神奈川県中井町の移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「神奈川県中井町(なかいまち)」の暮らしについて紹介します。

中井町は神奈川県の南西部に位置するまちで、約9,000人の方が暮らしています。1時間程度の距離に東京や横浜の大都市がありながら、都会の喧騒とは無縁の自然豊かで穏やかな環境です。

子育て支援が手厚く、妊娠期から高校卒業までフルサポートしているため、子育て世帯はぜひチェックしてみてください。

今回は中井町役場の山本さんと草川さんに、まちの魅力や住まい・仕事・支援制度などの生活に役立つ情報を教えてもらいました。

本日お話を伺った方
神奈川県中井町マスコットキャラクターのなかまるちゃん

中井町 企画課 政策班
主幹兼班長

山本 丈人さん

神奈川県中井町マスコットキャラクターのなかまるちゃん

中井町 企画課 政策班
主事

草川 賢也さん

中井町の3つの特徴

神奈川県中井町の暮らしの特徴

中井町のキャッチコピーは「ちょうどいい ちょっといい 里都まち♡なかい」。

町の中心に中村川と葛川が流れ、南西部には曽我山などの山々が連なる風光明媚な光景です。一方で、車で約1時間の距離に東京があるように、利便性も兼ね備えた、まさに暮らすにはちょうど良いまちと言えるでしょう。

そんな中井町への地方移住は、特に以下のような方に向いています。

  • 都心の喧騒から離れて穏やかな環境で暮らしたい
  • 健康的な生活を意識したい
  • 農業に興味がある
  • ファミリー世帯

では、中井町の魅力とともにその理由を解説します。

特徴1:都市への利便性と自然のバランスが良い

神奈川県中井町全体の風景
▲中井町全体を見渡した風景。緑豊かでありながら、首都圏へ車で1時間程度で行ける距離

中井町は「ちょうどいい ちょっといい」をキャッチコピーに掲げるように、利便性と自然のバランスに優れています。北に丹沢山地、西には富士山、南に相模湾が広がる自然豊かな環境でありながら、東京や横浜市までは1時間程度とと大都市圏へのアクセスも良好です。

居住エリアは、井ノ口地域と中村・境地域の大きく2つに分かれます。

井ノ口地域はバスの本数が多く、スーパーやコンビニがそろう利便性の良いエリアです。高速道路や近隣地域の鉄道駅への高いアクセス性も魅力の一つでしょう。

3月下旬から4月上旬頃には、清水が湧き出る湿生地として有名な「厳島湿生公園」の桜が見ごろを迎え、家族連れで賑わいます。

神奈川県中井町の厳島湿生公園で楽しめる桜並木
▲井ノ口地区にある「厳島湿生公園」。県内でも希少な清水が湧き出る湿生地

一方の中村・境地域は、山間の自然豊かなエリアです。商業施設は1店舗のみですが、中井町はコンパクトなため、15分ほど車を走らせれば町内どの地区にも行けます。井ノ口地域で買い物を済ませれば特に生活に支障はありません。

中井中央公園にある「ハートの丘」では、4月と9月になると神秘的なダイヤモンド富士を一望できます。限られた地域でしか見ることができない絶景を日常で楽しめるのは、地域住民ならではの特権と言えるでしょう。

神奈川県中井町から眺望できるダイヤモンド富士
▲4月と9月の上旬に姿を現す「ダイヤモンド富士」。中井中央公園にある「ハートの丘」からも眺望可能

特徴2:旬の野菜を育む豊かな土壌と美しい水

中井町は相模湾の影響で冬温かく夏涼しい気候です。この温暖な自然環境は多品種の野菜を少量ずつ生産する多品種栽培に向いているため、四季折々の旬の野菜を堪能できます。

ふるさと納税の返礼品でもある特産品のみかんを筆頭に、4月~6月は玉ねぎ・大根・ニンジン。7月~9月はピーマン・なす・栗、10月~12月は柿・里芋、1月~3月はブロッコリー・長ネギなどの栽培が盛んです。また、多品種栽培は小規模な農家でも続けやすいことから、就農目的で移住してきた方も少なくありません。

さらに、中井町は水もおいしいことで知られています。豊富な地下水が湧く県内でも数少ない地域で、水道水はなんと地下水100%。飲料メーカーとのコラボレーションによってボトル天然水として販売されるほど、中井町の地下水のおいしさはお墨付きです。

特徴3:手厚い子育て支援。妊娠期から高校卒業までフルサポート

神奈川県中井町でこいのぼりを楽しむ子どもたちのようす
▲自然豊かでのびのびと子育てができる環境。四季折々の自然体験を楽しめる

中井町は子育て支援制度に加えて、妊娠期の負担を軽減する支援も用意されています。例えば、妊婦健診の助成金は105,000円と県内トップクラスです。

さらに、0歳~中学生を対象とした児童手当や18歳以下の医療費無償化のように、補助対象となる子どもの年齢を幅広く設定しています。

▼中井町子育て支援制度の一例

給食費全額無料 小・中学校の給食費全額無料
子育て応援紙オムツ補助事業 オムツ用品の購入費として利用できる補助券を配布
・対象:1歳6カ月未満の子どもがいる世帯養育する世帯
児童手当 0歳~中学校を卒業するまでの子どもがいる世帯に給付
・0歳~3歳未満:第1子~15,000円
・3歳~小学生:第1子、第2子10,000円
・3歳~小学生:第3子~15,000円
・中学生:第1子~10,000円
出産育児一時金 妊娠・出産費用を1子につき50万円支給
子育て応援給付金 妊娠5万円、新生児1人5万円補助
妊産婦健診 妊婦健診105,000円、産婦健診5,000円まで負担

公式:中井町「子育て助成・手当」

町内はファミリーで楽しめる遊び場も豊富です。中井中央公園には子どもたちに大人気の101mのローラー滑り台をはじめ、直径22m親水池(プール)、多目的に活用できる天然芝やグラウンドなどが設置されています。2023年度には新しくコンビネーション遊具が導入されます。

神奈川県中井町の中井中央公園にあるローラー滑り台
▲中井中央公園にあるローラー滑り台。休日はファミリーや地域住民の交流の場として賑わう

神奈川県中井町にある中井中央公園の水辺の広場
▲中井中央公園内にある「水辺の広場」。4月~5月に解放され子どもたちが水遊びを楽しんでいる

神奈川県中井町の厳島湿生公園の課外授業のようす
▲厳島湿生公園の課外授業のようす。憩いの場だけでなく学びの場としても利用されれている

神奈川県中井町マスコットキャラクターのなかまるちゃん
山本さん

厳島湿生公園では、ザリガニ釣りや水生動植物の観察もできます。5月中旬~6月上旬はホタル観賞もできるなど、年間通して楽しめるスポットです。

中井町の暮らしに関する情報

神奈川県中井町にあるハートの丘
▲中井町を象徴する「ハートの丘」のモニュメント。富士山を一望できる新定番のビュースポット

以下では、「中井町は車がなくても生活できる?」「どんな支援制度があるの?」といった疑問を解消するために、暮らしに関する情報を紹介します。

気候 1月平均気温:5.3℃
8月平均気温:26.4℃
※参考:気象庁
※中井町に観測地点がないため最寄りの小田原市のデータを参考
人口

人口:8,971人
世帯数:3,435世帯
(2023年7月1日時点)

病院 9院
(2022年4月時点)
学校 こども園・保育園:2園
小学校:2校
中学校:1校
特産品 ・みかん
・なす
・玉ねぎ
・だいこん
公式:里都まちなかいブランド 「なかいの逸品、太鼓判!」
イベント 4月:五所八幡宮例大祭
5月:竹灯篭の夕べ
10月:美・緑なかいフェスティバル
11月~12月:あかりの祭典 など
交通 【電車】※町内には駅がないため近隣地域の最寄り駅を記載
・JR東海道新幹線「小田原駅」
・JR東海道線「二宮駅」
・小田急電鉄小田原線「秦野駅」

【バス】
・神奈川中央交通バス
・オンデマンドバス「中井ふれあいバス」

【車】
・国道246号、県道71号、709号
・東名高速道路「秦野中井IC」
・小田原厚木道路「二宮IC」
近隣地域 秦野市、平塚市、小田原市、二宮町、大井町
都市部へのアクセス 【横浜市】
・車:東名高速道路利用で約50分

【東京】
・電車:JR東海道線とバス利用で約1時間30分
・車:東名高速道路利用で約1時間10分

※縁結び大学調べ(2023年7月時点)

中井町は南部に臨む相模湾の暖流の影響で、冬暖かく夏は涼しく過ごせます。雪はそこまで降らず大雨もあまりないため、気候は比較的安定していると言えるでしょう。

町内に鉄道の駅がないため、移動手段は車が基本です。鉄道を利用する際は、最寄りの秦野市・二宮町へ行く必要があります。とはいえ、日用品や食料品の買い物は町内で完結できるため、車があれば不便はありません。

完全予約型の乗り合いバス「中井ふれあいバス」は、大人200円~・子ども100円~で利用できます。

神奈川県中井町のオンデマンドバス
▲中井町内を走るオンデマンドバス「中井ふれあいバス」。

大型ショッピングモールへの買い物は、車で30分程度の秦野市・小田原市が便利です。また、都心まで車で1時間弱で行けるため、休日になると御殿場のアウトレットやお台場へ出かける方も少なくありません。

その他、地域のイベントも盛んです。『五所八幡宮例大祭』は「かながわのまつり50選」に選定されている中井町を代表する祭りの一つ。五穀豊穣や悪魔退散を願う「鷺の舞」や、江戸時代後期の作品とされる重厚感のある山車の装飾など見どころ満載です。

神奈川県中井町の御所八幡宮例大祭のようす
▲中井町の代表的祭事「五所八幡宮例大祭」。東日本では3つの地域にしか現存しない希少な民俗芸能

5月には厳島湿生公園にて「竹灯篭の夕べ」が開催され、水面に映る灯篭の灯が幻想的な雰囲気を醸し出します。

神奈川県中井町で開催されるイベント竹灯籠の夕べ
▲竹林再生事業の一環として2006年から始まった中井町の風物詩「竹灯篭の夕べ」

神奈川県中井町で開催されるイベント竹灯籠の夕べ
▲灯篭の揺らめきが幻想的な雰囲気を醸し出す

神奈川県中井町マスコットキャラクターのなかまるちゃん
草川さん

町内には27の自治会があります。納涼祭などのイベントを通して地域の方とコミュニケーションを深めることもできますよ。

【教育】英語教育・ICTスクールの推進に注力している

町内には教育機関が小・中学校合わせて3校あります。各学年1~2クラスと少ない環境ですが、その分一人ひとりにきめ細やかな対応が可能です。

英語教育に注力していて、小・中学校では海外の先生による本格的な授業を受けられます。外国籍の子どもが増加している背景から日本語指導にも積極的です。

さらに、小学校でタブレット端末を導入したICTスクールを実施しているため、早いうちからITリテラシーを習得できるでしょう。

学力検定料補助金事業 検定料を一部補助
・対象検定:「実用英語技能検定」「実用数学技能検定」「日本漢字能力検定」
・対象年齢:小学校1年生~中学校3年生

その他、井ノ口公民館では子どもを対象とした講座授業を行っており、親子で楽しめるワークショップなどが開催されます。

地域ごとに会館があるため、勉強や工作などの学習の場として、自由に使うことが可能です。週末には元教育者が講師になって小学生に勉強を教える「土曜学習」も開催しています。

【仕事】工業団地あり。選択肢を広げるなら近隣を視野に

大手求人サイトで調べた、中井町の正社員求人数は下記の通りです。

中井町 約600件 求人一例
近隣都市(秦野市、平塚市、小田原市)

秦野市:約5,000件 求人一例
平塚市:約11,000件 求人一例
小田原市:約8,300件 求人一例

※縁結び大学調べ(2023年7月時点)

町内には工業団地「グリーンテクなかい」があるため、製造業の求人が充実しています。井ノ口と中井町境の2カ所にあり、「富士フイルムビジネスイノベーション株式会社」「コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社」「株式会社オカムラ」などの著名企業を筆頭に40社以上が参画しています。

業界・職種の選択肢を広げたい場合は、通勤30分圏内の秦野市・平塚市・小田原市あたりを視野に入れましょう。車で50分圏内の横浜市へ通勤している方も少なくありません。

また、中井町は温暖な地域柄農業が盛んで、就農したい人にもピッタリな移住先です。地方移住を機に就農したい方は支援制度を利用しましょう。

中井町農業振興補助金 10アール以上の農地で耕作を営む農業者
・1世帯当たり10万円以内
・認定農業者の方は上限20万円以内
新規就農者支援 原則50歳未満で独立・自営就農する方へ補助金を交付
【交付金】
・経営開始1年目~3年目:1年あたり150万円
・経営開始4年目~5年目:1年あたり120万円

その他、就農相談会や座談会も開催してます。各支援制度の詳細は以下よりご確認ください。

公式:中井町「人・農地プランについて」

【住まい】土地購入が多い。子育て・若年世帯は補助額加算

大手不動産サイトに掲載されてる物件情報は以下の通りです。

賃貸物件 約40件 物件一例
戸建て 4件 物件一例

※縁結び大学調べ(2023年7月時点)

中井町では新築・購入費用を助成しているため、土地を購入する傾向が高めです。

▼住まいに関する助成制度

移住・定住推進事業補助金 新築・建替え・新築住宅の購入にかかる費用を補助
・経費の1/2を補助(上限60万円)
・子育て世帯・若年夫婦世帯(※)対象
参考:中井町「移住・定住推進事業補助金」
空き家活用推進補助金 空き家の取得及び改修費用の一部を補助
経費の1/2を補助(上限40万円)
・子育て世帯・若年夫婦世帯には40万円を加算(上限80万円)
参考:中井町「空き家活用推進補助金」

※補足:子育て世帯:中学生以下の子どもがいる世帯、若年夫婦世帯:夫婦のいずれかが40歳未満

2023年7月時点では、空き家バンクの登録物件は少なく、町営住宅も空きがほぼありません。入居を希望する場合は直接中井町役場へ問い合わせてみましょう。

公式:中井町「空き家バンク」
公式:中井町「町営住宅」

中井町へ移住した方の体験談

神奈川県中井町へ移住した方の体験談

ここでは、中井町へ移住した方の声を紹介します。

  • 就農用の土地を探していた際に中井町を見つけた。住みやすいのはもちろん、土壌が良く就農にも適している
  • 待機児童問題がない。里帰りを機に定住を決めた
  • 生活環境の中に自然があるのでのびのびと子育てができる
  • 子育て支援が手厚い。育児費用の負担が少なくて助かっている

特に「自然と利便性のバランスが良い」「子育てしやすい」という声が多い印象です。自然がありながら生活に大きな不便がない点に魅力を感じるのでしょう。子育てサポートが手厚いため、移住後に育児に関する経済的・体力的負担が軽減したという方も少なくありません。

その他、「就農者の受け入れ体制が親切だった」「イベントを通してママ同士がつながることが楽しい」など、人の良さにも魅力を感じて移住した方もいるようです。

中井町への移住に向けた2ステップ

最後に、中井町への移住を検討する際の段取りを解説します。移住後にミスマッチが起こらないよう事前準備は入念に行いましょう。

ステップ1:オンライン移住相談で疑問を解消する

気軽に移住の疑問を解消できるように、中井町ではオンライン移住相談を実施しています。

相談無料で気になる点を質問できるオーダーメイド型なので、遠方の方はもちろん、時間が取れない方や要点を聞きたい方におすすめです。

相談時間は30分程度なので、あらかじめ不安や疑問点をまとめておきましょう。

相談日時 平日9:00~17:00
(11:30~13:30を除く)
実施方法 ZOOM
料金 無料

相談までの流れや申し込み方法などの詳細は下記よりご確認ください。

公式:中井町「オンライン移住相談」

ステップ2:中井町散策マップで下見をする

中井町のディープな魅力を知るには下見は欠かせません。下見をする際は中井町散策マップを利用しましょう。

散策マップは中井町のおすすめスポットを集約した、観光用ガイドマップです。気軽に散策できる5kmコースから近隣市町を通るコースなど、多様なコースが提案されていて移住の下見にも活用できます。実際に足を運んでイメージと現実のギャップを埋めましょう。

公式:中井町「散策マップ」

中井町への移住に関するお問い合わせ

担当課 企画課政策班
住所 〒259-0197
神奈川県足柄上郡中井町比奈窪56
電話番号 0465-81-1111(代表)
対応時間 8:30〜17:15
土・日曜、祝日を除く
公式サイト https://www.town.nakai.kanagawa.jp/
神奈川県中井町マスコットキャラクターのなかまるちゃん
山本さん

子育て支援が充実しているので、特にファミリーには住み心地の良いまちですよ。穏やかでゆったりとした環境で暮らしてみませんか?