福島県北塩原村に移住しよう!移住に役立つ暮らしの特徴・仕事・支援制度などを解説

福島県会津地方北西部にある北塩原村は、面積の大半が「磐梯朝日国立公園」に属しており、日本百名山「磐梯山」有する東北屈指の高原リゾート「裏磐梯」がある村です。

四季折々の風光明媚な景色と、湖・山好きがオールシーズン楽しめるアクティビティーがあります。一方、田んぼや畑が広がる会津ならではの農村景観や歴史ある温泉もあり、リゾート暮らし、田舎暮らしの両方を楽しめます。

北塩原村は、釣り、山登り、野鳥、温泉、キャンプ等、好きが高じて移住し創業する方が多いのが特徴です。また、子育て支援が手厚く、美味しい農産物を生産出来る豊かな土壌、移住者をあたたかく迎え入れる風土がある為、自然の中でのびのびと子育てをしたい世帯や、新規就農にもおすすめの地域 です。

今回は、北塩原村移住コーディネーターの山口さんに話をお聞きしました。

本日お話を伺った方
北塩原村総務企画課企画室の山口さん

北塩原村 総務企画課 企画室 移住コーディネーター

山口 友香里さん

北塩原村の特徴3つ

福島県北塩原村暮らしの特徴

北塩原村は3つの村が合併して出来た村で、エリアごとに生活様式や地域の特性が異なります。

エリアごとの特徴

北山・大塩地区:標高300~500mの農村地域。車で喜多方市まで約10分、会津若松市まで約30分。利便性が良く、新規就農や、子育て世代が暮らしやすい地域。
桧原・裏磐梯地区:標高800mの絶景高原リゾート地。

福島県北塩原村の地図

北塩原村での暮らしは次のような方に適しています。

  • 湖・山好きが高じて移住したい
  • 新規就農をしたい
  • 自然豊かな環境でのびのび子育てをしたい

上記のような方に適している理由を3つの特徴から解説します。

特徴1:来訪者を魅了する県内随一の絶景高原リゾートがある

北塩原村の磐梯山
▲移住者に人気の「裏磐梯高原」は自然豊かな景勝地です。

「裏磐梯高原」は、明治の磐梯山大噴火により川がせき止められ、300以上の湖沼群が点在する今の景観が誕生しました。

「五色沼湖沼群」・「桧原湖」をはじめとする湖沼群はそれぞれに独特な魅力があり、年間約200万人の観光客が訪れる東北屈指のリゾート地です。また、下記の「聖地」として知られ、日本中から愛好家や移住者が集まります。

  • スキーヤー・スノーボーダーの聖地
  • ワカサギ釣り・スモールマウスバス釣りの聖地
  • 写真愛好家の聖地
  • 野鳥愛好家の聖地
  • 山岳愛好家の聖地

福島県北塩原村の冬の裏磐梯
▲北海道に負けない良質なパウダースノーを楽しめる「裏磐梯」

村内に多彩なコースを持つスキー場が点在。令和5年に磐梯山の南斜面と北斜面を連結リフトで繋ぐ国内最大級の新スキー場も誕生します。

福島県北塩原村で楽しめる湖上でのワカサギ釣りの様子
▲【ワカサギ釣り・スモールマウスバス釣りの聖地】

冬は氷結した湖の上での穴釣り、屋形船やドーム船でのワカサギ釣りをしに、グリーンシーズンはスモールマウスバスの強いひきを求めて釣り客が集まります。

北塩原村の満点の星空
▲北塩原村ならではの満天の星空

北塩原村の桧原湖の桜
▲【写真の聖地】

湖沼、山、川、滝、雲海、霧、星空、花、新緑、紅葉、雪、太陽の光などが織りなす風景は唯一無二。撮影スポットが無数に点在します。

北塩原村の野鳥の生息地
▲重要野鳥生息地(IBA)として国際的に認定された珍しい野鳥に出会える地域

北塩原村で見ることができる野鳥たち
▲カメラを片手にバードウォッチングも楽しめる

村内に磐梯山、猫魔ヶ岳、西吾妻山、17のトレッキングコースがあります。特に「五色沼自然探勝路」、湿原一面にニッコウキスゲが咲く雄国沼まで続く「雄国せせらぎ探勝路」が人気。また、磐梯山周辺は「磐梯山ジオパーク」に認定され、地質学的にも貴重な地域です。

大自然を満喫できる「雄国沼湿原」
▲トレッキング人気スポット「雄国沼湿原」は国の天然記念物

北塩原村の五色沼
▲代表的な村の観光スポット「五色沼湖沼群」

五色沼湖沼群は、30余りの湖沼の総称です。噴火時に流入した鉱物などの影響で沼によって色が違います。また、五色沼湖沼群を巡る道もトレッキングコースで、約4㎞の平坦なコースです。

このように「裏磐梯高原」は、大自然の中で創業したい人、家具やアート作成等の拠点を探している人、リモートワークをしたい人や、元気なシニア世代が趣味を楽しみながらアクティブに暮らすのにおすすめの地域です。

特徴2:豊かな土壌と寒暖差が美味しい米や野菜を育む新規就農に向いた地域

北塩原村の大塩エリアの棚田
▲標高300m~800mの豊かな大地で美味しい米と野菜を育む

北塩原村は農業も盛んです。標高が高い場所では甘味が強い大根、トウモロコシ等の高原野菜を、盆地では「会津こしひかり」や、キュウリ、アスパラ等の栽培が盛んです。

村内には農業法人があり、農業法人で働く地域おこし協力隊の募集があります。新規就農のハードルとなる土地や技術の取得等、働きながらサポートを受けられる為、農業にチャレンジしたい方は地域おこし協力隊から入るのがお勧めです。

村内の農産物はふるさと納税の返礼品としても人気があり、観光客等からの引き合いがある為、北塩原村は『特色ある農業』を営む事が出来る地域です。

特徴3:移住者や子どもをあたたかく迎え入れる村人や環境がある

北塩原村の北山薬師如来祭
▲村人が集う「北山薬師如来祭」

北塩原村は村人が財産です。村人は奥ゆかしく優しいですが行動力がある人が多いのが特徴です。地域毎に住民の特色が違います。

農村地域では地域の年間行事が多く、人と人の繋がりが深いです。地域住民で協力してお祭りの運営や、草刈り等の集落の保全活動をしています。

村内のリゾート地は、湖・山好きが高じて移住した方が村内各地でアクティビティー会社や宿泊施設等を創業し、長年経営をしています。創業検討中の方は経験豊富な地域の方から創業や暮らしの話を聞いてみるのがお勧めです。

北塩原村で楽しめる湖上アクティビティー
▲湖上で楽しむアクティビティー

北塩原村は、小さな村だからこそ「目が行き届いた環境」があります。子どもの数が少ない為、集落内で子どもが困っていると近所の人が手助けをしてくれ、子どもが危ない事をやっていると近所の人が心配をして声をかけてくれるのが日常です。

北塩原村でのびのびと遊ぶ子供たち
▲村民に見守られながらのびのび育つ村の子どもたち

また、幼稚園・小中学校にも地域の人が日常的にボランティアで出入りしており、自校給食では近隣農家さんが届けてくれた野菜や村内の特産品も使われています。

公民館活動・学校活動では、村内の「農村地域」と「リゾート地」の子どもの交流があります。村の子ども全員に村内のあらゆる施設・場所を見て学ぶ機会があります

温泉旅館や会津山塩工場などの施設見学、キャンプ場での水遊び・宿泊体験、じゅんさい摘み体験、雄国沼や五色沼でのガイド付きトレッキング、スキー教室、田植え稲刈り体験、ヤマメの放流など、村の子どもたちは村内で地域の人にあらゆることを教えてもらいながら育ちます

北塩原村の子供たちが楽しみにしているキャンプ体験の様子
▲「キャンプ体験」は村の子ども達が楽しみにしている体験の一つ

北塩原村の暮らしに関する情報

ここからは、北塩原村の暮らしに関する情報をご紹介します。

気候

8月平均気温:22.7℃
1月平均気温:-2.1℃
※参考:気象庁
北塩原村に観測地点がないため、近隣の猪苗代のデータを掲載

人口 人口:約2,385人
世帯:約1,086戸
(令和6年11月1日現在)
病院 病院・クリニック:2
(令和5年8月現在)
学校 保育園:1園
幼稚園:2園
小学校:2校
中学校:2校
(令和5年8月現在)※幼稚園・小中学校は地域によって送迎バス有
※村内に高校は無いが近隣都市にある
交通 【鉄道】
なし。最寄り駅は、JR磐越西線の猪苗代駅、喜多方駅

【バス】
・会津乗合自動車(株)(喜多方裏磐梯線・喜多方大塩線など)
・交通空白地域解消コミュニティーバス(裏磐梯地区・大塩地区)

【車】
喜多方市まで約10分
猪苗代町まで約20分
会津若松市まで約30分
近隣都市 喜多方市・猪苗代町・磐梯町・会津若松市

北塩原村では車移動が基本ですが、バスで猪苗代駅・喜多方駅まで行くことが出来ます。

日常の買い物は、裏磐梯エリア在住者は村内のコンビニ・商店の他、車で約20分の猪苗代町へ行きます。北山・大塩・桧原エリア在住者の日常の買い物は、村内の商店の他、喜多方市へ行きます。

医療については、村内の「裏磐梯エリア」に総合診療をする病院があり、あらゆる相談にのってくれます。

北塩原村は雪が沢山降り積もる地域です。標高によって降雪量に違いがありますが、車のスタッドレスタイヤ装着は必須です。10cm以上の降雪で道路は除雪ブルドーザーが走ります。家庭でも除雪機が必要な地域があります。

除雪ブルドーザーが除雪する様子

【子育て】子育て支援制度が充実。地域連携教育や友好都市との異文化交流にも力を入れている

北塩原村の子どもたち

北塩原村では、子育て世帯への支援が充実しています。経済的な支援の一部をご紹介します。

給食費無償化 小学校・中学校の給食費を無償化(9年間で約50万円の家計負担が軽減)
こども医療費無料 0〜18歳の医療費が無料
出産祝い金 出産祝い金を支給(1人目10万、2人目20万、3人目以降30万円)
北塩原村出産・子育て応援交付金 母子手帳交付時に5万円・出産後に5万円を支給
「食」で育む子育て応援給付 満4歳の子育て世帯に5万円を支給
保育料の軽減 村内保育園では、保育料が国基準より軽減

北塩原村の幼稚園小中学校では1クラスあたり15人以下と少人数です。(令和5年8月現在)自主学習やマラソンなどに力を入れており、先生の目が行き届いた学級運営がなされているのが特徴です。村の事業所、団体、地域住民の力を借りた地域連携教育も盛んです。

北塩原村の幼稚園児の稲刈り体験
▲地域の農家さんと連携した幼稚園児の稲刈り体験

学校給食では郷土料理やイベント料理の提供日があり、食育にも力を入れています。また、村の小中学校に通う子どもには、希望者全員が友好都市の台湾や沖縄県東村へ行き、異文化体験をする機会があります。

北塩原村は学校での様子を細かく発信しているので保護者も安心です。

北塩原村教育ポータルサイト:https://kitashiobara.fcs.ed.jp/

村の子どもの日常的な遊び場は近所の原っぱや校庭です。遊具がある遊び場に行く時には車で10~20分かけて近隣の喜多方市「めごプラザ」や猪苗代町「カメリーナ」などへ行きます。

【仕事】自営業・農業者が多い。会津若松市が通勤圏内の為、会社勤めをする人も

大手求人情報サイトで北塩原村の求人を調べたところ、約40件ヒットしました(令和5年8月現在)
※求人情報の一例

通勤時間30分圏内の25km以内で検索すると、約3,400件ヒットしました(令和5年8月現在)
※求人情報の一例

村内で仕事をする人は、自営業をする人(ペンション・キャンプ場等の宿泊施設経営、レストラン・工務店等の経営)、ホテル等の大型観光施設やスキー場勤務をする人、農業を営む人、リモートワークをする人が多いです。

村外に通勤する人は、近隣市町(会津若松市・喜多方市・磐梯町等)の企業や病院などに勤務する人が多く、子育て世代は共働きが多いです。

【住まい】村営の賃貸住宅や空き家バンク等の活用を。民間賃貸物件はわずか

北塩原村の空き家バンク掲載物件の一例
▲「住まいのバトンタッチ事業」で貸している村営の賃貸住宅

大手住まい情報サイトで北塩原村の民間の賃貸物件を調べましたが、件数はとても少ないようです(令和5年8月現在)

そこで、北塩原村では「住まいのバトンタッチ」事業として空き家を活用した賃貸住宅を貸し出しています。これは村が空き家を10年間借り上げて改修し、移住希望者に安価な家賃(例:4LDK月2万円)で貸し出しを行うものです。まずは賃貸物件に住みたい人にお勧めです。

また、北塩原村では空き家バンクが利用できます。こちらもぜひご活用下さい。 売却物件は、大きな屋根の古民家、築10~20年程の戸建て住宅、元別荘、元ペンションなどがあります。観光地ならではの物件も登録されています。

また、空き家バンクに賃貸物件が登録されることもしばしばあります。北塩原村への移住をお考えの方はぜひチェックしてみて下さい。

空き家バンクの登録物件は改修が必要なものも多いので、補助金を利用しましょう。下記の2つの補助金は併用ができます。

空き家改修補助金事業 空き家バンクに登録された物件のうち条件を満たすもので、村内の事業者に発注した改修にかかる費用について、最大150万円を補助
「住んでふくしま」空き家対策総合支援事業 空き家の清掃・改修に要する費用について最大250万円を補助

※補助金や制度の情報は令和5年8月現在のものです。申請を希望する場合は必ず事前にご相談ください。

公式:北塩原村「きたしおばらぐらし『北塩原村空き家バンク』」

住宅取得時には、移住促進住宅取得支援事業として「住宅取得支援補助金」が受けられます。村へ移住し、住宅を取得する際の費用の一部を北塩原村と福島県が補助するものです。詳しくは下記リンクをご確認ください。

公式:北塩原村「【移住・定住支援施策】移住促進住宅取得支援事業のお知らせ」

北塩原村に移住した人の声・感想

福島県北塩原村移住者の声

次に、北塩原村に移住した方の感想をご紹介します。

Web関連の個人事業主

転勤で村内の大型ホテルへ来て結婚を機に村へ移住しました。村民の親切心や、気さくさ、やさしさに触れ、いろいろな方との心のふれ合いを通じて、裏磐梯の大自然に魅了され、仕事と余暇(バードウォッチング。カワセミや珍しいアカショウビンが見られる)のバランスを取りながら、この環境でしか叶わない、生活の豊かさや、心の安らぎを実感し、毎日を楽しんでいます。

宿泊施設経営者

ブラックバスの聖地といわれる桧原湖(ひばらこ)へ通うようになったのが、移住のきっかけでした。
生活するには不便なところはありますが、生活に慣れ、地域のいろいろな方と知り合えて、お付き合いの幅が増えると、生活基盤が落ち着き、いろいろな意味で不便を楽しめるようになってきました。

蕎麦屋・こども食堂経営者

「窓から見える大自然の景観と小川のせせらぎを聞きながら、好きなそばが打てる」と思い、一度でここが気に入りました。初めは2拠点生活をして徐々にこちらに慣れていったのが良かったのか、今では、困ったときでも地域の人に相談したり、助けていただきながら、生活を送れています。こちらに来て地域の歴史にも興味がわいています。大自然に囲まれた環境にいると、いろいろなことにチャレンジしていきたいという思いが尽きません。

ゲストハウス・山小屋経営者

紅葉の美しさ、森と湖の豊かさ、木々と水辺の風景に一瞬で魅了され、移住を決意。住んでいる家は、別荘だったのですが、見つけたときはあまり使われていなかった様子で藪に囲まれた家でした。この地域の人々の出会いの中で、たくさんの協力や支援をいただきながら、幸運にも今に至っています。

北塩原村へ移住するために利用したい窓口・支援

北塩原村移住の情報収集が済んだら、ぜひ下見に行ってみましょう。村内には宿泊施設が多数あるので、宿泊をしてリアルな北塩原村での暮らしを体験し、現地の人と直接話をしてみて下さい。福島県では交通費・宿泊費の助成制度があります。上手に活用して下さい。

公式:福島県「【福島への交通費をお得に!】ふくしま移住希望者支援交通費補助金」

移住地として北塩原村を検討している方は、観光ベストシーズンの春や秋ではなく、冬と夏の来訪をお勧めします。冬は雪が降る集落の様子や雪国ならではの住まいの工夫を見て、夏は盆地の暑さや避暑地の涼しさを体感して下さい。

北塩原村総務企画課企画室の山口さん
山口さん

村の自然の厳しさは想像以上かもしれません。それでもこの村にいたいと思える不思議な魅力がある村です。清流の清らかさ、白銀の世界、新緑、紅葉の美しさは毎日見ても飽きません。

良い部分と大変な部分の両方を知った上でここを移住地に選んで頂けると嬉しいです。わかさぎ釣りやスノーボードなどのアクティビティーも楽しいですよ。

北塩原村への移住に関する問い合わせ

移住相談窓口 北塩原村 総務企画課 企画室
住所 〒966-0485
福島県耶麻郡北塩原村大字北山字姥ケ作3151番地
電話 0241-23-3112(企画室)
公式サイト 北塩原村公式ホームページ「北塩原村」