犬山市への移住ガイド:交通の便と災害に強い街づくりが魅力|愛知県
この記事では、東海地方での移住を検討している方に向けて、愛知県犬山市の暮らしに役立つ情報を紹介します。
愛知県の最北端に位置する犬山市は、歴史文化と自然に溢れるまち。市内には国宝に指定された天守をもつ「犬山城」をはじめ、1,300年の歴史を誇る鵜飼の舞台となる「木曽川」など、東海地方を代表する観光名所も点在しています。
また「住みやすさ」にもこだわり、防災や子育て支援など、住民が安心して暮らせるようなまちづくりにも力を入れ、独自の施策作りなどにも積極的に取り組まれています。
今回は犬山市役所・企画広報課の若山優希さんにインタビュー取材させていただいた内容をもとに、犬山市の特徴や魅力についてお伝えしていきます。
犬山市移住の3つの魅力:交通・防災・文化
犬山市で暮らす大きな特徴として、次の3点が挙げられます。
- 交通の利便性が高く、名古屋や岐阜へアクセスしやすい
- 災害に強いエリアで、ペット同伴の「同室避難所」もある
- 身近な場所で、歴史文化や自然の魅力を体感できる
ここからは、これらの特徴について詳しく紹介します。
(魅力1)名古屋・岐阜へのアクセス抜群:犬山市の交通利便性
犬山市には7つの鉄道駅があり、「犬山駅」を拠点に名古屋鉄道の小牧線・犬山線・広見線、また岐阜県へ向かう各務原(かかみがはら)線も通っています。そのため、名鉄名古屋駅までは電車で25分、名鉄岐阜駅までは30分ほどでアクセスできます。
また車でのアクセスも良いエリアで、市内に国道41号が通っているため、名古屋市内へは1時間ほど、北区までなら30分ほどで移動可能。交通の便が良い犬山市では、市外への通勤・通学はもちろん、おでかけにも困りません。
電車で岐阜県内の観光スポットを巡ったり、名古屋までドライブがてら遊びに行ったりなど、東海地方の魅力を気軽に満喫できる場所となっています。
アクセスが良いので、市外にもおでかけしやすいですよ。
(魅力2)安心の街づくり:災害に強い犬山市とペット同伴避難所
犬山市は「災害に強い」まちです。「災害に強い」とは地震の揺れに強いことを指し、東海地震や南海トラフ地震などが起きた際、地震の揺れや液状化などによる被害が少ないという数字が出ており、愛知県内でも災害に強い地域と言えます(※)。
(※)参考:犬山市役所(東海地震・東南海地震・南海地震等(南海トラフ地震)被害予測)
また、近年話題に上がっているペット同行の避難所ですが、犬山市では指定避難所33ヶ所のうち3ヶ所がペットと一緒に避難できる「同室避難所」になっています。
万が一、災害が起きてしまったときも大切な家族の一員と一緒に避難できる場所があれば、飼い主やペットの不安感を軽減できると思います。
参考:犬山市役所(災害時のペット対策)
自然災害がいつ起こり得るかは誰にもわかりませんが、災害が起きたときに安心して避難できる環境が整備されているかどうかは、生活するうえで重要なポイントです。
防災環境が整っているまちへの移住を考えているのであれば、犬山市も候補に入れてみてください。
(魅力3)日常に溶け込む歴史と自然:犬山市の文化的魅力
生活エリア内で歴史や自然の魅力を満喫できるのも、犬山市の魅力の一つ。
国宝に指定されている天守を持つ「犬山城」はもちろん、江戸時代の町並みが残る「犬山城下町」は、近年レトロなカフェやスイーツ店が増えていることから、若い世代にも人気のスポットになっています。
▲春には犬山城と桜のコントラストが楽しめます
自然環境では、尾張冨士を背にした桜並木が見事な「五条川」をはじめ、ワカサギ釣りで賑わう「入鹿池」や、岐阜県との県境にありハイキングができる「八曽自然休養林(はっそしぜんきゅうようりん)」などがあります。
▲八曽自然休養林にある落差18mの「八曽滝」は「平成の名水百選」にも選ばれています
また「尾張のもみじ寺」とも呼ばれる「寂光院」は、犬山市屈指の紅葉スポット。
境内には約1,000本の紅葉があるので、11月上旬から12月上旬にかけて開催される「もみじまつり」では、見ごたえ抜群の色鮮やかな景色を満喫できます。
参考:継鹿尾観音「寂光院」
このように、犬山市には魅力的なスポットがたくさんあります。日々の生活の中で歴史文化や自然に触れあえるので、休日は市内を散策しながら、お気に入りの場所を見つけてみてはいかがでしょうか。
天気の良い日に、サイクリングを楽しむのもおすすめですよ。
犬山市の暮らし:子育て・仕事・住まいの総合情報
それでは、犬山市の暮らしに関するデータを見ていきましょう。
気候 | 1月:9.3℃ 8月:33.2℃ ※参考:気象庁ホームページ (犬山市に観測地点がないため、近隣の名古屋市のデータを掲載) |
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人口 | 71,913人 (2024年2月1日時点) |
病院 | 病院:5、診療所:41、歯科:31 |
学校 | 保育園:13、認定こども園:2、幼稚園:1 小学校:10、中学校:4 |
交通 | 【鉄道】名古屋鉄道(小牧線、犬山線、広見線、各務ヶ原線) 【バス】岐阜バス、犬山市コミュニティバス(わん丸君バス) |
近隣都市 | 【愛知県】小牧市、春日井市、扶桑町、大口町 【岐阜県】各務原市、坂祝町、可児市、多治見市 |
※人口以外の数字は2024年3月時点のものです
犬山市には医療機関をはじめ、スーパーやドラッグストアなどの生活利便施設が充実しているため、普段の生活には大変便利です。
市内には大型ショッピングモールはありませんが、買い物や映画などを楽しみたいときは、隣接の車で20分ほどの場所にある扶桑町(ふそうちょう)や、30分ほどの各務原市(かかみがはらし)にはそういった店舗が多くあると伺いました。
また市内の移動手段には、犬山市のコミュニティバス「わん丸君バス」が便利です。
1日の乗車料金は大人200円、小学生100円で、市内の公共施設を中心とした10の路線を月〜金曜日に運行しています(祝日も運行)。
バスロケーションシステムを使えば、バスの運行状況もわかるので、車好きの子どもが居る人は、バスを乗り継ぎながら市内を散策してみるのも良いでしょう。
参考:犬山市役所(わん丸君バス)
充実の子育て環境:犬山市独自の支援制度と教育への取り組み
犬山市は子育て支援にも力を入れているまちで、市の独自の施策にも取り組んでいます。
なかでも、「多子多胎世帯子育て支援事業」は3人以上の子どもや双子などの多胎児がいる家庭を対象とした事業で、第3子以降の子どもが中学校卒業まで、さまざまな分野で継続的な支援を実施しています。
▼「多子多胎世帯子育て支援事業」が実施する支援内容の一例
- 0〜1歳までおむつの宅配(2ヶ月に1回)
- 第3子以降の給食費の無料化
- 米10kgを配布(年1回)
職員さんのお話では、お米の配布は特に評判が良く、毎年秋頃に、犬山産の新米10kgがプレゼントされるとのこと。ほかにも、さまざまな取り組みが行われているので、犬山市での子育てを検討している方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
公式:犬山市役所(多子多胎世帯子育て支援事業)
また、小中学校の給食は自校調理方式を取り入れているので、子どもたちは校内で作られた温かい給食を毎日食べられます。地元の野菜を使ったメニューや季節の献立もあるので、食べることが好きな子どもにとっては魅力的な環境と言えるでしょう。
その他、市内の子ども未来園(市立保育園)の園庭は全園芝生化しており、擦り傷などの心配をすることなく、元気よく走りまわることができるので、保護者の方も安心です。
きめ細やかな教育:少人数制とチームティーチングの実践
子育て支援と同様に、犬山市では子どもたちの教育にも力を入れ、以下3つの取り組みを実施しています。
▼犬山市の教育における3つの取り組み
- 少人数学級
- 少人数授業
- TT(チーム・ティーチング)
1クラスの人数が35人以下の「少人数学級」は、市内の全小学校で実施されています。クラス内の人数が少なくなれば先生との距離も近くなるので、通常学級よりも手厚いサポートが受けられるでしょう。
また小学校の算数、中学校の算数・外国語の授業では、1クラスを2つに分ける「少人数授業」が導入されています。
通常の授業よりも個人に合わせたペースで授業を進めることができるので、基礎が身につきやすくなったり、大勢の前で話すことが苦手な子どもでも質問しやすかったりなど、きめ細やかな教育に期待できるのではないでしょうか。
そして「TT(チーム・ティーチング)」では、一つの授業をメインとサブの複数の先生で担当します。犬山市では小学校理科の授業で導入したことで、実験の授業が多くなり、理科に興味を持つ子どもが増えているそうです。
ほかにも、犬山市では「読む・書く・聞く・話す」を意識した教育を取り入れています。子どもたちが読書に親しみを持つことができるよう、市立図書館の2階に子ども読書空間「ブックキャンプ」を設置し「読解力」の向上に力を入れています。
読解力が向上すれば、授業内容を丸暗記するのではなく、「なぜ、そうなのか」を自身の頭で考え、知識として蓄えていけるので、子どもたちの思考力UPにも期待できるのではないでしょうか。
このように教育面にも注力している犬山市は、子どもたち一人ひとりに寄り添った教育を重視している方にはぴったりの場所なのではないでしょうか。
参考:犬山市役所(犬山市暮らしの魅力)
伝統文化を学ぶ「子ども大学」:犬山市の特色ある教育プログラム
犬山市では、学校の授業では得られない学びや体験をする場として「子ども大学」を開校しています。対象は市内に住む小中学生で、学校が休みの土・日曜日を利用して、以下のような体験学習を行っています。
▼子ども大学の教室の一例
- 農業
- 華道
- 茶道
- 俳句
- 和太鼓
- 歴史探訪
職員さんのお話では、参加者は毎年300人ほどで、日本の昔ながらの文化が学べる教室が約20種類開設されているとのこと。昔ながらの技術や伝統文化に触れ、遊びながら学びを深める場になっているので、子どもの習い事として検討してみるのも良いでしょう。
参考:犬山市役所(子ども大学)
犬山市の仕事事情:豊富な求人と移住者向け就労支援金
犬山市の正社員求人を大手の求人情報サイトで検索したところ、2,182件の求人が見つかりました。また、車で30分程度の通勤圏(25km圏内)まで範囲を広げると、132,813件の求人情報がありました。(2024年3月時点)
※参考:求人情報の一例(犬山市のみ)
※参考:求人情報の一例(犬山市から25km圏内)
市内の求人も多いですが、名古屋や岐阜へのアクセスも良い場所なので、通勤エリアを広げるとさらに職業の選択肢が広がります。
犬山市の平均年収は529万円なので、移住を機に転職を検討している方は参考にしてみてください。
※参考:犬山市の平均年収
また、犬山市では東京圏からの移住者で、市内で就業・起業する方を対象とした「犬山市就労移住支援金」があります。交付金額は以下の通りで、18歳未満の子ども1人につき100万円の加算もあるので、該当する方は公式サイトで詳細をチェックしてみてください。
▼犬山市就労移住支援金の交付金額
- 世帯移住:1世帯につき100万円
- 単身移住:1人につき60万円
公式:犬山市役所(犬山市就労移住支援金)
犬山市の住居事情:賃貸・売買物件の充実と空き家バンク
大手住宅情報サイトで犬山市の賃貸物件を検索したところ、627件の物件が見つかりました(2024年3月時点)。家賃相場は5.3万円で、ワンルームから3LDKまでさまざまな間取りがあるため、世帯人数に合った住まいを探しやすいでしょう。
※参考:賃貸物件情報の一例
※参考:犬山市の家賃相場
また犬山市には空き家バンクもあり、2024年3月時点で登録件数は12件です。空き家物件は賃貸・売買ともにあり、売買物件の希望価格は700~1,000万円前後で提示されています。
詳細は公式サイトに掲載されているので、移住後の住まいに空き家を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
公式:犬山市役所(空き家バンク)
移住者向け住宅補助金:犬山市の手厚い支援制度
犬山市では、移住者に向けた住まいに関する補助金制度があります。以下に概要をまとめていますので、犬山市への移住を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。(2024年6月時点)
また、職員さんの話では、今後も移住者が活用できる補助制度が創設される予定とのこと。ぜひ市ホームページなどでチェックしてみてください。
▼移住者向けの住まいに関する補助金制度
犬山市空き家利活用改修費補助金 | 空き家バンクに半年以上登録されている物件のリフォーム工事費を2分の1補助(上限40万円。公共的利用の場合は上限80万円) ※空き家を3年(公共的利用の場合は10年)以上利活用することなど、条件あり |
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犬山市空き家利活用奨励金 | 半年以上空き家バンクに登録されている物件を利活用する場合に30,000円を交付 ※空き家を3年(公共的利用の場合は10年)以上利活用することなど、条件あり |
犬山市ふるさと定住促進サポート事業補助金 | 市内に親と同居もしくは近くでUターン定住する子世帯に対してリフォーム・購入・新築等の費用の一部を補助 |
【条件】 ・親世帯:市内に1年以上継続して住んでいること ・子世帯:市外に1年以上継続して住んでいること ※子世帯は夫婦のどちらかが40歳以下 |
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【補助金額】 上限20~60万円で、同居(住宅購入あるいは、リフォーム)や近居など申請者の条件によって異なる ※多子世帯(※)に該当する場合は20万円を加算 (※)同一世帯で3人以上かつ第3子以降の子が中学生以下の世帯 |
移住先の住まいに空き家を検討している方は「犬山市空き家利活用改修費補助金」と「犬山市空き家利活用奨励金」、犬山市へのUターン移住を考えている方は「犬山市ふるさと定住促進サポート事業補助金」を活用できる可能性があるので、該当する方は公式サイトで詳細を確認してみてください。
公式:犬山市役所(犬山市空き家利活用改修費補助金)
公式:犬山市役所(犬山市空き家利活用奨励金)
公式:犬山市役所(犬山市ふるさと定住促進サポート事業補助金)
移住者の声:犬山市での新生活の実際
犬山市の魅力や暮らしについて紹介しましたが、やはり気になるのは移住者の口コミなのではないでしょうか。ここでは、実際に犬山市に移住した方の声を紹介します。
- 犬山城が近くにあるなど、情緒あふれる町並みが気に入っている
- 自然が豊かで、特に木曽川周辺の雰囲気が好き
- 名古屋にも近く、自然もあってちょうど良い暮らしができる
職員さんのお話では、犬山市に残る「昔ながらの雰囲気」や「自然豊かな環境」を気に入っている方が多いとのこと。お試し住宅や体験ツアーなどはありませんが、犬山市は令和5年度より引越しや新しいお住まいを考えている方、ひとりひとりの相談を受け付ける移住定住相談専用窓口を市役所内に設置しています。ご相談は窓口のほか、e-mailや電話でもOKで、オンラインでの事前予約も可能です。その他、住むまちいぬやま専用ウェブサイトも開設していますので、チェックしてみてください。アクセスの良い場所にあるので、気になる方は一度犬山市へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
公式:住むまちいぬやま
下見にお越しいただく際は、観光客の多い4〜5月、10〜11月頃を避けていただいた方が、移住後の暮らしがイメージしやすいかと思います。
犬山市移住相談窓口:詳細な情報とサポート体制
犬山市への移住については、犬山市役所までお問い合わせください。
担当課 | 企画広報課 |
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住所 | 〒484-8501 愛知県犬山市大字犬山字東畑36 |
電話番号 | 0568-44-0312 |
対応時間 | 8:30〜17:15 |
公式サイト | https://www.city.inuyama.aichi.jp/ |