勉強も部活も全力で。報徳学園中学校・高等学校の個性を伸ばせる環境とは|中高一貫校

この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、兵庫県西宮市にある「報徳学園中学校・高等学校」をご紹介します。

私立の中高一貫男子校である同校は、創立110年以上を誇る伝統校です。二宮尊徳の教えをベースに、きめ細かな教科指導や充実した国際教育、親身な進路指導を通じて生徒一人ひとりの個性や能力を最大限に伸ばすことに力を入れています。

また、文武両道を実践していることも大きな特徴です。硬式野球やラグビーの強豪校として有名であるほか、独自の放課後学習システムである「金次郎STUDEO」や「金次郎SEMINAR」を活用しながら高い進学実績を残しており、心身ともにたくましい成長を目指せる教育環境であることも注目を集めています。

今回、ぽてんでは入試広報部長の堀谷先生、進路指導部長の森田先生にインタビュー取材を行い、同校の教育方針や学習カリキュラム、校風などを詳しく教えていただきました。

報徳学園中学校・高等学校の入試広報部長の堀谷先生と進路指導部長の森田先生

▲インタビューに応じてくださった入試広報部長の堀谷先生(左)と進路指導部長の森田先生(右)

「感謝」と「貢献」を軸に人材育成を行う報徳学園中学校・高等学校

報徳学園中学校・高等学校の校内にある二宮尊徳の像

▲報徳学園の教育理念の基礎を作ったのが二宮尊徳。銅像は校内のシンボルとなっている

編集部

最初に、報徳学園中学校・高等学校の教育理念について教えていただけますでしょうか。

堀谷先生

本校の教育理念は『以徳報徳(徳をもって徳に報いる)』であり、創立者である大江市松先生によって制定されました。これは「自分を育ててくれた周囲の人や環境に感謝し、成長によって得られた能力を社会に還元する」という意味をもつ言葉で、大江先生が敬愛していた二宮尊徳の教えが由来となっています。

本校では、この「感謝」と「貢献」に基づく建学の精神について生徒にしっかりと教えるとともに、社会貢献を叶えるための知識や技術、知恵、能力を身につけさせることを目標に教育指導を行っています。

編集部

この「以徳報徳」の精神は、具体的にどのようなシーンで伝えていますか?

堀谷先生

始業前や終礼時に、二宮尊徳の訓言を全員で唱和しています。中1~高3まで6年間、毎日設けている大切な時間です。

なかには意味が難しい文章もあるので、特に中1の生徒は「何を言ってるのかわからない」と戸惑うことも多いかもしれません。しかし、学年が上がるにつれて、あるいは大人になった時に言葉の意味が理解できるようになると考えており、その時にまた大きく成長してもらえたらと願っています。

報徳学園中学校・高等学校の校歌の掲示

▲二宮尊徳の思想が刻まれた校歌には、報徳学園の建学の精神が現れている

編集部

二宮尊徳の訓言の中でも、「生徒の心に刺さっているな」と感じる言葉があればご紹介ください。

堀谷先生

「積小為大(せきしょういだい)」ですかね。小さな努力を積み重ねてこそ大きな事を成し遂げられる、という意味をもつ言葉で、本校の生徒なら中1からしっかりと意味を理解しています。勉強や部活動など、さまざまなシーンにおける合言葉になっています。

編集部

堀谷先生のお気に入りの言葉はありますか?

堀谷先生

実は校歌にも二宮尊徳の思想が反映されており、私は歌詞が大好きです。簡単にいえば「世の移り変わりは激しいけれど、目標を掲げてしっかりと学べばその荒波を越えていける」といった内容で、変化の激しいこの時代にぴったりな言葉だと思います。

自学自習のための「金次郎STUDEO」で文武両道をサポート

報徳学園中学校・高等学校の森田先生

編集部

報徳学園中学校・高等学校は文武両道で知られていると思います。まずは「文」、つまり学習面でどのような支援をしているかお聞かせください。

森田先生

目玉となっているのは、放課後学習システムの「金次郎STUDEO(略称:金スタ)」です。これは授業の予習・復習や定期テスト対策など、生徒が自習をするときに利用できるスペースで、校内の蟻田記念館の中にあります。席数は200席ほどで、スポーツ推薦を目指している子を除くと、全体の7~8割ほどが利用していますね。

このシステムは2018年度に導入したのですが、それまでは放課後に教室に居残って教員が学習サポートを行っていました。いわば、手弁当で面倒を見ていたんです(笑)。それでも、かなりのレベルの進学実績は残してきました。

ただ、本校はクラブ活動が活発なので、部によっては夜の8時くらいまで練習に励むこともあります。そうすると夜間なので塾へ通うことも難しいですし、学校に残っても勉強する時間が確保できません。また、難関大の入試問題について質問されても、教科が違う教員だと対応できないケースも出てきました。

そんな状況の中、管理や指導を外部に業務委託することで、文武両道を叶えるためのサポート態勢をより整えようという狙いで誕生したのがこの金スタなんです。

なお、有料ではありますが、専属のチューターが質問に応じる「質問型自習室」もあるほか、チューターによるマンツーマン指導を受けられる「個別指導授業」を申し込むことも可能です。

報徳学園中学校・高等学校の金次郎STUDEO

▲スペースが区切られており、集中しやすい環境が整っている「金次郎STUDEO」

編集部

実際に、生徒の皆さんはどのように金次郎STUDEOを活用されていますか?

森田先生

部活の前後に「金スタで勉強してきます!」などと気軽に利用している生徒が多いです。帰宅して軽く食事をとって塾に通うようなケースと比べると、移動時間がほぼゼロで勉強に集中できるわけですから、とても便利だと感じてくれています。

そのことは結果にも現れていて、中高の6年間本気でラグビー部の活動に取り組んできた子は、保護者と「勉強もちゃんとやる」と約束して、卒業までのあいだずっと金スタに通い詰めました。そして、関西の難関私大にきっちり合格したんです。

他にも、京都大学に受かったり早稲田大学のラグビー部に進学したりと、希望する進路を歩んだ生徒はいっぱいいます。このシステムを利用することで、時間をうまく確保して自分のペースで部活も勉強も両立させることができていると思いますね。

「金次郎SEMINAR」では英検や模試の対策講座を提供

報徳学園中学校・高等学校の英語の授業風景

編集部

もう1つの制度として、「金次郎SEMINAR(ゼミナール)」があると伺いましたが、詳しく教えてください。

森田先生

「金次郎SEMINAR」は有料の講座で、希望者を対象に提供しています。成績向上や志望校合格といった生徒一人ひとりの目標に合わせて、英検合格をサポートするための講座や、進研模試の対策などを実施しているサポートプログラムとなっています。

こちらは集団で受講するスタイルとなっており、他の生徒から刺激を受けられる点が保護者の方からも生徒からも好評ですね。

具体的な目標に向けて個別にサポートが受けられるからか、こちらも効果はかなり大きいです。参加者の成績を見ても、冬の3ヶ月で数学の模試の平均偏差値が3.7上がったという結果も出ていますので、今後も継続していきます。

あと、金次郎SEMINARとは関係ないのですが、高校生は全生徒が教育プラットフォームの「Classi」やオンライン学習システム「スタディサプリ」を使えるようになっていますので、ICT活用の面でもサポートは欠かしていません。

野球部やラグビー部を筆頭に、全国的に活躍するクラブが多数!

報徳学園中学校・高等学校のグラウンドで走る生徒たち

編集部

続いて、文武両道の「武」について伺っていきます。報徳学園中学校・高等学校はクラブ活動が盛んで、全国的に活躍する部も多いですよね。

堀谷先生

はい。近年はセンバツ高校野球で2年連続で準優勝している硬式野球部と、7人制で全国大会初優勝を果たしたラグビー部の活躍がめざましいです。他の部も刺激を受けて「僕たちも頑張っていこう!」と意気込んでいますよ。

実は、本校には部の専用グラウンドがなく、硬式野球もラグビーもサッカーも同じグラウンドで練習しています。環境としては決して恵まれているとはいえないですが、他の部の生徒も気軽に練習風景を見学できるため、生徒同士で応援し合っています。

報徳学園中学校・高等学校のクラブ活動の功績に関する展示

▲甲子園の優勝経験がある野球部のほか、ラグビーや陸上、バスケットボール、少林寺拳法など強豪揃い

堀谷先生

先日は、硬式野球部のキャプテンがバスケットボール部の中学生に「体幹はこう使うといいよ」と教えている光景を見て、改めてすばらしい環境だなと感じました。まさに本校が尽力している報徳教育の賜物ですね。

そうやってさまざまな部が刺激し合って非常に盛り上がっているのですが、全国レベルのクラブであっても部活動のみに集中させることはなく、“文武両道”で勉強のほうもしっかりと取り組めるようにサポートしています。

編集部

きちんと勉強にも力を入れていて、クラブのほうでも好成績を残しているとはすごいですね。先生方の教え方に何か秘訣があるのでしょうか?

堀谷先生

本校の教員たちは、生徒の背中を押すのがとても上手だと思いますよ。強豪校というと「倒れるまで走らされる」「バットを持った教員が厳しく指導している」といったイメージがあるかもしれませんが、そのような指導をしても生徒はついてきてくれないと考えています。

今の時代に合った接し方や練習プログラムになるように工夫することで、生徒のモチベーションが高まり、それが成績につながっているのだと思います。

上下関係は厳しくなくても、自然と礼儀を身につけ人間的に成長する

報徳学園中学校・高等学校の生徒たちがくつろぐ様子

編集部

非常に実績がある部活動ですが、部内の上下関係はいかがでしょうか?

堀谷先生

厳しい上下関係はほとんどないと思いますね。中学生と高校生が一緒に前から歩いてきた時に、どちらが先輩でどちらが後輩かわからないほどです(笑)。

とはいえ礼儀はしっかりとわきまえていて、先輩の姿を見て自然と身についているように感じます。たとえば言葉遣いひとつ見ても、中1の入学当初は教員や先輩に敬語を使っていなかった生徒が、先輩と身近に接するなかできちんと話せるようになっていくんです。

編集部

体力や技術だけでなく、人間関係も学んでいくんですね。そんな部活動の雰囲気の良さは、学校全体にも影響を与えていますか?

堀谷先生

そう思います。本校は中学校も高校も同じ校舎ですが、年齢の違いに壁を感じないのか、みんな仲良しですね。また、運動の得意な子・苦手な子でグループが分かれることもなく、それぞれの良い面を探し合い、個性を認め合いながら接している点を誇らしく思います。

学園祭などのイベント時にはクラス内での役割分担がスムーズにできていて、チームワークの良さも常に感じています。

森田先生

生徒同士、分け隔てなく気楽に付き合える関係性が築けているように感じますね。男子校ならではの魅力かもしれませんが、気を遣わずにのびのびと過ごしている生徒が多いです。卒業時にアンケートをとっているのですが、生徒の半分ほどが「男子校で良かった!」と回答していますよ。

留学プログラムが多数!報徳学園中学校・高等学校の国際教育

報徳学園中学校・高等学校の英語の授業風景

編集部

報徳学園中学校・高等学校は、国際教育にも力を入れているそうですね。具体的な取り組みについて教えていただきたいです。

堀谷先生

二宮尊徳の教えである感謝と貢献の精神が発揮されるのは、なにも国内だけの話ではありません。本校では、中高6年間で段階的に国際感覚を養っていけるプログラムを提供しています。

まず中1では、アパレルブランドのユニクロとGUさんが企画している「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」に参加しています。UNHCR(※)を通して学園祭で集めた古着をアフリカの難民の方々に送っているんです。このプログラムをきっかけとして、生徒たちは世界の現状を知るとともに、繋がりを意識していきます。
(※)国連難民高等弁務官事務所 (United Nations High Commissioner for Refugees)

中2になると「国際交流合宿」と題し、外国人講師と一緒に2泊3日のキャンプを行います。外国の歌やダンス、ゲームなどを英語で教えてもらったり、日本の文化や歴史について英語で説明したりといった経験を通して、英語や海外に対する興味・関心が高まる生徒が多いですよ。

また、本校では留学・研修制度も充実しています。中2を対象とした「イギリス語学研修」や、中3~高2に向けた「オーストラリアホームステイ研修」、高1・高2が対象の「アメリカ語学研修」「フィリピン語学研修」があり、2週間の短期研修から3か月の交換留学プログラムまで期間・内容も幅広いです。どれも希望者が対象で、たとえば2週間の研修には20名ほどの参加がありました。

編集部

特にオーストラリアの姉妹校とは、交換留学が活発に行われているそうですね。

堀谷先生

そうなんです。西オーストラリア州パースにある「CCGS(クライスト・チャーチ・グラマー・スクール)」と姉妹校として提携しており、1988年以来、隔年で短期留学生を交換しています。飛行機代のみ自己負担で、現地での生活費はお互いの学校が負担するスタイルとなっており、学校同士の提携によって少ない費用負担で留学できることが大きな魅力です。

ちなみに、アメリカの「アルバカーキアカデミー」とも同様の形式で交換留学を行っています。

編集部

ご紹介いただいたプログラムのほかに、校内での取り組みはありますか?

堀谷先生

「C-Room」と名付けているスペースも特徴的ですね。この部屋にはネイティブスピーカーの教員が常駐していて、昼休み等にいつでも質問や相談ができます。

生徒たちはフランクに会話を楽しんだり、英検対策をお願いしたりと思い思いに交流を楽しんでいますよ。授業以外のシーンでも生きた英語に触れられることは、生徒にとって大変魅力的な環境だと思っています。

報徳学園中学校・高等学校からのメッセージ

報徳学園中学校・高等学校の堀谷先生

編集部

最後に、報徳学園中学校・高等学校に興味をお持ちの方に向けてメッセージをお願いします。

堀谷先生

本校の魅力は、勉強もクラブ活動も全力で取り組めるところだと思います。また、生徒同士の仲が良いアットホームな校風で、生徒と教員の距離も近く、かけがえのない人間関係を築ける場所です。

イメージ的には、私たち教員は生徒にとって「年上のお兄さん」といったところでしょうか。いろいろな話をしてくれる大人という感覚なのかなと思いますね。

そういった接し方が成立するのは、生徒が礼儀をわきまえているからこそだと思うんです。礼儀もなく近づいてきたらある程度距離をとって接する必要がありますが、そのあたりがしっかりしているので、とても良い関係性を築けています。

そんな学校の雰囲気をぜひご自身の目で確かめていただきたいので、まずは学校説明会や行事等に気軽に足を運んでくださいね。

編集部

手厚い教育指導や温かなサポートがあるからこそ、報徳学園中学校・高等学校の生徒は勉強もクラブ活動も全力で取り組めているのだと感じました。堀谷先生、森田先生、たくさんのお話をありがとうございました!

報徳学園中学校・高等学校の進学実績

報徳学園中学校・高等学校の数学の授業風景

報徳学園中学校・高等学校における2024年度卒業生の進学実績を見ると、京都大学を含む国公立大学(大学校の1次筆記含む)におよそ60名が合格しているほか、医歯薬系にも約20名が合格するなど、目標を叶えて進学する生徒が多いです。

また、関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)の合格者数が2020年〜2023年の4年間で2倍になっているだけでなく、早稲田大学や明治大学、法政大学といった東京都内の難関私大に受かる生徒も多いなど、私立大に関しても実績豊かなのが同校の特徴です。

この数字からも、“文武両道”をしっかりと叶えられる学校であることがうかがえます。

公式:報徳学園中学校・高等学校「令和6年度入試 合格状況」

報徳学園中学校・高等学校の卒業生・在校生の口コミ

報徳学園中学校・高等学校で授業を受けている生徒たち

先生がとても面白く、生徒とはとても良い関係性だと思います。

勉強できる環境が整っており、塾に通わずに志望校合格を達成できました。

海外研修をきっかけに視野が広がり、英語学習も楽しく取り組めるようになりました。

部活のおかげで体力と精神力が鍛えられ、大きく成長できたと感じています。

報徳学園中学校・高等学校の卒業生・在校生からは、学習環境や校風、先生の質、部活動を高く評価する声がたくさん挙がっています。保護者からは「勉強も部活も熱心に見てもらえて安心」といった意見が多いほか、「グラウンド全面が人工芝なので洗濯が助かる」との口コミもみられました。

報徳学園中学校・高等学校の校内風景と体育の授業のようす

▲大きなホールや人工芝グラウンドなど、部活動や行事に全力で臨める環境がある

報徳学園中学校・高等学校へのお問い合わせ

兵庫県西宮市にある「報徳学園中学校・高等学校」の外観

運営 報徳学園中学校・高等学校
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電話番号 0798-51-3021 
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