山形県庄内町へ移住しよう!子育て・仕事・支援制度など移住に役立つ情報まとめ

この記事では、地方移住を検討している方に向けて山形県庄内町(しょうないまち)の魅力と移住に役立つ情報を紹介します。

庄内町は湯殿山・羽黒山とともに「出羽三山」の一つに数えられる霊峰月山の山頂を有する雄大な自然が魅力のまちです。庄内平野で作られる米をはじめ、庄内柿や旬の野菜などおいしい食材に恵まれています。

また、庄内町は月額3~4万円台で住める支援住宅や補助金などが豊富で、子育て世帯・若者世帯の移住も少なくありません。

今回は、庄内町役場の西尾さんへ庄内町の魅力や仕事・住宅・子育て支援などの移住に役立つ情報を伺いました。

本日お話を伺った方
山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん

庄内町 企画情報課 移住定住係
主事

西尾 真生さん

庄内町の3つの特徴

山形県庄内町の暮らしの特徴

山形県庄内町は山々や田園が織りなす美しい自然景観が魅力です。一方で、山形市に次いで人口の多い酒田市と鶴岡市へは車で約15分で行けるなど、近隣都市へのアクセスも良好です。

そんな「ほどよい田舎暮らし」ができる庄内町への移住は、以下のような方に向いています。

  • 里山暮らしやスローライフに憧れている方
  • 買い物や通勤などの行動範囲を広げたい方
  • 食への意識が高い方・地産地消を通して食育をしたい方

その理由について、庄内町の特徴とともに解説します。

特徴1:日本遺産「出羽三山」の稜線が美しい自然溢れるまち

山形県庄内町の庄内平野
▲黄金色に輝く庄内平野。奥には庄内町に山頂を有する月山がそびえる。

庄内町は、月山・羽黒山・湯殿山の総称である「出羽三山」を有した雄大な自然景観が魅力です。

出羽三山は日本古来の修験道で、月山は「過去」、羽黒山は「現在」、湯殿山は「未来」を表す山とされ、江戸時代より出羽三山の巡礼は「生まれ変わりの旅」と言われてきました。

2021年の日本遺産認定後は、海外からも多くの参拝客が訪れています。このような名峰で普段からトレッキングなどのレジャー体験ができるのは、町民ならではの特権と言えるでしょう。

その他にも、庄内平野の広大な田園風景や「平成の名水百選」に選定されている立谷沢川の清流など、多彩な自然を堪能できます。

特徴2:近隣都市まで車で約15分。買い物やレジャーの選択肢が豊富

庄内町の地形は縦長で庄内地方のほぼ中心部に位置するため、近隣市町村へのアクセスが良好です。

山形県内で人口数上位を誇る酒田市と鶴岡市は、それぞれ車で約15分で行ける距離にあります。2つの市にはショッピングモールやデパートのサテライトショップがあるため、日用品以外の買い物にも困りません。

また、観光にもおすすめです。酒田市には「宮海海水浴場」や日本海の魚介を味わえる「さかた海鮮市場」、鶴岡市には県内唯一の水族館「加茂水族館」や国宝「羽黒山五重塔」があり、お出かけ先の選択肢を広げられます。

自然環境と利便性のバランスが良く、「ほどよい田舎感」を求める方には理想的なまちと言えるでしょう

山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

近隣地域の役場の方も「酒田市と鶴岡市のどちらも楽しみたいなら庄内町がおすすめ」と言うほどアクセスが良好です。また、車で15分~20分走れば山や海へも行けます。

特徴3:全国屈指の米どころ。野菜・果物など食材に恵まれている

山形県庄内町の田んぼに実る稲穂
▲田んぼにたわわに実る稲穂。「つや姫」「雪若丸」など全国的に有名な品種のルーツ。

庄内町は食も豊かです。庄内米をはじめ、種のない「庄内柿」やきのこ類など、さまざまな農作物を栽培しています。

特製みそをしその葉で包み、からっと揚げた「しそ巻き」や、ふきのとう(ばんげ)とクルミを混ぜて作る「ばんけみそ」など特産品も多彩です。

中でも、「おいしいお米のふるさと、庄内町。」を掲げるように、庄内の米は全国で高い評価を受けています。庄内町が毎年主催する「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」で高い評価を得た「つや姫」や「雪若丸」は庄内町がルーツのお米です。

山形県庄内町の農家の方々
▲夏の日照時間が長く、昼夜の温度差が大きい庄内の気候は米作りに適している。

庄内町は昼夜の温度差が大きく、県内でも夏の日照時間が比較的長いため米作りに適した環境と言われています。何より、月山の清流と肥沃な土壌に恵まれていることが、「米どころ庄内」ならではの特徴と言えるでしょう。

山形県庄内町の田んぼ
▲田植え時期の田園風景。庄内平野では毎年5月上旬頃から田植えが行われる。

収穫された米や野菜は、町内のスーパーや道の駅「風車市場」内の農産物直売所などで購入できます。

庄内町の暮らしに関する情報

「庄内町は積雪が多い?」「利用できる支援制度が知りたい」などの疑問を解消するために、庄内町の暮らしに役立つ情報をまとめました。

気候 1月平均気温:0.6度
8月平均気温:24.5度
※参考:気象庁(狩川地点)
人口 人口:19,291人
世帯数:7,011世帯
(2024年4月末日時点)
医療機関 ・病院:1院
・クリニック:13院
学校 ・保育園・認定こども園:3園
・幼稚園:4園
・小学校:5校
・中学校:2校
交通 【飛行機】
・庄内空港(車で約20分)

【電車】
・JR羽越本線:余目駅、北余目駅、西袋駅
・JR陸羽西線:狩川駅、清川駅、南野駅

【バス】
・庄内交通
・町営バス

【車】
・国道:47号、345号
・高規格道路:余目酒田道路「余目東IC」「余目IC」
大都市へのアクセス 【東京】
・飛行機:庄内空港まで約1時間
・電車:山形新幹線
・陸羽西線利用で約5時間

【仙台】
・高速バス:「仙台〜酒田線」約3時間
・車:山形自動車道・東北自動車道利用で約2時間30分
近隣地域 鶴岡市、酒田市、三川町、戸沢村

庄内町は2005年に「余目町」と「立川町」の2つが合併してできたまちで、エリアによって生活環境が大きく異なります。

余目はスーパーやコンビニへ徒歩10~15分で行ける利便性の良いエリアです。アパートが多く近所付き合いがあっさりしています。また、山形県は全域が豪雪地帯ですが、余目エリアは10cm〜15cm程度しか積雪しません。

一方の立川は中山間部の集落で、買い物は車で20分かけて余目まで行く必要があります。循環型の町営バスはあるものの本数は多くないため、車の保有は必須です。人付き合いにおいては距離感が近く、助け合いの文化が根付いています。冬は1m以上積雪するので運転には注意が必要です。

山形県庄内町の雪道を走る除雪車
▲立川エリアや積雪の多い時期は除雪車によって道路が整備される。

庄内町へ移住する際は、利便性を求めるなら余目エリア、山里暮らしをしたいなら立川エリアを選びましょう。

山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

余目エリアはアパートに住めば車がなくてもそこまで不便はありません。ただ、自家用車はあった方が近隣都市への移動などに便利です。

【子育て】入学時ランドセル贈呈。子育て支援センターは土・日曜も利用可

山形県庄内町の子育て支援センターこっころ
▲子育て支援センター「こっころ」。土日も開いているため利用しやすいと好評。

庄内町は子育て世帯向けの施設や支援がそろっています。

子育て支援センター「こっころ」は、0歳児が遊べるおもちゃから大型遊具までそろう遊び場として、ファミリーに親しまれています。子育て相談も随時実施しているため、知り合いがいない移住者にとっては心強いでしょう。

その他、「風車村」のラベンダー畑やブルーベリー畑で摘み取りを体験したり、「カートソレイユ最上川」で本格的なモータースポーツが楽しめたりします。

庄内町が実施している子育て支援は以下の通りです。

▼子育てに関する支援の一例

庄内町誕生祝品 出生児1人につき50,000円相当の商品券を支給
出産・子育て応援事業 出産や子育てに係る費用の一部を支援
・出産応援給付金:5万円
・子育て応援給付金:5万円
病児・病後児保育事業 病気などの際に子どもを一時的に預けられる制度
・対象:生後3カ月〜小学6年生
・期間:連続7日以内/回
子ども医療費の無料化 0歳〜高校3年生の医療費無料
ランドセル贈呈 小学校入学祝いとしてランドセルを贈呈

ランドセルの贈呈は庄内町が合併する前から行われている支援で、カラーは4色から好きな色が選べます。中学入学時にはリュック型の通学カバンが贈られます。

山形県庄内町で行われたランドセル贈呈式
▲小学校入学時には生徒全員にランドセルが贈呈される。

山形県庄内町で贈呈されるランドセル
▲小学校入学時に贈呈されるランドセルの一例。カラーは黒色や赤色など4色から選べる。

その他にも育児の負担を軽減するサポートがそろっています。詳細は下記よりご確認ください。

公式:庄内町「子育て支援」

山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

「こっころ」は役場に併設していて、用事が終わるまで子どもを遊ばせておけるので助かると好評です。平日だけでなく、土・日曜も利用できます。

【教育】地域一体で学習をサポートする公営塾「夢サポート塾」

山形県庄内町で実施されている夢サポート塾
▲庄内町独自の教育「夢サポート塾」。中学生向けの授業では受験対策をしている。

庄内町では、地域住民や元教師が先生となり授業を行う公営塾「夢サポート塾」を実施しています。小・中学生を対象に毎週土・日曜に実施される町独自の取り組みで、地域の特色を生かした学習が特徴です。

高校受験を控える中学3年生を対象にした授業では、教員OBや大学生による受験対策や個々に合わせた学習指導で学びをサポートしています。

また、小学校の授業では庄内平野で田植えを体験する「田んぼの学校」が行われ、自分たちで作った米を食べて地産地消を学びます。

山形県庄内町で実施されている田植え体験の課外授業
▲小学校の課外授業では、地元農家の方たちの協力のもと田植え体験を実施。

子どもたちが作った米の一部は地元の酒蔵で地酒として販売されるなど、地域全体が課外活動に協力的です。

【仕事】テレワーク環境が充実!

庄内町は農業が盛んですが企業勤めの方が多いです。近隣都市に車で15分で行けるため、町外へ通勤する方も少なくありません

大手求人サイトに掲載されている、庄内町と近隣都市の正社員求人数は以下の通りです。

庄内町 約250件 求人一例
酒田市 約1,700件 求人一例
鶴岡市 約2,400件 求人一例

※縁結び大学調べ(2023年10月時点)

業種・職種の選択肢を多く持ちたい方は、酒田市や鶴岡市へ範囲を広げてみましょう。

また、庄内町はテレワークを応援する町です。コロナ禍でテレワークが普及し、転入前の仕事を継続する移住者も珍しくありません。

「立川複合拠点施設」や、庄内町ギャラリー温泉「町湯」にはコワーキングスペースが併設されていて、働きやすい環境が整っています。

山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

庄内町ギャラリー温泉「町湯」では、座敷の一部をコワーキングスペースとして利用できます。平日9~17時の間なら、1日に何度でも温泉やサウナに入ってリフレッシュできますよ。(※毎月第4金曜日9~13時・イベント時などは利用不可)

【住まい】月額3万〜4万円台の子育て・若者世帯向け住宅完備

山形県庄内町の子育て応援住宅
▲子育て応援住宅の外観。民間アパートよりもリーズナブルな家賃で住める。

庄内町では「子育て応援住宅」と「若者定住促進住宅」の2つの支援住宅を設けています。該当する移住者はこの制度を利用して住居費を抑える方が多いようです。

子育て応援住宅 対象:12歳以下の子どもがいる46歳未満の世帯
家賃:32,000円〜
若者定住促進住宅 対象:41歳未満の若者夫婦世帯
家賃:48,000円〜

「子育て応援住宅」は、メゾネットタイプの3LDKで16戸用意されています。「若者定住促進住宅」は木造平屋建ての2LDKで駐車場は2台分使用可能です。

上記以外に、大手不動産サイトや空き家バンクを利用して住まいを見つける方も少なくありません。

2023年10月時点で、空き家バンクには10件の物件が登録されていました。民間のアパートは現在空きがありませんが、公営住宅は入居可能な物件が豊富です。入居を希望する際は早めに問い合わせましょう。

公式:庄内町「空き家バンク登録物件」
公式:庄内町「公営住宅」

住居に関する支援制度は以下の通りです。

定住応援住まいづくり補助金 住宅購入・建築・リフォームなどにかかる費用の一部を補助
【定住応援型】
・新築住宅取得:70万円
・中古住宅取得:30万円
【若者支援型】
・新築住宅取得:30万〜100万円
・中古住宅取得:50万円
移住新生活支援事業 賃貸住宅へ移住する際の引越し費用などの一部を補助
・対象:46歳未満の夫婦、18歳以下の子どもがいる世帯、片親世帯
・補助金:5万〜10万円
移住支援事業費補助金 東京23区に在住・在勤していた方へ支援金を支給
・支援金:世帯:100万円・単身:60万円
・18歳未満の子ども一人につき100万円加算
結婚新生活支援事業 39歳以下の新婚夫婦を対象に住居費などの一部を補助
・夫婦ともに29歳以下の世帯:上限60万円
・それ以外の世帯:上限30万円

各支援の詳細は以下よりご確認ください。
公式:庄内町「住まいに関する支援制度」

庄内町へ移住した人の体験談

山形県庄内町へ移住した方の感想

ここでは、庄内町へ移住した方の声を紹介します。

  • 一時預かりサポートや町で開催している育児相談イベントで育児の不安を解消できた。
  • ほどよい田舎感で暮らしやすい。自然がありながら車を15分走らせれば近隣都市へ行けるので生活に困らない。
  • 風景の美しさに感動した。移住者向け補助金や子育て応援住宅も決め手の一つとなった。
  • おいしいお米や食材に恵まれている。どの飲食店も安くてボリューム満点。

庄内町の魅力について、多くの移住者が自然環境と利便性のバランスの良さを挙げています。大自然の景観やおいしい食材がありながら、近隣都市に近い環境が住みやすさにつながっているようです。

また、庄内町では移住5年程度の方を対象に年に数回「移住交流会」を開催していることもあり、地域に馴染みやすいという声も聞かれます。

2022年の移住者交流会では、庄内町産の食材を使った「親子料理教室」と「そば打ち体験」が行われ、5組〜7組のファミリーが参加しました。

山形県庄内町で開催されている移住者交流会
▲「移住者交流会」のそば打ち体験。さまざまなイベントを通して親睦を深められる。

イベントの内容は季節によって変わります。地域色豊かな体験型の交流会を通して、庄内町の風土に触れてみてはいかがでしょうか。

山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

毎年、移住者交流会を実施する予定です。コミュニティ作りのきっかけにもなるので、移住された際にはぜひご参加ください。

庄内町へ移住するための3ステップ

山形県庄内町の移住イベントで話を聞く移住希望者
▲移住体験住居や移住イベントでは移住相談の時間も設けている

地方移住の失敗を回避するには下調べが重要です。そこで、庄内町で実施している移住イベントなどを紹介します。

最長2週間滞在可能な「移住体験住居」を利用する

山形県庄内町の移住体験住居
▲立谷沢川流域活性化センター「移住体験住居」のリビング。家具・家電が完備されている。

庄内町には最長2週間滞在可能な移住体験住宅が設けています。「庄内町を肌で感じたい」という方は、移住体験住居を利用しましょう。

自然豊かな立谷沢地区にあるため、スローライフを求める方には特におすすめです。家具・家電に加え、Wi-Fiも完備されていてテレワークにも支障がありません。住居の使用料は無料で水道光熱費も不要です。

山形県庄内町にある移住体験住居の外観
▲移住体験住居の外観。

移住体験中は移住に関する相談の時間が設けられています。庄内町の暮らしについて疑問や不安を感じた場合は担当者へ聞いて解消しましょう。

公式:庄内町「移住体験住居」

山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

同行ガイドは行っていませんが、下見をしたい場所がある場合は対応可能です。お問い合わせの際にお伝えください。

「保育園留学」を利用する

庄内町では教育の新しい取り組みとして、企業と共同で2023年8月より「認定こども園からふる」で保育園留学の受け入れを開始しました。

未就学児を持つ方を対象にした大自然の暮らしを体験できるプログラムで、稲穂の観察や町内産の食材を使用した食事、雪遊びなど、庄内町ならではの自然を体感できます。最長で3週間滞在が可能です。

宿泊施設は空き家をリノベーションした住宅で、留学中はオーナー手作りのお米が食べ放題です。稲刈りの際にトラクターに乗せてもらえるなど貴重な体験もできます。

庄内町への移住に関するお問い合わせ

担当課 庄内町企画情報課 移住定住係
住所 〒999-7781
山形県東田川郡庄内町余目字町132-1
電話番号 0234-42-0228(直通)
対応時間 8:30〜17:15
※土・日曜、祝日、年末年始(12/29〜1/3)を除く
公式サイト https://www.town.shonai.lg.jp/
山形県庄内町役場の企画情報課に勤める西尾真生さん
西尾さん

旅行でも構いませんのでぜひ一度お越しください。空気感を味わっていただき、まずは庄内町のファンになってもらえれば嬉しいです。