
【長野県】小布施町「日本のあかり博物館」を中心に、日本文化に親しむデート
今回は、長野県小布施町にある「日本のあかり博物館」をメインに、歴史や文化にふれるデートプランを紹介します。
日本のあかり博物館は、日本初の灯火具(あかりに関する道具)専門博物館です。およそ1,000点の展示品を見たり、ちょうちんやあんどんといった昔の灯火具と電灯の明るさを比べたりして、あかりの歴史を学ぶことができます。
灯火具それぞれに見られる使いやすさのための工夫や、美しい装飾をじっくり眺めて、当時の人々のくらしに思いを馳せてみてくださいね。
近くには浮世絵師・葛飾北斎(かつしかほくさい)の肉筆画を展示する美術館や、小布施町の名産である栗を使った料理が食べられるレストランがありますので、そちらもあわせて巡りましょう。
長野県でデートを検討中のカップルは、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おすすめカップル:インテリア好き、歴史好き
どんなデート?:歴史、文化、ロマン、郷土グルメ
概要:歴史と文化に身をひたす1日デート
今回のデートでめぐるのは、日本のあかり博物館を中心に徒歩でまわれるスポットです。
今回のデートのメイン |
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日本のあかり博物館 |
周辺のデートスポット |
北斎館 高井鴻山記念館 |
ランチにおすすめのお店 |
竹風堂 小布施本店(同一敷地内) |
日本のあかり博物館では、数々の灯火具から歴史ロマンを感じてみてください。同敷地内にある竹風堂 小布施本店では、栗ごはんをはじめ、栗をつかった和スイーツがいただけます。小布施の魅力を食からも探れますよ。
北斎館には、小布施で晩年を過ごした葛飾北斎の浮世絵が展示されています。
また、北斎館に行くなら、北斎を小布施に招いた高井鴻山(たかいこうざん)の書や絵が展示されている「高井鴻山記念館」にも訪れてみてはいかがでしょうか。北斎の影響のもと鴻山が描いた浮世絵も見られるんですよ。
では、まずはメインスポットである「日本のあかり博物館」から紹介していきましょう。
日本初の灯火具専門博物館「日本のあかり博物館」
日本のあかり博物館は、長野県小布施町にある灯火具専門の博物館です。灯火具とはあかりの道具のことで、ちょうちんや石油ランプなどのことを指します。この博物館がユニークなのは、電気を使った「電灯」以前のものを集めていること!
現代のわたしたちにとって、照明はほとんどの場合「電灯」だと思います。日本のあかり博物館の展示を見ているうちに、電灯がなかった時代の暮らしに思いを馳せることになるでしょう。
工夫をこらして生活に必要なあかりを生み出し利用していた過去の人々の心にも目を向けてみてくださいね。ワークシートや詳細な解説パネルが、ふたりの学びと会話を促してくれますよ。
今回は日本のあかり博物館の学芸員である宮坂さんにインタビューし、見どころについて伺いました。
あかりに関する道具をおよそ1,000点展示
編集部
日本のあかり博物館は、どんな博物館ですか?メインの展示をご紹介ください。
宮坂さん
日本のあかり博物館は、昭和57年6月に、日本初の総合的な灯火具専門博物館として開館しました(※1)。
古の人々が実際に使っていた、電灯が灯る前までの「あかり」の道具(あんどん・ちょうちん・石油ランプなど)を約1,000点、常時展示しています。
(※1)参考:日本のあかり博物館公式サイト
▲「あんどん」だけでもこんなに種類がある!見比べるだけでも楽しい
焚火のあかりから石油ランプまでをこれだけ数多くご覧いただける場所は、今ではほとんどありません。小さな専門博物館ではありますが、その分、来館者の皆様に優しい場所でありたいと思っています。
編集部
「電気をつける」という言葉が「あかりをつける」という意味を表すように、今でこそ電気を使った灯りが一般的ですが、少し前までは違っていたんですよね。
数多くの灯火具が展示されているので、「これ見たことある!」「どうやって使うんだろう?」などカップルでも会話が弾みそうです。
昔のあかりについて学べる「日本のあかり博物館」では、展示見学のほかどんな体験ができますか?
宮坂さん
明るさの比較体験室では、あんどんから白熱電球までの明るさを体感できます。
また、どなたでもチャレンジしていただけるワークシートを4種類用意しております。問題に挑戦しながら博物館の道具をご覧いただけますよ。
編集部
あんどんとは、火を使った室内用のあかりのことですね。よく時代劇で見ますが、実物を見たことはありませんでした!白熱電球との違いがとても気になります。
デートでワークシートにチャレンジすれば、あかりへの理解も深まる上、ふたりの距離も縮みそうですね。
灯火具の細やかな工夫や装飾に注目しよう
編集部
宮坂さんが思う、施設の魅力や見どころを教えてください。
宮坂さん
蔵を改築した展示室内では、ゆったりとした時間を過ごしていただけると思います。
館内には1,000点におよぶ「あかり」の道具が、その使用燃料ごとに展示されています。同じ「あんどん」「提灯」にも様々なものがあります。
1つひとつの道具に施された工夫や、それぞれの装飾を楽しんでいただけると嬉しいです。
企画展「明治のキラメキ」 開催中
— 日本のあかり博物館【公式】 (@nihonnoakari1) December 2, 2021
明治という時代を明るく照らした照明具を、時代を写した浮世絵と共にご紹介しています#日本のあかり博物館 #小布施 pic.twitter.com/LyHRkw1QWA
編集部
実用品である以上、使いやすさや明るさに関する工夫は欠かせなかったんじゃないでしょうか。先人たちの知恵を感じるチャンスですね。細部まで装飾を見てみると、意外な発見がありそうな気がします。
ねずみも仕組みもユニークな「ねずみ短けい」は必見!
編集部
数ある展示の中でも、宮坂さんが特に好きなものを教えてください。
宮坂さん
小さなお子さんからお年寄りまで、みなさまの印象に多く残る道具「ねずみ短けい」ですね。
ねずみ年なので、ねずみ短檠をご紹介
— 日本のあかり博物館【公式】 (@nihonnoakari1) January 3, 2020
日本のあかり博物館所蔵ねずみ短檠①#日本のあかり博物館 #小布施 pic.twitter.com/sgnHus4bhz
柱の頂部にねずみの形をした油タンクがのっているもので、柱の中ほどに設置された点灯部となる皿に油がなくなると、サイフォンの原理(※2)によってねずみ形のタンクから自動的に油が補充されます。
(※2)サイフォンの原理:隙間のない管を利用して、液体をある地点から目的地まで、途中出発地点より高い地点を通って導く装置であり、このメカニズムをサイフォンの原理と呼ぶ(引用:Wikipedia)
編集部
これはユニークですね〜!印象に残る方が多いのもよくわかります。思ったよりもねずみからお皿まで距離があるので、補充される様子を一度見てみたいものです。
「日本のあかり博物館」の来館者には、どんなことを学び、感じてほしいでしょうか。
宮坂さん
燃料に火を灯せば「あかり」ができます。そのため、板に釘を挿しただけでも灯火具といえます。しかし、館内の灯火具にはそうしたものはなく、そして1つとして同じものもありません。
古の人々は、少しでも明るく便利に使うために様々な創意工夫や、道具そのものの意匠を考え出してきました。
こうしたところを見ていただくことはもちろん、「灯すための道具」の細部にまで心を向けた、使用当時の人々の思いまで感じていただければ幸いです。
編集部
現代には、スイッチひとつで明るさを得られ、比較的事故の危険性も少ない電灯が普及しているので、「あかり」について改めて考えてみるきっかけがあまりないですよね。
また、電灯がない暮らしをしていた人々が「あかり」をどんなふうに捉えていたのか、そんなことにも心を向けてみると充実したデートになりそうな気がします。
企画展は年3回!浮世絵を見ながら昔のあかりを想像しよう
編集部
過去の企画展、または今後予定している企画展があればご紹介ください。
宮坂さん
日本のあかり博物館では、春は浮世絵展、夏休み期間中は「こどものためのあかりミュージアム」など、通常年に3回企画展を開催しています。
企画展ごとに異なった視点からあかりをご紹介していますので、ぜひそれぞれの企画展をお楽しみいただければと思います。
「あかり」の道具をより楽しく見ていただくため、これまでに「あかりと商い」「文豪たちが見た明治のあかり」「調和~自然とあかり~」などさまざまな企画展を行なってきました。
2022年春現在は「浮世絵にみるあかり 花・華」を開催中です。
▲2022年春現在開催されている企画展「浮世絵にみるあかり 花・華」
▲それぞれの浮世絵に描かれる灯火具が展示されている
2022年夏には「こどものためのあかりミュージアム おしごとのあかり」を、秋から冬にかけては「新収蔵品展」を企画しています。
編集部
浮世絵と、浮世絵に描かれる実際の灯火具が並べて展示されているのは、とても興味深いです!浮世絵を参考に、それぞれのあかりがどのようなシーンで使われていたのか、イメージが湧きやすいなと感じました。
日本のあかり博物館では、企画展以外のイベントやワークショップを実施していますか?
宮坂さん
2022年春現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため休止中ですが、この状況が改善された折には、キャンドルづくりや暗やみ体験などのワークショップの実施を考えております。
※2023年6月現在も、体験型ワークショップは休止中です。
編集部
以前開催されていたワークショップの様子を拝見しました。どれも比較的リーズナブルに短時間で体験できるため、デートならいくつか体験してみてもいいかもしれませんね。
再び体験できるようになる日を楽しみにしています!
白熱灯のもとで雰囲気ある休憩タイムを過ごして
編集部
館内でカップルがゆっくり過ごせるおすすめの場所や、思い出の写真を撮影できるスポットがあればご紹介ください。
宮坂さん
館内の展示室に向かう際に通っていただく廊下には、昔ながらの白熱灯(再現品)が灯っています。この廊下には椅子もあり、中庭をご覧になりながら、一息ついていただける場所となっております。
▲白熱灯のともる廊下。白熱灯のシェードのレトロなデザインにも注目
また館内ではありませんが、博物館入り口を出たすぐ先に大きなカブトムシのオブジェがあり、記念撮影スポットとして人気です。
▲こんなに大きなカブトムシはレア!ぜひデートの記念撮影を
▲和風建築に囲まれたなかにあるカブトムシ像には不思議な魅力がある
編集部
白熱灯のある廊下は雰囲気も抜群で、カップルでゆっくり過ごしたくなりますね。
カブトムシの迫力には度肝を抜かれました!(笑)ツノの先に小さなカブトムシがいるのも、なんとも味わい深いです。
▲大きなカブトムシの角の先には小さなカブトムシが
名産の栗や紅葉を満喫する秋デートをしよう
編集部
日本のあかり博物館への来館に特におすすめの時期はありますか?
宮坂さん
館のある小布施町は栗が有名で、栗のシーズンとなる秋には非常に多くのお客様のご訪問をいただいております。
また当館の周りには絶好の紅葉スポットが点在し、秋を満喫できる観光地です。そんな秋に、当館で「灯火親しむ秋」を楽しんでいただければと思います。
編集部
日が落ちるのが早くなりはじめる秋は、あかりについて学びを深めるのにぴったりな季節でもありますね。これを機に、おうちのあかりを見直してみるのもよいかもしれません。
ショップではあかりに関するお土産を買おう
編集部
デートの記念品がほしくなるカップルもいると思いますが、日本のあかり博物館にはショップはありますか?また、食事がとれる場所はありますか?
宮坂さん
館内入口にミュージアムショップがございます。
ショップでは各種キャンドルやキャンドルホルダー、和ろうそく、火打ち道具など、あかりに関するグッズや図書などを販売しております。
▲キャンドルや竹細工のランプシェードなど、日本のあかり博物館らしい品にあふれる
また館内ではありませんが、同じ敷地の中に、小布施町名物の栗おこわが食べられるレストランを併設した竹風堂本店があります。
編集部
日本のあかり博物館であかりについて知ったあとは、きっとおうちのあかりにこだわりたくなるので、記念品をじっくり選びたくなりそうですね!
中でも、ゆったりした時間が流れるキャンドルは、お家デートのムードづくりにも一役買ってくれそうです。
小布施町デートなら、名物の栗おこわは見逃せません!栗を使ったスイーツも食べられるようなので、時間によってランチ・お茶と使い分けてもいいですよね。
日本のあかり博物館の口コミ評価
編集部
来館者さんからは、どんな声が寄せられていますか?
宮坂さん
年配のお客様からは「懐かしい」という声をよく伺います。ワークシートに挑戦していただいたお客様からも「楽しかった」という声を多くいただいています。
編集部
特に若い世代にとっては、普段馴染みのない展示品が多いと思います。「ワークシートで楽しく学んでほしい」というスタッフさんの心意気が、来館されるお客さんに伝わっていそうですね。
展示品の質・量ともに高評価!
インターネットを使って、編集部でも日本のあかり博物館についての口コミを集めてみました。簡単にまとめて紹介しましょう。
- 貴重なねずみ短けいを見ることができて感激した
- 現代の電灯のありがたみを感じ、昔の人の工夫や苦労を学べた
- 思ったより展示品が多く、時間をかけてじっくり回った
「あかり」という専門的なテーマながら、わかりやすく紹介されているという声もありました。また、展示品の数や貴重さにも言及するレビューが多かったです。
宮坂さんもおすすめされていた「ねずみ短けい」はやはり人気なようで、ここに来たならぜひ見ておきたい一品と言えそうです。
日本のあかり博物館からカップルへのメッセージ
編集部
最後に、デートで「日本のあかり博物館」へ行こうと検討しているカップルへのメッセージをお願いします。
宮坂さん
日本のあかり博物館は、電灯が灯る前までのあかり道具専門の小さな博物館です。団体のお客様のご利用が比較的少なく、皆さま個々のペースでゆっくりご覧いただいております。ご家族やカップルでお見えになる方の割合が多いです。
ぜひ人々の暮らしを支えてきた「あかり」の道具の数々を楽しみにいらしてください。
編集部
普段暮らしていると、電灯のありがたみに気づく機会は意外と少ないものですよね。
個人的には、あかりについて学ぶことは、裏返せば人々と暗やみの関わりについて学ぶということでもあると感じました。
いろいろな感想を持つことができる博物館だと思うので、カップルで意見交換しても楽しそうですね。
本日はお話を聞かせてくださりありがとうございました!
日本のあかり博物館の基本情報
住所 | 〒381-0201 長野県上高井郡小布施町973 |
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アクセス | 【電車】 長野電鉄「小布施駅」にて下車、徒歩約8分 【車】 上信越自動車道「須坂長野東I.C.」より約20分 「信州中野I.C.」より約20分 「小布施スマートI.C.」より約5分 |
電話番号 | 026-247-5669 |
営業時間 | 【3月21日~11月20日】 9:00~17:00 【11月21日~3月20日】 9:30~16:30 ※2022年春現在は9:30~17:00 ※通常通りの開館時間に戻す時期は未定 |
休館日 | 毎週水曜日(祝日は開館) 年末年始 ※8月・10月・11月は無休 |
駐車場 | あり(竹風堂駐車場) ※博物館利用で2時間まで駐車料金無料。博物館で駐車券提示の必要あり |
料金 | 【入館料】 大人:500円 高大生:400円 小中生:無料 |
比較的空いている日時 | ・秋の行楽シーズンを除いた平日 ・午前中 |
公式サイト | https://nihonnoakari.or.jp/ |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。
日本のあかり博物館と合わせて巡りたいデートスポット
日本のあかり博物館の展示を見てまわるには、平均20〜40分程度とあまり時間はかからないようなので、あわせて周辺で巡れるデートスポットを紹介します。すべて日本のあかり博物館から徒歩圏内ですよ。
おすすめのデートスポット
小布施ゆかりの浮世絵師・葛飾北斎の肉筆画「北斎館」
江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎(かつしかほくさい)の絵を紹介するのが「北斎館」です。
北斎は、晩年に小布施町に拠点を構えていたそうです。北斎が小布施町にはじめて足を踏み入れたのは、なんと彼が83歳の頃でした。歳を重ねても創作意欲は衰えることなく、小布施町でも多くの作品を残しています。
北斎が小布施町で完成させた天井画や肉筆画の数々を見ることができ、企画展も充実しているので、芸術に関心のあるカップルは訪れてみてはいかがでしょうか。
公式サイト:北斎館
北斎との交流の証「高井鴻山記念館」
「高井鴻山記念館」は、高井鴻山(たかいこうざん)の書や絵を紹介する記念館です。高井鴻山は豪商の家に生まれ、京都・江戸で学を修め、北斎を小布施に呼んだ人物です。
特に、北斎から影響を受けたといわれている晩年の作品「妖怪画」や、北斎の下絵を元に鴻山が仕上げた「象と唐人図」が見どころです。
公式サイト:小布施町(高井鴻山記念館)
小布施名産の栗をつかった料理「竹風堂 小布施本店」
日本のあかり博物館と同じ敷地内にある「竹風堂 小布施本店」は、昼食やおやつにおすすめのレストランです。
小布施名物の栗を使った定食やスイーツがいただけますよ。ランチには、栗おこわ 山家(やまが)定食がおすすめ!
栗おこわ・山菜の煮物・にじます甘露煮・むかごのくるみ味噌和え・お新香・味噌汁・リンゴジュースがセットになっていて、長野・小布施町の幸を存分に満喫できます。
- 栗おこわ 山家(やまが)定食:1,920円
- 栗おこわ 山里(やまざと)定食:1,320円
- 栗あんしるこ:583円
- 栗みぞれ(夏季限定):583円 など
公式サイト:竹風堂
まとめ:歴史のロマンにふれるデートをしよう
今回は、日本のあかり博物館をメインに、歴史と文化を感じるデートを紹介しました。日本のあかり博物館では、昔の人々があかりを生み出すためにどんな工夫や努力をしてきたのか学ぶことができます。
展示を見てどんなことを感じたかカップルで語り合うと、相手の価値観が見えてくるかもしれませんね。
北斎館や高井鴻山記念館で小布施ゆかりの画家による浮世絵を鑑賞したり、竹風堂 小布施本店で小布施名産の栗をつかったメニューに舌鼓を打ったりと、小布施を好きになるきっかけにもなりそうです。
ぜひこのデートプランを参考に、長野・小布施で思い出に残る時間を過ごしてくださいね。