【宮城県】登米市の「髙倉勝子美術館桜小路」を中心に巡るのんびり散策デート
田園に川、森など豊かな自然が広がる町・宮城県登米市。登米に残されている風情ある美術館のひとつに「髙倉勝子美術館桜小路」があります。
髙倉勝子美術館桜小路は、大正生まれの女流画家・高倉勝子さんの作品を展示する美術館です。
周辺には県や市が指定する有形文化財を活用した資料館や武家屋敷、史跡などが残り、まるで明治時代にタイムスリップしたかのよう。カップルで休日にのんびりと散策するのにぴったりな場所です。
今回は、「髙倉勝子美術館桜小路」にスポットを当てたデートプランをご紹介します。
おすすめカップル:のんびりとした雰囲気が好きなカップル
どんなデート?:学ぶ、見て楽しむ、のどか
目安時間:半日
目安予算:3,000円
概要:趣ある町並みに心癒される!レトロさんぽデート
お昼を食べた後、髙倉勝子美術館桜小路を中心に、登米をゆっくりと散策するデートプランです。
12時 | 登米市に到着 |
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12時〜13時 | ランチを食べる |
13時〜14時 | 髙倉勝子美術館桜小路を見て回る |
14時〜15時 | お茶を飲みながら小休止 |
15時〜17時 | みやぎの明治村を回遊する |
登米懐古館や伝統芸能伝承館「森舞台」など、美術館を含む主要な観光施設6館すべて訪れたとしても、ランチとお茶込みで1人3,000円程度です。
明治時代の面影を残す町並みはどちらかというと大人向きですが、町並みも自然もそこかしこがフォトジェニックです。レトロな雰囲気が好きなカップルであれば、若い二人にもおすすめです。
基本情報:アクセスや営業時間は
公式サイト | http://www.takakura-art.com/ |
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住所 | 〒987-0702 宮城県登米市登米町寺池桜小路88-1 |
アクセス | ・車 登米ICより5分、新田駅より30分 ・高速バス 仙台駅よりとよま総合支所行き「とよま明治村停留所(美術館前)」下車 |
営業時間 | 9:00~16:30 |
休館日 | 12月28日~1月4日 |
駐車場 | あり |
料金 | 一般200円、高校生150円、小・中学生100円 |
電話番号 | 0220-52-2755 |
予約 | 不要 |
比較的空いている時間 | 午前中 |
備考 | 館内での写真撮影はNG |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です
では、メインの髙倉勝子美術館桜小路から解説していきます。
見どころ:原爆にも負けずに自然への慈しみ描いた作品たち
髙倉勝子美術館桜小路の館長を務める山田忠則さんに、美術館の魅力について伺いました。
編集部
まず、髙倉勝子美術館桜小路の魅力について教えてください。
山田さん
当館では、宮城県登米町(とよままち)(現在の登米市(とめし))出身の大正生まれの女流画家、髙倉勝子さんの絵画作品を展示しております。
髙倉勝子さんご自身の作品93点と、それを収蔵・展示する建物とを登米市にご寄贈され、2009(平成21)年10月に開館いたしました。首都圏ほど多くはありませんが、宮城県内にも一人の作家の作品だけを展示している小さな美術館がないわけではありません。しかし女性の画家となると、2024年1月現在は宮城県内では当館のみです。
また勝子さんは「ご自分の作品を後世に残したい」という気持ちとともに「故郷の文化活動の一翼を担いたい」との気持ちをお持ちになりました。そこで多目的室が設けられたのですが、おかげさまで創作活動をされている方々の発表の場・ワークショップの会場・ミニコンサートなどにお使いいただいております。わずかでも勝子さんのご意向に沿うことができているかと思っております。
東北の小さい農村に生まれ育った勝子さんが表現し続けたのは、自らを育んだ「大きな自然への変わらぬ畏敬の念」と「その厳しさの中で暮らしを営む人々への慈しみ」です。人生経験を積んだ方ほど伝わってくるものがあるような気がいたします。
編集部
高倉勝子さんは広島に原爆が投下された際、ちょうど広島にお住まいで全身負傷されたそうですね。原爆症の不安に生涯悩みながらも、登米の自然に癒されながら創作活動を果敢に続けられたのだ知り胸が熱くなりました。日々、自然の美しさ・凄み・怖さなどさまざまな側面を見つめながら筆を走らせてこられたのだと思います。
高倉勝子さんの作品を拝見すると、優しさが感じられつつも、体のどこかが少し緊張するような気もしました。いろいろな思いが込められているようで、一枚一枚じっくりと見入ってしまいます。
大胆な構図で描かれた作品「漁婦」は必見!
編集部
続いて、高倉勝子作品の展示内容について詳しく教えていただけますでしょうか?
山田さん
和紙と岩絵具を用いて日本画の技法で制作された作品と、水墨画の作品がございます。現在(2021年9月)、常設展示室では日本画24点・水墨画4点をご覧いただけます。
▲常設展示室南側には屏風仕立ての水墨画がある
通路ギャラリーもありまして、絵本の原画16点と、長尺の絵巻物仕立ての作品を三部に分けて額装したものを展示しています。
▲通路ギャラリーは時間を忘れて見入ってしまう作品がたくさん!
▲貴重な絵本の原画が見られる
日本画は額装されており、小品も何点かありますがほとんど縦が1.3m前後の比較的大型なサイズです。これは規格外の独自のサイズなのですが、見応えを感じていただけることと思います。
私のお気に入りは「漁婦」です。勝子さんご自身としても画家としても脂の乗りきった年代である昭和30年代に描かれた作品です。たくましく生きる浜の女性を勝子さんの持ち味ともいえる大胆な構図で、一見暗い色調ながら胡粉の白の鮮やかなコントラストが印象的です。ぜひ作品そのものを見てていただきたいです。
なお、過去にはモチーフやコンセプトを掲げ、「望郷」「春」「仏像」「薪能」といったテーマ展を開催したこともあります。
編集部
岩絵具で描いた日本画と水墨画の、異なる画法が見られる点は魅力のひとつと言えそうです。変化があると気分も切り替わるので、最後まで集中が途切れることなく楽しめますね。
「漁婦」は今でも目に焼き付いています!「漁婦」は第26回河北美術展で東北放送賞に輝いたそうですが、高倉勝子さんはほかにもたくさんの受賞作品がありますね。内閣総理大臣から授かる紺綬褒章にも授与されたのだと伺いました。私では想像し得ないような苦難を乗り越えて強く生きられたお姿は、多くの人に感銘を与えているのでしょうね。
多目的室で鑑賞できる地元の作家たちの作品もお楽しみに
編集部
胸を打つ作品ばかりですので、度々、来館される方もいるのではないでしょうか。髙倉勝子美術館桜小路ではそれぞれの季節でどんな楽しみがありますか?
山田さん
常設展示室の作品は季節ごとに一部を架け替えています。季節ごとに異なる楽しみを感じていただけるようにと思っております。
多目的室では地元の作家さまの作品を随時展示しておりまして、絵画作品に限らずガラス工芸・陶芸・布細工・木工品など時期によって内容が変わります。展示とともにワークショップが行われることもございます。
スクロールで多目的室での展示風景の写真が見られます→
季節ごとに周辺が変化する様子も魅力的です。秋は紅葉、冬は雪景色、そして春は何といっても桜です。当館のシンボルツリーと言えるかと思いますが、前庭の枝垂れ桜はそれなりに見事かと思います。
▲前庭の枝垂れ桜は撮影スポットにもぴったり
▲武家屋敷通りからは大きな桜の木がのぞめる
とにかくこぢんまりとした建物ではありますが、そこここに素朴なおもてなしを忍ばせております。たとえば生けられた野の花、千代紙の変わり折り鶴など、目にされたお客さまにほっこりしていただけたらと工夫を凝らしています。
なお鑑賞後は、ささやかなショップがございますのでお立ち寄りください。当館オリジナルのポストカード、画集、原画を展示している絵本などがあります。多目的室で作品を展示していただいたことのある作家さんたちのオリジナルグッズもあり、フレーム入りイラスト・マグカップ・グラス・ストラップなどを販売しております。
▲ミュージアムショップでは記念になるオリジナルグッズが満載
編集部
高倉勝子さんの作品も、季節によって入れ替わりがあるというのはポイントですね。時期を変えて同じ作品に向き合うことでより深く感じるものもありますし、新しい作品にお目にかかれると高倉勝子さんの新たな一面を知れるようで喜びがこみ上げそうです。
自然の美しさは登米の魅力のひとつだと思いますが、美術館でも自然の移り変わりを感じられるのは嬉しいですね。
ショップも種類が豊富で素敵です。ポストカードはインテリアとして活用するのも良いですし、メッセージを添えて誰かに葉書を送るのも新鮮な感じがして喜ばれそうですよね。
口コミ評価:「強い生命力を感じる」など好評
スクロールで美術館の外観が見られます→
編集部
来館者さんからはどんなご感想がありますか?
山田さん
当館で展示しているのは人物作品が主なのですが、ご自分で絵を描く方はもちろんポートレートを撮られるようなお客さまからは「構図が素晴らしい」とよく言っていただきます。
「ずるい」とおっしゃったカメラマンの方もいらっしゃいました。「解剖学的にはあり得ない、でも表現としてはこれしかないだろう、写真では不可能だ」とのことでした。
労働する女性が描かれて作品については、「強い生命力を感じる」と多くの方がおっしゃいます。
また、昔話を元にした絵本の原画の展示もあるのですが、こちらは力の抜けたなんともユーモラスなのびのびとした画風がご好評をいただいております。
編集部
さまざまな方から絶賛されているのですね。インターネット上にも、感動の声が寄せられていました。
- 目元に特徴があり好感をもった
- 幻想的で力強い作品だった
- 日本画や水墨画がたくさん展示されていて見応えがあった
素朴な情景を描いたものでも、ぐっと引き込まれる作品ばかりで心に残ります。
作品の魅力についてカップルで語り合うのも楽しそうです♪
館長さんからのメッセージ
山田さん
ささやかなお出かけであっても、そうした行動の底には非日常的な時間・空間を求める気持ちが確かにあるのではないでしょうか。
いつもとは違う体験の中で感じたことや受け取ったことは、時間が経っても折に触れて思い出すような特別な記憶になるのではないかと思います。当館でのご滞在がそういう体験を形作るピースのひとつとなれれば幸いに存じます。
編集部
ありがとうございました。
周辺の観光スポットも魅力がいっぱい!
髙倉勝子美術館桜小路の所要時間は1時間程度です。美術館の鑑賞後は、美しい町並み散策へと繰り出しましょう。
編集部
美術館の周辺でおすすめの観光スポットがあれば教えてください。
山田さん
当館のある宮城県登米市登米町は、藩政時代から明治にかけての風情が残る町並みから、「みやぎの明治村」と称されております。
以下の5つの施設と当館を1ヶ月間、自由に観覧できる共通券(一般:1,000円)もおすすめです。
- 教育資料館(旧登米高等尋常小学校:国指定重要文化財)
- 水沢県庁記念館(旧水沢県庁庁舎:市指定有形文化財)
- 警察資料館(旧登米警察署庁舎:県指定有形文化財)
- 隈研吾氏設計の登米懐古館
- 伝統芸能伝承館「森舞台」
当館を含む6施設は、気候のよい春先、秋口には散策がてらご観覧を楽しんでいただけるような範囲に点在しております。
また、みやぎの明治村内にある「春蘭亭」という和風カフェもおすすめです。江戸時代中期の武家屋敷をお休み処としたもので、茅葺屋根、囲炉裏などもそのままの大変風情のあるカフェとなっております。抹茶、コーヒー、季節の上生菓子などのご用意がございます。
また春蘭亭の前の通りは、年数を経た大きな枝垂れ桜の見事なお屋敷など今も藩政時代を彷彿とさせる町並みで、度々映像作品の舞台にもなっております。
とよまだんご:手作りでもちもちの6種類の団子を食べ比べ
「とよまだんご」は、髙倉勝子美術館桜小路から徒歩1分のところにあるお団子屋さんです。茅葺き屋根が目印です。
毎朝その時の温度や湿度などを見極めながら丁寧に手作りしているというお団子は、モチモチとした食感で食べ応え抜群!
おすすめは、ずんだ・くるみ・くり・ごま・あんこ・みたらしの6種の食べ比べができる「六色入りだんご」です。二人でシェアすれば、心までじんわりとあたためてくれますよ。
とよまだんごの住所・アクセス
名前 | とよまだんご |
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住所 | 〒987-0702 登米市登米町寺池桜小路72 |
アクセス | 登米ICより車で5分 |
営業時間 | 9:00~16:00 ※商品がなくなり次第終了 |
CAFE GATI:田園風景を眺めながら食べる熟成カレー
「CAFE GATI」では、のどかな田園風景を眺めながら、自家焙煎のコーヒーとこだわりのカレーがいただけます。
いちばん人気は、熟成させたスパイスを使用した「ガティカレーセット」です。甘さと辛さのバランスが絶妙で、一度は味わいたい一品です。
▲2023年8月の新メニュー「若鶏骨付きもも肉のコンフィ」
CAFE GATIの住所・アクセス
名前 | CAFE GATI |
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住所 | 〒987-0704 宮城県登米市登米町日野渡内の目320-1 |
アクセス | 登米ICより車で3分 |
営業時間 | 11:00〜17:00 月・火曜日定休 |
公式サイト | https://www.cafe-gati.com/ |
道の駅林林館:地元の食べ物、ビール、工芸品をお土産に
「道の駅林林館」は、髙倉勝子美術館桜小路から車で18分ほどのところにある道の駅です。
町内で採れた野菜や市内の銘酒・地ビール、銘菓にくわえて、木工品や陶芸までが揃い、おみやげ探しにもぴったりですよ。
施設内にはレストランも併設されていて、ランチ目的で訪れるのもおすすめです。登米市のB級グルメとして知られる「あぶら麩丼」や、小麦粉を練って作る登米の郷土料理「はっと」など魅力的なメニューが満載です。
道の駅林林館の住所・アクセス
名前 | 道の駅林林館 |
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住所 | 〒987-0901 宮城県登米市東和町米川字六反33-1 |
アクセス | 登米東和ICより車で15分 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
公式サイト | https://rinrinkan.jp/ |
登米ふれあいの森:30分でも回れる!ちょこっと森林散策
登米市登米町の山間で、森林散策を楽しむことができます。
30分で歩ききれる短いコースもあるので、美術館の前後にも気軽に立ち寄ることができます。
また事前に申し込めば、登米ふれあいの森の自然を熟知したガイドにアテンドしてもらうことも可能です。ガイド1人あたり5,000円で依頼できるので、登米の魅力・森の奥深さをもっと知りたい方にはぴったりではないでしょうか。
登米ふれあいの森の住所・アクセス
名前 | 登米ふれあいの森 |
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住所 | 〒987-0703 宮城県登米市登米町大字日根牛上羽沢158-23 |
アクセス | 登米ICより車で22分 |
公式サイト | https://forest100.jp/therapy/ |