敬愛中学校・高等学校が大切にする「心の教育」と「探究学習」とは|中高一貫校

この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、福岡県北九州市にある「敬愛中学校・高等学校」をご紹介します。

敬愛中学校・高等学校は、浄土真宗本願寺派の宗門校として1925年に創立された男女共学の中高一貫校です。仏教の教えをベースに「心の教育」を行い、命を大切にする“敬愛の心”を育てることに尽力しています。

また、学習カリキュラムにおいては独自の英語教育や国際理解教育によってグローバルな人材を育成するとともに、経営者の視点を学びながら、起業家精神を養う講座を行っていることも大きな特徴です。

今回、ぽてんでは敬愛中学校・高等学校の校長および仏教の授業ご担当の谷川 宏済先生と、教頭および入試広報室長で理科の授業も担当されている高尾 博之先生にインタビュー取材を行い、同校の教育方針や学習カリキュラムの魅力、校風などを詳しく教えていただきました!

「心の教育」を通じて豊かな人間性を育てる敬愛中学校・高等学校

敬愛中学校・高等学校校長の谷川校長

▲今回インタビューに応じてくださった谷川校長

編集部

まず、敬愛中学校・高等学校の教育方針について教えてください。

谷川校長

本校は浄土真宗本願寺派の宗門校であり、仏教の教え・浄土真宗の教えに基づいた教育活動を展開しています。そのなかで最も大切にしているのが、あらゆるものは関わり合って存在しているという「縁起」の教えです。

私たちは一人で生きているのではなく多くの存在に支えられており、自分を支えてくれる命を大切にすることが自分自身を大切にすることに繋がり、自分の命を大切にすることが周りの命を大切にすることに繋がります。そういったお互いにかけがえのない命を大切にし合う生き方を「心の教育」を通して身につけてもらうことが、本校が掲げている一番の目標です。

私はよく生徒たちに『いろいろな命に生かされて生きる』と表現するのですが、自分が他者との関わりの中で生かされていることを認識したうえで、逆に他者を生かすような生き方を求めていってほしいと願っています。

編集部

「心の教育」は、具体的にどのようなシーンで行われていますか?

谷川校長

中学校・高校ともにすべてのクラスで週に1時間行われる「宗教(仏教)の授業」や、仏教法話を聞く愛楽会(あいぎょうかい)などの行事です。仏教の考え方に触れる機会をたくさん設けることで、生徒たちは命のあり方や尊さ、自分自身の生き方を見つめながら大きく成長していきます。

敬愛中学校・高等学校の宗教行事に参加する生徒たち

▲盆法要や報恩講(浄土真宗の伝統行事)などの宗教行事に参加することも貴重な経験です

実際に生徒から「感謝の気持ちを自然に伝えられるようになった」といった感想や、保護者の方から「子どもが周囲に対して優しくなった」といった喜びの声を聞くことも多く、仏教の教えが生徒たちの心に深く根付いていることを大変嬉しく感じています。

また、教員もお念珠を持ち、仏さまに手を合わせ、仏教の教えを聞くことを大切にしています。教員の姿勢や言葉ひとつひとつが生徒に大きな影響を与えることを思うとき、私たちが生徒と同じ方向を向き、共に学ぶ姿勢を大事にしていかなければならないと考えています。

敬愛中学校・高等学校の「探究学習」で社会に役立つスキルを磨く

次に、敬愛中学校・高等学校の魅力あふれる教育活動のなかで、特に力を入れている「探究学習」に焦点を当ててお話を伺いました。

中学校:経営者から起業家精神を学ぶ「アントレプレナー講座」

敬愛中学校・高等学校教頭の高尾教頭

▲今回インタビューに応じてくださった高尾教頭

編集部

御校で尽力されている探究学習について、まずは中学校での取り組み内容をご紹介ください。

高尾教頭

中学2年次に、経営者の考え方について学ぶ「アントレプレナー講座」を実施しています。具体的には数名の生徒でグループを組んで社会課題と向き合い、『問題を解決するためにはどのような会社をつくるべきか』を経営者目線で考えて、最終的には発表会でプレゼンテーションを行う取り組みです。

実際の探究学習に入る前にはさまざまな企業の経営者にお越しいただき、ゲームも交えながら“経営者の視点”について学びます。経営する側から見る社会やビジネスに関して知識を深めることで、「自分が世の中を変えていく立場になった時に何ができるか」といった視点で探究活動を進められるようになります。

敬愛中学校・高等学校のアントレプレナー講座

▲ゲームを通じて起業を疑似体験!経営への理解が深まります

生徒たちは「社長」「副社長」などとグループ内で役職を決め、多彩なアイデアを出し合いながら意欲的に活動しています。発表会にも経営者の方をはじめ、市のスタートアップの支援課の方や大学の先生などにもお越しいただいており、「よく考えられていますね」「アイデアが面白い」といった高い評価を得ています。

高校:商品化する事例あり。本格的な探究活動で課題発見・解決能力が育つ

敬愛高等学校での探究発表の様子

編集部

高校では、より本格的な探究学習が展開されているそうですね。

高尾教頭

高校では「SDGs」をテーマとして、高校1年次には地域・企業から出された課題の解決に向けたフィールドワーク、高校2年次には自分の興味関心に合わせた探究活動を実施しています。たとえば地域の活性化に向けて若者向けのイベントを開催したり、お弁当を販売する会社とコラボしてオリジナルのお弁当を制作したりといった活動です。

また、クラウドファンディングを行って「中高生が美味しいと感じるコーヒーの研究」を行った事例もあります。近隣の大学で分析装置をお借りしながらコーヒーが苦手な人でも飲みやすいブレンドを研究・商品化し、それによって誕生したコーヒーは現在も校内で販売されてます。

公式:敬愛中学校・高等学校理科研究部「中高生が美味しいと感じるコーヒーの研究」

大学に協力を依頼したり、コラボ先企業を探したりする際は教員がサポートしますが、基本的には生徒主体で進める活動です。失敗することもたくさんありますが、良くも悪くも社会の方に評価していただくことで「もっといいものを作るためにはどうしたらいいのか」が明確化され、自然に課題発見・解決能力が養われていきます。

また、探究活動を通じて、自分が今勉強している内容が社会に役立つことを実感できる点も大きなメリットです。それが各教科学習へのモチベーションになり、自発的な勉強へ繋がっていると感じています。

敬愛中学校・高等学校の英語教育で国際スキルを習得

敬愛中学校のハワイ語学研修の様子

編集部

御校の充実した英語教育も特色のひとつだと思います。どのような学習ができるのか具体的に教えてください。

高尾教頭

本校では中学1年次から大学受験を視野に入れた英語教育を行なっており、聞く・読む・話す・書くの4技能と国際的な視野の育成を目指しております。学期に2回英単語コンクールを開催したり、1人1台のiPadを使用しアプリによる自主学習やオンライン英会話に取り組んでもらったりと、授業以外にも英語に触れる機会をたくさん設けています。

また、中学2年次に約1週間のハワイ語学研修を行っているほか、高校ではさまざまな国際理解教育プログラムを設けており、6年間で自然に国際感覚が身につく環境です。

敬愛中学校・高等学校におけるハワイ姉妹校との交流の様子

▲ハワイ姉妹校との交流行事も毎年開催され、お互いにホームステイを提供し合いながら交流を深めています

部活動は23種類。女子柔道部は全国トップレベル!

敬愛中学校・高等学校の理科研究部

▲さまざまなコンクールで輝かしい成績を収めている理科研究部

編集部

御校の部活動について、特徴をご紹介ください。

高尾教頭

本校には吹奏楽部や報道研究部、理科研究部といった文化部と、バレーボール部やバドミントン部、サッカー部などの運動部が合計23種類あります。

各種大会やコンクール等で優秀な成績を収めている部活動がたくさんあるなか、特に全国でもトップレベルの成績を誇るのが女子柔道部です。これまで、全国中学柔道大会において2回優勝、全国高等学校選手権の女子団体戦でも3回優勝した経歴があります。

敬愛中学校・高等学校の柔道部員たち

▲女子柔道部は例年九州大会や全国大会の常連で、オリンピック選手も多数輩出しています

編集部

日々の本格的な活動が好成績に繋がっていると思いますが、生徒さんたちはどのように学業と部活を両立されているのでしょうか?

谷川校長

基本的には試験1週間前になると部活動は休みになり、試験勉強に集中できます。ただ、柔道部は全国制覇という高い目標を掲げて活動しておりますので、試験前も練習しています。

とはいえ、練習前に全員が道場に集まって机を並べて試験対策を行ってから練習するなど、勉強時間もきちんと確保できるよう配慮しております。文武両道を目指して頑張っている柔道部員の姿は、他の生徒の良い刺激になっているようです。

敬愛中学校・高等学校からのメッセージ

編集部

最後に、御校に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。

谷川校長

本校における教育の基盤は『命を見つめる』『他者とともに生きる』という仏教の伝統的な教えです。生徒たちには「心の教育」を通じて自分自身の存在意義をしっかりと理解し、そのうえで現代社会を生き抜くスキルや変化へ柔軟に対応できる力を身につけていってほしいと願っています。

高尾教頭

本校は校長が申しました「心の教育」をベースに、時代の流れに合わせた英語教育やICT教育にも力を入れております。さらに探究学習も盛んで、教員は生徒と一緒に伴走しながら各自のチャレンジをサポートしています。

今はやりたいことがなくても、本校のさまざまな学習や活動を通じて「やってみたい!」と思えることがきっと見つかると思いますよ。

編集部

「心の教育」によって豊かな人間性が身につき、多彩な教育プログラムを通じて社会に役立つスキルを習得できるなど、6年間を大変有意義に過ごせる学校だと感じました。谷川校長先生、高尾教頭先生、本日はありがとうございました!

敬愛中学校・高等学校の進学実績

敬愛中学校・高等学校の授業風景

敬愛高等学校における2024年3月卒業生の主な合格実績は以下の通りです。

国公立大学の合格実績

  • 九州大学:1名
  • 九州工業大学:1名
  • 福岡教育大学:1名
  • 福岡県立大学:2名
  • 北九州市立大学:5名 ほか

私立大学の合格実績

  • 西南学院大学:15名
  • 福岡大学:16名(医学部1名・薬学部1名含む)
  • 東京理科大学:1名
  • 立教大学:1名
  • 法政大学:1名 ほか

公式:敬愛高等学校「進路実績」

敬愛高等学校には、九州大学や医学科への進学を目指す「九大医進コース」・その他の国公立大学や難関私立大学の一般入試対策を行う「特進Sコース」・総合型選抜や推薦入試を中心として幅広い入試に対応している「グローカル探究コース」の3つのコースがあり、希望進路に合わせたカリキュラムが組まれていることが高い合格実績に繋がっていると感じます。

また、宗門校であることから、関東なら武蔵野大学、関西なら龍谷大学や京都女子大学といった宗門校の大学への推薦枠が多いことも大きな特徴です。

敬愛中学校・高等学校の卒業生・在校生の口コミ

敬愛中学校・高等学校の男子生徒たち

先生に話しかけやすく、生徒同士も仲が良いアットホームな校風です。

授業に創意工夫がされていて、どの教科もやりがいがあります。

女子柔道部の活躍がすごいです。夢に向かって全力投球している姿を見て「自分も頑張ろう!」と気合が入ります。

宗教の授業で命の尊さを実感し、人間的に大きく成長できたと感じています。

制服がお気に入りです。女子のスカートは紺の無地とタータンチェックの2種類から選べてオシャレです。

敬愛中学校・高等学校の卒業生・在校生からは、特に校風や授業の質、先生の雰囲気、制服などに満足している意見が集まっています。また、保護者からは同校ならではの「心の教育」を高く評価する口コミがたくさん挙がっていました。

敬愛中学校・高等学校へのお問い合わせ

敬愛中学校・高等学校の校舎外観

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公式ページ https://www.keiai.net/index.php

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