、1年間から選択可能で、中学生・高校生それぞれに制度が設けられています。また私費留学は留学担当教員からサポートを受けながら挑戦可能で、留学先で取得した単位も本校の単位として認められるのが特徴です。

その他にも、1か月以下の短期の海外研修が4種類あり、そのうち一つが中学3年生を対象にしたアメリカでのサマーキャンプ、他の3種類はオーストラリア・イギリス・アメリカで高校生が対象です。

また本校では、交換留学として本校に来てくださる留学生の受け入れ先のホストファミリーに手を挙げてくださるご家庭も多いんです。人と人との間に垣根を設けず積極的に関わる雰囲気がご家庭も含めて学校全体に醸成されているのは、本校の非常に良い部分なのではないでしょうか。

編集部

実際に海外留学や研修に参加した生徒さんからはどのような変化を感じますか?

佐藤校長

語学面が向上するという面ももちろんありますが、それ以上にこれまでとは違った角度からの視点を身につけて帰ってくる生徒が多いですね。特に長期の留学の場合はその変化が顕著に表れていると思います。留学に行く前には「英語をもっと喋れるようになりたい」といった目標を持つ生徒が多いのですが、帰ってきた生徒に感想を聞くと「新たな人間関係ができた」「物の見方が変わった」というような、もっと大きな自身の変化を実感しているようです。

それは帰国後の勉強に対する姿勢や、進路など将来を考える際の変化にもつながっています。海外での勉強に魅力を感じたことで海外大学を志す生徒も出てくるなど、海外体験を経て生徒の選択肢が広がっているなと感じますね。

語学だけにとどまらない、各国地域の実情を学ぶ海外研修

立教新座中学校・高等学校の理科海外研修旅行オーロラ観測の様子

▲理科海外研修旅行でのオーロラ観測の様子

編集部

その他にも、立教新座中学校・高等学校で実施している特徴的な国際交流プログラムはありますか?

佐藤校長

高校生を対象に理科や社会科、芸術科など各教科から、語学だけを目的としていない海外研修旅行を提案しています。「この時期の生徒にはこの体験をしてほしい」という思いがこもった研修旅行です。

例えば過去には、理科で「マレーシア資源の旅」を実施し、マレーシアの熱帯雨林やゴム研究所・農園、スズ工場等の見学を通して石油資源の研究を行いました。

他にもフィンランドでオーロラ観測を行う理科の研修、ポーランドで世界遺産を訪れ歴史を学ぶほか、現地学生とのワークショップやフィールドワークを行う宗教科の研修など、毎年テーマを変えながら実施しています。今後はもちろん安全確保を第一としつつ、昨今の世界情勢を踏まえてヨーロッパで起きている諸問題を学ぶ機会もつくっていけたらと考えています。

編集部

かなり専門的な内容、難しいテーマで実施されていると思いますが、事前学習なども行っているのでしょうか。

佐藤校長

現地での時間を有意義なものとするため、参加生徒は日本で必ず事前研修を行っています。マレーシア資源の旅やオーロラ観測の際には、立教大学教員や研究者などもお招きして講演会を行うなど、約半年前から事前学習として準備を重ねました。

また海外研修旅行から帰ってきた後にもレポートを作成してもらうなど、生徒が現地で学んだことをアウトプットさせることも意識しています。海外に行き、肌で感じる学びを大切にしつつ、なおかつ事前・事後学習をしっかりと行うことで、より学びを深めることができているのではないでしょうか。

立教新座中学校・高等学校でのスクールライフ

立教新座中学校・高等学校のサッカー場

編集部

立教新座中学校・高等学校での学校生活の魅力についても伺います。まずは学校生活の舞台となるキャンパスの特徴について教えてください。

佐藤校長

立教新座中学校・高等学校は10万平方メートルという広大な敷地の中に、広いキャンパス、充実の設備を整えているという非常に恵まれた環境です。特に運動施設は隣接する立教大学との共用施設も含め、野球場やテニスコート、人工芝のサッカー場、陸上の400mトラックとインフィールド、50m室内温水プールなど非常に充実しています。

立教新座中学校・高等学校のセントポールズ・フィールド

▲2014年に完成した「セントポールズ・フィールド」

佐藤校長

また本校と立教大学新座キャンパスのちょうど中間に「立教学院聖パウロ礼拝堂」があるのも特徴です。「立教学院聖パウロ礼拝堂」は各種礼拝行事を実施するなど、キリスト教に基づく人間教育を行う立教新座中学校・高等学校のシンボル的な存在となっています。

立教新座中学校・高等学校の立教学院聖パウロ礼拝堂

▲学校のシンボルでもある「立教学院聖パウロ礼拝堂」

佐藤校長

2014年には校舎や施設の全面リニューアルを行いました。非常にモダンで綺麗な校舎で、さらに約300人収容可能なセントポールズ・スタジオや特別教室など、学習環境も大変整っています。学校見学にいらっしゃった方から「こんな綺麗で素晴らしい環境で勉強したい」というお声をいただくことも多いです。

編集部

学校生活を送る生徒の皆さんは、全体的にどのような雰囲気がありますか?

佐藤校長

本校は東京など遠くから通う生徒も多いのですが、その通学時間が苦にならないくらい本当に毎日楽しく通ってくれているなと見ていて感じます。それはもちろん異性の目を気にせずにのびのびと過ごせる男子校特有の環境もあるでしょう。しかしそれ以上に、自分のやりたいことに取り組める環境があることが大きいと思います。

共学、別学に関わらず「自分はこれをやりたい」というのを友達やクラスメイトに伝えるのはなかなか勇気がいることですよね。しかし本校の生徒には、お互いに認め合い、尊重し合う空気感があります。だからこそ、多くの生徒が臆せずさまざまなことにチャレンジできています。

実際に卒業する生徒から「自分がやりたいことに十分に挑戦できて、本当に楽しかった」と言われたこともありました。集団でワイワイ楽しく過ごす男子校ならではの環境と、一人ひとりが自分のやりたいことに思いっきり挑戦できる、そういう楽しさがあるのが立教新座中学校・高等学校の魅力だと思っています。

立教新座中学校・高等学校のメッセージ

立教新座中学校・高等学校校長の佐藤先生

▲インタビューにご対応いただいた校長の佐藤先生

編集部

最後に、立教新座中学校・高等学校に興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。

佐藤校長

私は以前小学校教員をしていたのですが、立教新座は小学校にいたときからは想像もつかないくらいさまざまな体験ができる学校だと身を持って実感しています。自分の夢を見つけ、それを膨らませていくためのさまざまな体験のチャンスがある、とても素晴らしい学校です。

本校は立教大学への進学を前提にしている学校ではありますが、自身の夢を実現する最善の方法が他大学にある場合は、他大学への進学も同じようにサポートしています。ぜひ一度本校に足を運んでいただき、キャンパスや実際の生徒の様子を見ていただけたらと思います。そこで自分の夢を実現できる学校だと感じていただいた方に、またこの学校で出会えると嬉しいです。

編集部

佐藤先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただき本当にありがとうございました!

立教新座中学校・高等学校のオリエンテーションキャンプの様子

▲さまざまな経験ができる立教新座中学校・高等学校。中学校入学後すぐの5月には2泊3日のオリエンテーションキャンプも

立教新座中学校・高等学校の進学実績

立教新座中学校・高等学校の校舎

立教新座高等学校では推薦制度による立教大学への進学が多数を占めており、立教大学進学希望者のほとんどが進学を果たしています。一方で例年約20%の生徒が他大学を志望しており、高校2年次からは他大学進学クラスで受験を意識した授業を受けることが可能です。

他大学進学の場合、立教大学にない医科・歯科・薬学、また工学系の進路を目指す生徒が多いのが特徴です。過去3年間の合格実績をみると、国内最難関の東京大学・京都大学をはじめ、東北大学や北海道大学など難関校に合格者を輩出しています。また海外大学への合格実績も生まれています。

■進路について(立教新座中学校・高等学校公式サイト)

https://niiza.rikkyo.ac.jp/education/after_graduation.html

立教新座中学校・高等学校の生徒・保護者の口コミ

立教新座中学校・高等学校のグラウンド

ここでは、立教新座中学校・高等学校に寄せられた生徒、保護者からの意見を一部抜粋して紹介します。

(生徒)自由な校風で、活発な生徒が多い。先生と生徒の距離も近く、充実した施設の中で楽しく過ごせる!

(保護者)校則は厳しくないが、その中でも規律はあるため、自主性が育ちつつも学校としてのまとまりもあるなと感じる。

(生徒)とにかく校舎がきれいで、運動施設、専門教室なども充実している。図書館も大きく、映画を観られるブースもある。

(保護者)駅からは遠いがスクールバスが出ているし治安も良いので安心して通わせられている。何より子どもが楽しそうに通っているのが嬉しい。

(生徒)自由だからこそ、自己責任も問われる。その中で何事も自分で考え行動する姿勢が身についていくと感じる。

生徒、保護者からはともに自由な校風についての口コミが多く寄せられました。校則は厳しくはないものの、だからこそ自主性や自律の心が育っているという意見が目立っています。また広くきれいな施設に関しては、特に生徒から満足の声が多く聞かれました。

立教新座中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人立教学院
住所 埼玉県新座市北野1-2-25
電話番号 048-471-2323(代表)
問い合わせ・資料請求 https://niiza.rikkyo.ac.jp/inquiry.html
公式ページ https://niiza.rikkyo.ac.jp/index.html

※詳しくは公式ページでご確認ください